iDeCo(イデコ)で年収500万円の老後資金はいくら増える? 拠出時節税→運用益非課税→受取時優遇を1円単位で計算する

2026-08-16 | iDeCo 老後資金 税金 貯金 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「iDeCo(イデコ)って、本当に老後資金が増えるの? それともただ掛金を預けるだけ?」——年収500万円の会社員が、「将来のために少しずつお金を増やしたい」と考えたとき、つみたてNISAと並んで必ずぶつかるのがこの制度です。ネットで調べると「節税できる」「老後資金に」という言葉はすぐ出てきますが、年収500万円の人が実際に月2万円を20年続けたとき、受取額はいくらになり、そのうち税金がかからない分はいくらか、拠出時の節税額は年いくらかが、具体例つきで書かれている記事は意外と少ないものです。

この記事では、もっとも典型的な年収500万円・会社員(独身・扶養なし)が月2万円(年24万円)・20年・年利4%で運用する場合を例に、受取額の計算 → 拠出時の所得控除(節税)の計算 → 受取時の退職所得優遇 → つみたてNISAとの違いを、実際の計算式と数値で順に追います。自分の金額で試したい場合は複利積立シミュレーション(非課税・運用益を想定)に数字を入れれば、同じロジックで即座に出ます(入力はどこにも送信されません)。

結論:月2万円・20年・年利4%なら受取額は約733万円(うち非課税の運用差益約253万円)

項目金額備考
毎月の拠出額20,000円/月年額 240,000円
拠出期間20年60歳まで原則継続
元本合計4,800,000円24万円 × 20年
想定年利4%(長期・バランス型の目安)変動し、保証されません
受取額(運用益非課税)約7,335,000円運用差益 約253万円も非課税
拠出時の節税(年間)約48,500円/年20年で累計約97万円の税負担減

銀行預金なら20年で元本480万円のまま(利息は数千円程度)ですが、iDeCoなら約733万円になり、その差の約253万円が非課税で手元に残ります。さらにiDeCoにはつみたてNISAにない「拠出するたびに税金が安くなる」仕組みがあり、年間約4.85万円、20年で累計約97万円の税負担が減ります。ここから、この数字がどう生まれるかを順に計算します。

ステップ1:受取額の計算式(つみたてNISAと同じ複利)

iDeCoの運用部分は、毎月の拠出が複利で運用される点ではつみたてNISAと同じです。将来額は「普通年金終価の公式」で求められます。

受取額 = 毎月額 × { (1 + 月利 r)^月数 n − 1 } ÷ 月利 r

ただし 月利 r = 年利 ÷ 12、月数 n = 拠出年数 × 12 です。月2万円を年利4%(月利 0.04÷12 ≒ 0.003333)で20年(240ヶ月)なら、

20,000 × { (1 + 0.003333)^240 − 1 } ÷ 0.003333 ≒ 7,335,493円

よって受取額は 約733万円。元本480万円に対して 約253万円の運用差益が乗っています。運用期間を変えると次のようになります(いずれも月2万円・年利4%想定)。

期間元本受取額運用差益
10年240万円約294万円約54万円
20年480万円約733万円約253万円
30年720万円約1,382万円約662万円

長く積むほど複利の効果が開くため、20年の節目で受け取るか、そのまま運用を続けるかを選べます。この運用差益に税金がかからない(非課税)のがiDeCoの基本です。

ステップ2:拠出時の所得控除で年約4.85万円節税(つみたてNISAにはない仕組み)

iDeCo最大の特徴は、ここからです。掛金(月2万円=年24万円)は給与所得から全額差し引かれ、その分だけ課税所得が下がります。年収500万円・独身・会社員の場合を追います。

給与所得 = 5,000,000 − 給与所得控除 1,525,000 = 3,475,000円
(給与所得控除は収入×20%+525,000円、詳しくは給与所得控除の早見表と計算式へ)

ここから社会保険料(約14.5%=約72.5万円)と基礎控除48万円を引くのが所得税の課税所得です。iDeCoを拠出すると、さらに掛金24万円が控除に加わります。

項目iDeCoなしiDeCo拠出後差
課税所得(所得税ベース)約227.0万円約203.0万円▲24万円

所得税(復興特別所得税2.1%込み)は、課税所得195万円超が税率10%の区分なので、

iDeCoなし:2,270,000 × 10% − 97,500 = 129,500円 → ×1.021 ≒ 132,219円
iDeCo後:2,030,000 × 10% − 97,500 = 105,500円 → ×1.021 ≒ 107,715円
差 = 約24,504円/年の減税

住民税(基礎控除43万円・所得割10%)でも同様に、

iDeCoなし:2,270,000 × 10% + 5,000 = 232,000円
iDeCo後:2,030,000 × 10% + 5,000 = 208,000円
差 = 24,000円/年の減税

合わせて年間約48,500円の税負担が減ります。20年続けると累計約97万円——これは単なる「運用益」ではなく、確実に手元に残る節税効果です。年収が高いほど税率が上がるため、節税効果はさらに大きくなります(年収800万円なら掛金24万円のうち所得税だけで約5.6万円、住民税と合わせて年約7万円弱の減税になります。年収800万円の手取りの内訳も参照)。

注意点:この節税は「掛金を拠出した年」に発生します。つまり手取りから2万円を引くとき、約4,850円分は国から戻ってくる(税が安くなる)イメージで、実質的な負担は月約1.5万円になります。

ステップ3:受取時の「退職所得優遇」で実質ほぼ非課税

iDeCoの受取(老齢給付金)は、普通の投資のように「20%の税金」がかかるわけではありません。公的年金等控除という仕組みで、次のように計算されます。

① 受取額を 2 で割る(二分の一)
② そこから「退職所得控除」を引く → 残りが退職所得として課税

退職所得控除は 40万円 + 70万円 × 拠出年数 です。20年拠出なら 40万 + 70万×19 = 1,370万円 にもなります。

上の例(受取額約733万円)で計算すると、

733.5万 ÷ 2 = 366.8万円
366.8万 − 1,370万(控除額)= マイナス → 課税される退職所得は 0円

つまり受取時も税金はかからず、運用益が丸ごと非課税で手元に残ります。これが「拠出時節税 + 運用益非課税 + 受取時優遇」というiDeCoの3段構えです。なお控除額1,370万円を超える大きな受取額になった場合のみ、超えた分に約5%〜の税がかかります(それでも通常の約20%より圧倒的に軽い)。

つみたてNISAとの違いをまとめる

項目iDeCoつみたてNISA
拠出時の所得控除あり(年約4.9万円節税)なし
運用益の課税非課税非課税
受取時の課税退職所得として優遇(実質非課税)非課税
引出制限60歳まで原則不可いつでも可
拠出上限(会社員)月23,000円月33,333円(年40万円)
向いている人老後資金の積立・節税重視使途自由・柔軟性重視

結論として、まずはiDeCoで拠出時節税を取り、余力でつみたてNISAという順が一般的です。年収500万円で両方やるなら、iDeCo月2万円(年24万・節税約4.9万)+つみたてNISA月1万円(年12万)で、年36万円を非課税で積み立てられます。つみたてNISAの受取額を1円単位で計算した記事と合わせて読むと、全体像が見えます。

これで老後資金は足りるか(目安)

老後資金の目安としてよく言われるのは「夫婦で月約25〜30万円の生活費のうち、公的年金で賄えない分を、iDeCo等で準備する」です。公的年金だけでは月約10〜15万円程度足りないと想定される場合、その差額(月約15万円×30年=5,400万円)が必要額の目安になります。iDeCoで月2万円・20年・年利4%なら約733万円ですから、長く・多く拠出するほど(上限いっぱいの月2.3万円で30年・年利4%なら約2,000万円超)老後資金の柱になります。目標額と自身の拠出額から逆算したい場合は 複利積立シミュレーション で期間と利率を変えて確認できます。

よくある誤算3つ

  1. 「掛金24万円=その分損」と考える:拠出時の節税で約4.9万円が戻り(実質負担は年約19万円)、さらに運用益が非課税で積もるため、手元に残る額は単なる預金より大きくなります。
  2. 「60歳まで一切引き出せないから危険」と恐れる:確かに原則60歳まで引出不可ですが、それは「老後資金を勝手に取り崩さない」ための仕組みです。使途を分けたいなら、流動性が必要な分はつみたてNISAや普通預金に回します。
  3. 「運用益は20%取られる」と思い込む:iDeCoは運用益も受取時も非課税(優遇)です。課税口座で同じ運用をした場合にかかる約20%の税を、丸ごと回避できるのが最大の価値です。

注意事項

本記事の数値は、年利4%固定・元利複利・会社員(独身・扶養なし)の所得税・住民税の速算表を前提とした概算モデルです。実際のiDeCoは運用商品の価格変動で受取額が保証されず、年利4%はあくまで想定です(運用実績によりマイナスになることもあります)。節税額は加入者の健康保険・居住自治体・他の所得控除の有無、そして「企業型確定拠出年金に加入しているか(拠出限度額が減る)」によって変動します。また60歳前の解約には原則ペナルティがあり、受取方法(一時金か年金か)で課税の計算式も変わります。正確な試算は 複利積立シミュレーション と、お近くの金融機関・国民年金基金連合会の公式シミュレーターでご確認ください。制度の詳細は国民年金基金連合会・国税庁の公式情報が最終的な根拠になります。

自分の年収でiDeCoを拠出したときの手取り(節税後)は 手取り計算ツール で確認できます(手取りの内訳の根拠は年収500万円の手取りを1円単位まで分解した記事)。目標の老後資金から逆算するなら 複利積立シミュレーション が使えます。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

よくある質問

iDeCoの受取額はどうやって計算しますか?

毎月の拠出額を普通年金終価の公式で複利運用した額になります。例えば月2万円を年利4%で20年積み立てると、元本480万円に対して受取額は約733万円になり、その差額の約253万円が運用差益です。積立投資(つみたてNISA等)と同じ複利の仕組みですが、iDeCoはこの差益に税金がかからない(非課税)だけでなく、掛金自体が所得から引かれる(拠出時節税)のが最大の特徴です。自分の金額は複利積立シミュレーション(非課税を想定)で試せます。

iDeCoとつみたてNISAの違いは?

最大の違いは「拠出時の所得控除」の有無です。iDeCoは掛金(月2万円なら年24万円)が給与所得から全額差し引かれ、所得税・住民税がその分安くなります(年収500万円なら年約4.9万円の節税)。つみたてNISAにその仕組みはありません。一方でiDeCoは60歳まで原則引出不可ですが、つみたてNISAはいつでも引出可能。老後資金の積立なら拠出時節税のあるiDeCoを先に、余力でつみたてNISA、という順が一般的です。

拠出時の節税額はどうやって出る?

掛金を所得控除として引いたぶん、課税所得が下がり、そこに税率(所得税+復興税、および住民税10%)を掛けた額が減税額になります。年収500万円・独身・会社員が年24万円を拠出すると、課税所得が約227万円から約203万円に下がり、所得税が約13.2万円→約10.8万円、住民税が約23.2万円→約20.8万円になり、合計で年約4.85万円の税負担が減ります。

受け取るときの税金はどうなる?

iDeCoの受取(老齢給付金)は「公的年金等控除」の仕組みで、二分の一にした額からさらに退職所得控除(40万円+70万円×拠出年数)を引いたものが退職所得として課税されます。20年拠出なら控除額は1,370万円になるため、受取額733万円程度なら課税される退職所得は0円(非課税)になります。つまり「運用益非課税」に加えて「受取時も実質ほぼ非課税」という3段構えの優遇があります。

どれくらい拠出できる?

会社員(企業型確定拠出年金に加入していない人)は月23,000円(年276,000円)、自営業・フリーランスは月68,000円(年816,000円)が上限です。パート等で厚生年金に加入していない人は、国民年金基金連合会の運用で月23,000円まで拠出できます。

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