複利の計算式(元本×(1+利回り)^年数)の意味と「72の法則」で資産が2倍になる年数を出す
「複利ってすごいらしい」とは聞くけれど、いざ「計算式を書け」と言われると、「元本×(1+r)^n みたいな…?」で止まる人は多いのではないでしょうか。この記事では、定番の形 元本 × (1 + 利回り)年数 が「なぜそうなるか」を1から説明します。あわせて、電卓を叩かずに「いつ資産が2倍になるか」が分かる72の法則と、利回りごとの倍増年数の具体表もまとめます。
自分の数字で即座に試したい場合は複利積立シミュレーションツールに金額と利回りを入れれば、同じロジックで毎月積み立ての将来額が出ます。また100万円一括の複利や毎月3万円を20年積み立てた場合の具体例記事もあわせてどうぞ。
結論:複利の計算式と、利回りごとの「倍増年数」
最も基本の複利計算式は次のとおりです。
将来額 = 元本 × (1 + 年利回り)年数
そして、利回りごとに「元本が2倍になる年数」は次の表のようになります(後述の72の法則による概算と、実際のべき乗計算の両方)。
| 年利回り | 2倍になる年数(72の法則) | 2倍になる年数(正確計算) | 20年後の元本倍率 |
|---|---|---|---|
| 1% | 72年 | 約70年 | 約1.22倍 |
| 3% | 24年 | 約23.4年 | 約1.81倍 |
| 5% | 14.4年 | 約14.2年 | 約2.65倍 |
| 7% | 約10.3年 | 約10.2年 | 約3.87倍 |
ポイントは「利回りが2倍になっても、倍増年数は半分にはならない」こと。1%→2倍は72年ですが、7%なら約10年と、利回りの効き方が非線形(べき乗)であることが表から読み取れます。
ステップ1:(1 + 利回り) は「1年後に元本が何倍になるか」
式の中心にある (1 + 利回り) は、1年経過時点で元本が何倍になっているかを示します。
- 年利3%なら 1 + 0.03 = 1.03。つまり1年後は元本の1.03倍。
- 年利5%なら 1 + 0.05 = 1.05。1年後は元本の1.05倍。
「利回りを小数(3%なら0.03)で書く」のがミソです。パーセントのまま 1+3 = 4 としてしまうと桁違いの間違いになるので注意が必要です。
ステップ2:べき乗(^年数)は「その倍率が何年続くか」
次に 年数 です。これは「(1+利回り) という倍率を、年数分だけ掛け合わせる」ことを意味します。
3年なら 1.03 × 1.03 × 1.03 = 1.033 ≒ 1.0927
つまり年利3%で3年なら、元本は約1.093倍(約9.3%増)になります。年数が増えるほど掛け合わせの回数が増え、増え方が加速していくのが「複利の力」の正体です。
ステップ3:元本を掛けて「絶対額」にする
最後に元本を掛けます。これで「倍率」が「実際の金額」になります。
100万円を年利3%で10年 → 1,000,000 × 1.0310 ≒ 1,000,000 × 1.3439 = 約1,343,900円
10年で約34万円増えます。この「1.03の10乗」の部分こそが、単利(100万×3%×10=30万増)とのわずかな差、つまり利息にさらに利息が付いた分です。年数が長いほどこの差はじわじわ開いていきます(詳細は100万円一括運用の単利との差を参照)。
単利との違い:なぜ複利は「雪だるま」と呼ばれるか
単利は「元本にだけ」利子が付き、利息には利息が付きません。複利は「元本+これまでの利息」すべてに利子が付きます。同じ年利3%でも、年数が長いほど差が開きます。
| 経過年数 | 単利(元本100万・3%) | 複利(元本100万・3%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 130万円 | 約134.4万円 | 約4.4万円 |
| 20年 | 160万円 | 約180.6万円 | 約20.6万円 |
| 30年 | 190万円 | 約242.7万円 | 約52.7万円 |
| 40年 | 220万円 | 約326.2万円 | 約106.2万円 |
20年までは「へえ、少し増えるね」程度ですが、40年で単利の1.5倍弱の差がつきます。これが「時間を味方につける」と言われる理由です。毎月3万円を20年積み立てた場合も、同じ複利の枠組みで将来額が膨らみます。
72の法則:電卓なしで「2倍になる年数」を見積もる
べき乗を計算するまでもなく、「元本が2倍になる年数」を手軽に見積もる経験則が72の法則です。
倍増年数 ≈ 72 ÷ 年利回り(%)
仕組みは対数近似(ln(2)≒0.693 を100倍して72に丸めたもの)です。実用的には次のように使います。
| 年利回り | 72の法則 | 実際の2倍年数 |
|---|---|---|
| 1% | 72年 | 約70年 |
| 2% | 36年 | 約35年 |
| 3% | 24年 | 約23.4年 |
| 4% | 18年 | 約17.7年 |
| 6% | 12年 | 約11.9年 |
| 8% | 9年 | 約9.0年 |
利回りが低いほど(1%〜3%)実際の値との誤差が少し大きくなりますが、「ざっくり何年で倍になるか」を掴むには十分です。利回り1%台の普通預金では「72年でやっと2倍」なのに対し、物価上昇(インフレ)を考えると実質的には目減りしている点に注意が必要です(預金の税金については銀行預金の利息にかかる20.315%の税も参照)。
応用:3倍・4倍は「114の法則」「144の法則」
72の法則の仲間として、倍率ごとに「割る数」が決まっています。
- 2倍 → 72 ÷ 利回り%
- 3倍 → 約114 ÷ 利回り%(ln(3)≒1.0986 の近似)
- 4倍 → 約144 ÷ 利回り%(ln(4)≒1.386 の近似)
年利3%なら、2倍は24年、3倍は約38年、4倍は約48年。これらも正確にはべき乗計算(例:3倍なら 1.03n=3 → n≒37.2年)で確かめられますが、目安として非常に便利です。
注意点:ここを飛ばすと誤解する
- 利回りは「税引き後・手数料引き後」で考える。株式や投信には売却時に約20.315%の税(譲渡益税)、運用には信託報酬などの手数料がかかります。表示利回りからこれらを差し引いた「手取り利回り」で72の法則を当てはめないと、実感より遅くなります。
- インフレを忘れない。名目で2倍になっても、物価が上がっていれば「実質の購買力」はそれより低くなります。実質利回り(名目-インフレ率)で考えるのが正確です。
- 元本割れリスクがある。複利の計算式は「利回りがプラスで安定」が前提です。値動きのある投資では、年度によってマイナスもあり得ます。毎月積み立てれば平均化(ドルコスト平均法)の効果も出ますが、元本保証はありません。
- 毎月積み立ては「年金現価」の形になる。本記事の「一括元本×べき乗」は一括投資の話です。毎月給料から積む場合は、各回の出金に異なる年数分のべき乗が掛かる形になります(複利積立シミュレーションツールで即出し可能)。
- 期間が鍵。複利の効果は「利回り」より「年数」に強く依存します。少額でも早く始める方が、後から高い利回りを追うより結果として有利なことが多いです。
他のツール・記事とのつながり
この「元本×(1+r)^n」の枠組みは、実は家計のあちこちに現れます。
- つみたてNISA:20年非課税で複利が効くため、年収500万円の資産がいくら増えるかを試せます。
- iDeCo:拠出時の節税+運用益非課税+受取時優遇が重なり、老後資金が複利でいくら増えるかを計算できます。
- 住宅ローン:返済も「残高×(1+月利)^月数」の複利です。違いは資産が増えるのではなく減る点で、なぜ最初は利息ばかりになるかを読むと対になる理解が得られます。
- リボ払い:分割の手数料も複利で膨らむため、リボ払いがいくら損するかと合わせると「複利は味方にも敵にもなる」が実感できます。
注意点:本記事の数値は、年利回りを一定・税・手数料を無視した単純化モデルです。実際の運用成果は市場の値動きで変動し、元本割れの恐れもあります。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事は情報提供を目的とし、個別の投資助言に代わるものではありません。
よくある質問
複利の計算式はどう書きますか?
最も基本の形は「元本 × (1 + 年利回り)^年数」です。^ はべき乗(その数を年数分掛け合わせる)を意味し、利回りは「0.03」のように小数で書きます。年利3%で10年なら 元本 × (1.03)^10 ≒ 元本 × 1.344 となり、約34%増えます。毎月積み立てる場合はこれに「年金現価係数」が掛かる形になります。
複利と単利の違いは何ですか?
単利は「元本」にだけ利子が付く(利息に利息は付かない)のに対し、複利は「元本+これまでの利息」のすべてに利息が付きます。年数が長いほど差が開き、年利3%・20年で単利は1.6倍ですが複利は約1.81倍、40年で単利2.2倍に対し複利は約3.26倍になります。
72の法則とは何ですか?
「72 ÷ 年利回り(%)」で、元本が2倍になるおおよその年数が出せる経験則です。年利3%なら 72÷3=24年、年利6%なら12年で資産が2倍になります。正確なべき乗計算をするまでもなく、「いつ倍になるか」を手軽に見積もるのに便利です。
72の法則で3倍・4倍の年数は出せますか?
2倍は72の法則、3倍は約114の法則(114÷利回り%)、4倍は約144の法則(144÷利回り%)で近似できます。年利3%なら2倍24年・3倍38年・4倍48年、といった具合です。正確にはべき乗で求めるのが確実ですが、目安として十分使えます。
複利は住宅ローンではどう効きますか?
住宅ローンの「元利均等返済」も複利の仕組みです。借入残高に毎月の金利が乗り、それを返済額で払っていくため、返済初期は「利息ばかり」になります。運用の複利(資産が増える)とは逆向きの現象ですが、数学的には同じ (1+利回り)^n の枠組みです。