厚生年金の年金額はどうやって決まる? 報酬比例部分の計算式(平均標準報酬額×5.481/1000×月数)を1円単位で計算——基礎年金合算・在職老齢年金・加給年金まで

2026-08-26 | 厚生年金 年金 報酬比例部分 老齢年金 社会保険 手取り 家計 計算 ねんきん

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「会社員として30年働いたら、年金は月いくらもらえるんだろう?」——厚生年金に長く入っている人ほど、この数字が気になります。ネットで「厚生年金 月額 計算」「年金 いくらもらえる」と検索する人は多いですが、「平均標準報酬額×5.481/1000×月数」という報酬比例部分の計算式を、具体数値とともに1円単位で追っているページは意外と少ないものです。

この記事では、厚生年金の報酬比例部分の計算式(厚生年金保険法の規定)を根拠に、平均標準報酬額と加入月数の組み合わせごとに年金額を整理します。年収500万円(平均標準報酬額約30万円)で40年働くと報酬比例部分は年約63.5万円(月約5.3万円)という具体例と、知らないと損する「2003年3月以前と4月以降で乗率が違う」、そして基礎年金(満額年831,700円)との合算、在職老齢年金による減額、加給年金の壁までを確認します。

📌 結論ファースト:厚生年金の年金額(報酬比例部分)は「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」で決まります(2003年4月以降の期間。それ以前は 7.125/1000)。年収500万円(平均標準報酬額30万円)で40年(480月)働くと639,408円/年(月53,284円)。これに老齢基礎年金の満額(年831,700円・2025年度)を合わせると、会社員の標準的な年金は年約147万円(月約12.3万円)が目安です。ただし65歳以降も働くと「在職老齢年金」で報酬比例部分が減額され、配偶者が年下なら「加給年金」が上乗せされるなど、最終額はこれ alone では決まりません。

ステップ1:厚生年金の年金額は「報酬比例部分」で決まる

会社員(厚生年金)の老齢年金は、①老齢基礎年金(国民年金の部分・定額)と、②老齢厚生年金の報酬比例部分(給与に応じた部分)の2階建てです。この記事が扱うのは②の「報酬比例部分」の計算です。

報酬比例部分は、これまでの給与(標準報酬月額)の平均に、勤続月数を掛けて出します。式は次のとおりです。

報酬比例部分(年額) = 平均標準報酬額 × 乗率 × 加入月数 ÷ 12
 乗率(2003年4月以降の期間):5.481 / 1000
 乗率(2003年3月以前の期間):7.125 / 1000

この「乗率5.481/1000」は、物価・賃金の伸びを織り込んだ厚生年金法上の定数です。給与が高いほど、長く働くほど、報酬比例部分は大きくなりますが、「給与×〇%」ではなく、あくまで「過去の標準報酬の平均×月数」で決まる点に注意してください。

ステップ2:具体数値例で確認(年収別・勤続年数別)

平均標準報酬額は「過去の標準報酬月額の平均」です。年収(賞与込み)をおおむね12で割った額に近くなりますが、標準報酬月額は等級ごとに区切られるため、ここでは代表的な平均標準報酬額で試算します(いずれも2003年4月以降のみの期間とし、乗率5.481/1000 で計算)。

平均標準報酬額年収の目安加入20年(240月)加入30年(360月)加入40年(480月)
200,000円約370万円年219,240円(月18,270円)年328,860円(月27,405円)年438,480円(月36,540円)
300,000円約560万円年328,860円(月27,405円)年493,290円(月41,108円)年639,408円(月53,284円)
400,000円約740万円年438,480円(月36,540円)年657,720円(月54,810円)年852,540円(月71,045円)
500,000円約930万円年548,100円(月45,675円)年822,150円(月68,513円)年1,065,675円(月88,806円)

※ 報酬比例部分=平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 月数 ÷ 12。1円未満は四捨五入。実際の標準報酬月額は等級区分(下限约98,000円〜上限1,390,000円)に丸められるため、年収からの目安は概算です。

年収500万円(平均標準報酬額30万円)で40年働くケースを式で確認します。

300,000円 × 5.481/1000 × 480月 ÷ 12 = 639,408円/年(月53,284円)

つまり標準的な会社員の厚生年金(報酬比例部分)は月約5.3万円です。これだけでは生活できませんが、ここに①の老齢基礎年金(満額なら年831,700円・月約69,308円)を合わせると、合計で年約147万円(月約12.3万円)になります。

ステップ3:基礎年金と合わせた「標準的な年金」の目安

老齢年金の総額は、①基礎年金(定額)+②厚生年金報酬比例部分(給与連動)の合算です。基礎年金は「40年納めた満額」で年831,700円(2025年度)です。

年収(平均標準報酬額)厚生年金報酬比例(40年)+基礎年金満額合計(年/月)
約370万円(20万円)年438,480円+831,700円年1,270,180円(月105,848円)
約560万円(30万円)年639,408円+831,700円年1,471,108円(月122,592円)
約740万円(40万円)年852,540円+831,700円年1,684,240円(月140,353円)
約930万円(50万円)年1,065,675円+831,700円年1,897,375円(月158,115円)

「年金だけで生活する」にはこの額がベースになります。手取りとの比較で言えば、年金は公的年金等の所得として所得税・住民税の対象になりますが、65歳以降の公的年金は「公的年金等控除」が効くため、全額が課税されるわけではありません。年金生活の家計シミュレーションは 年金生活で「月いくら」使える? の記事 で確認できます。

ステップ4:知らないと損する「2003年3月以前」の乗率の違い

報酬比例部分の計算で最も見落とされやすいのが、加入期間のうち「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で乗率が違うことです。

期間乗率計算式
2003年4月以降の期間5.481 / 1000平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 月数
2003年3月以前の期間7.125 / 1000平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 月数(当時のベース)

2003年4月の年金制度改正(民主党?ではなく、財政再計算)で、若い世代ほど将来の支給額が下がるように乗率が引き下げられました。そのため同じ平均標準報酬額でも、2003年以前の期間が長い人(高齢層)のほうが報酬比例部分は大きく計算されます。現役世代(2003年4月以降しかない人)は 5.481/1000 のみですが、ベテラン層は両方が混ざるため、自分の「ねんきん定期便」の見込額と単純計算がズレる原因になります。

⚠ 「標準報酬月額」と「標準報酬月額の平均」は別物です。平均標準報酬額は、毎月の標準報酬月額を(再評価率で現在価値に換算したうえで)期間で平均したものです。昇給したり賞与が多くても、過去の低い月も平等に平均に入るため、現役時代の手取り感覚より低く出るのが普通です。

ステップ5:65歳以降も働くと「在職老齢年金」で減額される

計算した報酬比例部分は、そのままもらえるとは限りません。65歳以降も厚生年金に加入して働く(在職老齢年金)と、報酬比例部分が減額されます。

支給停止額(月) = (総報酬月額相当額 + 基本月額 − 510,000円)× 1/2

令和7年度(2025年度)の停止基準額は月51万円です。給与(総報酬月額相当額)65万円・基本月額10万円なら、(650,000 + 100,000 − 510,000)÷ 2 = 月120,000円の停止。基本月額10万円を上回るため、老齢厚生年金は全額停止になります(基礎年金部分はそのまま)。

つまり「厚生年金をたくさんもらうための計算」をしても、65歳以降に働きすぎると報酬比例部分がカットされるという逆の調整が入ります。この「働くほど減る」境界の正体は 在職老齢年金の計算の記事 で1円単位に追っています。

ステップ6:配偶者が年下なら「加給年金」が上乗せされる

厚生年金の報酬比例部分とは別に、生計を維持する年下の配偶者(65歳未満)や子がいる場合、「加給年金」が上乗せされます。これは老齢厚生年金の被保険者期間が20年以上(240月)あることが要件です。

加算の種類(令和7年度)年額
配偶者加給年金234,800円 + 特別加算 173,300円 = 408,100円
子の加算(1人目・2人目)各234,800円
子の加算(3人目以降)各78,300円

最大の関門は「厚生年金の被保険者期間240月(20年)」。239か月では1円も出ず、240か月に1か月足りないだけで年408,100円が消える断崖的な制度です。配偶者が65歳になると加給年金は止まり、代わりに配偶者自身の基礎年金に「振替加算」が付きます(額は小さくなります)。この「もらえる条件・消える条件」の詳細は 加給年金と振替加算の記事 で確認できます。

よくある誤算3つ

  1. 「給与の〇%が年金になる」と思い込む:厚生年金は給与の一定割合をもらう仕組みではなく、「過去の標準報酬の平均 × 月数 × 乗率」で決まります。現役時代の手取り感覚より低く出るのは、過去の低い月も平均に入るためです。
  2. 「計算した額がそのまま振り込まれる」と思う:65歳以降も働くと在職老齢年金で減額され、配偶者がいれば加給年金が上乗せされるなど、報酬比例部分 alone では最終額は決まりません。
  3. 「2003年前后で同じ式」と思う:2003年3月以前は乗率7.125/1000、4月以降は5.481/1000と違います。高齢層ほど過去の期間分が大きく計算されるため、単純計算とのズレの原因になります。

自分の数字で試算する

平均標準報酬額と加入月数を入れ替えて、自分の報酬比例部分を確認するには、下記のツールが使えます。すべてブラウザ内で計算され、入力内容が外部に送信されることはありません。

関連する計算

注意事項

本記事の数値は、厚生年金の報酬比例部分=平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 月数(2003年4月以降)・7.125/1000 × 月数(2003年3月以前)という厚生年金保険法の規定、および老齢基礎年金の満額 年831,700円(2025年度)、在職老齢年金の支給停止基準額 月51万円(令和7年度)、加給年金 年408,100円(令和7年度)に基づく単純計算です。実際の年金額は、2003年3月以前の被保険者期間(乗率7.125/1000・平均標準報酬月額ベース)の有無、再評価率、物価・賃金スライドによる年度改定、経過的加算、在職老齢年金による支給停止、加給年金・振替加算の適用、および標準報酬月額の等級区分(下限約98,000円〜上限1,390,000円)による丸めによって変わります。平均標準報酬額は実際の標準報酬月額の等級平均であり、年収からの目安は概算です。年金額は毎年度改定され、制度も改正されることがあるため、最新の金額と自分の見込額は必ず日本年金機構・年金事務所、または「ねんきんネット」「ねんきん定期便」でご確認ください。本記事は情報提供を目的としたもので、個別の年金相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

厚生年金の年金額はどうやって決まりますか?

老齢厚生年金の「報酬比例部分」は、平均標準報酬額(過去の標準報酬月額の平均)× 乗率(2003年4月以降は5.481/1000、それ以前は7.125/1000)× 加入月数 ÷ 12 で決まります。基礎年金(満額なら年831,700円・2025年度)と合わせた額が老齢年金の総額です。年収500万円(平均標準報酬額30万円)で40年働くと、報酬比例部分は年639,408円(月53,284円)が目安です。

なぜ2003年前后で計算が変わるのですか?

2003年4月の年金制度改正で、将来の支給額を抑えるため若い世代の乗率が 7.125/1000 から 5.481/1000 に引き下げられました。そのため、2003年3月以前の期間が長い人(高齢層)のほうが、同じ平均標準報酬額でも報酬比例部分は大きく計算されます。現役世代(2003年4月以降しかない人)は5.481/1000のみです。

計算した額がそのまま振り込まれますか?

いいえ。65歳以降も厚生年金に加入して働くと「在職老齢年金」により報酬比例部分が減額され(令和7年度の停止基準額は月51万円)、逆に生計を維持する年下の配偶者や子がいれば「加給年金(年408,100円・令和7年度)」が上乗せされます。報酬比例部分 alone では最終額は決まりません。

平均標準報酬額って何ですか?

毎月の標準報酬月額(等級区分に丸められた額)を、再評価率で現在価値に換算したうえで期間で平均したものです。年収を12で割った額に近くなりますが、等級区分や過去の低い月も平等に平均に入るため、現役時代の手取り感覚より低く出るのが普通です。自分の値は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。

標準的な会社員の年金は月いくらですか?

年収500万円(平均標準報酬額30万円)で40年働いた場合、報酬比例部分が月約5.3万円、基礎年金満額が月約6.9万円で、合計月約12.3万円(年約147万円)が目安です。年収が高いほど報酬比例部分は大きくなりますが、標準報酬月額の上限(約139万円)があるため、高所得ほど増え方は緩やかになります。

自分で正確な額を知るにはどうすればいいですか?

日本年金機構の「ねんきんネット」にログインするか、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で、自分の平均標準報酬額・加入月数・見込額を確認できます。本記事の計算はあくまで式の理解と目安のための単純計算です。

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