ボーナス(賞与)から引かれる社会保険料はいくら? 標準賞与額×保険料率の計算と「150万円の壁」「雇用保険がかからない」の根拠
「ボーナス(賞与)が振り込まれたけど、手取りが予想よりずっと少ない。社会保険料はいくら引かれた?」――多くの会社員が夏・冬の賞与で直面する疑問です。月給の天引きでは「健康保険+厚生年金+雇用保険」の3本と考えていても、賞与の社会保険料は仕組みが違います。本記事では、賞与から引かれる社会保険料が「標準賞与額×保険料率」でどう決まるか、月給との決定的な違い(雇用保険がかからない)、そして「1回150万円を超える分には健康保険・厚生年金もかからない」ルールを、具体数値で1円単位に計算します。
結論から言うと、協会けんぽの目安(健康保険料率9.8%を折半して約4.9%、厚生年金9.15%)でみると、賞与100万円なら社会保険料は約14.05万円(率にして約14.05%)引かれ、そのうち雇用保険は0円です。自分の賞与で試したい場合は 手取り計算ツール でも確認できますが、本記事は「賞与にかかる社会保険料だけ」を根拠付きで追います(賞与の所得税・住民税の天引きは ボーナス(賞与)の手取りを計算した記事 で別途解説)。
結論:賞与別の社会保険料(天引き額の目安)
| 賞与額 | 対象給与(標準賞与額) | 健康保険(折半後約4.9%) | 厚生年金(9.15%) | 社会保険料 合計 | 概算率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 50万円 | 50万円 | 24,500円 | 45,750円 | 70,250円 | 14.05% |
| 100万円 | 100万円 | 49,000円 | 91,500円 | 140,500円 | 14.05% |
| 200万円 | 200万円 | 98,000円 | 183,000円 | 281,000円 | 14.05% |
| 300万円 | 150万円(上限到達) | 73,500円 | 137,250円 | 210,750円 | 300万の7.0% |
率の根拠は後述のとおり、健康保険が「協会けんぽの目安9.8%×折半(本人負担1/2)=約4.9%」、厚生年金が「18.3%×折半=9.15%」の合計約14.05%です。賞与300万円の例では「150万円を超えた分には社会保険料が一切かからない」ため、300万円全体に対しては見かけの率が7.0%に下がります。
ステップ1:賞与の社会保険料の計算式(根拠)
賞与にかかる社会保険料は、次の2つだけです。
- ① 健康保険料= 標準賞与額 × 健康保険料率 × 1/2(労使折半・本人負担分)
- ② 厚生年金保険料= 標準賞与額 × 18.3% × 1/2 = 標準賞与額 × 9.15%
賞与の社会保険料(本人負担) = 標準賞与額 × (健康保険料率×1/2 + 9.15%)
月給と決定的に違う点:月給の天引きには「雇用保険料(本人負担約0.3%)」が含まれますが、賞与には雇用保険がかかりません。雇用保険の保険料は「賃金(毎月の給与)」を対象に算定され、賞与(ボーナス)のような一時金は対象外だからです。このため賞与の社会保険料率は、月給の社会保険料率より約0.3ポイント低くなります(社会保険料の計算記事 で月給分の内訳も確認できます)。
ステップ2:標準賞与額とは(150万円の壁の正体)
計算の出発点は「標準賞与額」です。実際の賞与額と、社会保険料の対象になる額は必ずしも一致しません。
標準賞与額 = 実際の賞与額 / ただし1回あたり150万円が上限(協会けんぽ等)
つまり、1回の賞与が150万円を超えると、超えた分には健康保険も厚生年金もかかりません。例えば賞与300万円なら、社会保険料の対象は150万円までに打ち切られ、残り150万円は社会保険料フリーになります。これが「高額ボーナスほど、見かけの社会保険料率が下がる」理由です。
注意点:年間の標準賞与額にも「年間573万円(令和6年度以降)」という上限があり、複数回の賞与を合算してこの枠を超えると、超過分は社会保険料の対象から外れます。多くの会社員は年2回・計数百万円の賞与なので、まずは「1回150万円」の壁に当たるケースが多いです。
ステップ3:健康保険料率は「加入先」で変わる
健康保険の料率は、あなたがどの健康保険に入っているかで変わります。
- 協会けんぽ(大多数の会社員):都道府県ごとに料率が異なり、おおむね 9.0%〜10.5%(折半で4.5%〜5.25%)。本記事の目安として 9.8%(折半4.9%) を用います。
- 組合健保(企業年金付きの大手等):各組合で料率が決まるため、給与明細の「健保」欄を確認してください。
- 健康保険料の端数処理:協会けんぽの賞与保険料は100円未満が切り捨てられるため、実額は本記事の概算から数十円単位でずれることがあります。
本記事では「協会けんぽ・9.8%(折半4.9%)」の前提で計算を進めます。自身の料率が違えば、率を置き換えて同じ式を使えば出せます。
ステップ4:具体例で計算する(賞与50万・100万・200万・300万)
賞与額の違いが、そのまま社会保険料にどう反映されるかを見ます。いずれも協会けんぽ9.8%(折半4.9%)・厚生年金9.15%・40歳未満(介護保険なし)・扶養なしの前提です。
賞与 50万円の場合
健康保険 = 500,000 × 9.8% × 1/2 = 24,500円
厚生年金 = 500,000 × 9.15% = 45,750円
社会保険料合計 = 24,500 + 45,750 = 70,250円
賞与50万円のうち、社会保険料を引いた後は 429,750円残ります。ここからさらに「所得税(甲欄表)」と「住民税(特別徴収・按比例)」が天引きされるので、実際の手取りはもう少し小さくなります(ボーナス手取りの記事 で計算)。
賞与 100万円の場合
健康保険 = 1,000,000 × 9.8% × 1/2 = 49,000円
厚生年金 = 1,000,000 × 9.15% = 91,500円
社会保険料合計 = 49,000 + 91,500 = 140,500円
賞与100万円のうち、社会保険料を引いた後は 859,500円残ります。
賞与 200万円の場合
健康保険 = 2,000,000 × 9.8% × 1/2 = 98,000円
厚生年金 = 2,000,000 × 9.15% = 183,000円
社会保険料合計 = 98,000 + 183,000 = 281,000円
賞与200万円のうち、社会保険料を引いた後は 1,719,000円残ります。200万円はまだ150万円上限に達しないので、率はそのまま約14.05%です。
賞与 300万円の場合(150万円上限の適用)
標準賞与額 = 1,500,000円(1回上限)
健康保険 = 1,500,000 × 9.8% × 1/2 = 73,500円
厚生年金 = 1,500,000 × 9.15% = 137,250円
社会保険料合計 = 73,500 + 137,250 = 210,750円
もし上限がなければ 3,000,000 × 14.05% = 421,500円かかるところ、上限で 約21.075万円 に抑えられます。つまり高額ボーナスほど「社会保険料がかからない分」が効いて、手取率が上がる構造です。
40歳以上は「介護保険料」が加わる
40歳〜64歳の方は、健康保険料に 介護保険分(第2号被保険者) が上乗せされます。協会けんぽの目安では介護保険分が 1.79% で、これも労使折半なので本人負担は約0.895%です。
- 介護保険分の本人負担率:約0.895%
- 40歳以上の健康保険(介護含)折半率 = 4.9% + 0.895% = 約5.8%
この場合、賞与100万円の社会保険料は 1,000,000 ×(5.8% + 9.15%) = 約149,500円となり、40歳未満の140,500円より約9,000円高くなります。65歳以上は介護保険の第1号(自治体からの直接徴収)になるため、給与天引きの健康保険には介護分が乗りません。
月給の社会保険料との違い(まとめ)
| 項目 | 月給(毎月) | 賞与(ボーナス) |
|---|---|---|
| 健康保険 | 〇(折半) | 〇(折半) |
| 厚生年金 | 〇(折半) | 〇(折半) |
| 雇用保険 | 〇(約0.3%) | × かからない |
| 対象上限 | 標準報酬月額(等級表) | 標準賞与額(1回150万円) |
「賞与のほうが手取率が高い」と感じるのは、この 雇用保険がかからない ことと、150万円超の非課税 の2点が効いているからです。なお賞与には「所得税の甲欄・乙欄」と「住民税の特別徴収(按比例)」が別途かかるため、手取り全体で比べると単純ではありません(賞与の手取りを計算した記事 ・ 給与明細の読み方 参照)。
よくある誤解3つ
- 「ボーナスには社会保険料がかからない」:誤り。健康保険と厚生年金は月給と同様にかかります。かからないのは「雇用保険」のみです。
- 「賞与の全額に社会保険料がかかる」:誤り。1回150万円を超える分には健康保険・厚生年金がかかりません(年間573万円の枠もあり)。
- 「社会保険料率は誰でも同じ」:誤り。健康保険料率は協会けんぽなら都道府県別、組合健保なら各組合別です。自身の率は給与明細で確認してください。
関連ツール・記事で自分の数字を確かめる
- 手取り計算ツール:年収から手取りを即算出(社会保険料も内包)。
- ボーナス(賞与)の手取りを計算する記事:所得税・住民税の天引きも含めた賞与手取り(社会保険料込み)。
- 社会保険料はいくら引かれる?計算記事:月給分の健康保険+厚生年金+雇用保険の内訳。
- 所得税の計算方法:賞与の所得税(甲欄)の出し方。
- 住民税の計算方法:賞与から特別徴収される住民税の仕組み。
- 年末調整・社会保険料の記事:賞与・定時決定・随時改定のイメージ。
いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は、会社員・協会けんぽ(健康保険料率9.8%・折半4.9%)・厚生年金18.3%(折半9.15%)・40歳未満(介護保険なし)・扶養なしを前提とした単純な概算です。実際の額は、健康保険の種別(協会けんぽか組合健保か)とその料率、居住都道府県、年齢(40歳以上は介護保険分加算)、標準賞与額の端数処理(協会けんぽは100円未満切捨て)、標準賞与額の年間上限(令和6年度以降573万円)などによって変わります。雇用保険が賞与にかからないのは「雇用保険の保険料算定基礎に賞与を含まない」という仕組みによるものです。正確な額は給与明細の「賞与」欄の天引き内訳、および日本年金機構・健康保険組合の公式情報が最終的な根拠になります。本記事は情報提供を目的とし、個別の社保判断に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
ボーナス(賞与)から引かれる社会保険料はいくら?
賞与100万円の目安で、健康保険(協会けんぽ9.8%の折半4.9%)約4.9万円+厚生年金(9.15%)約9.15万円の合計約14.05万円が天引きされます。率にして約14%。健康保険料率は都道府県・組合によって変わるため、自身の給与明細の料率に置き換えて同じ式で出せます。
賞与に雇用保険料はかかる?
かかりません。雇用保険の保険料は「毎月の賃金(通常の給与)」に対してだけ算定され、賞与は対象外です。そのため賞与の社会保険料は「健康保険+厚生年金」の2本だけになり、月給より約0.3ポイント率が低くなります。
標準賞与額の150万円の壁とは?
1回の賞与のうち、社会保険料の対象になるのは150万円までです。それを超える分には健康保険も厚生年金もかかりません。例えば賞与300万円なら、150万円分だけに約21.1万円がかかり、残り150万円は非課税になります。年間でも573万円(令和6年度以降)の標準賞与額上限があります。
40歳以上だと賞与の社会保険料は増える?
はい。40歳〜64歳は健康保険料に介護保険分(1.79%×折半で約0.895%)が加わるため、賞与100万円で約9,000円ほど高くなります。65歳以上は介護保険が自治体からの直接徴収(第1号)になるため、給与天引きの健康保険には介護分は乗りません。
賞与の手取りはどう計算する?
賞与からは「社会保険料(健康保険+厚生年金)」に加え、「所得税(甲欄表)」と「住民税(特別徴収・按比例)」も天引きされます。本記事は社会保険料に絞っていますが、手取り全体を知りたい場合はボーナス手取りの計算記事と手取り計算ツールで確認できます。