年収1200万円の手取りはいくら?内訳を1円単位まで分解して計算する
「年収1200万円って、手取りはいくらになるの?」——部長級・役員目前、あるいは高度専門職の多くが到達する年収帯です。住宅ローンの本審査(実質年収の壁)、配偶者の扶養から外れるタイミング、子どもの教育資金のめど。この数字が必要になる場面は多く、ネットで検索すると「約900万円」という結論だけが並び、どうやってその数字になったのかが書かれていないことがほとんどです。
この記事では、会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)を前提に、給与所得控除 → 社会保険料 → 所得税 → 住民税の順で、実際の計算式と数値をすべて追います。自分の年収で試したい場合は 手取り計算ツールに金額を入れれば同じロジックで即座に出ます。
結論:年収1200万円の手取りは約902万円(月約75.2万円)
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 年収(額面) | 12,000,000円 | 賞与含む総支給額 |
| 給与所得控除 | ▲1,950,000円 | 収入850万超の定額(すでに上限) |
| 社会保険料 | ▲約1,740,000円 | 健康保険・厚生年金・雇用保険(年収の約14.5%) |
| 所得税(復興税込) | ▲約1,189,362円 | 累進課税・税率23%区分 |
| 住民税 | ▲約793,500円 | 所得割10%+均等割5,000円 |
| 手取り | 約9,022,138円 | 月あたり約751,845円/手取り率約75.2% |
手取りから実際に引かれるのは「社会保険料・所得税・住民税」の3つです。給与所得控除は税金を計算するときに所得を押し下げるための控除で、手取りから直接引かれるお金ではありません。ここから順に計算します。
ステップ1:給与所得控除は195万円(すでに上限に達している)
会社員には経費の代わりに給与所得控除が自動で認められます。所得税法の速算表では、収入金額 8,500,001円以上の区分は次の定額です。
給与所得控除 = 1,950,000円(収入に関わらず一定・これが上限)
年収1200万円なら 控除額は195万円で打ち止め。よって課税のベースとなる給与所得は
12,000,000 − 1,950,000 = 10,050,000円
年収1200万円の大きな特徴:給与所得控除は収入850万円超で「上限の195万円」に達します。つまり年収が1500万・2000万と上がっても、控除額はこれ以上増えません。増えた分はすべてそのまま課税所得に乗るため、年収が高いほど手取り率の低下が加速するのはこの仕組みのせいです(年収別の手取り率の比較は 手取り率を年収別に比べた記事 へ)。
ステップ2:社会保険料は約174万円(税金より重い)
会社員の社会保険料(健康保険+厚生年金+雇用保険)は標準報酬月額に対する料率で決まりますが、年収に対する目安は約14.5%です。
12,000,000×0.145 = 1,740,000円
年収1200万円クラスでも社会保険料が所得税・住民税の合計(約198万円)と肩を並べる規模で、手取りへの影響は無視できません。
ステップ3:所得税は約119万円(23%区分に乗る)
所得税の基礎となる課税所得は、給与所得からさらに社会保険料と各種控除を引いた額です。
課税所得 = 給与所得 10,050,000 − 社会保険料 1,740,000 − 基礎控除 480,000 = 7,830,000円
この783万円が「税率23%・控除額636,000円」の区分(課税所得900万円以下)に当たります。
所得税 = 7,830,000×23% − 636,000 = 1,800,900 − 636,000 = 1,164,900円
復興特別所得税(2.1%)を加えると
1,164,900×1.021 = 1,189,362円
注意:年収1200万円は所得税の23%区分に入ります。年収1000万円(約78.8万円)から一気に税額が約1.5倍に跳ねているのは、税率が20%→23%に上がり、かつ課税所得が大きく伸びたためです。年収の壁(103万・106万・130万・150万)で手取りがどう逆転するかは 年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事 で確認できます。
ステップ4:住民税は約79.4万円(前年の所得の罠)
住民税(所得割)は、課税所得×10% + 均等割5,000円 の目安です(基礎控除43万円を引いた後の額で計算)。
(10,050,000 − 1,740,000 − 430,000)×10% = 788,000円、均等割5,000円を足して 793,000円
重要な罠:住民税は「前年の所得」で決まり、翌年6月から1年間徴収されます。年収1200万円に昇給した年の手取りはまだ旧所得ベースなので、翌年6月から住民税がさらに跳ね上がります。住民税のしくみは 住民税の計算記事 にまとめています。
手取り率75.2%——年収が上がっても下がり続ける
年収1200万円の手取り率は約75.2%。年収1000万円(約71.4%)より高く、年収1500万円(約68%前後)より高い、まさに中間の数値です。なぜ年収が上がっても手取り率は下がり続けるのか、全体像は 手取り率を年収別に比べた記事 でグラフ付きにまとめています。
年収1200万円で組める生活の目安
- 住宅ローン:返済負担率を手取りの20%とすると月約15万円。金利1.5%・35年なら借入約4,900万円が目安です(住宅ローン計算で試算できます)。実質年収(手取り)ベースで組むと、額面ベースの「年収の7倍=8,400万円」より保守的で破綻しにくいです。
- 積立投資:手取りの10%=月約7.5万円を年利4%で20年積み立てると約3,079万円(元本約1,800万円)。複利積立シミュレーションで期間と利率を変えて確認できます。
- ふるさと納税:年収1200万円・独身なら上限の目安は約60万円超。ふるさと納税 上限目安で世帯構成込みの概算が出ます。
注意点——数字はあくまで目安
本記事の数値は概算です。実際の手取りは、健康保険の加入先(協会けんぽか組合健保か)、居住自治体、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などの適用によって数万円単位で変わります。配偶者や扶養親族がいる場合は控除が増え、手取りはさらに上がります。正確な金額は源泉徴収票と住民税決定通知書で確認してください。制度の詳細は国税庁・お住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。
自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツールへ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
関連する計算・ツール
給与所得控除そのものは 給与所得控除の計算記事、所得税のしくみは 所得税の計算記事、住民税の仕組みは 住民税の計算記事、手取り率の全体像は 手取り率を年収別に比べた記事、年収が上がったときの「壁」は 年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事 も併せてどうぞ。年収1000万・1500万の手取りもそれぞれの記事で分解しています。
よくある質問
年収1200万の手取りは月いくら?
会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)の目安で、年間の手取りは約902万円、月あたり約75.2万円(手取り率約75.2%)です。給与所得控除はすでに上限の195万円に達しているため、年収が上がっても控除は増えず、手取り率の低下が加速します。
年収1200万の給与所得控除はいくら?
収入金額が850万円を超える区分は「定額 1,950,000円」となり、これが給与所得控除の上限です。よって年収1200万円でも控除額は195万円で、給与所得(課税ベース)は1005万円になります。
年収1200万の所得税はいくら?
給与所得1005万円から社会保険料約174万円と基礎控除48万円を引いた課税所得約783万円が「税率23%・控除額636,000円」の区分に当たるため、783万円×23%−636,000円=1,164,900円。復興特別所得税2.1%を加えて約118.9万円です。
年収1200万の住民税はいくら?
住民税の基礎控除は43万円なので課税所得は約788万円。所得割10%で約78.8万円、均等割5,000円を足して約79.4万円が目安です(自治体で若干異なります)。
手取りを増やす方法はありますか?
年収が高いほど控除による税額の押し下げ効果が大きくなります。iDeCo(年間最大約27.6万円)、生命保険料控除、医療費控除、ふるさと納税などで課税所得を下げると、所得税・住民税の両方が下がります。