住民税と所得税、どっちが高い? 年収別で比べると「逆転」する年収があった

2026-08-22 | 税金 住民税 所得税 家計 手取り 計算

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「毎月の給与明細、住民税のほうが所得税より高く引かれてるけど、これで合ってるの?」——多くの会社員が一度は疑問に思う光景です。ネットで調べると「住民税は所得税の2分の1くらい」「所得税のほうが高い」など相反する説が出てきて、自分の年収ではどちらが高いのかがはっきりしません。

結論から言うと、年収が低いうちは住民税のほうが高く、年収が上がるにつれて所得税が追い越していく「逆転」があります。この記事では、サイト共通の手取り計算モデル(会社員・独身・社会保険料約14.5%・基礎控除48万円・所得税に復興特別所得税2.1%込み)で、年収300万〜1500万円の両税を1円単位で計算し、なぜ逆転するのかを根拠付きで追います。自分の数字を当てはめたい場合は 手取り計算ツール で確認できます(入力はどこにも送信されません)。

結論:分かれ目は「年収約770万円」

年収別に、所得税と住民税(所得割+均等割)の概算額を比べたのが以下です。住民税が高い年収帯と、所得税が高くなる年収帯がはっきり分かれます。

年収所得税(概算)住民税(概算)どちらが高いか
300万円約5.0万円約10.4万円住民税が約5.3万円高い
500万円約14.1万円約24.1万円住民税が約10.0万円高い
700万円約32.0万円約37.6万円住民税が約5.5万円高い
800万円約47.4万円約45.1万円所得税が約2.3万円高い
1000万円約81.3万円約61.7万円所得税が約19.6万円高い
1200万円約118.9万円約78.8万円所得税が約40.1万円高い
1500万円約193.4万円約104.5万円所得税が約88.9万円高い

ポイント:年収300万〜700万円の「標準的な会社員」の多くは、実は住民税のほうが高い状態にいます。年収800万円あたりで所得税が上回り始め、年収が上がるほどその差は開いていきます。手取りへの影響の全体像は 手取り率を年収別に比べた記事 で確認できます。

ステップ1:所得税の構造(累進 5%〜45%)

所得税は課税所得に累進税率を掛けます。課税所得とは、給与所得から社会保険料と各種控除(基礎控除48万円など)を引いた額です。税率の区分の一部は以下のとおりです。

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
330万円以下10%97,500円
695万円以下20%427,500円
900万円以下23%636,000円
1800万円以下33%1,536,000円

この税率は「課税所得が高いほど上がる」ため、低年収ではたった5%しかかかりません。さらに、本サイトのモデルでは復興特別所得税(2.1%)を税額に乗じています。つまり年収500万円クラスの所得税は 約14.1万円(課税所得約236万円×10%−97,500円=138,000円、×1.021=約14.1万円)と、住民税の半分以下になります。所得税のしくみの全体は 所得税の計算記事 にまとめています。

ステップ2:住民税の構造(所得割10%+均等割5000円)

住民税(所得割)は、課税所得の目安に一律10%を掛け、さらに均等割5000円を足した額です。所得税のような「低いほど安くなる」累進はありません。

住民税 = 課税所得 × 10% + 均等割 5,000円

年収500万円なら、課税所得約236万円×10%+5,000円=約24.1万円。所得税(約14.1万円)より約10万円高くなります。この「一律10%」が効くため、低年収では住民税が必ず所得税を上回るのです。住民税そのものの計算は 住民税の計算記事 で確認できます。

ステップ3:年収800万円の例で実際に計算してみる

逆転の境界(約770万円)のすぐ上、年収800万円で両税を順に出します。給与所得控除は収入800万円が「660万円超〜850万円以下」の区分に当たるため、

給与所得控除 = 8,000,000×10% + 1,100,000 = 800,000 + 1,100,000 = 1,900,000円

課税所得(社会保険料約116万円=800万×14.5%、基礎控除48万円を引く)は

8,000,000 − 1,900,000 − 1,160,000 − 480,000 = 4,460,000円

この446万円が「税率20%・控除額427,500円」の区分(課税所得695万円以下)に当たるため、

所得税 = 4,460,000×20% − 427,500 = 892,000 − 427,500 = 464,500円、×1.021 = 約474,254円

住民税は

4,460,000×10% + 5,000 = 446,000 + 5,000 = 451,000円

となり、所得税(約47.4万円)が住民税(約45.1万円)を約2.3万円上回ります。年収770万円だと両者は約42.9万円でほぼ同額、771万円で所得税が逆転します。年収1000万円(所得税約81.3万・住民税約61.7万)・1200万円(所得税約118.9万・住民税約78.8万)の内訳はそれぞれの手取り記事で分解しています。

ステップ4:なぜ逆転するのか(累進 vs 一律)

逆転の正体は、2つの税の税率構造の違いにあります。

そのため、年収が上がって課税所得が20%・23%の区分に乗ると、所得税(20%・23%)が住民税(10%)を一気に追い越します。逆に年収500万円の課税所得236万円は所得税5%〜10%の低い区分のままなので、住民税の10%には届かず、住民税が高くなります。この「低年収ほど住民税優位・高年収ほど所得税優位」は、年収の壁(103万・106万・130万・150万) のような手取りの逆転現象とも並んで覚えておくと家計が見えやすくなります。

手取りへの影響——どちらが高くても「引かれる総額」は同じ

住民税が高くても所得税が高くても、手取りから引かれる「税金の総額」にすぐには差が出ません。ただし、住民税には「前年の所得で決まる」という罠があります。

たとえば年収800万円に昇給した場合、当年の手取りはまだ旧所得ベースの住民税のままですが、翌年6月から住民税が増えて手取りが一段下がります。ボーナスからの特別徴収 や ボーナスの手取り計算 と合わせて、昇給後の手取りの落ち込みを事前に見積もるのに使えます。

注意点——数字はあくまで目安

本記事の数値は概算です。実際の両税は、健康保険の加入先(協会けんぽか組合健保か)、居住自治体(住民税の所得割率は標準10%だが均等割や税率割でも若干異なる)、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などの適用によって数万円単位で変わります。また、サイトのモデルでは住民税の基礎控除(43万円)の差を簡略化しています。正確な金額は源泉徴収票と住民税決定通知書で確認してください。制度の詳細は国税庁・お住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。副業で合算される場合の両税の増え方は 副業の税金の計算記事、住民税が0円になるケースは 住民税が0円になる条件の記事 も併せてどうぞ。

自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツール へ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

関連する計算・ツール

給与所得控除そのものは 給与所得控除の計算記事、所得税のしくみは 所得税の計算記事、住民税の仕組みは 住民税の計算記事、手取り率の全体像は 手取り率を年収別に比べた記事、年収別の手取り内訳は 年収500万円・年収1000万円・年収1200万円・年収1500万円 の各記事で分解しています。住宅ローンの返済負担を手取りベースで組む場合は 住宅ローン計算、ふるさと納税の上限を確認する場合は ふるさと納税 上限目安 もどうぞ。

よくある質問

住民税と所得税、どっちが高い?

年収約770万円以下では住民税のほうが高く、それを超えると所得税が高くなります。たとえば年収500万円なら所得税約14.1万円・住民税約24.1万円(住民税が高い)、年収1000万円なら所得税約81.3万円・住民税約61.7万円(所得税が高い)という具合です。分かれ目は所得税が累進(5%〜45%)なのに対し、住民税の所得割がおおむね一律10%+均等割5000円だからです。

なぜ年収が低いと住民税のほうが高いの?

住民税の所得割は課税所得の10%に均等割5000円を足すだけのシンプルな計算ですが、所得税は課税所得195万円以下なら税率5%と低く、さらに復興特別所得税2.1%を足してもまだ住民税の10%より安くなります。低年収ほど所得税の累進効果が効くため、住民税が上回ります。

逆転する年収(770万円)は本当?

サイト共通の概算モデル(会社員・独身・社会保険料約14.5%・基礎控除48万円)で計算すると、年収770万円付近で所得税(約42.9万円)と住民税(約42.9万円)がほぼ同じになり、771万円で所得税が上回ります。ただし扶養や各種控除、健康保険の加入先で前後するため、あくまで目安です。

住民税と所得税の計算順序の違いは?

所得税は当年の給与所得から社会保険料や基礎控除などを引いた課税所得に累進税率を掛けます。住民税の所得割は同じ課税所得の目安に10%を掛け、さらに均等割5000円を足します。共通点は「課税所得」をベースにすることですが、税率構造(累進 vs 一律)と基礎控除額(48万 vs 43万)が異なります。

自分の年収で両税を確認するには?

年収から手取りを逆算し、そこから社会保険料を引いた残りを所得税と住民税に分ける形で確認できます。サイトの手取り計算ツールに年収を入力すれば、所得税・住民税の概算額と手取り率が一度に出ます(入力はどこにも送信されません)。

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