年収1000万円の手取りはいくら?内訳を1円単位まで分解して計算する

2026-08-21 | 手取り 税金 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「年収1000万円って、手取りはいくらになるの?」——多くの人が目標にする「一つの区切り」の年収です。転職の提示額、住宅ローンの審査、家計の見直し。この数字が必要になる場面は多いのに、ネットで検索すると「約700万円」という結論だけが並び、どうやってその数字になったのかが書かれていないことがほとんどです。

この記事では、会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)を前提に、給与所得控除 → 社会保険料 → 所得税 → 住民税の順で、実際の計算式と数値をすべて追います。自分の年収で試したい場合は 手取り計算ツールに金額を入れれば同じロジックで即座に出ます。

結論:年収1000万円の手取りは約714万円(月約59.5万円)

項目金額備考
年収(額面)10,000,000円賞与含む総支給額
給与所得控除▲1,950,000円収入850万超の定額(これが上限)
社会保険料▲約1,450,000円健康保険・厚生年金・雇用保険
所得税(復興税込)▲約787,800円累進課税・税率23%区分
住民税▲約622,000円所得割10%+均等割5,000円
手取り約7,140,200円月あたり約595,000円/手取り率約71.4%

ここからが本題です。なぜこの金額になるのか、順に計算します。

ステップ1:給与所得控除は195万円(すでに上限に達している)

会社員には経費の代わりに給与所得控除が自動で認められます。所得税法の速算表では、収入金額 8,500,001円以上の区分は次の定額です。

給与所得控除 = 1,950,000円(収入に関わらず一定・これが上限)

年収1000万円なら 控除額は195万円で打ち止め。よって課税のベースとなる給与所得は

10,000,000 − 1,950,000 = 8,050,000円

年収1000万円の大きな特徴:給与所得控除は収入850万円超で「上限の195万円」に達します。つまり年収が1200万・1500万と上がっても、控除額はこれ以上増えません。増えた分はすべてそのまま課税所得に乗るため、年収が高いほど手取り率の低下が加速するのはこの仕組みのせいです(年収別の手取り率の比較は 手取り率を年収別に比べた記事 へ)。

ステップ2:社会保険料は約145万円(税金より重い)

見落とされがちですが、年収1000万円クラスでも社会保険料が所得税・住民税の合計より大きいのが実態です。内訳の目安は次のとおりです。

合計でおよそ給与の14.5%=約145万円。40歳以上になると介護保険料(約0.9%の半分)が加わり、手取りはさらに年3万円強下がります。

注意点:社会保険料は「標準報酬月額」という等級表に当てはめて決まるため、実際は年収に比例した滑らかな数字にはなりません。年収1000万円(月83万円)は厚生年金の標準報酬月額上限(65万円)には届かないため、実効率はほぼ14.5%に近いですが、より高い年収では上限効果で実効率が下がります。

ステップ3:所得税は約78.8万円

所得税の課税所得は、給与所得から所得控除を引いて求めます。独身・扶養なしなら基礎控除48万円と社会保険料控除だけです。

課税所得 = 8,050,000 −(社会保険料 1,450,000 + 基礎控除 480,000)= 6,120,000円

課税所得 6,950,001円以下は税率23%・控除額636,000円の区分です。

6,120,000 × 23% − 636,000 = 771,600円

これに復興特別所得税2.1%が上乗せされます。

771,600 × 1.021 ≒ 787,834円

ここが誤解の多いポイント:「年収1000万円だから税率30%」ではありません。税率が掛かるのは課税所得612万円に対してで、しかも累進課税なので695万円までの部分は23%、超えた分だけ33%です(速算表の控除額636,000円がその調整)。額面年収に税率を掛けると、実際の2倍近い税額を誤算します。

ステップ4:住民税は約62.2万円

住民税は所得税と控除額が違います。基礎控除が43万円(所得税は48万円)である点が要注意です。

課税所得 = 8,050,000 −(1,450,000 + 430,000)= 6,170,000円
所得割 = 6,170,000 × 10% = 617,000円
+ 均等割 5,000円 = 約622,000円

注意点:住民税は前年の所得に対して翌年6月から課税されます。つまり新卒1年目の住民税はゼロ、2年目の6月に突然引かれ始めて「手取りが減った」と驚くのはこの仕組みのせいです。逆に退職した翌年は収入がないのに住民税の請求が来ます。

ステップ5:手取りを合計する

10,000,000 −(1,450,000 + 787,834 + 622,000)= 7,140,166円

月あたり 約595,000円、手取り率は 約71.4%。よく言われる「年収1000万円なら手取りは7割強」は、この年収帯でほぼ正しい目安です。年収が上がると累進課税と控除の縮小で手取り率はさらに下がり、年収1500万円では66%程度まで下がります(年収500万の手取り・年収別の手取り率の比較参照)。

この金額から何ができるか(具体例)

年収1000万円ならではの「手取りを増やすレバー」

課税所得が612万円と高いため、所得控除1円あたりの節税効果が大きいのがこの層の特徴です。税率23%(所得税)×1.021 + 住民税10% ≒ 約33.5%の実効税率で、控除額の約3割強が手取りに戻ります。

よくある誤算3つ

  1. 額面に税率を掛けてしまう:課税所得は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を引いた後の金額です。1000万円に23%を掛けると所得税を約3倍過大に見積もります(実際は課税所得612万円に23%)。
  2. 賞与を月割りして考える:賞与ありだと月の額面が下がるので、月々の手取りは年間手取り÷12より少なくなります。生活費は「月給の手取り」で組むのが安全です。
  3. 住民税の1年遅れを忘れる:昇給・転職の翌年は手取りの伸びが鈍ります。年収が上がった年の翌6月に住民税が跳ねる前提で家計を組んでおくと事故が起きません。

関連する計算・ツール

自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツール、給与所得控除そのものは 給与所得控除の計算記事、所得税のしくみは 所得税の計算記事、住民税の仕組みは 住民税の計算記事、年収が上がったときの「壁」(103万・106万・130万・150万)で手取りがどう逆転するかは 年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事、手取り率の全体像は 手取り率を年収別に比べた記事 も併せてどうぞ。年収500万・450万・300万の手取りも 年収500万・年収450万・年収300万 の記事で分解しています。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は概算です。実際の手取りは、健康保険の加入先(協会けんぽか組合健保か)、居住自治体、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などの適用によって数万円単位で変わります。配偶者や扶養親族がいる場合は控除が増え、手取りはさらに上がります。正確な金額は源泉徴収票と住民税決定通知書で確認してください。制度の詳細は国税庁・お住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。

自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツールへ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

よくある質問

年収1000万円の手取りは月いくら?

会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)の目安で、年間の手取りは約714万円、月あたり約59.5万円(手取り率約71.4%)です。賞与がある場合は月の額面が下がるため、月々の手取りはこれより少なくなります。

年収1000万円の給与所得控除はいくら?

収入金額が850万円を超える区分は「定額 1,950,000円」となり、これが給与所得控除の上限です。よって年収1000万円でも控除額は195万円で、給与所得(課税のベース)は805万円になります。

年収1000万円の所得税はいくら?

給与所得805万円から社会保険料約145万円と基礎控除48万円を引いた課税所得約612万円が「税率23%・控除額636,000円」の区分に当たるため、612万円×23%−636,000円=771,600円。復興特別所得税2.1%を加えて約78.8万円です。

年収1000万円の住民税はいくら?

住民税の基礎控除は43万円なので課税所得は約617万円。所得割10%で約61.7万円、均等割5,000円を足して約62.2万円が目安です(自治体で若干異なります)。

手取りを増やす方法はありますか?

iDeCo(小規模企業共済等掛金控除・年間最大約27.6万円)、生命保険料控除、医療費控除、ふるさと納税などで課税所得を下げるのが基本です。年収が高いほど控除による税額の押し下げ効果が大きくなります。

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