年収500万円の手取りはいくら?内訳を1円単位まで分解して計算する
「年収500万円って、手取りはいくらになるの?」——多くの会社員が最も身近に感じる「標準的な年収」です。転職の提示額、家計の見直し、住宅ローンの審査。この数字が必要になる場面は多いのに、ネットで検索すると「約390万円」という結論だけが並び、どうやってその数字になったのかが書かれていないことがほとんどです。
この記事では、会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)を前提に、給与所得控除 → 社会保険料 → 所得税 → 住民税の順で、実際の計算式と数値をすべて追います。自分の年収で試したい場合は 手取り計算ツールに金額を入れれば同じロジックで即座に出ます。
結論:年収500万円の手取りは約389万円(月約32.4万円)
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 年収(額面) | 5,000,000円 | 賞与含む総支給額 |
| 給与所得控除 | ▲1,440,000円 | 収入500万は「20%+44万」の区分(上限にはまだ届かず) |
| 社会保険料 | ▲約725,000円 | 健康保険・厚生年金・雇用保険(年収の約14.5%) |
| 所得税(復興税込) | ▲約140,898円 | 累進課税・税率10%区分 |
| 住民税 | ▲約245,500円 | 所得割10%+均等割5,000円 |
| 手取り | 約3,888,602円 | 月あたり約324,050円/手取り率約77.8% |
手取りから実際に引かれるのは「社会保険料・所得税・住民税」の3つです。給与所得控除は税金を計算するときに所得を押し下げるための控除で、手取りから直接引かれるお金ではありません。ここから順に計算します。
ステップ1:給与所得控除は144万円(まだ上限には達していない)
会社員には経費の代わりに給与所得控除が自動で認められます。所得税法の速算表では、収入金額 3,600,001円〜6,600,000円の区分は次の式です。
給与所得控除 = 収入×20% + 440,000円
年収500万円なら
5,000,000×20% + 440,000 = 1,000,000 + 440,000 = 1,440,000円
年収500万円の重要な特徴:給与所得控除の「上限195万円」は収入850万円を超えたときにはじめて固定(打ち止め)になります。年収500万円はまだその手前にあるため、年収が上がるほど控除額も増えるのがこの年収帯の正体です(控除が上限に達して逆に不利になる仕組みは 年収1000万円の手取り記事 で確認できます)。よって課税のベースとなる給与所得は
5,000,000 − 1,440,000 = 3,560,000円
ステップ2:社会保険料は約72.5万円(税金より重い)
会社員の社会保険料(健康保険+厚生年金+雇用保険)は標準報酬月額に対する料率で決まりますが、年収に対する目安は約14.5%です。
5,000,000×0.145 = 725,000円
年収500万円クラスでも社会保険料が「所得税+住民税」の合計(約38.6万円)を大きく上回る規模で、手取りへの影響は無視できません。社会保険料こそが「見えない最大の天引き」です。
ステップ3:所得税は約14.1万円(まだ10%区分)
所得税の基礎となる課税所得は、給与所得からさらに社会保険料と各種控除を引いた額です。
課税所得 = 給与所得 3,560,000 − 社会保険料 725,000 − 基礎控除 480,000 = 2,355,000円
この235.5万円が「税率10%・控除額97,500円」の区分(課税所得330万円以下)に当たります。
所得税 = 2,355,000×10% − 97,500 = 235,500 − 97,500 = 138,000円
復興特別所得税(2.1%)を加えると
138,000×1.021 = 140,898円
年収500万円の有利な点:所得税はまだ一番低い税率区分(10%)です。年収が1000万円(23%区分)になると税率が倍以上に跳ね、課税所得も大きく伸びるため一気に税額が膨らみます。年収が上がったときの「壁」は 年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事 で確認できます。
ステップ4:住民税は約24.6万円(前年の所得の罠)
住民税(所得割)は、課税所得×10% + 均等割5,000円 の目安です(基礎控除43万円を引いた後の額で計算)。
(3,560,000 − 725,000 − 430,000)×10% = 2,405,000×10% = 240,500円、均等割5,000円を足して 245,500円
重要な罠:住民税は「前年の所得」で決まり、翌年6月から1年間徴収されます。年収500万円に昇給した年の手取りはまだ旧所得ベースなので、翌年6月から住民税がさらに跳ね上がります。住民税のしくみは 住民税の計算記事 にまとめています。
手取り率77.8%——標準年収だからこそ高い
年収500万円の手取り率は約77.8%。年収1000万円(約71.4%)より高く、年収400万円(約78.6%前後)と同水準です。年収が上がるほど手取り率が下がるのは、給与所得控除が上限に達したあと課税所得がそのまま伸びるせいです。全体像は 手取り率を年収別に比べた記事 でグラフ付きにまとめています。
年収500万円で組める生活の目安
- 住宅ローン:返済負担率を手取りの20%とすると月約6.5万円。金利1.5%・35年なら借入約2,100万円が目安です(住宅ローン計算で試算できます)。実質年収(手取り)ベースで組むと、額面ベースの「年収の7倍=3,500万円」より保守的で破綻しにくいです。
- 積立投資:手取りの10%=月約3.2万円を年利4%で20年積み立てると約1,310万円(元本約768万円)。複利積立シミュレーションで期間と利率を変えて確認できます。
- ふるさと納税:年収500万円・独身なら上限の目安は約20万円前後。ふるさと納税 上限目安で世帯構成込みの概算が出ます。
注意点——数字はあくまで目安
本記事の数値は概算です。実際の手取りは、健康保険の加入先(協会けんぽか組合健保か)、居住自治体、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などの適用によって数万円単位で変わります。配偶者や扶養親族がいる場合は控除が増え、手取りはさらに上がります。40歳以上になると介護保険料(約0.9%の半分)が加わり、手取りは年数万円下がります。正確な金額は源泉徴収票と住民税決定通知書で確認してください。制度の詳細は国税庁・お住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。
自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツールへ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
関連する計算・ツール
給与所得控除そのものは 給与所得控除の計算記事、所得税のしくみは 所得税の計算記事、住民税の仕組みは 住民税の計算記事、手取り率の全体像は 手取り率を年収別に比べた記事、年収が上がったときの「壁」は 年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事 も併せてどうぞ。年収400万・1000万・1200万・1500万の手取りもそれぞれの記事で分解しています。
よくある質問
年収500万の手取りは月いくら?
会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)の目安で、年間の手取りは約389万円、月あたり約32.4万円(手取り率約77.8%)です。標準的な年収帯のため手取り率は年収1000万円(約71.4%)より高く、家計のやりくり目安として使いやすい数字です。
年収500万の給与所得控除はいくら?
収入500万円は「360万円超〜660万円以下」の区分に当たるため、給与所得控除 = 500万円×20%+44万円 = 144万円です。まだ「上限195万円」には達しておらず、年収が上がるほど控除も増える(上限に達する850万円までは)のがこの年収帯の特徴です。
年収500万の所得税はいくら?
給与所得356万円(500−144)から社会保険料約72.5万円と基礎控除48万円を引いた課税所得約235.5万円が「税率10%・控除額97,500円」の区分(課税所得330万円以下)に当たるため、235.5万円×10%−97,500円=138,000円。復興特別所得税2.1%を加えて約14.1万円です。
年収500万の住民税はいくら?
住民税の基礎控除は43万円なので課税所得は約240.5万円。所得割10%で約24.1万円、均等割5,000円を足して約24.6万円が目安です(自治体で若干異なります)。
手取りを増やす方法はありますか?
iDeCo(小規模企業共済等掛金控除・年間最大約27.6万円)、生命保険料控除、医療費控除、ふるさと納税などで課税所得を下げると所得税・住民税の両方が下がります。年収500万円はまだ低い税率区分(10%)なので、控除1円につき約10〜11円の税額削減効果があります。