奨学金の返済は毎月いくら? 借入額別の月額・総利息と、繰上返還を「1年後」にやると59,029円得する理由(240万円・年0.9%で1円単位計算)

2026-08-29 | 奨学金 返還 繰上返還 教育費 ローン 利息 元利均等 家計 計算 JASSO 減額返還

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「奨学金、卒業後に毎月いくら返すことになるの?」「利息はトータルでいくら払うの?」「繰上返還ってどれくらい得なの?」——この3つは奨学金を借りた人(そして借りるか迷っている高校生・保護者)が必ずぶつかる疑問です。ところが検索して出てくるのは制度の説明と「返還シミュレーター」へのリンクばかりで、「借入額ごとの月額と総利息が1円単位で並んだ表」や「繰上返還を早くやるほど得な理由(金額つき)」まで踏み込んだ解説はほとんどありません。

この記事では、日本学生支援機構(JASSO)の第一種(無利子)/第二種(有利子)を前提に、借入総額144万円〜576万円のモデルで毎月の返還額・総返還額・総利息を計算し、さらに50万円の繰上返還を「1年後・5年後・10年後」に行った場合の節約額の差(59,029円 vs 39,547円 vs 16,133円)を示します。返還が苦しいときの減額返還・返還期限猶予の使い分け、「繰上返還より先にやるべきこと」という注意点まで整理し、ブラウザ内で完結するシミュレーターも付けました。

📌 結論ファースト:第二種で月5万円×4年=240万円を借り、上限金利年0.9%・15年(180回)で返す場合、毎月14,259円・総返還額2,566,542円・総利息166,542円です。繰上返還は早いほど効くのが最大のポイントで、同じ50万円を返しても1年後なら59,029円の節約、10年後だと16,133円——3.7倍の差が出ます。一方で第一種(無利子)は繰上返還しても利息の節約はゼロなので、手元の現金を守る(生活防衛資金・高金利借入の返済)ほうが合理的です。

まず前提——第一種と第二種で「返し方」がまったく違う

日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金には2種類あり、返還の計算がまるで別物です。

種別利息返還方式繰上返還の効果
第一種(無利子)年0%定額返還方式/所得連動返還方式利息の節約はゼロ(期間が短くなるだけ)
第二種(有利子)利率固定方式または利率見直し方式(上限年3.0%)定額返還方式(元利均等)利息が確実に減る(早いほど大きい)
⚠️ 本記事の金利は「上限年3.0%」と「近年の実際の適用利率に近い年0.9%」の2本立てで計算しています。適用利率は貸与終了年月ごとに機構が公表しており、近年は年0.3%〜1.0%程度で推移してきました。ご自身の利率は必ず「貸与奨学金返還確認票」または機構のスカラネット・パーソナルで確認してください。

計算式の根拠——元利均等返済の公式

第二種(有利子)の定額返還は元利均等返済です。住宅ローンやマイカーローンとまったく同じ式で計算できます。

毎月の返還額 M = P × i ÷ {1 −(1 + i)−n}
P = 借入総額、i = 月利(=年利 ÷ 12 ÷ 100)、n = 返還回数(月数)

そして毎月の内訳は次のように分解されます。ここが「繰上返還が早いほど効く」理由の正体です。

その月の利息 = その時点の残元本 × 月利
その月の元本充当 = M − その月の利息

利息はいつも「残っている元本」に対してかかります。だから返還開始直後は残元本が大きく、支払いの多くが利息に食われます。逆に終盤は残元本が小さいので、利息はごくわずかです。繰上返還で消せるのは「これから残元本にかかる予定だった利息」だけ——つまり残り期間が長いうち(=早いうち)に返すほど、消せる利息が大きいのです。

無利子(第一種)の場合は i = 0 なので式は単純に M = P ÷ n となり、利息はどう頑張っても0円。繰上返還しても金銭的な得はありません(返還期間が短くなる=心理的な軽さだけ)。

借入額別の早見表——毎月いくら・利息はいくら

ここが本題です。すべて上の元利均等の式で1円単位まで計算しました(端数処理の関係で、機構の実際の請求額とは数十円の差が出ることがあります)。

借入総額(月額×4年)金利返還期間毎月の返還額総返還額総利息
144万円(月3万円・第一種)0%13年(156回)9,231円1,440,000円0円
240万円(月5万円・第二種)0.9%15年(180回)14,259円2,566,542円166,542円
240万円(月5万円・第二種)3.0%15年(180回)16,574円2,983,313円583,313円
384万円(月8万円・第二種)0.9%20年(240回)17,489円4,197,398円357,398円
384万円(月8万円・第二種)3.0%20年(240回)21,297円5,111,171円1,271,171円
576万円(月12万円・第二種)0.9%20年(240回)26,234円6,296,098円536,098円

読み取れることは3つあります。

返済負担率——手取りの何%を占めるか

金額そのものより大事なのは「手取りに対する割合(返済負担率)」です。240万円・0.9%(月14,259円)を、新卒〜若手の年収別に当てはめます(手取りは年収の約8割で概算)。

年収手取り月額の目安返還額が占める割合
300万円約200,000円7.1%
350万円約233,333円6.1%
400万円約266,667円5.3%

一般に「奨学金+その他ローンの返済が手取りの15%を超えると家計が回りにくくなる」と言われます。240万円クラスなら年収300万円でも7.1%で収まりますが、384万円・3.0%(月21,297円)を年収300万円で背負うと10.6%、さらに車のローンやリボ払いが乗ると一気に危険水域です。

💡 借りる前に必ず手取り計算ツールで「入社1年目の手取り」を出し、返還月額 ÷ 手取り月額を計算してください。「将来の自分の給料」を根拠なく高く見積もることが、返還苦の最大の原因です。

繰上返還は「早いほど得」——50万円で59,029円 vs 16,133円

ここが本記事の核心です。240万円・年0.9%・180回(毎月14,259円)のケースで、50万円の繰上返還を「1年後・5年後・10年後」に行った場合を、毎月の残元本を1回ずつ追って計算しました(月額は変えず、期間を短縮する方式)。

繰上返還のタイミング完済までの回数短縮される期間支払う総利息節約できた利息
繰上返還なし180回—166,542円—
1年後(12回目の後)141回39ヶ月短縮107,513円59,029円
5年後(60回目の後)143回37ヶ月短縮126,996円39,547円
10年後(120回目の後)144回36ヶ月短縮150,409円16,133円

同じ50万円を返しているのに、節約額は59,029円 → 39,547円 → 16,133円と、1年後と10年後で3.7倍もの差がつきます。理由は前述のとおり、繰上返還で消えるのは「その50万円がこれから生む予定だった利息」だけだからです。返還終盤には、消せる利息がそもそも残っていません。

⚠️ 「短縮期間はほとんど変わらない」のに節約額が全然違う点に注目してください。どのタイミングでも短縮は36〜39ヶ月とほぼ同じですが、短縮された「最後の36回」に含まれる利息の量が違うのです。終盤の36回はほぼ元本だけ(利息はわずか)なので、10年後の繰上返還は「元本を先に払っただけ」に近くなります。

JASSOの繰上返還は手数料無料で、スカラネット・パーソナルから申込できます。一部繰上返還(好きな金額だけ)と全額繰上返還の両方が選べ、一部の場合は「返還期間を短縮する」方式が適用されます(月額は変わりません)。

ただし「繰上返還より先にやるべきこと」がある(3つの注意点)

上の表を見て「すぐ繰上返還しよう」と決めるのは早計です。奨学金の金利は年0.3〜3.0%——世の中の借金の中では圧倒的に低金利です。優先順位を間違えると損をします。

① 高金利の借入がある人は、そちらを先に返す

カードのリボ払い(年15%前後)、キャッシング(年15〜18%)、カードローン(年3〜15%)を抱えているなら、そちらの返済のほうが「利回り」がはるかに高いです。年0.9%の奨学金を繰上返還して0.9%分を節約するより、年15%のリボを返して15%分を節約するほうが約17倍効率的です。→ カードローンの最低返済額の罠

② 生活防衛資金(手取り3〜6ヶ月分)を先に確保する

繰上返還したお金は二度と戻ってきません。手元の現金を50万円減らした直後に病気・失業・引越しが起きれば、年15%のカードローンを借りることになり、0.9%の節約は一瞬で吹き飛びます。まず「手取りの3〜6ヶ月分」を現金で確保し、それを超えた余剰資金で繰上返還してください。

③ 第一種(無利子)は繰上返還する金銭的メリットがゼロ

利息が0円なので、繰上返還しても1円も節約になりません。むしろ現金を早く手放す(インフレで実質価値が下がる借金を早く消す)分だけ不利とも言えます。第一種はゆっくり払い切るのが合理的です。「借金を早く消したい」という心理的メリットを重視するなら別ですが、金額の判断としては繰上返還の対象外と考えてよいでしょう。

💡 判断の順番は「①高金利の借入 → ②生活防衛資金 → ③つみたてNISA・iDeCo等の非課税運用 → ④第二種の繰上返還 →(第一種はやらなくてよい)」。③と④の優先順位は、期待利回り(インデックス投資の想定3〜5%)が奨学金の金利(0.3〜3.0%)を上回るかで判断します。年3.0%を背負っているなら、繰上返還を先に持ってくる合理性が高まります。

返還が苦しいとき——「減額返還」と「返還期限猶予」を使い分ける

絶対にやってはいけないのは「払わずに放置する」ことです。延滞すると年3%の延滞金が課され、さらに個人信用情報機関に登録(いわゆるブラックリスト)されると、住宅ローンやクレジットカードの審査に影響します。返せないときは必ず事前に制度を申請してください。JASSOには2つの救済制度があります。

減額返還返還期限猶予
内容月々の返還額を1/2 または 1/3に減らす返還そのものを一時的に止める
総返還額変わらない(期間が2倍・3倍に延びる)変わらない(先送りされるだけ)
利息(第二種)期間が延びても利息は増えない取扱い猶予期間中は利息が付かない取扱い
使える期間通算15年まで(1年ごとに願出)通算10年まで(1年ごとに願出)
向いている人収入は少ないが毎月いくらかは払える失業・病気などでまったく払えない

どちらも「延滞していない」ことが原則の条件です(延滞してからでは使えないことがある)。払えないと分かった時点で、延滞する前に申請するのが最重要ポイントです。所得の目安(年収325万円以下など)や必要書類はJASSOの公式案内で最新の要件を確認してください。

⚠️ 減額返還は「利息が増えない」代わりに「完済が15年→30年に延びる」点を理解して使ってください。40代・50代まで返還が続くことになり、住宅ローン審査時に返済比率へ計上されます。あくまで一時的な緊急避難であり、収入が回復したら通常返還に戻すのが前提です。

なお、返還が困難な状態が長く続く場合は返還免除(死亡・重度障害)や、自治体・企業による奨学金返還支援制度(代理返還)——お住まいの自治体や勤務先が返還額の一部を負担してくれる制度——の対象になるかも確認する価値があります。企業の代理返還は給与課税されない扱いが認められており、近年導入企業が増えています。

奨学金返還シミュレーター(ブラウザ内で計算)

借入総額・金利・返還期間を入れると、毎月の返還額・総返還額・総利息を計算します。さらに繰上返還の金額とタイミングを入れると、短縮される期間と節約できる利息まで出します。入力値はどこにも送信されず、すべてこのページ内で処理されます。

まとめ——数字で押さえるべき3点

  1. 月5万円×4年=240万円・年0.9%・15年なら、毎月14,259円・総利息166,542円。同じ条件で金利が3.0%なら利息は583,313円(3.5倍)。借りる前に「毎月いくら・トータルいくら」を必ず出す。
  2. 繰上返還は早いほど得。50万円を1年後に返せば59,029円、10年後なら16,133円しか節約できない(3.7倍差)。短縮期間はほぼ同じでも、消せる利息の量が違う。
  3. ただし優先順位を守る。高金利の借入(リボ年15%)と生活防衛資金が先。第一種(無利子)の繰上返還は金銭的メリットがゼロ。返せないときは延滞前に減額返還/返還期限猶予を申請する。

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よくある質問

奨学金を月5万円×4年借りると、毎月いくら返すことになりますか?

借入総額240万円・第二種(有利子)で年利0.9%・15年(180回)の場合、毎月14,259円です。総返還額は2,566,542円で、うち利息が166,542円になります。同じ条件で上限金利の年3.0%なら毎月16,574円・総利息583,313円(0.9%の約3.5倍)です。無利子の第一種で144万円・13年(156回)なら毎月9,231円・利息0円です。

奨学金の繰上返還はいつやるのが一番得ですか?

できるだけ早くです。240万円・年0.9%・180回のケースで50万円を繰上返還すると、1年後なら節約できる利息は59,029円、5年後は39,547円、10年後は16,133円——1年後と10年後で3.7倍の差が出ます。利息は「その時点の残元本」にかかるため、繰上返還で消せるのは「その分の元本がこれから生む予定だった利息」だけ。残り期間が長いうちに返すほど効果が大きくなります。

第一種(無利子)の奨学金も繰上返還したほうがいいですか?

金銭的なメリットはありません。利息が0円なので、繰上返還しても節約できる利息は0円で、返還期間が短くなるだけです。手元の現金を早く手放す分、むしろ不利になる場面もあります(急な出費で年15%のカードローンを借りることになるなど)。第一種は約定どおりゆっくり返し、余剰資金は生活防衛資金や非課税運用に回すのが合理的です。

繰上返還と投資(つみたてNISA)、どちらを優先すべきですか?

奨学金の金利と期待利回りの比較で決めます。第二種の金利が年0.9%程度なら、インデックス投資の想定リターン(年3〜5%)のほうが高いため、投資を優先する合理性があります。逆に上限の年3.0%を背負っているなら繰上返還の優先度が上がります。ただし順番として、①リボ・カードローン等の高金利借入の返済、②生活防衛資金(手取り3〜6ヶ月分)の確保が、投資も繰上返還も差し置いて最優先です。

奨学金が返せなくなったらどうすればいいですか?

延滞する前に日本学生支援機構へ申請してください。月々の額を1/2または1/3に減らす「減額返還」(通算15年まで)と、返還を一時停止する「返還期限猶予」(通算10年まで)があり、どちらも総返還額は増えず、第二種でも利息が増えない取扱いです。放置して延滞すると年3%の延滞金がかかり、個人信用情報機関に登録されて住宅ローンやクレジットカードの審査に影響します。どちらの制度も「延滞していないこと」が原則の条件なので、払えないと分かった時点での申請が重要です。

奨学金の返還額は手取りの何%までなら安全ですか?

奨学金と他のローンを合わせた返済額が手取りの15%以内が目安です。240万円・年0.9%(月14,259円)なら、年収300万円(手取り月約20万円)で7.1%、年収350万円で6.1%、年収400万円で5.3%です。一方384万円・年3.0%(月21,297円)を年収300万円で背負うと10.6%になり、そこに車のローンやリボ払いが加わると危険水域です。借りる前に入社1年目の手取りで返済負担率を計算しておくことが大切です。

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