iDeCo とつみたてNISA、結局どっちに積むべき? 同じ月2万・20年で手取り増を1円単位で比べる

2026-08-17 | iDeCo つみたてNISA 老後資金 税金 貯金 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「iDeCo とつみたてNISA、どっちで積めばいいの?」——年収500万円の会社員が将来のために積み立てを考えたとき、必ずぶつかるこの悩み。ネットで調べると「どちらも非課税でお得」とは出ますが、同じ金額で20年積んだとき、いったいいくら手元に増えるかの差を、1円単位で比べた記事は意外と少ないものです。結論だけ言うと、条件が同じならiDeCo のほうが「拠出時に戻る税金」分だけ有利になります。順に計算します。

この記事では、もっとも典型的な年収500万円・会社員(独身・扶養なし)が、月2万円(年24万円)・20年・年利4%で運用する場合を例に、受取額の計算 → iDeCo の「拠出時節税」の計算 → 両方の手元増の差 → どっちを選ぶかの判断基準を実数で追います。自分の金額は 複利積立シミュレーション(非課税・運用益を想定)に入れれば同じロジックで出ます(入力はどこにも送信されません)。

結論:同じ月2万・20年なら受取額はどちらも約733万円、差は「戻る税金」の約97万円

項目iDeCoつみたてNISA
毎月の積立20,000円20,000円
積立期間20年20年
元本合計4,800,000円4,800,000円
受取額(運用益非課税)約7,335,000円約7,335,000円
うち運用差益約2,535,000円約2,535,000円
拠出時の所得控除あり(年約4.85万円節税)なし
20年間の累計節税約970,000円0円
実質的な手元増(受取額−実質負担)約3,505,000円約2,535,000円

ポイントは、受取額そのものはどちらも同じ約733万円なのに、iDeCo のほうが「実質的な手元増」が約97万円大きいことです。その差の正体は、つみたてNISA にはない「掛金を拠出するたびに所得税・住民税が安くなる」仕組みです。ただし iDeCo には「60歳まで原則引出不可」という代償があるため、単純に「iDeCo のほうが勝ち」とは言い切れません。以下で数字の出所を確かめます。

ステップ1:受取額は両方とも「普通年金終価の公式」で約733万円

どちらも毎月の拠出が複利で運用されるため、将来額は同じ公式で求まります。

受取額 = 毎月額 × { (1 + 月利 r)^月数 n − 1 } ÷ 月利 r

ただし 月利 r = 年利 ÷ 12、月数 n = 拠出年数 × 12 です。月2万円を年利4%(月利 0.04÷12 ≒ 0.003333)で20年(240ヶ月)なら、

20,000 × { (1 + 0.003333)^240 − 1 } ÷ 0.003333 ≒ 7,335,493円

よって どちらも受取額は約733.5万円。元本480万円に対して 約253.5万円の運用差益が乗り、その差益には税金がかかりません(非課税)。この時点では両者まったく同じです。

ステップ2:iDeCo だけ「拠出時に税金が戻る」を計算する

iDeCo 最大の特徴がここです。掛金(月2万円=年24万円)は給与所得から全額差し引かれ、その分だけ課税所得が下がります。年収500万円・独身・会社員の場合を追います。

給与所得 = 5,000,000 − 給与所得控除 1,525,000 = 3,475,000円
(給与所得控除は収入×20%+525,000円、詳しくは給与所得控除の早見表と計算式へ)

ここから社会保険料(約14.5%=約72.5万円)と基礎控除48万円を引くのが所得税の課税所得です。iDeCo を拠出すると、さらに掛金24万円が控除に加わります。

項目iDeCoなしiDeCo拠出後差
課税所得(所得税ベース)約227.0万円約203.0万円▲24万円

所得税(復興特別所得税2.1%込み)は、課税所得195万円超が税率10%の区分なので、

iDeCoなし:2,270,000 × 10% − 97,500 = 129,500円 → ×1.021 ≒ 132,219円
iDeCo後:2,030,000 × 10% − 97,500 = 105,500円 → ×1.021 ≒ 107,715円
差 = 約24,504円/年の減税

住民税(基礎控除43万円・所得割10%)でも同様に、

iDeCoなし:2,270,000 × 10% + 5,000 = 232,000円
iDeCo後:2,030,000 × 10% + 5,000 = 208,000円
差 = 24,000円/年の減税

合わせて 年間約48,500円 の税負担が減り、20年続けると累計 約970,000円。これは運用の成績に関係なく確実に手元に残る節税効果です。年収が高いほど税率が上がるため、節税効果はさらに大きくなります(年収800万円なら掛金24万円のうち所得税だけで約4.9万円、住民税と合わせて年約7.4万円弱の減税になります。詳しくは年収800万円の手取りの内訳も参照)。

ステップ3:両方の「実質的な手元増」を比べる

同じ月2万円を20年拠出(元本480万円)したとき、手元に残る額を比べます。

項目iDeCoつみたてNISA
自分が払った元本4,800,000円4,800,000円
うち「戻った税」で相殺される分▲970,000円0円
実質的な自己負担約3,830,000円4,800,000円
60歳時の受取額(非課税)7,335,000円7,335,000円
実質的な手元増約3,505,000円約2,535,000円

iDeCo は「戻った税金97万円」を実質負担から引けるため、同じ受取額でも手元増が約97万円大きくなります。言い換えれば、「同じだけ積んで同じだけ増やすなら、iDeCo のほうが97万円分お得」というのがこの比較の結論です。

注意点:つみたてNISA も「運用益に税金がかからない」という点では非課税で、受取額そのものは iDeCo と変わりません。勝敗を分けるのはあくまで「拠出時に税金が戻るかどうか」だけです。

ステップ4:つみたてNISA の本当の強みは「いつでも引出可」

iDeCo の約97万円の優位は、「60歳まで原則引出不可」という代償と引き換えです。比較表のもう一つの軸です。

項目iDeCoつみたてNISA
拠出時の所得控除あり(年約4.85万円節税)なし
運用益の課税非課税非課税
引出制限60歳まで原則不可いつでも可
拠出上限(会社員)月23,000円(年276,000円)月33,333円(年400,000円)
向いている資金60歳まで触らない老後資金使途自由・いつでも取り崩せる資金

つまり「60歳前に使うかもしれないお金」を iDeCo に入れると、緊急時に取り崩せず困ります。その分はつみたてNISA(または普通預金)に回し、「絶対に老後まで触らない」と決まっているぶんだけ iDeCo に入れるのが、失敗のない使い分けです。

ステップ5:結局どっちに積むべきか(判断フロー)

いずれの場合も、拠出原資は手取り(内訳の根拠は年収500万円の手取りを1円単位で分解した記事)の範囲内であることが先決です。無理のない額から始め、後で増額しても構いません。

よくある誤算3つ

  1. 「受取額が同じならどっちでも一緒」と考える:受取額は同じでも、iDeCo は拠出時に戻る税金(20年で約97万円)があるため、実質的な手元増は約97万円大きくなります。この差を見落とすと、節税の機会を逃します。
  2. 「iDeCo ならもっと積める」と上限を混同する:会社員の iDeCo 上限は月2.3万円(年27.6万円)で、つみたてNISA(月3.3万円・年40万円)より少ないです。より多く積みたいなら、iDeCo の上限を埋めたうえでつみたてNISA を足す必要があります。
  3. 「iDeCo はいつでも引き出せる」と思い込む:原則60歳まで引出不可で、やむを得ない事由以外の60歳前解約にはペナルティがあります。「いつか使うかも」という資金はつみたてNISA に回さないと、緊急時に行き詰まります。

関連ツール・記事で自分の数字を確かめる

それぞれの受取額は 複利積立シミュレーション で期間・利率を変えて試せます(入力はどこにも送信されません)。iDeCo の仕組み(拠出時節税・受取時優遇)の詳細は iDeCo で老後資金がいくら増えるかの記事、つみたてNISA の受取額は つみたてNISA の受取額を1円単位で計算した記事 にまとめています。世帯の手取りから無理のない拠出額を決めるなら 手取り計算ツール も併用してください。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は、年利4%固定・元利複利・会社員(独身・扶養なし)の所得税・住民税の速算表を前提とした概算モデルです。実際の iDeCo・つみたてNISA は運用商品の価格変動で受取額が保証されず、年利4%はあくまで想定(運用実績によりマイナスになることもあります)。節税額は加入者の健康保険・居住自治体・他の所得控除の有無、および「企業型確定拠出年金に加入しているか(拠出限度額が減る)」によって変動します。また60歳前の解約には原則ペナルティがあり、受取方法(一時金か年金か)で課税の計算式も変わります。正確な試算は 複利積立シミュレーション と、お近くの金融機関・国民年金基金連合会の公式シミュレーターでご確認ください。制度の詳細は国民年金基金連合会・金融庁・国税庁の公式情報が最終的な根拠になります。

自分の年収で iDeCo を拠出したときの手取り(節税後)は 手取り計算ツール で確認できます。目標の老後資金から逆算するなら 複利積立シミュレーション が使えます。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

よくある質問

iDeCo とつみたてNISA、結局どっちが得?

同じ金額(月2万円・20年・年利4%)で比べると、どちらも受取額は約733万円(うち運用差益約253万円)です。差は「拠出時に税金が戻るかどうか」で、iDeCoは掛金が所得から引かれるため年約4.85万円(20年累計約97万円)の税が安くなります。結果、実質的な手元増は iDeCo が約350万円、つみたてNISA が約253万円で、iDeCo が約97万円分有利になります。ただし iDeCo は60歳まで原則引出不可なので、60歳前に使う可能性があればつみたてNISA のほうが向いています。

両方やるならどっちを先に?

まず iDeCo で「拠出時の節税」を取り、余った資金でつみたてNISA、という順が一般的です。iDeCo の所得控除は「やらないと消える」期限のない優遇(年末に未拠出だとその分の控除は消滅)ですが、つみたてNISA の非課税期間は20年で区切られるため、両方の枠を意識して計画します。年収500万円なら iDeCo 月2.3万円(上限)+つみたてNISA を併用しても手取りの範囲内に収まりやすいです。

月2万円の他に、もっと積めますか?

会社員(企業型DC非加入)の拠出上限は iDeCo が月23,000円(年276,000円)、つみたてNISA が月33,333円(年400,000円)です。つまり iDeCo の上限一杯(月2.3万円)で比べると、つみたてNISA(月3.3万円)より積める額は少なくなります。上限だけで比べればつみたてNISA のほうが多く積めるぶん受取額も大きくなりますが、iDeCo には依然として「拠出時節税」という別のリターンがあります。

確実に節税できるのは本当ですか?

はい。iDeCo の掛金は給与所得から全額差し引かれる(所得控除)ため、年末調整・確定申告で課税所得が下がり、その分の所得税・住民税が安くなります。年収500万円・独身なら年約4.85万円、これは運用の成績に関係なく確実に手元に残る効果です。一方つみたてNISA に所得控除はありません。

60歳前に辞める・お金が必要になったら?

iDeCo は原則60歳まで引出不可で、やむを得ない事情(疾病・失業等のやむを得ない事由)以外の60歳前解約にはペナルティ(運用益に対する課税等)があります。つみたてNISA はいつでも引出可能。そのため「いつか使うかもしれない資金」はつみたてNISA か普通預金に、「絶対に老後まで触らない資金」を iDeCo に、と使い分けるのが定石です。

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