年収500万円の手取りはいくら?内訳を1円単位まで分解して計算する
「年収500万円って、実際に手元に残るのはいくら?」——転職の年収交渉、住宅ローンの返済計画、家計の見直し。この数字が必要になる場面は多いのに、ネットで検索すると「約390万円」という結論だけが並び、どうやってその数字になったのかが書かれていないことがほとんどです。
この記事では、会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)を前提に、給与所得控除 → 社会保険料 → 所得税 → 住民税の順で、実際の計算式と数値をすべて追います。自分の年収で試したい場合は 手取り計算ツールに金額を入れれば同じロジックで即座に出ます。
結論:年収500万円の手取りは約389万円(月約32.4万円)
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 年収(額面) | 5,000,000円 | 賞与含む総支給額 |
| 社会保険料 | ▲約720,000円 | 健康保険・厚生年金・雇用保険 |
| 所得税(復興税込) | ▲約141,400円 | 累進課税・税率10%区分 |
| 住民税 | ▲約246,000円 | 所得割10%+均等割5,000円 |
| 手取り | 約3,892,600円 | 月あたり約324,000円/手取り率約78% |
ここからが本題です。なぜこの金額になるのか、順に計算します。
ステップ1:給与所得控除は144万円
会社員には経費の代わりに給与所得控除が自動で認められます。所得税法第28条の速算表では、収入金額 3,600,001円〜6,600,000円 の区分は次の式です。
給与所得控除 = 収入金額 × 20% + 440,000円
年収500万円なら 5,000,000 × 0.2 + 440,000 = 1,440,000円。よって課税のベースとなる給与所得は
5,000,000 − 1,440,000 = 3,560,000円
注意点:この控除は「実際に使った経費」とは無関係で、領収書も不要です。逆に言えば、通勤用のスーツ代や書籍代を別に経費計上することは原則できません(特定支出控除は要件が非常に厳しく、実務ではほぼ使えません)。
ステップ2:社会保険料は約72万円(税金より重い)
見落とされがちですが、年収500万円クラスでは社会保険料が所得税・住民税の合計より大きいのが実態です。内訳の目安は次のとおりです。
- 健康保険料:約5.0%(協会けんぽ・都道府県で9.8%前後の半分を本人負担)→ 約25万円
- 厚生年金保険料:18.3%の半分の9.15% → 約45.7万円
- 雇用保険料:0.6%前後 → 約3万円
合計でおよそ給与の14.4%=約72万円。40歳以上になると介護保険料(約0.9%の半分)が加わり、手取りはさらに年2万円強下がります。
注意点:社会保険料は「標準報酬月額」という等級表に当てはめて決まるため、実際は年収に比例した滑らかな数字にはなりません。また厚生年金には上限(標準報酬月額65万円)があり、高年収では料率の実効値が下がります。ここでは概算として率で計算しています。
ステップ3:所得税は約14.1万円
所得税の課税所得は、給与所得から所得控除を引いて求めます。独身・扶養なしなら基礎控除48万円と社会保険料控除だけです。
課税所得 = 3,560,000 −(社会保険料 720,000 + 基礎控除 480,000)= 2,360,000円
課税所得 1,950,000円〜3,299,000円 の区分は税率10%・控除額97,500円です。
2,360,000 × 10% − 97,500 = 138,500円
これに復興特別所得税2.1%が上乗せされます。
138,500 × 1.021 ≒ 141,400円
ここが誤解の多いポイント:「年収500万円だから税率20%」ではありません。税率が掛かるのは課税所得236万円に対してで、しかも累進課税なので195万円までの部分は5%、超えた分だけ10%です(速算表の控除額97,500円がその調整)。額面年収に税率を掛けると、実際の2倍近い税額を誤算します。
ステップ4:住民税は約24.6万円
住民税は所得税と控除額が違います。基礎控除が43万円(所得税は48万円)である点が要注意です。
課税所得 = 3,560,000 −(720,000 + 430,000)= 2,410,000円
所得割 = 2,410,000 × 10% = 241,000円
+ 均等割 5,000円 = 約246,000円
注意点:住民税は前年の所得に対して翌年6月から課税されます。つまり新卒1年目の住民税はゼロ、2年目の6月に突然引かれ始めて「手取りが減った」と驚くのはこの仕組みのせいです。逆に退職した翌年は収入がないのに住民税の請求が来ます。
ステップ5:手取りを合計する
5,000,000 −(720,000 + 141,400 + 246,000)= 3,892,600円
月あたり 約324,000円、手取り率は 約77.9%。よく言われる「手取りは年収の約8割」は、この年収帯ではほぼ正しい目安です。ただし年収が上がると累進課税と控除の縮小で手取り率は落ち、年収1,000万円では7割強まで下がります。
この金額から何ができるか(具体例)
- 住宅ローン:返済負担率を手取りの20%とすると月約6.5万円。金利1.5%・35年なら借入約2,100万円が目安です(住宅ローン計算で試算できます)。額面年収基準の「年収の7倍」より保守的ですが、生活防衛の観点ではこちらが実務的です。
- 積立投資:手取りの10%=月3.2万円を年利4%で20年積み立てると約1,175万円(元本768万円)。複利積立シミュレーションで期間と利率を変えて確認できます。
- ふるさと納税:年収500万円・独身なら上限の目安は約6.1万円。ふるさと納税 上限目安で世帯構成込みの概算が出ます。
よくある誤算3つ
- 額面に税率を掛けてしまう:課税所得は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を引いた後の金額です。500万円に10%を掛けると所得税を3.5倍以上過大に見積もります。
- 賞与を月割りして考える:賞与ありだと月の額面が下がるので、月々の手取りは年間手取り÷12より少なくなります。生活費は「月給の手取り」で組むのが安全です。
- 住民税の1年遅れを忘れる:昇給・転職の翌年は手取りの伸びが鈍ります。年収が上がった年の翌6月に住民税が跳ねる前提で家計を組んでおくと事故が起きません。
注意事項
本記事の数値は概算です。実際の手取りは、健康保険の加入先(協会けんぽか組合健保か)、居住自治体、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などの適用によって数万円単位で変わります。正確な金額は源泉徴収票と住民税決定通知書で確認してください。制度の詳細は国税庁・お住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。
自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツールへ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
よくある質問
年収500万円の手取りは月いくら?
会社員・独身・扶養なしの目安で、年間の手取りは約389万円、月あたり約32.4万円です。賞与がある場合は月の額面が下がるため、月々の手取りはこれより少なくなります。
年収500万円の給与所得控除はいくら?
収入金額が3,600,001円〜6,600,000円の区分に当たるため「収入×20%+440,000円」で計算し、5,000,000円×20%+440,000円=1,440,000円です。
年収500万円の所得税はいくら?
給与所得356万円から社会保険料約72万円と基礎控除48万円を引いた課税所得236万円に、税率10%・控除額97,500円を適用して約138,500円。復興特別所得税2.1%を加えて約141,400円です。
年収500万円の住民税はいくら?
住民税の基礎控除は43万円なので課税所得は約241万円。所得割10%で約24.1万円、均等割5,000円を足して約24.6万円が目安です(自治体で若干異なります)。
手取りを増やす方法はありますか?
iDeCoや小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、医療費控除、ふるさと納税(実質は前払いですが返礼品分が得)などで課税所得を下げるのが基本です。控除を使うほど所得税・住民税の両方が下がります。