年収600万円の手取りはいくら?内訳を1円単位まで分解して計算する

2026-08-15 | 手取り 税金 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「年収600万円って、手取りは実際にいくら残るの?」——出世・転職の年収交渉、住宅ローンの事前審査、家計の見直し。この数字が必要になる場面は多いのに、ネットで検索すると「約460万円」という結論だけが並び、どうやってその数字になったのかが書かれていないことがほとんどです。

この記事では、会社員・独身・扶養なし・40歳未満(介護保険料なし)を前提に、給与所得控除 → 社会保険料 → 所得税 → 住民税の順で、実際の計算式と数値をすべて追います。自分の年収で試したい場合は 手取り計算ツール に金額を入れれば、同じロジックで即座に出ます(入力はどこにも送信されません)。

結論:年収600万円の手取りは約463万円(月約38.6万円)

項目金額備考
年収(額面)6,000,000円賞与含む総支給額
給与所得控除▲1,725,000円収入×20%+525,000円(速算表)
社会保険料▲約870,000円健康保険・厚生年金・雇用保険(給与の約14.5%)
所得税(復興税込)▲約199,100円累進課税・税率10%区分
住民税▲約302,500円所得割10%+均等割5,000円
手取り約4,628,400円月約385,700円/手取り率約77.1%

なぜこの金額になるのか、順に計算します。給与所得控除の式は、国税庁の「給与所得控除の速算表」に基づきます。

ステップ1:給与所得控除は172.5万円

会社員には経費の代わりに給与所得控除が自動で認められます。収入金額 3,300,001円〜6,950,000円の区分は次の式です。

給与所得控除 = 収入金額 × 20% + 525,000円

年収600万円なら 6,000,000 × 0.2 + 525,000 = 1,725,000円。よって課税のベースとなる給与所得は

6,000,000 − 1,725,000 = 4,275,000円

注意点:この控除は「実際に使った経費」とは無関係で、領収書も不要です。逆に言えば、通勤用のスーツ代や書籍代を別に経費計上することは原則できません(特定支出控除は要件が厳しく、実務ではほぼ使えません)。また控除額は「速算表」で決まり、年収が上がるほど控除率は下がります。6,950,000円を超えると式が変わり(収入×10%+1,225,000円)、手取り率の低下が一段と効いてきます。

ステップ2:社会保険料は約87万円(税金より重い)

見落とされがちですが、年収600万円クラスでは社会保険料が所得税・住民税の合計より大きいのが実態です。内訳の目安は次のとおりです。

合計でおよそ給与の14.5%=約87万円。40歳以上になると介護保険料(約0.9%の半分)が加わり、手取りはさらに年2万円強下がります。

注意点:社会保険料は「標準報酬月額」という等級表に当てはめて決まるため、実際は年収に比例した滑らかな数字にはなりません。また厚生年金には上限(標準報酬月額65万円)があり、高年収では料率の実効値が下がります。ここでは概算として率で計算しています(出所の詳しい求め方は社会保険料の計算方法の記事へ)。

ステップ3:所得税は約19.9万円

所得税の課税所得は、給与所得から所得控除を引いて求めます。独身・扶養なしなら基礎控除48万円と社会保険料控除だけです。

課税所得 = 4,275,000 −(社会保険料 870,000 + 基礎控除 480,000)= 2,925,000円

課税所得 1,950,000円〜3,299,000円の区分は税率10%・控除額97,500円です。

2,925,000 × 10% − 97,500 = 195,000円

これに復興特別所得税2.1%が上乗せされます。

195,000 × 1.021 ≒ 199,100円

ここが誤解の多いポイント:「年収600万円だから税率20%」ではありません。税率が掛かるのは課税所得292.5万円に対してで、しかも累進課税なので195万円までの部分は5%、超えた分だけ10%です(速算表の控除額97,500円がその調整)。額面年収に税率を掛けると、実際の2倍近い税額を誤算します。税率20%の区分が始まるのは課税所得330万円超(おおむね年収695万円超)からです。

ステップ4:住民税は約30.3万円

住民税は所得税と控除額が違います。基礎控除が43万円(所得税は48万円)である点が要注意です。

課税所得 = 4,275,000 −(870,000 + 430,000)= 2,975,000円
所得割 = 2,975,000 × 10% = 297,500円
+ 均等割 5,000円 = 約302,500円

注意点:住民税は前年の所得に対して翌年6月から課税されます。つまり新卒1年目の住民税はゼロ、2年目の6月に突然引かれ始めて「手取りが減った」と驚くのはこの仕組みのせいです。逆に退職した翌年は収入がないのに住民税の請求が来ます(出所と計算の詳細は住民税の計算方法の記事へ)。

ステップ5:手取りを合計する

6,000,000 −(870,000 + 199,100 + 302,500)= 4,628,400円

月あたり 約385,700円、手取り率は 約77.1% です。よく言われる「手取りは年収の約8割」は、この年収帯でもおおむね当たりますが、年収が上がると累進課税と控除の縮小で手取り率はゆっくり下がります。

年収500万円と比べると:増えた分の手取り率は約74%

年収手取り(年)手取り(月)手取り率
500万円約389万円約32.4万円約77.9%
600万円約463万円約38.6万円約77.1%
差(+100万円)+約74万円+約6.2万円—

年収が100万円増えても、手取りは約74万円しか増えません(残り約26万円は税・保険料)。つまり「稼いだお金のうち約74%が手元に残る」のが600万円台の目安です。月給が6.2万円増えるイメージで、住宅ローンや貯蓄の計画を立てると現実的です(500万円の内訳の根拠は年収500万円の手取りを1円単位で分解した記事へ)。

この金額から何ができるか(具体例)

よくある誤算4つ

  1. 額面に税率を掛けてしまう:課税所得は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を引いた後の金額です。600万円に10%を掛けると所得税を3倍以上過大に見積もります。
  2. 賞与を月割りして考える:賞与ありだと月の額面が下がるので、月々の手取りは年間手取り÷12より少なくなります。生活費は「月給の手取り」で組むのが安全です。
  3. 住民税の1年遅れを忘れる:昇給・転職の翌年は手取りの伸びが鈍ります。年収が上がった年の翌6月に住民税が跳ねる前提で家計を組んでおくと事故が起きません。
  4. 給与所得控除を「実費」と混同する:通勤代や書籍代を自力で計上できると思い込むと、確定申告で否認されることがあります。給与所得控除は年収ごとの定額できまり、実額は問われません。

注意事項

本記事の数値は概算です。実際の手取りは、健康保険の加入先(協会けんぽか組合健保か)、居住自治体、扶養親族の有無、生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除などの適用によって数万円単位で変わります。とくに住民税の基礎控除(43万円)や各種控除は、ご自身の状況で増減します。手取り計算ツールはこれらを簡略化した概算であるため、記事の数値と数千円前後異なる場合があります。正確な金額は源泉徴収票と住民税決定通知書で確認してください。制度の詳細は国税庁・お住まいの自治体の公式情報が最終的な根拠になります。

自分の年収で同じ内訳を見たい場合は 手取り計算ツール へ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

よくある質問

年収600万円の手取りは月いくら?

会社員・独身・扶養なしの目安で、年間の手取りは約463万円、月あたり約38.6万円です。年収500万円の約32.4万円から月+約6.2万円。手取り率は約77%です。

年収600万円の給与所得控除はいくら?

収入金額が3,300,001円〜6,950,000円の区分に当たるため「収入×20%+525,000円」で計算し、6,000,000円×20%+525,000円=1,725,000円です。

年収600万円の所得税はいくら?

給与所得427.5万円から社会保険料約87万円と基礎控除48万円を引いた課税所得292.5万円に、税率10%・控除額97,500円を適用して約195,000円。復興特別所得税2.1%を加えて約19.9万円です。

年収600万円の住民税はいくら?

住民税の基礎控除は43万円なので課税所得は約297.5万円。所得割10%で約29.8万円、均等割5,000円を足して約30.3万円が目安です(自治体で若干異なります)。

年収600万から手取りを増やすには?

iDeCoや小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、医療費控除、ふるさと納税(実質は前払いですが返礼品分が得)などで課税所得を下げるのが基本です。配偶者のパート収入が103/106/130/150万の壁に近い場合は、扶養から外れることで世帯手取りが逆転するケースもあるため、併せて確認を。

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