公的年金を受け取るときの税金はいくら? 年金収入控除の計算式(令和6年改正)と、年金額別の所得税・住民税を1円単位で計算

2026-08-27 | 公的年金 年金所得控除 所得税 住民税 年金 税金 老後 年金生活 計算 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「年金生活になったけど、年金に税金ってかかるの?」「可処分所得が減るから、年金の税金はできるだけ正確に知りたい」——公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金など)を受け取る側にとって、「年金収入控除」という仕組みがあるおかげで、多くの人は思っているよりずっと税金が安く済みます。しかしネットで「年金 税金」と検索しても、「なぜ年金は給与より控除が大きいのか」「年金額ごとに所得税・住民税がいくらかかるのか」を、計算式の根拠つきで1円単位に追ったページは意外と少ないものです。

この記事では、令和6年(2024年)分以降の現行制度に基づき、①年金収入控除の計算式(所得税と住民税で率が違う)、②年金額別の「かかる税額」早見表、③年金400万円の場合を1円単位で分解、④年金の上にパート収入を足したときの「壁」、を整理します。すべて計算はブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

📌 結論ファースト:年金収入が約330万円以下なら所得税は0円(年金所得控除で所得が消えるため)。年金収入400万円なら所得税約132,220円+住民税約235,750円=年間約367,970円。年金収入600万円なら所得税約333,356円+住民税約385,750円=年間約719,106円です。給与と違い、年金は「収入−控除」ではなく「収入のうち控除されない分だけが所得になる」ため、手取り(受取額)から引かれる税金の割合は低く抑えられます。

ステップ1:年金収入控除とは何か(給与所得控除との決定的な違い)

給与なら「収入 − 給与所得控除 = 給与所得」ですが、公的年金は「収入 − 年金収入控除 = 年金所得」になります。名前こそ似ていますが、年金収入控除のほうが控除額が大きく設定されています。理由は「年金はすでに老後資金として蓄えたものの取り崩しであり、生活費の原資そのものだから」という立法政策上の考え方です。

控除額は、年金収入の金額帯(区分)によって決まる「速算式」になっています。注意すべきは「所得税の控除」と「住民税の控除」で式が少し違うことです。

年金収入(年額)年金所得控除額(所得税)計算後の「年金所得(国)」
330万円以下年金収入と同額0円(所得が消える)
330万円超 〜 700万円以下年金収入 × 25% + 25万円年金収入 × 75% − 25万円
700万円超 〜 1000万円以下年金収入 × 15% + 95万円年金収入 × 85% − 95万円
1000万円超年金収入 × 10% + 145万円年金収入 × 90% − 145万円

住民税(所得割)の控除は、下表のように定数(+26.25万円など)がわずかに大きくなります。

年金収入(年額)年金所得控除額(住民税)計算後の「年金所得(地)」
350万円以下年金収入と同額0円(所得が消える)
350万円超 〜 700万円以下年金収入 × 25% + 26.25万円年金収入 × 75% − 26.25万円
700万円超 〜 1000万円以下年金収入 × 15% + 96.25万円年金収入 × 85% − 96.25万円
1000万円超年金収入 × 10% + 146.25万円年金収入 × 90% − 146.25万円

つまり「年金収入のうち、控除で落とされない1〜2割程度だけが課税のもとになる」のが、年金の税金が安く済む正体です。

ステップ2:具体数値例——年金額別の「かかる税額」早見表

上の控除式に、基礎控除(所得税48万円/住民税43万円)と累進税率(所得税:195万以下5%・330万以下10%・695万以下20%…、住民税は所得割10%)を当てはめて、年金収入別の税額を計算しました。ほかの所得(パート・配当など)がない「年金のみ」の単身モデルです。

年金収入(年額)年金所得(国)課税所得(国)所得税住民税(所得割+均等割)税 合計
150万円0円0円0円5,000円(均等割のみ)5,000円
200万円0円0円0円5,000円5,000円
300万円0円0円0円5,000円5,000円
330万円0円0円0円5,000円5,000円
400万円2,750,000円2,270,000円約132,220円約235,750円約367,970円
500万円3,500,000円3,020,000円約208,794円約310,750円約519,544円
600万円4,250,000円3,770,000円約333,356円約385,750円約719,106円
700万円5,000,000円4,520,000円約486,506円約460,750円約947,256円
800万円5,850,000円5,370,000円約660,076円約545,750円約1,205,826円

※ 住民税は「所得割(所得×10%)+均等割(年5,000円)」で計算しています。ただし、年金収入が330万円(住民税は350万円)以下で年金所得が0円の場合、多くの自治体では「均等割も非課税」とする条例(均等割の非課税基準)を設けているため、実際には住民税自体が0円になることが一般的です。詳細はお住まいの市区町村へご確認ください。

目安として、年金収入400万円なら受取額の約9%、600万円なら約12%、800万円なら約15%が税金に回ります。給与で同じ額をもらった場合より、手取り(受取額マイナス税)の率は高く保たれます。

ステップ3:年金400万円の場合を1円単位で分解

計算の流れを、もっとも典型的な「年金収入400万円・単身」で順に追います。

① 年金所得(国)を出す:400万円は「330万超〜700万以下」の区分なので、

年金所得(国) = 4,000,000 × 75% − 250,000 = 3,000,000 − 250,000 = 2,750,000円

② 課税所得(所得税)を出す:年金所得から基礎控除48万円を引きます。

課税所得(国) = 2,750,000 − 480,000 = 2,270,000円(10%区分)

③ 所得税を出す:10%区分(控除額97,500円)で、復興特別所得税(2.1%)を加算。

所得税 =(2,270,000 × 10% − 97,500)× 1.021 =(227,000 − 97,500)× 1.021 = 129,500 × 1.021 = 132,220円

④ 住民税を出す:年金所得(地)は定数が26.25万円なので、

年金所得(地) = 4,000,000 × 75% − 262,500 = 3,000,000 − 262,500 = 2,737,500円
課税所得(地) = 2,737,500 − 430,000(基礎控除)= 2,307,500円
住民税 = 2,307,500 × 10% + 5,000(均等割)= 230,750 + 5,000 = 235,750円

合計で所得税132,220円 + 住民税235,750円 = 年間367,970円。年金400万円を受け取る人は、月額にすると約30,664円が税金で引かれる計算です。

ステップ4:年金の上にパート収入を足したとき(合算と「壁」)

年金生活でパートを始めると、年金所得と給与所得を合算して税額が決まります。ポイントは「年金所得控除」と「給与所得控除」が別枠で効くため、単純に足した額から一括で控除されるわけではない点です。

例:年金400万円 + パート給与100万円 の場合。

項目金額根拠
年金所得(国)2,750,000円ステップ3と同じ
給与所得(国)450,000円100万円 − 給与所得控除55万円
合算所得3,200,000円275万 + 45万
課税所得(国)2,720,000円320万 − 基礎控除48万
所得税約178,145円(272万×10%−9.75万)×1.021

年金400万円「単体」の所得税が132,220円だったのに対し、パート100万円を足すと所得税が178,145円に増え、増分は約45,925円です。パート報酬100万円のうち約4.6%が所得税の増分になります(給与所得控除55万円が効くため、100万円まるごと課税されるわけではありません)。

⚠ 「130万円の壁」には両面がある:パート収入が年130万円を超えると、厚生年金・健康保険の被保険者となり、保険料の天引きが始まります(106万円の壁は配偶者控除の縮小)。税金面では130万円以下でも給与所得控除55万円が引かれるため、税金の急増は130万円手前からゆるやかに始まります。年金+パートの両方を見据えた働き方は、年収の壁(103万・106万・130万・150万)を手取りの逆転額で比べた記事も併せてご覧ください。

よくある誤算3つ

  1. 「年金は非課税だと思っていた」:年金そのものが非課税なのは「年金収入約330万円以下(住民税は350万円以下)」の場合だけです。それを超えると、控除しきれない分の所得に税金がかかります。ただし控除額が大きいため、給与と比べれば手取り率は高く保たれます。
  2. 「給与と同じ計算だと思っていた」:給与は「収入−給与所得控除」ですが、年金は「収入−年金収入控除」で、後者の控除額が大きいです。同じ400万円なら、給与所得は約356万円(控除144万)なのに対し、年金所得は275万円(控除125万+基礎控除の前段階)と、税のもとになる額が小さくなります。
  3. 「年金だけなら住民税も0円だと思っていた」:年金収入が低い場合、住民税の均等割(年5,000円)が残ることがあります(ただし多くの自治体で非課税条項あり)。逆に、年金収入が高いと住民税の所得割が主役になり、均等割の5,000円は相対的に小さくなります。

自分の数字で試す

年金額や、パートとの組み合わせをもっと細かく試したい場合は、下記の記事・ツールが使えます。すべてブラウザ内で計算され、入力内容が外部に送信されることはありません。

関連する計算

注意事項

本記事の数値は、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金等)のみを受給し、ほかの所得がない単身モデルを前提とし、令和6年(2024年)分以降の現行制度(基礎控除:所得税48万円/住民税43万円、年金収入控除の速算式、所得税の累進税率+復興特別所得税2.1%、住民税所得割10%+均等割年5,000円)に基づく単純計算です。実際の税額は、年金の種類(老齢・遺族・障害)、年金以外の所得(パート・配当・不動産・個人事業等)の有無と合算、配偶者や扶養親族の有無(基礎控除・配偶者控除で税額が変わる)、お住まいの自治体の住民税率・均等割額・非課税基準、および毎年の税制改正によって変わります。とくに住民税の「均等割の非課税基準」は自治体の条例により異なります。確定申告の要否(年金のみで給与所得がない場合は原則不要ですが、公的年金等の収入が400万円を超え、かつ年金所得がそれ以外の所得と合算して基礎控除額を超える場合などは申告が必要になることがあります)についても、最寄りの税務署・年金事務所・市区町村窓口でご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務判断に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

公的年金にも税金はかかりますか?

はい、一定額を超えると所得税と住民税がかかります。ただし「年金収入控除」という給与より手厚い控除があり、年金収入が約330万円以下(住民税は350万円以下)なら、控除で所得が0円になり所得税はかかりません(住民税も多くの自治体で非課税となります)。

年金収入控除と給与所得控除はどう違いますか?

どちらも「収入から引く控除」ですが、年金収入控除のほうが控除額が大きく設定されています。例えば収入400万円なら、給与所得控除は144万円(給与所得356万円)ですが、年金収入控除は125万円+基礎控除の前の段階で「年金所得」が275万円になり、税のもとになる額が小さく抑えられます。

年金収入400万円の場合、税金はいくらかかりますか?

単身でほかの所得がない場合、所得税が約132,220円、住民税が約235,750円で、年間合計は約367,970円です。受取額400万円のうち約9%が税金になります。

年金の上にパートで働くと税金はどうなりますか?

年金所得と給与所得を合算して税額が決まります。例えば年金400万円+パート給与100万円なら、給与所得控除55万円が効いたうえで合算されるため、所得税は約178,145円(年金単体の132,220円から約4.6万円の増加)になります。パート収入の「130万円の壁」は主に社会保険(厚生年金・健保)の加入基準ですが、税金も130万円手前からゆるやかに増え始めます。

年金収入が高いと、住民税の均等割もかかりますか?

年金収入が350万円を超えると年金所得(地)が発生し、住民税の所得割(所得×10%)が主役になります。均等割(年5,000円)はそのまま上乗せされますが、所得割の額に比べれば相対的に小さくなります。

自分の正確な税額を知るにはどうすればいいですか?

市区町村から届く「税金の決定通知書(住民税)」や、年金機構の「ねんきん定期便」、最寄りの税務署で確認できます。本記事の計算式は目安であり、パートや配当など他の所得の有無、扶養の有無、自治体の税率によって実際の額は変わります。

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