国民健康保険料はいくら?自営業・フリーランスの保険料を所得から逆算し、会社員の健保との違いを1円単位で解説

2026-08-18 | 国民健康保険 自営業 フリーランス 保険料 家計 税金

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「自営業になったら、健康保険料がいくらになるんだろう?」——フリーランスや個人事業主が最初に直面するお金の疑問の一つです。ネットで検索すると「会社員より高い」という結論は出てきますが、なぜ高くなるのか、そして実際に何万円になるのかを根拠付きで書いた記事は意外と少ないものです。

この記事では、年収500万円の自営業者(40歳・世帯主・配偶者・子どもなし)が、東京都区部の国民健康保険(国保)に加入する場合を例に、年間の保険料がいくらになるかを実際の計算式(所得割・均等割・平等割+後期高齢者支援金分+介護納付金分)のしくみから確認します。自分の数字で試したい場合は 手取り計算ツール で、社会保険料を引いた後の手取りも確認できます。

結論:年収500万の自営業者なら、国保料は年間約74万〜79万円(月額約6.2万〜6.6万円)

項目年収500万円・自営業(40歳・独身・東京都区部の目安)
課税所得(事業所得−控除)約430万円(青色65万控除後の目安)
所得割(9%目安)約38.7万円
均等割(基礎+後期支援+介護)約9.0万円
平等割(基礎+後期支援+介護)約4.8万円
年間保険料(目安)約74万〜79万円
月額換算約6.2万〜6.6万円

会社員なら健康保険料の半分(約14.5%のうち本人負担分)しか払いませんが、国保はこの「所得割+均等割+平等割」を全額自分で払います。そのため同じ年収500万円でも、手取りは会社員より数%下がる計算になります。

年収別:国保料の目安(独身・40歳・東京都区部)

年収課税所得目安所得割(9%)均等+平等割年間保険料目安
300万円約170万円約15.3万円約13.8万円約29万円
500万円約430万円約38.7万円約13.8万円約74万円
800万円約730万円約65.7万円約13.8万円約101万円

「所得割」は年収に応じて増えますが、「均等割+平等割」は所得によらずおおむね一定額(自治体による)です。そのため低所得ほど保険料に占める固定額の割合が高く、逆に高所得ほど所得割の比重が大きくなります。

ステップ1:国保料の3本柱「所得割・均等割・平等割」

国保の保険料は、大きく3つの要素の合計で決まります。

保険料 = 課税所得 × 所得割率 + 均等割×人数 + 平等割

さらに、この3本のそれぞれに「後期高齢者支援金分」と、40歳〜64歳なら「介護納付金分」が上乗せされます。つまり実際の料率は「所得割9%」のように一見低く見えても、均等割と平等割の2系統(基礎・後期・介護)が重なるため、月額は思ったより重くなります。

ステップ2:なぜ会社員より高くなるか(給与所得控除の差)

最大の理由は「給与所得控除が使えない」ことです。会社員の場合、給与所得には年収に応じて最大198万円(年収850万以下は最低55万円+給与×一定率)の給与所得控除がかかり、その控除後の額で保険料や税が計算されます(給与所得控除の早見表と計算式参照)。

一方、自営業の「事業所得」には給与所得控除がありません。代わりに青色申告特別控除(最大65万円)や必要経費を引いた後の額が課税所得になりますが、それでも会社員の給与所得控除ほど大きくは引けないのが一般的です。その結果、同じ「年収500万円」でも国保の算定ベース(課税所得)が会社員より大きくなり、保険料の所得割が重く乗ります。

観察者メモ:これは「手取りの壁」ともつながります。自営業だと社会保険料を全額負担する分、年収の壁(103万・106万・130万・150万)の計算も会社員とは別の仕組みになります(年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事参照)。

ステップ3:後期高齢者支援金分・介護納付金分とは

国保料には、表向きの「医療分」のほかに、次の2つが含まれています。

このため、40歳以上の自営業者は「医療分+後期支援分+介護分」の3系統分が上乗せされ、均等割・平等割も基礎・後期・介護の3系統ずつ合計6項目近くが足し算される構造になっています。東京都区部の例では、これらを合わせて均等割+平等割だけで年間約13万〜14万円になります。

ステップ4:所得が低いときの「軽減措置」

国保には低所得世帯向けの軽減があり、均等割と平等割が減額されます。

所得割は軽減されませんが、固定額である均等割・平等割が減るため、低所得ほど実質負担が下がります。収入が不安定なフリーランスは、年末の所得申告と併せてお住まいの市区町村の軽減判定を確認するのが得策です。

ステップ5:会社員(協会けんぽ)との月額比較イメージ

年収会社員の健康保険(本人負担)国保(自営業・全額負担)差
500万円約3.6万円/月約6.2万円/月約+2.6万円/月
800万円約5.0万円/月約8.4万円/月約+3.4万円/月

会社員の健康保険料も事業主が半分を負担するため、見かけ上「安く」見えます。国保は半分を負担してくれる事業主がいない分、全額自己負担になるのがこの差の正体です。ただし国保には傷病手当金がありません(会社員の健保には最長1.5年の給与補填がある)。フリーランスは病気・ケガで働けなくなったときの所得補填を、別途民間の所得補償保険等でカバーする必要があります。

やりがちな失敗3つ

  1. 「健康保険料は会社員と同じくらい」と油断する:国保は全額自己負担+給与所得控除なしのため、同じ年収でも月額が2万〜3万円重くなるのが普通です。フリーランスの収支計画は、手取り率を会社員より低め(8割弱ではなく7割台)に見積もるのが安全です。
  2. 「所得がゼロなら保険料もゼロ」と思い込む:均等割・平等割は所得によらずかかるため、収入がゼロの年でも保険料の請求は来ます。ただし軽減措置(7割減等)で大きく下がるため、必ず申請を。
  3. 傷病手当金の不在を忘れる:会社員なら病気休職中も健保から給与の約3分の2が出ますが、国保にはありません。長期療養リスクは別途カバーを。

関連ツールで自分の数字を確かめる

国保料を引いた後の手取りは 手取り計算ツール で確認できます。社会保険料の全体像(会社員の厚生年金・健康保険の率)は 社会保険料の計算方法、給与所得控除との違いは 給与所得控除の早見表と計算式、年収の壁との関係は 年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事 が参考になります。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は東京都区部の公表料率をもとにした概算モデルです。実際の国民健康保険料は、お住まいの市区町村ごとに税率(所得割率)・均等割額・平等割額・上限・軽減基準が異なります。また所得割のベースとなる「課税所得」は、青色申告特別控除(最大65万円)や事業専従者給与、各種控除の有無で大きく変動します。介護納付金分は40歳未満ではかからず、後期高齢者支援金分は毎年見直されます。正確な額はお住まいの市区町村が発行する「国民健康保険料の決定通知書」で確認してください。制度の詳細は各自治体の窓口および日本年金機構・厚生労働省等の公式情報が最終的な根拠になります。

よくある質問

国民健康保険料と健康保険料の違いは?

会社員の健康保険(協会けんぽ等)は給与から折半で引かれ、大半を事業主が負担します。一方、国民健康保険は自営業者が「所得比例分+均等割+平等割」を全額自分で払います。さらに給与所得控除が使えないため、同じ年収でも「課税所得」が大きくなり、結果として社会保険料の負担が会社員より重くなる傾向があります。

年収500万円の国保料はいくら?

東京都区部の目安(所得割9%・均等割4.3万円・平等割2.4万円・後期支援・介護分込み)で、年間約74万〜79万円、月額にすると約6.2万〜6.6万円になります。自治体によって税率と上限が違うため、正確な額はお住まいの市区町村の「国民健康保険料の算定」で決まります。

所得が低いと保険料は安くなる?

はい。国保は「所得比例分」があるので、所得が低いほどその分は下がります。ただし「均等割」「平等割」は所得によらず一定額かかるため、収入がゼロでもゼロにはなりません。低所得世帯向けの「軽減措置(7割・5割・2割減額)」も市区町村で用意されています。

フリーランスが会社員より保険料が高いのはなぜ?

最大の理由は「給与所得控除が使えない」ことです。会社員は給与から最低55万円(年収850万以下は給与×20%+10万円、年収850万超は197万円+給与×10%の枠)が控除されますが、自営業の事業所得にはこの控除がなく、ほぼ全額が課税所得になります。その分、国保の所得割のベースが大きくなるため、保険料が重くなります。

[ 広告枠 / Google AdSense ]

‹ ブログ一覧へ