国民健康保険料はいくら引かれる? 自営・フリーランスの「所得割+均等割+資産割」を1円単位で逆算する
「会社を辞めて自営になったら、健康保険料が跳ね上がった」——フリーランスや個人事業主にありがちな shock です。会社員なら健康保険料は給与から半分を会社負担されていたのに、自営の国民健康保険(国保)では保険料の全額を自分で払ううえ、計算のしくみも「所得割+均等割+資産割」と複数の部品に分かれていて、いくらかかるか見通しにくいものです。
この記事では、自営業・独身・事業所得300万円・40歳未満を例に、国民健康保険料がどうやって決まるかを1円単位で逆算します。自分の年収で概算したい場合は 手取り計算ツール(自営モード) で、社会保険料を引いた後の手取りも一緒に出せます(計算はブラウザ内で完結し、入力は送信されません)。会社員の保険料との違いは 社会保険料を標準報酬月額から逆算した記事 で比べられます。
結論:事業所得300万円・独身なら年間約30万円(月約2.5万円)
| 部品 | 計算式 | 金額(目安) |
|---|---|---|
| 医療分 所得割 | (総所得300万−基礎控除33万)× 7.0% | 186,900円 |
| 医療分 均等割 | 定額(1人分) | 39,600円 |
| 後期支援分 所得割 | (267万)× 2.4% | 64,080円 |
| 後期支援分 均等割 | 定額 | 12,600円 |
| 介護分 | 40歳未満はなし | 0円 |
| 合計 | 約303,180円 |
月にすると 約25,300円。事業所得300万円の約10%が保険料に消えます。ここから、各パーツの意味と「なぜこの金額になるか」を順に見ていきます。
ステップ1:国民健康保険料は3つの部品からなる
国保の保険料(保険税)は、原則として次の3区分の合算です(多くの市町村がこの構成を採用しています)。
- 医療分:病院のかかりつけなど、ふだんの医療に使われる分。
- 後期高齢者支援金分:75歳以上の医療費を支えるための分(全国で負担を共有)。
- 介護分:40歳〜64歳が負担する介護保険の分(40歳未満はかからない)。
各区分はさらに 「所得割(収入に応じた額)+均等割(世帯の人数に応じた定額)」 で構成され、一部の市町村には 「資産割(固定資産税の額に応じた額)」 も加わります。つまり 「稼いだ分」と「暮らしている人数」と「持ち家など資産」の3軸で決まります。
ステップ2:所得割は「総所得 − 33万円」に税率を掛ける
所得割のもとになる額は、前年の 総所得金額等 から 基礎控除(おおむね33万円) を引いたものです。例のケースでは
総所得 3,000,000 − 基礎控除 330,000 = 2,670,000円(所得割の算定基礎額)
ここに市町村が決めた税率(所得割率)を掛けます。目安(標準的な上限水準)は次のとおりです。
- 医療分 所得割率:約 6.5%〜8.5%(上限 7.0% 程度)
- 後期支援分 所得割率:約 2.0%〜2.6%(上限 2.4% 程度)
- 介護分 所得割率:約 1.5%〜3.0%(上限 2.6% 程度、40歳以上)
例では医療分 7.0%・後期支援分 2.4% を使うと
医療分 所得割 = 2,670,000 × 7.0% = 186,900円
後期支援分 所得割 = 2,670,000 × 2.4% = 64,080円
注意点:これらの税率は市町村ごとにバラバラです。同じ年収でも引っ越すと数万円変わることも珍しくありません。あくまで「目安の上限」として読んでください。自分の数字は、毎年送られる 「国民健康保険料決定通知書」 で確認します。
ステップ3:均等割は「人数分の定額」
所得の多寡に関わらず、被保険者1人あたり決まった金額(均等割)が加わります。目安(上限)は
- 医療分 均等割:約 39,600円/人
- 後期支援分 均等割:約 12,600円/人
- 介護分 均等割:約 14,600円/人(40歳以上)
独身なら医療分39,600円+後期支援分12,600円=52,200円。家族が増えれば人数分ずつ上がります。逆に言うと、所得がゼロの年でも均等割の分(数万円)は必ずかかるのが国保の特徴です(会社員の健康保険にはこの「定額分」が直接見えにくい形で含まれています)。
ステップ4:資産割と介護分の境界
一部の市町村には 資産割 があり、固定資産税の課税標準額の約 0.15% 程度が上乗せされます(マイホームや土地を持っていると増額)。ただし資産割を廃止する市町村が増えており、必ずしもあるとは限りません。
一方 介護分 は 40歳の誕生月から加わり、65歳で後期高齢者医療制度に移るまで かかります。40歳未満の例では 0 円でしたが、40歳を超えると医療分+後期支援分+介護分の3つぶんの所得割・均等割がすべて乗ってくるため、同じ年収でも 年数万円保険料が増えます。
やりがちな誤算4つ
- 「会社員の半分だから安い」と油断する:会社員は保険料の半分を会社が負担しますが、国保は全額自己負担。さらに所得割率が会社員(厚生年金の保険料率)より高い市町村も多く、年収が同じでも国保のほうが高くなることが珍しくありません。
- 「前年の所得」の1年遅れを忘れる:国保も住民税と同じく 前年の所得で決まる ため、稼いだ年の翌年度から保険料が跳ねます。起業1年目は所得ゼロ扱いで安いですが、2年目以降に一気に上がるので家計の準備が必要です。
- 低所得の軽減を知らない:世帯の所得が一定以下なら 7割・5割・2割軽減 があり、所得割・均等割が大幅に減額されます。申請ではなく自動適用の場合もありますが、該当すると思ったら役所へ確認を。
- 賦課限度額(天井)の存在を忘れる:高所得でも保険料は無限には膨らみません。医療分+後期支援分で 年63万円、介護分で 年17万円 が上限(世帯合算で最大約80万円)です。それ以上稼いでも保険料はこれ以上増えません。
手取りへの影響を含めて考える
自営の手取りを考えるとき、会社員と違って 「社会保険料=国保+国民年金」を自分で払う 分をきちんと引かないと、可処分所得を過大評価します。手取り計算ツール(自営モード) では年収の約15%を社会保険料の目安として差し引いていますが、実際の国保は 所得が低いほど均等割の比重が高くて実効負担率が上がり、所得が高いほど63万円の天井で実効負担率が下がる ため、年収300万円なら約10%、年収1,000万円でも天井近くで約6%程度と、flat 15% より低くなるのが実態です。年収で試すなら 年収1000万円の手取りの内訳 も併せてどうぞ。
注意事項
本記事の数値・税率は 目安(標準的な上限水準) です。実際の所得割率・均等割額・資産割の有無・軽減の要件は お住まいの市町村ごとに異なります。正確な金額は毎年送られる 国民健康保険料決定通知書、およびお住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。制度の詳細は厚生労働省・全国健康保険協会の公式資料も併せてご確認ください。
よくある質問
国民健康保険料の計算方法は?
医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40歳以上)の3区分を、それぞれ「所得割(総所得−基礎控除33万円に税率を掛ける)+均等割(人数分の定額)」で計算し、一部の市町村は資産割も加算して合算します。事業所得300万円・独身・40歳未満なら年間約30万円(月2.5万円)が目安です。
会社員の健康保険と比べて高いのはなぜ?
会社員は保険料の半分を雇用主が負担し、残りを給与から天引きします。自営の国保は全額自己負担で、しかも所得割率が会社員並みかそれ以上の市町村が多いため、同じ年収でも国保のほうが高くなることが珍しくありません。
所得が低いと安くなる仕組みは?
世帯の所得が一定以下の場合、所得割・均等割が7割・5割・2割に軽減される制度があります。該当する場合は役所への申請(自動適用の場合もあり)で保険料が大幅に下がります。
前年の所得で決まるとは?
国保の保険料は住民税と同じく「前年に得た所得」をもとに決まります。そのため稼いだ年の翌年度から保険料が上がり、逆に収入が落ちた年は翌年度以降に下がります。起業1年目は安く、2年目以降に跳ねる点に注意が必要です。
保険料の上限(賦課限度額)は?
医療分と後期高齢者支援金分を合わせて年63万円、介護分で年17万円が上限です(世帯合算で最大約80万円)。それ以上所得が増えても保険料はこれ以上膨らみません。