共働きで住宅ローンはいくら借りられる? 収入合算で借入可能額が上がる計算(年収600万+400万=1000万の例)
「共働きなんだから、二人の年収を合わせればもっと大きい住宅ローンが組めるはず」——そう思って物件探しを始めるご夫婦は多いものの、ネットで検索すると「収入合算で借入可能額が増える」という結論だけが並び、実際にいくら借りられて、月々いくら返済することになるのかを計算の根拠ごと書いたページは意外と少ないものです。
この記事では、夫年収600万円+妻年収400万円=合算年収1000万円の共働き世帯を例に、次の順で計算します。①二人の合算手取り → ②収入合算での借入可能額(年収倍率と返済負担率の2つの目安) → ③実質上限は「低い方」になる理由。さらに独身単身(年収600万だけ)と比べて借入枠が2000万円広がる計算と、産休・育休・連帯債務・住宅ローン控除の注意点を整理します。自分の数字は手取り計算ツールと住宅ローン計算ツールで即座に出せます。
ステップ1:二人の合算手取りは月約40.8万円
住宅ローンの審査の土台になるのは「世帯の手取り(生活で自由に使えるお金)」です。会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)を前提に、サイト共通の概算モデル(社会保険料は年収の約14.5%、所得税は累進税率、住民税は所得割10%+均等割5000円)で計算します。
| 項目 | 夫(年収600万) | 妻(年収400万) | 合算 |
|---|---|---|---|
| 給与所得控除 | ▲164万円 | ▲124万円 | ▲288万円 |
| 社会保険料(約14.5%) | ▲87万円 | ▲58万円 | ▲145万円 |
| 所得税(復興税込) | ▲約20.8万円 | ▲約7.4万円 | ▲約28.2万円 |
| 住民税 | ▲約31.1万円 | ▲約18.0万円 | ▲約49.1万円 |
| 手取り(年/月) | 約297.1万/月24.8万 | 約192.6万/月16.0万 | 約489.7万/月40.8万 |
| 手取り率 | 約49.5% | 約48.1% | 約49.0% |
計算の根拠:夫の給与所得控除は年収600万が「360万超〜660万以下」の区分に当たるため 600万×20%+44万=164万円。給与所得は436万円。社会保険料は600万×14.5%=87万円。所得税の課税所得は 436万−87万−48万(基礎控除)=301万円で、10%区分(330万以下)ゆえ 301万×10%−97,500=203,500円、復興特別所得税2.1%を加えて約20.8万円。住民税は(436万−87万−43万)×10%+5000=31.1万円。妻も同様の式で求めています(年収400万の手取りの詳しい内訳は年収400万円の手取り記事、年収600万は年収600万円の手取り記事で確認できます)。
ポイント:合算手取り率(約49.0%)は、夫単身(約49.5%)とほぼ同じです。つまり「二人で働くと手取り効率が下がる」わけではなく、むしろ同じ税率区分のまま所得が加算されるため、手取りの絶対額(月40.8万円)が単身(月24.8万円)の約1.6倍に跳ね上がります。これが収入合算の最大のメリットです。
ステップ2:収入合算で借入可能額の2つの目安を計算
収入合算の審査では、独身と同じく「年収倍率」と「返済負担率」の2つの目安を使います(仕組みの全体像は住宅ローンの借入可能額の記事で解説)。違いは「ベースにする年収」が「世帯の合算年収1000万円」になる点です。
目安A:年収倍率(世帯年収の5倍)
民間銀行・信金の標準は「年収の5〜7倍」。収入合算ならフラット35(住宅金融支援機構)は原則9倍までOKです。
借入可能額(年収倍率5倍)= 合算年収1000万円 × 5 = 5000万円
借入可能額(フラット35・収入合算9倍)= 合算年収1000万円 × 9 = 9000万円
目安B:返済負担率25%(世帯年収の25%)
返済負担率 = 年間ローン返済額 ÷ 年収。基準の25%なら年間250万円=月20.8万円が返済に回せる上限です。これを変動金利0.5%・35年(元利均等)の逆算係数(月1円の返済で借りられる総額の目安 約385.75)で掛けると
借入可能額(返済負担率25%)= 208,333円 × 385.75 ≒ 8036万円
見かけ上は「返済負担率25%なら8000万円も借りられる!」となりますが、ここが罠です。実際の審査は「年収倍率」と「返済負担率」の両方をクリアする必要があり、借入可能額は「低い方」になります。
ステップ3:実質上限は「低い方」の5000万円
| 目安の種類 | 計算 | 借入可能額 |
|---|---|---|
| 年収倍率 5倍(民間標準) | 1000万円 × 5 | 5000万円 |
| 年収倍率 7倍(民間上限) | 1000万円 × 7 | 7000万円 |
| 返済負担率 25%(月20.8万) | 208,333円 × 385.75 | 約8036万円 |
| 返済負担率 30%(月25万) | 250,000円 × 385.75 | 約9644万円 |
この例では、年収倍率5倍(5000万円)が実質の上限です。返済負担率25%の計算(8036万円)は「年収倍率」の壁に引っかかるため、実際には5000万円が借りられる天井になります。
独身(年収600万単身)と比べて2000万円借入枠が広がる
もし夫が独身で年収600万円だけなら、同じ年収倍率5倍でも
借入可能額(独身・600万×5)= 3000万円
となります。妻の年収400万を収入合算するだけで、借入可能額の目安は3000万円→5000万円へ、約2000万円広がります。物件価格にすると「借入可能額+頭金」なので、頭金1000万円を用意すれば独身なら4000万円の物件が限界のところ、共働きなら6000万円の物件が視野に入ります。
| ケース | 世帯年収 | 借入可能額(目安) | 頭金1000万での物件上限 |
|---|---|---|---|
| 独身(夫600万単身) | 600万円 | 約3000万円 | 約4000万円 |
| 共働き(夫600万+妻400万) | 1000万円 | 約5000万円 | 約6000万円 |
借入5000万円の「月々の支払い」を確認する
借入5000万円・変動0.5%・35年の場合、月々の返済額は
月返済額 = 50,000,000円 × 0.00041667 ÷ 0.16073 ≒ 129,600円
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 借入額 | 5000万円 |
| 金利(変動0.5%)・35年 | − |
| 月々の返済額 | 約12.96万円 |
| 年間返済額 | 約155.5万円 |
| 合算年収1000万に対する返済負担率 | 約15.6% |
合算手取り(月40.8万円)に対する返済額(月12.96万円)の比率は約31.8%。返済負担率(年収ベース)は15.6%と余裕がありますが、手取りベースで見ると約3割がローン返済になるため、子どもの教育費や老後資金を引くと決して「余裕あり」とは言えません。ギリギリの借入ではなく、手取りの2割程度(月約8万円)を目安にする設計が安心です。
注意点——収入合算ならではの落とし穴
- 産前産後・育児休業:妻が休職すると収入が一時的に減ります。多くの金融機関は「復帰後の年収」や「手取りベース」で審査しますが、審査時点の年収で行うケースもあり、その場合は合算額が目減りします。「いつ産むか」で借入可能額が変わり得る点に注意。
- 連帯債務(ペアローン):収入合算は夫婦双方が借主になる「連帯債務」となることが多いです。一方が死亡・離婚した場合の債務整理ルール(生命保険の団体信用保険のカバー範囲など)を契約前に確認してください。
- どちらかが無収入に:妻が専業になれば収入合算は組めず、借入可能額は夫単身(3000万円)に戻ります。「将来の働き方の変化」を織り込んだ余裕を持った設計が鉄則です。
- 住宅ローン控除の按分:収入合算で共同契約する場合、ローン残高を夫婦で按分すればそれぞれの上限内で住宅ローン控除を受けられます。誰が何割持つかは契約時に決めます(控除額の計算の根拠は住宅ローン控除額の記事)。
- 変動金利のリスク:上の計算は変動0.5%のままですが、金利が上がると返済額も上がります(変動金利が上がったときの返済額を参照)。収入合算で借入枠を最大に使うほど、金利上昇時のリスクも大きくなります。
関連ツール・記事で自分の数字を確かめる
- 手取り計算ツール:2人の年収をそれぞれ入れて「世帯の合算手取り」を出します。
- 住宅ローン計算ツール:借入額から「月々の返済額」を確認します。
- 住宅ローンの借入可能額の記事:年収倍率と返済負担率の全体像。
- 住宅ローン控除額の計算:年末調整・確定申告で戻る税額。
- 生活防衛資金の目安:頭金と合わせて手元に残すべきお金。
- 年収600万円の手取り・年収400万円の手取り:内訳の根拠。
いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は、夫年収600万円+妻年収400万円(ともに会社員・独身・扶養なし・40歳未満)・変動金利0.5%・35年返済・元利均等 を前提とした単純なモデル計算です。実際の借入可能額は、金融機関ごとの審査基準(年収倍率の係数、返済負担率の評価、既存の債務の有無、勤続年数、年齢、物件の担保評価、配偶者の就労形態など)によって大きく変わります。また「返済負担率25%/30%」「年収倍率5〜9倍」は一般的な目安であり、住宅金融支援機構や各金融機関の最新の基準・商品内容は必ずご自身でご確認ください。金利は変動するものであり、将来の返済額を保証するものではありません。本記事は情報提供を目的とし、個別のローン契約・家計判断に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
共働きの収入合算って何?
夫婦2人の年収を合わせて1本の住宅ローンの審査に回す仕組みです。これを「収入合算」または「ペアローン(収入合算型)」と呼びます。審査では「世帯の総年収」と「世帯の総返済負担」を見るため、単身で借りるより借入可能額の目安が大きく上がります。ただし「どちらかが無収入になっても返せるか」も審査されるため、片方が専業主婦(主夫)になると合算できません。
収入合算で借入可能額はいくら上がりますか?
年収600万(独身)単独なら年収倍率5倍で借入目安は約3000万円ですが、妻の年収400万を合算した世帯年収1000万なら、同じ年収倍率5倍で約5000万円に上がります(約2000万円増)。返済負担率25%の目安で逆算すると約8036万円になりますが、実際に借りられるのは「年収倍率と返済負担率のうち低い方」なので、この例では5000万円が実質上限です。
収入合算の審査で気をつける点は?
妻が産前産後・育児休業で収入が一時的に減る時期、あるいはどちらかが転職・退職した場合の返済力が問われます。多くの金融機関は「復帰後の年収」や「手取りベース」で審査しますが、審査時点の年収で行うケースもあります。また収入合算は「連帯債務(夫婦双方が借主)」となることが多く、一方の死亡・離婚時の債務整理ルールを事前に確認しておく必要があります。
住宅ローン控除は夫婦で分けられますか?
はい、収入合算で共同でローンを組む場合、ローン残高を夫婦で「按分(割合配分)」すれば、それぞれの上限内で住宅ローン控除(所得税・住民税の軽減)を受けられます。誰がどの割合で持つかは契約時に決めます。控除額の計算の根拠は「住宅ローン控除額の計算記事」で確認できます。
収入合算のシミュレーションは自分でできますか?
できます。まず2人の年収をそれぞれ手取り計算ツールに入れて「世帯の合算手取り」を出し、次に住宅ローン計算ツールで「借入額→月返済額」を確認します。返済負担率(年間返済額÷世帯年収)が25%前後なら標準的、30%を超えないよう設計するのが鉄則です。入力はすべてブラウザ内で完結し、外部へ送信されません。