住宅ローンの繰上返済 vs 貯金・預金——金利差でどちらが得かを1円単位で比べる

2026-08-24 | 住宅ローン 繰り上げ返済 貯金 金利 手取り 比較

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「ボーナスが入った。住宅ローンの繰上返済に回すべきか、それとも貯金・預金にしておくべきか」——住宅ローンを抱える多くの人が一度は迷う場面です。ネットで「繰上返済 デメリット」を検索すると、「流動性がなくなる」「住宅ローン控除に影響する」といった指摘は出てきますが、「同じお金を預金した場合といくら差がつくのか」を、実際の計算式で1円単位に比べた記事は意外と少ないものです。

この記事では、会社員で住宅ローン(元利均等・固定金利型を想定)を返済中の方を対象に、①繰上返済の本質的効果 ②同じお金を預金した場合の利息 ③なぜ「金利差」が勝負を決めるのか ④具体数値例(残高2000万・金利1.5%・残期間20年・繰上200万)⑤「運用」なら話が変わる場合、を計算します。自分の数字を試したい場合は 住宅ローン計算ツール や 複利積立シミュレーション と合わせてご覧ください。

結論:勝負を決めるのは「ローン金利」と「安全資産の利回り」の差

選択肢得られるものリスク結論
繰上返済ローン金利分の利息を削減払った元本は戻らない預金金利<ローン金利なら有利
預金・貯金いつでも引き出せる(流動性)金利が低く利息はわずかローン金利<運用利回りなら不利
運用(株・投信)ローン金利を超えるリターンも元本割れのリスクありリスクを取れるなら有利な場合も

一言で言えば、「あなたが安全に得られる利回り(預金なら0.02%程度)が、住宅ローンの金利(1.5%程度)を下回るなら、繰上返済のほうが確実に得」 になります。逆に、ローン金利を上回る運用利回り(年3%など)を狙えるなら、運用のほうが勝つ可能性が高くなります。

ステップ1:繰上返済の効果=「減らせた利息」を計算する

繰上返済(期間短縮型)をすると、その分の元本が減り、その元本にかかるはずだった将来の利息が丸ごと減ります。元利均等の月返済額は次の式で求まります。

月返済額 = 残高 × 月利 × (1+月利)^残月数 ÷ {(1+月利)^残月数 − 1}

例えば残高2000万円、年1.5%(月利0.125%)、残期間240ヶ月なら、月返済額は 約96,494円、総支払は約2,316万円(うち利息は約316万円)です。

ステップ2:同じお金を預金した場合の利息を計算する

繰上返済に回す代わりに、同じ200万円を普通預金や定期預金(年0.02%程度)で20年置いた場合の利息はどうなるか。

預金利息 = 元本 × {(1+年利)^年数 − 1}

200万円 × {(1.0002)^20 − 1} ≒ 約8,000円。たったこれだけです。低金利の時代、預金で得られる利息は微々たるものです。

ステップ3:金利差が「2重」に効く理由

繰上返済の有利さは、単に「利息を減らす」だけではありません。「ローン利息の支出を減らす」+「預金利息の機会を諦める」 の差額、つまり 金利差(1.5% − 0.02% = 約1.48%)まるごと が実質的なリターンになります。

だから比較すべきは「ローン金利」と「あなたが安全に得られる利回り」の差。この差が正なら繰上返済有利、負なら運用有利、というのがこの記事の中心的なルールです。

ステップ4:数値例——残高2000万・金利1.5%・残期間20年で繰上200万

項目繰上返済なし繰上返済200万(期間短縮)差
月返済額約96,494円約96,494円(同じ)—
残期間240ヶ月(20年)約212ヶ月(約17.7年)−28ヶ月
総支払額約2,316万円約2,246万円−約70万円

繰上返済200万円で、総支払が 約70万円減ります。これが「利息削減効果」の正体です。一方、同じ200万円を預金しても利息は約8,000円。差は約69万円と、繰上返済の圧勝です。

※数値は元利均等・固定金利・期首一括の期間短縮型で概算。変動金利や月額を減らす型(月額一定型)では額が変わります。正確な額は各金融機関の試算や 住宅ローン計算ツール でご確認ください。

ステップ5:「運用」なら話が変わる

同じ200万円を、年3%で20年運用できたとします(元本割れリスクは別として)。

運用利益 = 200万円 × {(1.03)^20 − 1} ≒ 約161万円

この場合、運用の利益(約161万円)が繰上返済の利息削減(約70万円)を上回ります。「ローン金利(1.5%)<運用利回り(3%)」なら、原則として運用のほうが得 になるわけです。ただし運用には元本割れリスクがあり、「確実な利息削減」と「不確実な運用リターン」のトレードオフです。

注意点:得以外の要因も決め手になる

関連ツール・記事で自分の数字を確かめる

毎月の返済内訳は 住宅ローン計算ツール、繰上返済の効果は 繰上返済の効果を計算した記事、元利均等の内訳は 「最初は利息ばかり」を分解した記事、住宅ローン控除は 控除額の計算記事、預金の利息は 銀行預金の利息の記事、インフレを差し引いた実質金利は 実質金利の記事、複利の目安は 72の法則の記事、手取りへの影響は 手取り計算ツール が使えます。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は制度の仕組みと概算を示すものです。金利・期間・返済方法(元利均等/元金均等、期間短縮型/月額減型)や、住宅ローン控除の適用状況によって結果は大きく変わります。また投資には元本割れリスクがあり、過去の利回りは将来を保証しません。正確な試算は各金融機関・税理士等へご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の金融・税務相談に代わるものではありません。

よくある質問

繰上返しと貯金、結局どっちが得?

あなたが安全に得られる利回り(預金なら年0.02%程度)が、住宅ローン金利(年1.5%程度)を下回るなら、繰上返済のほうが確実に得です。逆に、ローン金利を上回る運用利回り(年3%など)を狙えるなら、運用のほうが勝つ可能性が高くなります。比較の基準は「ローン金利」と「安全資産の利回り」の差です。

繰上返済の一番のデメリットは?

一度払った元本は戻ってこない点(流動性の喪失)です。急な出費や収入減に備える予備費を圧迫しないよう、手元に3〜6ヶ月分の生活費を残してから、余った資金で繰り上げるのが定石です。

住宅ローン控除を受けているときは注意が必要?

はい。控除期間中は年末残高×1%が戻るため、繰上返済で残高を減らしすぎると控除額も減ります。「控除で戻る額」が「繰上返済で減る利息」を上回るうちは、控除終了まで繰上返済を待ったほうが得な場合があります。

一部繰上と全額繰上、どちらがいい?

一部でも利息は減ります。まとまった資金をすべて突っ込むより、予備費を残したうえで「期間短縮型」の一部繰上を行うのが、流動性と利息削減のバランスが良い定石です。

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