退職後の健康保険、どれを選ぶ? 任意継続・国保・扶養の保険料を計算して損得分岐点を比べる(年収500万なら国保が年約18万円安い根拠)

2026-08-25 | 健康保険 任意継続 国民健康保険 退職 扶養 保険料比較 家計 計算

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「会社を辞める(退職・独立・リストラ)。健康保険はどうすればいい? そのまま前の保険に残る『任意継続』って安いの? それとも国保(国民健康保険)の方がいいの? 家族の扶養に入れるなら?」——誰もが一度は直面するこの迷い、ネットで「退職 健康保険 どっち」と調べると「3つの選択肢があります」までは出てきますが、「自分の年収なら実際にいくらかかるのか」「任意継続と国保、どちらが安いのかを具体的な計算で比べた記事」「扶養に入れるなら0円で最強なのか」を、計算式と数値例で示したページは意外と少ないものです。

この記事では、退職時に迷う「任意継続・国保・扶養」の3択を取り上げます。計算式の根拠 「任意継続=標準報酬月額×保険料率(全額自己負担)」「国保=所得割+均等割」 から出発し、年収500万円(所得300万円)を例に、3つの選択肢の年間保険料を計算・比較します。さらに損得分岐点とよくある落とし穴(130万円の壁・2年上限)を整理します。自分の数字を当てはめたい場合は 健康保険料(協会けんぽ)の計算記事 や 手取り計算ツール で確認できます。

📌 結論ファースト:退職時の健康保険は ①扶養に入れるなら0円(最強)②入れないなら、多くの場合は「国保」の方が「任意継続」より安い のが基本です。任意継続は「標準報酬月額×保険料率」を全額自己負担するため、在職時の約2倍の負担になります。年収500万円(標準報酬月額39万円・協会けんぽ9.35%)の例では、任意継続は 年約43.8万円、市区町村の国保(所得300万円・所得割7%+均等割4.5万)なら 年約25.5万円 で、国保が 年約18万円安くなります。ただし所得が極端に高い稀なケースでは逆転もあり得るため、ご自身の数値で比べてください。

ステップ1:退職時の健康保険、3つの選択肢

会社員(健康保険の被保険者)を退職すると、その日をもって会社の健康保険の資格を失います。その後、自分で次のいずれかの保険に加入し直す必要があります。

選択肢内容保険料の目安
①任意継続被保険者退職後も前の健康保険(協会けんぽ・組合健保等)にそのまま残れる。最長2年(一部3年)標準報酬月額×保険料率(全額自己負担)で在職時の約2倍
②国民健康保険(国保)住所地の市区町村が運営。フリーランス・無職が対象所得割(所得×約7%)+均等割(1人年約4〜5万)
③家族の扶養配偶者や親の健康保険の被扶養者になる(収入要件あり)0円(自分の収入130万未満等)

迷ったときの基本方針は 「扶養に入れそうなら扶養 → 入れないなら国保と任意継続を比較」 です。それぞれの計算式を確認しましょう。

ステップ2:任意継続の計算式(在職時の約2倍になる根拠)

任意継続は、退職前の 標準報酬月額 をそのまま使って、保険料率を掛け、全額を自分で負担します(在職中は会社と折半=半額でした)。

任意継続の月額保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率(介護分含む)× 1.0 ÷ 12

協会けんぽの一般保険料率(介護分含む)は 約9.35%(年齢層により介護加算の有無で変動)が目安です。在職時は「×0.5(折半)」でしたが、任意継続は「×1.0(全額)」になるため、実質負担は 在職時の約2倍 になります。

年収標準報酬月額(目安)在職時負担(年)任意継続(年)
300万円21万円約11.8万円約23.5万円(月約1.96万)
500万円39万円約21.9万円約43.8万円(月約3.65万)
800万円66万円約37.0万円約74.1万円(月約6.17万)

計算の根拠(例:年収500万円):標準報酬月額39万円 × 9.35% = 月額36,465円。年額 36,465×12 = 約43.8万円。在職時はその半分(約21.9万円)で済んでいたため、退職で負担が倍増する点に注意が必要です。

ステップ3:国民健康保険(国保)の計算式

国保の保険料は、市区町村ごとに税率が異なりますが、全国的な目安として次の式で求まります。

国保の年額 = 所得割(所得 × 約7%) + 均等割(1人あたり年約4〜5万円) + 資産割(地域による)

「所得」は給与所得控除(年収500万なら約138万円引かれる)を引いた後の金額です。例えば年収500万円の人は、所得が約362万円、さらに基礎控除等を引いて課税所得が約300万円程度になるため、この「300万円」が所得割の元になります。

ステップ4:具体例——年収500万円(所得300万円)で3択を比較

年収500万円で退職し、所得(課税所得)が300万円のケースで、3つの選択肢の年間保険料を比較します。

選択肢計算の根拠年間保険料
①任意継続標準報酬月額39万×9.35%×12約43.8万円
②国保300万×7%(所得割)+4.5万(均等割)約25.5万円
③扶養(配偶者の健保)自身の収入130万未満で要件クリア0円

この例では、国保が任意継続より年約18.3万円安く、扶養に入れれば0円で最も安くなります。多くの退職者(年収〜1,000万円程度)では、この「国保の方が安い」という関係が成り立ちます。

ステップ5:損得分岐点——いつ任意継続の方が安くなるか

任意継続が国保より安くなるのは、次の不等式が成り立つときです。

標準報酬月額 × 9.35% × 12 < 所得 × 7% + 均等割

標準報酬月額は「年収÷12」に近く、所得は「年収−給与所得控除」です。この関係を整理すると、所得が高いほど国保の所得割(7%)が効いて国保が不利になりますが、任意継続は標準報酬月額の上限(協会けんぽで月139万円)に頭打ちになります。実務的には、年収数千万円クラスのごく高所得層や、標準報酬が低くて所得が極端に高い稀なケースを除き、ほとんどの退職者では「国保 ≦ 任意継続」 となります。つまり「とりあえず任意継続」は、2年という期限付きのつなぎには使えても、長期的に安く済む選択肢にはなりにくい点に注意してください。

ステップ6:よくある落とし穴

関連ツール・記事で全体を把握する

いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は、協会けんぽの一般保険料率(介護分含む)を約9.35%、国民健康保険の所得割率を約7%、均等割を1人あたり年約4.5万円とした単純化モデルです。①実際の保険料率は健保組合・都道府県・市区町村によって異なり、介護加算(40歳以上)の有無や、資産割の有無でも変動します。②「標準報酬月額」は等級表に基づくため、年収と一致しないことがあります。③任意継続の加入可能期間(2年または3年)や、扶養の収入要件(130万円未満等)は制度によります。④正確な保険料と手続きは、加入する健康保険者・お住まいの市区町村の窓口へご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の保険相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

退職後の健康保険の選択肢は何ですか?

大きく3つあります。①任意継続被保険者:退職後も前の健康保険(協会けんぽ等)にそのまま残れる制度で、最長2年(一部の組合は3年)加入できます。②国民健康保険(国保):住所地の市区町村が運営する保険で、フリーランスや無職の人が入ります。③家族の扶養:配偶者や親の健康保険の被扶養者になる場合です(収入要件あり)。基本的には「扶養に入れるなら扶養」「入れないなら国保か任意継続を比較」という順で考えます。

任意継続の保険料はいくらになりますか?

計算式は「標準報酬月額 × 保険料率(介護分含む)× 1.0(全額自己負担)÷ 12=月額」です。在職中は会社と折半(×0.5)でしたが、任意継続は全額を自分で払うため、実質的に在職時の2倍の負担になります。例えば年収500万円で標準報酬月額39万円の人が協会けんぽ(一般保険料率9.35%)の場合、月額 39万×9.35%≒36,465円、年額約43.8万円になります(在職時の年額約21.9万円の約2倍)。

国保とどちらが安いですか?

多くの退職者(年収〜1,000万円程度)では、国民健康保険の方が任意継続より年数万〜十数万円安くなる傾向があります。理由は、国保の保険料が「所得割(所得×約7%)+均等割(1人あたり年約4〜5万円)」なのに対し、任意継続は標準報酬月額×約9.35%を全額払うからです。年収500万円(所得300万円)の例では、国保が年約25.5万円、任意継続が年約43.8万円で、国保が約18万円安くなります。ただし所得が極端に高い場合や、標準報酬が低くて所得が高い稀なケースでは逆転もあり得るため、ご自身の数値で比べることをおすすめします。

家族の扶養に入るにはどうすればいいですか?

配偶者や親の健康保険の被扶養者になるには、生計維持要件(扶養する人が生活費を負担している関係)と収入要件(給与収入130万円未満、60歳以上等は180万円未満が目安)を満たす必要があります。扶養に入れば自身の保険料は0円になり、健康保険の観点では最強の選択肢です。ただし配偶者が扶養に入ると、扶養してくれる側の所得税・住民税で扶養控除38万円が使える代わり、自分の収入が130万円を超えると扶養を外れ、自分で国保等に入る必要があります(いわゆる「130万円の壁」)。

任意継続はいつまで加入できますか?

原則として退職した日の翌日から最長2年です(健康保険の被保険者であった期間が2年に満たない場合は、その期間に限る)。例えば協会けんぽの場合、退職日の翌月から2年経過する月までです。2年を過ぎると任意継続は打ち切られ、その時点で国民健康保険等へ切り替える必要があります。そのため「とりあえず2年だけ任意継続」はできますが、恒久的に安く済むわけではなく、長期的には国保か家族の扶養を検討するのが一般的です。

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