住宅ローンの借入可能額は年収の何倍? 年収倍率(5〜8倍)と返済負担率(25%/30%)の2つの目安を計算し、実際の月々の支払いを出す

2026-08-20 | 住宅ローン 借入可能額 年収倍率 返済負担率 住宅購入 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「住宅ローン、年収600万円だけどいくらまで借りられるの? 物件はいくらまで見ればいいの?」——家を買おうとした誰もが最初にぶつかる壁。ネットには「年収の5倍」という言葉が溢れていますが、その数字がどこから来て、実際に月々いくら返済することになるのかを、計算式ごと追っているページは意外と少ないものです。

この記事では、住宅ローンの「借入可能額(いくらまで借りられるか)」を、2つの審査の目安——「年収倍率(年収の何倍)」と「返済負担率(年収の何%まで返済に回せるか)」——の根拠から解説します。年収600万円を例に、年収倍率5倍なら3,000万円、返済負担率25%なら月12.5万円(=借入約4,800万円)の計算になる理由と、「実際は2つのうち低い方が上限」という鉄則を具体数値で確認します。

📌 結論ファースト:借入可能額の目安は ①年収倍率(民間5〜7倍/フラット35は8倍) と ②返済負担率(年収の25%=基準/30%=限度) の2つ。年収600万円なら①で3,000万〜4,200万円、②で月12.5万円=借入約4,822万円。ただし実際に借りられるのは「低い方」なので、この例では年収倍率5倍の 3,000万円 が実質上限。物件価格は「借入可能額 + 頭金」で決まります。

ルール1:年収倍率(年収の何倍まで借りられるか)

多くの金融機関が、借入可能額の目安を「年収 × 年収倍率」で示します。これは「年収が高いほど返済源が安定する」という単純な考えに基づく、審査の第1ゲートです。

金融機関の種類目安の年収倍率年収600万での借入目安
民間銀行・信金(標準)年収の5〜7倍3,000万〜4,200万円
フラット35(住宅金融支援機構)原則 年収の8倍(収入合算で9倍)4,800万円(収入合算で5,400万円)

年収倍率はあくまで「ざっくりした上限」です。ここで言う「年収」は給与収入などの合計で、賞与を含む総支給額がベースになります。ただしこの数字だけでは、「毎月いくら返済できるか」という肝心の返済能力が見えてきません。そこで登場するのが次の「返済負担率」です。

ルール2:返済負担率(年収の何%まで返済に回せるか)

返済負担率とは、「1年間のローン返済額 ÷ 年収」の割合のことです。金融機関は「年収のうち、生活費や他の支払いを引いてもローンを返せるのか」を、この割合で測ります。

返済負担率 =(年間のローン返済額 ÷ 年収)× 100

返済負担率意味年収600万での年間・月額上限
25%(基準)多くの金融機関が「標準」とするライン年間150万円 = 月12.5万円
30%(限度)これを超えると審査が厳しくなる目安年間180万円 = 月15万円

注意点:この「年間ローン返済額」には、住宅ローンだけでなく、既存のカードローン・車のローン・教育ローン、さらにはボーナス返済分も含めます。つまり「住宅ローンを組む前に別のローンを抱えている」と、同じ年収でも借入可能額の目安はガクッと下がります。

ステップ:元利均等で「月返済額から借入可能額」を逆算する

返済負担率から「月いくらなら返せる」がわかったら、次はその月額でいくら借りられるかを出します。住宅ローンの標準である「元利均等返済」の場合、借入可能額は次の式で逆算できます。

借入可能額 = 月返済額 × (1 − (1+月利率)の−返済回数乗) ÷ 月利率

ここで 月利率 = 年利 ÷ 12、返済回数 = 返済年数 × 12 です。例として、変動金利0.5%、35年(420回)で計算します。

この 0.16073 と 月利率 0.00041667 の比(=約385.75)が「月1円の返済で借りられる総額」の目安になります。これを使って計算します。

具体例:年収600万円で、実際にいくら借りられるか

年収600万円(月収50万円・額面)、独身、変動金利0.5%、35年返済を想定します。

目安の種類計算借入可能額
年収倍率 5倍600万円 × 53,000万円
年収倍率 7倍600万円 × 74,200万円
返済負担率 25%(月12.5万)125,000円 × 385.75約4,822万円
返済負担率 30%(月15万)150,000円 × 385.75約5,786万円

見かけ上は「返済負担率25%なら4,800万円も借りられる!」となりますが、ここが最大の罠です。実際の審査では「年収倍率」と「返済負担率」の両方をクリアする必要があり、借入可能額は「低い方」になります。この例では年収倍率5倍の 3,000万円 が実質の上限です。

借入3,000万円の「月々の支払い」を確認する

では借入3,000万円の場合、実際に月々いくら払うことになるか。先の係数を使って出します。

月返済額 = 30,000,000円 × 0.00041667 ÷ 0.16073 ≒ 77,772円

項目金額
借入額3,000万円
金利(変動0.5%)・35年−
月々の返済額約77,800円
年間返済額約93.3万円
年収600万に対する返済負担率約15.6%

借入3,000万円なら返済負担率は15.6%と余裕があります。もし「もっと借りたい」と年収倍率7倍(4,200万)を狙うと、月返済額は約108,900円、返済負担率は約21.8%まで上がります。ギリギリの返済負担率で借りるか、余裕を持つか——ここが住宅購入の重要な分かれ道です。

注意点:借入可能額 ≠ 物件価格

借入可能額は「ローンで借りられる額」であって、買える物件の価格ではありません。物件価格は次の関係です。

物件価格 = 借入可能額 + 自己資金(頭金)

例えば借入3,000万円の上限でも、頭金1,000万円を用意すれば4,000万円の物件が買えます。逆に、頭金を薄くして「借入上限いっぱい」で物件を探すと、諸費用(仲介手数料・登記費用・税金など、物件価格の約5〜10%)や、いざという時の生活防衛資金まで削るリスクが生じます(生活防衛資金の目安も併せてどうぞ)。

よくある誤算3つ

  1. 「年収倍率で出た金額いっぱい借りられると思う」:実際は返済負担率の審査もあり、低い方が上限です。年収倍率7倍(4,200万)が出ても、返済負担率30%の計算(5,786万)には届かず、多くの場合年収倍率側が引っかかります。
  2. 「変動金利0.5%のまま計算すれば安心」:変動金利は将来上がる可能性があります。金利が2%に上がると、借入3,000万・35年の月返済額は約77,800円から約99,400円(約2.2万円増)になり、返済負担率も跳ね上がります(変動金利が上がったときの返済額を参照)。
  3. 「ボーナス返済を大きく組めば借りられる」:ボーナス返済を入れると確かに借入可能額の目安は上がりますが、ボーナスカット時に支払いが滞るリスクが高まります。無理なボーナス返済設定は避け、年収倍率・返済負担率ともに「標準」のライン(5倍・25%)を目安にするのが鉄則です。

関連ツール・記事で自分の数字を確かめる

いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は、年収600万円(独身・賞与込み総支給)・変動金利0.5%・35年返済・元利均等 を前提とした単純なモデル計算です。実際の借入可能額は、金融機関ごとの審査基準(年収倍率の係数、返済負担率の評価、既存の債務の有無、勤続年数、年齢、物件の担保評価など)によって大きく変わります。また「返済負担率25%/30%」は一般的な目安であり、住宅金融支援機構や各金融機関の最新の基準・商品内容は必ずご自身でご確認ください。金利は変動するものであり、将来の返済額を保証するものではありません。本記事は情報提供を目的とし、個別のローン契約・家計判断に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

住宅ローンは年収の何倍まで借りられますか?

目安は金融機関によりますが、民間の銀行・信金などは一般的に「年収の5〜7倍」、住宅金融支援機構のフラット35は原則「年収の8倍(収入合算で9倍)」が目安です。ただし「年収倍率」だけでなく「返済負担率」の審査も通る必要があり、実際に借りられるのは「2つの目安のうち低い方」になります。

返済負担率の25%と30%の違いは?

返済負担率とは「年間のローン返済額 ÷ 年収」の割合です。25%は多くの金融機関が「基準(標準)」とするライン、30%は「限度(これを超えると厳しい)」とするラインです。給与収入だけでなく、既存のカードローンや車のローン、ボーナス返済分もこの割合に含めて計算されます。

借入可能額はどうやって計算しますか?

元利均等返済の場合、月返済額 M、月利率 r、返済回数 n として、借入可能額 = M × (1 − (1+r)の−n乗) ÷ r で逆算できます。例えば変動0.5%・35年(420回)で月12.5万円なら、約4,822万円が借りられる計算になります。自分の数字は住宅ローン返済シミュレーター等で確かめられます。

ボーナス返済を入れると借入額は増えますか?

はい、年2回のボーナスからの返済(ボーナス返済)を組み込むと、同じ年収でも借入可能額の目安は上がります。ただしボーナスが減額・カットされたときのリスクが高まるため、無理なボーナス返済設定は避けるのが鉄則です。

年収が同じでも独身と共働きで借入額は変わりますか?

変わります。審査では「世帯の総年収」と「世帯の総返済負担」を見るため、共働きなら2人の年収を合算でき、借入可能額の目安が大きく上がります。一方で育児休業やどちらかの収入減も考慮し、余裕を持った設計が推奨されます。

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