株式を売って得た利益(譲渡益)にかかる税金は20.315%。100万円儲けて手元に残るのは79.7万円? 税引き後受取額を1円単位で計算する
「株式を売って100万円儲かった!と思ったら、口座に入ってきたのは79万円ちょっと……あれ、残りはどこいった?」——初めて株式や投資信託を売って利益(譲渡益)を出したとき、手元に残る額と「儲かった額」のズレに気づく人は多いはずです。ネットで検索すると「譲渡益には20.315%の税金がかかる」という記述は出てきますが、「その20.315%って何の割合で、実際に手元にいくら残るのか」を、1円単位の計算式と具体数値で追っている記事は意外と少ないものです。
この記事では、もっとも典型的な利益100万円を例に、税金の内訳(なぜ20.315%か)→ 税引き後受取額の計算式 → 利益・金額別の具体数値 → 長期・大口の場合と非課税口座(NISA)との税コスト差を、すべて実数で確認します。自分の利益額で即座に試したい場合は 複利積立シミュレーション で税込・税引き後の額を比べられます(入力はどこにも送信されません)。
結論:譲渡益の20.315%が引かれ、手元に残るのは79.685%。利益100万円なら受取は79万6,850円
株式・投資信託の売却で得た利益(譲渡所得)には、一律20.315%の申告分離課税がかかります。つまり出た利益のうち、約2割強が税金で引かれ、79.685%(=0.79685)だけが手元に残ります。
| 売却で得た利益 | 税金(20.315%) | 税引き後受取額 |
|---|---|---|
| 10万円 | 2,031円 | 7,969円 |
| 50万円 | 10,157円 | 39,843円 |
| 100万円 | 20,315円 | 79,685円 |
| 500万円 | 101,575円 | 3,984,425円 |
ポイントは、「儲けた額の約2割が税金で消える」という点です。利益100万円出しても、税込で引かれるのは20万3,150円。手元に残るのは79万6,850円だけです。「100万円儲かった!」と思っても、実質でもらえるのはその約8割です。順に計算します。
ステップ1:なぜ「20.315%」なのか(税率の内訳)
株式等の譲渡所得にかかる税金は、大きく2つから成り立っています。
| 税の種類 | 税率 | 補足 |
|---|---|---|
| 所得税(国税) | 15.315% | 所得税15% + 復興特別所得税(所得税額の2.1%)= 15%×1.021 ≒ 15.315% |
| 住民税(地方税) | 5% | 道府県民税(1.4%)+ 市町村民税(3.6%)の合算 |
| 合計 | 20.315% | 15.315% + 5% = 20.315% |
よくある誤解:「復興特別所得税は2037年までの時限措置で、今は15%で止まっているはず」という声を聞きます。これは「東日本大震災からの復興」を名目に、国税分の所得税(15%)に対して2.1%の上乗せ(=0.315%)をしていた期間の話です。その特例(国税分を15.315%に軽減)は2023年末で終了し、2024年以降は本来の20.315%(国税15.315%+地方5%)に戻っています。したがって、今の譲渡益に反映される税率は20.315%です(銀行預金の利息も同じ20.315%。預金利息の税金の記事も参照)。
総税率 = 所得税15% × (1 + 復興特別所得税2.1%) + 住民税5% = 15.315% + 5% = 20.315%
ステップ2:税引き後受取額の計算式
「利益(譲渡所得の金額)」から税金を引くだけです。計算式は次のとおりです。
税金 = 利益 × 0.20315
税引き後受取額 = 利益 × 0.79685
(または)税引き後受取額 = 利益 − 税金
例:株式を売って利益100万円出たとします。税金は 1,000,000 × 0.20315 = 203,150円。受取額は 1,000,000 − 203,150 = 796,850円 になります。あるいは 1,000,000 × 0.79685 = 796,850円 と直接出しても同じです。
ここが引っかかりやすいポイント:税金の「203,150円」のように1円未満が出た場合、証券会社は円未満を切り捨てて徴収します(受取側には1円未満の端数はつきません)。そのため、表の金額は「理論値を四捨五入・切り捨てした実務的な円単位」に近い値になります。なお、「利益」は(売却代金 - 取得費 - 譲渡費用)で求まり、取得費には買値だけでなく買付手数料等も含まれます。
ステップ3:利益・金額別の具体数値を確認する
同じ税率20.315%なら、利益が10倍になれば税金も10倍になります。小さな利益なら「数万円の税金」で済みますが、まとまった利益になると「数十万円」が一気に引かれます。
| 売却で得た利益 | 税金 | 受取(手元残) | 税金の割合 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 2,031円 | 7,969円 | 20.315% |
| 50万円 | 10,157円 | 39,843円 | 20.315% |
| 100万円 | 20,315円 | 796,850円 | 20.315% |
| 300万円 | 60,945円 | 2,390,355円 | 20.315% |
| 500万円 | 101,575円 | 3,984,425円 | 20.315% |
どの行も税金の割合はきっちり20.315%で一定です。「利益が小さいから税金も免除される」わけではありません。ただ、利益10万円なら税金は2,031円。この規模なら「非課税口座に移すほどか」は、手間とメリットを比べて判断するレベルです(もっと大口や、長期で複利が効く場合は後述の通り差が開きます)。
ステップ4:長期・大口の場合——非課税口座(NISA)との税コスト差
課税口座(特定口座など)で運用し、売却時に利益が出ると、そのつど20.315%が引かれます。元本100万円を年5%で10年複利運用し、その後売却して約62.9万円の利益が出たとします。
| ケース | 譲渡益(税込) | 支払った税金 | 手元に増えた額(税引き後) |
|---|---|---|---|
| 課税口座(特定口座等) | 約628,895円 | 約127,760円 | 約501,135円 |
| 非課税口座(NISA枠) | 約628,895円 | 0円 | 約628,895円 |
| 非課税との差(=払った税金分) | — | — | 約127,760円 |
年5%という穏やかな利回りでも、10年で税コストは約12.8万円です。しかし元本が大きい・期間が長い・利回りが高いほど、この差は雪だるま式に広がります。だからこそ、まとまった資金を長期で運用するなら「課税口座」ではなく「NISA等の非課税口座」を使うのが、税引き後受取額を最大化する鉄則です。NISAの資産成長シミュレーションは つみたてNISAの資産額を計算する記事、毎月の積立の成長は 毎月3万円を20年積み立てる記事、複利と単利の根本の違いは 単利と複利の計算記事 も併せてどうぞ。
ステップ5:よくある誤算3つ
- 「儲けた額がそのまま手元に入る」と思う:譲渡益には一律20.315%が適用されます。利益100万円なら約20万円が税金に消え、手元は約80万円です。売却代金全体ではなく「利益(売値-買値-手数料)」に対してかかる点に注意します。
- 「復興特別所得税の特例がまだ続いている」と思う:国税分を15.315%に軽減していた時限措置は2023年末で終了し、2024年以降は20.315%に戻っています。古い記事の「15.315%」は現在は当てはまりません。
- 「損をしたのに税金を取られる」と焦る:税金が引かれるのは利益が出た(黒字)場合だけです。損失の年は譲渡損失を他の株式利益と相殺でき、残った損失は最長3年繰り越せます(確定申告が必要)。赤字のままなら追徴の税金はかかりません。
関連ツール・記事で全体を確かめる
自分の利益額で税引き後受取額を確認するなら 複利積立シミュレーション へ(金利と期間を入れるだけで、課税・非課税の違いも比べられます)。譲渡益税と同じ20.315%がかかる銀行預金の利息は 銀行預金の利息にかかる税金の記事、非課税のNISA資産シミュレーションは つみたてNISAの資産額計算、積立の成長は 毎月3万円20年積立の記事、複利の仕組みは 単利と複利の計算記事 が根拠になります。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は、上場株式等の譲渡所得を前提とした概算モデルです。実際の税額は、取得費の算定方法(総平均法・移動平均法・個別法)、譲渡費用(手数料等)、特定口座の「源泉徴収あり/なし」の選択、そして確定申告での損益通算・繰越控除の有無によって変動します。また非上場株式や先物・FX等は別の課税区分(例:先物は約20.315%の申告分離、FXは約20.315%の源泉分離等)で取り扱いが異なります。正確な金額は証券会社の取引報告書・年間取引報告書および 住民税の計算方法 等の公式情報、必要に応じて税理士等の専門家にご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務相談や投資助言に代わるものではありません。
よくある質問
株式の売却益にかかる税金の税率は何%ですか?
原則20.315%です。内訳は所得税15.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%)と住民税5%(道府県民税・市町村民税の合算)の合計です。これは「申告分離課税」といって、給与などの税率とは関係なく、利益に対して一律で引かれます。
利益100万円で手元に残るのはいくらですか?
約79.7万円です。100万円×20.315%=20万3,150円が税金に消え、残り100万円-20万3,150円=79万6,850円が手元に残ります。つまり「儲けた額の約8割」が受け取れる計算です。
税金はいつ・どこで引かれますか?
証券会社が売却代金から自動的に源泉徴収してくれます(特定口座の場合)。確定申告は、上場株式等の譲渡損失と他の年の利益を損益通算したり、繰越控除を使ったりする場合などに行います。そのまま放置しても税務上の義務は果たされます(申告不要を選んだ場合)。
NISA口座なら税金はかからないのですか?
はい、NISA(つみたてNISA・一般NISA)の非課税枠内で売却した場合、譲渡益に税金はかかりません。同じ利益100万円なら、課税口座では20.3万円引かれますが、NISAなら100万円まるごと手元に残ります。長期・大口になるほどこの差は大きくなります。
損をした場合はどうなりますか?
譲渡損失は、同じ年の他の株式譲渡益と相殺(損益通算)でき、さらになお残った損失は最長3年間繰り越して将来の利益と相殺できます(確定申告が必要)。税金が引かれるのは「黒字(利益)」が出た分だけです。