加給年金はいくら? 年408,100円(月34,008円)の内訳と、妻の厚生年金20年・繰下げで消える罠、振替加算の生年月日別早見表を1円単位で計算
加給年金は「年金版の family 手当」と呼ばれますが、金額を正しく説明した記事は少ないです。令和7年度の配偶者加給年金は加給年金額 234,800円 + 特別加算 173,300円 = 年408,100円(月34,008円)。妻が5歳下なら5年で2,040,500円という大きな金額です。しかし厚生年金を繰下げている間は1円も支給されません。この記事では、もらえる条件、金額の内訳、妻の厚生年金20年で消える理由、妻65歳で加給が振替加算(昭和35年度生まれなら年21,771円)に切り替わる仕組み、そして「繰下げで加給を捨てても得か」を2.25年で元が取れるという計算まで、すべて1円単位で示します。
誰のための記事か——「妻の分が加算される」と聞いたが金額が分からない人へ
この記事を探しているのは、たとえばこんな人です。
- 65歳が近づき、年下の配偶者がいると年金が増えると聞いたが、いくらなのか分からない人
- ねんきん定期便の見込額に加給年金が載っていない理由を知りたい人
- 繰下げ受給を検討していて、加給年金を捨てることになるのが不安な人
- 妻が長く働いていたので、加給年金がもらえないのではないかと心配な人
- 加給年金が急に止まり、代わりに振替加算という少額が付いた理由を知りたい人
よくある誤解は3つです。①配偶者がいれば誰でももらえる、②一生もらえる、③繰下げれば加給年金も増える。正解は、①自分が厚生年金20年以上+配偶者が65歳未満+配偶者の収入要件、②配偶者が65歳になったら終わり、③繰下げても加給年金は増えないどころか待機中は支給ゼロ、です。順に金額で確認します。
制度の正体は「配偶者が年金をもらえない期間の穴埋め」である
加給年金の本質は、夫(受給者)が65歳で年金生活に入ったのに、年下の配偶者はまだ老齢基礎年金をもらえないという時間差を埋める仕組みです。だから配偶者が65歳になって自分の基礎年金が始まった瞬間に、加給年金は役目を終えて止まります。
そして止まるのと入れ替わりに、配偶者側の基礎年金に付くのが振替加算です。名前のとおり「夫の加給 → 妻の基礎年金へ振り替える」加算で、金額は生年月日が新しいほど小さくなり、昭和41年4月2日以後生まれには1円も付きません。加給年金と振替加算はセットで理解する必要があります。
計算式の根拠——加給年金は「定額 + 特別加算」の2階建て
配偶者の加給年金額は、次の足し算で決まります。
月額にすると 408,100 ÷ 12 = 34,008円(端数処理前)です。ここで重要なのは、特別加算のほうが金額の42.5%を占めるという点です。特別加算は受給者本人の生年月日で決まり、昭和18年4月2日以後生まれで最高額の173,300円になります。今から65歳を迎える人は全員この最高額に該当するため、実務上は年408,100円で計算して問題ありません。
子(18歳到達年度末まで、障害等級1・2級なら20歳未満)がいる場合の加算は別建てです。
- 子1人 → 234,800円(月19,566円)
- 子2人 → 469,600円(月39,133円)
- 子3人 → 234,800×2+78,300=547,900円(月45,658円)
3人目から金額が3分の1に落ちるのが盲点です。子2人までは1人あたり234,800円ですが、3人目は78,300円しか増えません。
もらえる条件——3つすべてを満たす必要がある
- 本人の厚生年金の加入期間が20年(240か月)以上あること。19年11か月では1円も出ません。これが最大の関門です。
- 老齢厚生年金(または障害厚生年金1・2級)を受け取り始めていること。
- 生計を維持している配偶者が65歳未満、かつ配偶者の年収が850万円未満(所得655.5万円未満)であること。
「20年以上」は、中高齢者の特例(40歳以降に15〜19年で足りる場合)が使えることもあります。転職が多い人は、加入月数の合計が240か月に届いているかを必ず「ねんきんネット」で確認してください。239か月と240か月の差が年408,100円になるという、極端に断崖的な制度です。
ケースA:夫65歳・妻60歳(5歳下)——5年で2,040,500円
夫が厚生年金25年加入、妻は専業主婦で60歳という典型例です。妻が65歳になるまでの5年間、加給年金が付きます。
| 期間 | 加給年金(年額) | 累計 |
|---|---|---|
| 1年目(妻60→61歳) | 408,100円 | 408,100円 |
| 2年目 | 408,100円 | 816,200円 |
| 3年目 | 408,100円 | 1,224,300円 |
| 4年目 | 408,100円 | 1,632,400円 |
| 5年目(妻64→65歳) | 408,100円 | 2,040,500円 |
| 妻65歳到達後 | 0円(打ち切り) | 2,040,500円で確定 |
年の差が金額に直結します。妻が3歳下なら3年分=1,224,300円、10歳下なら10年分=4,081,000円。単純に「年の差 × 408,100円」で計算できます。
妻の厚生年金が20年以上あると消える——加給が出ない2つのパターン
ここが最も見落とされる罠です。加給年金は、配偶者自身が厚生年金20年以上の老齢厚生年金を受け取れる場合、支給停止になります。共働きが当たり前になった世代では、これに該当する人が急増しています。
- パターン1:妻が厚生年金20年以上で、すでに特別支給の老齢厚生年金などを受給中 → 夫の加給年金は支給停止。5歳差なら2,040,500円がゼロになります。
- パターン2:妻の年収が850万円以上 → 生計維持関係が認められず不支給。
逆に言えば、妻の厚生年金が19年11か月なら加給年金は満額出るということです。妻が19年台の人は、迂闊に加入期間を伸ばすと世帯の年金が減る可能性があります。ただし妻自身の老齢厚生年金は加入期間に比例して増え続けるため、単純に「働かないほうが得」とは言えません。判断の目安は次の比較です。
妻の年収300万円で1年働くと厚生年金の報酬比例部分は概算で年16,400円ほど増えます(300万 × 5.481/1000 × 1年)。これを20年受け取れば328,000円。一方、消える加給年金が5年分2,040,500円なら、加給年金の損のほうが6倍大きいことになります。20年目に到達する寸前の人は、この計算を必ず確認してください。
繰下げ受給との衝突——待機中は加給年金がゼロ
年金の繰下げは「1か月0.7%増額」で有名ですが、老齢厚生年金を繰下げている間、加給年金は1円も支給されません。しかも待機期間分が後から補填されることもありません。単純に消えます。
夫の老齢厚生年金が年2,160,000円(月18万円)、妻が5歳下のケースで、5年繰下げ(70歳受給開始)した場合を計算します。
- 増額率:0.7% × 60か月 = 42%増
- 繰下げ後の厚生年金:2,160,000 × 1.42 = 3,067,200円(年間 +907,200円)
- 捨てる加給年金:408,100 × 5年 = 2,040,500円
- 回収にかかる年数:2,040,500 ÷ 907,200 = 約2.25年
ただし基礎年金だけを繰下げ、厚生年金は65歳から受け取るという選択も可能です。この場合、加給年金は厚生年金に付くので満額もらいながら、基礎年金の増額も取れます。加給年金が大きい人(年の差が大きい人)には、この片方だけ繰下げが有力な選択肢になります。
振替加算——加給が終わると妻の基礎年金に付く「小さな後継」
妻が65歳になると加給年金は止まりますが、代わりに妻自身の老齢基礎年金に振替加算が付きます。金額は次の式です。
乗率は生年月日が新しいほど小さくなり、昭和41年4月2日以後生まれはゼロです。制度が第3号被保険者を導入した昭和61年以降に自分で保険料を納める期間が確保されたため、経過措置として段階的に廃止されているのです。主な生年月日の金額は次のとおりです。
| 妻の生年月日 | 乗率 | 年額 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 昭和10年4月2日〜11年4月1日 | 0.760 | 177,916円 | 14,826円 |
| 昭和20年4月2日〜21年4月1日 | 0.493 | 115,411円 | 9,618円 |
| 昭和25年4月2日〜26年4月1日 | 0.360 | 84,276円 | 7,023円 |
| 昭和30年4月2日〜31年4月1日 | 0.227 | 53,141円 | 4,428円 |
| 昭和33年4月2日〜34年4月1日 | 0.147 | 34,413円 | 2,868円 |
| 昭和35年4月2日〜36年4月1日 | 0.093 | 21,771円 | 1,814円 |
| 昭和36年4月2日〜41年4月1日 | 0.067 | 15,685円 | 1,307円 |
| 昭和41年4月2日以後 | — | 0円 | 0円 |
加給年金408,100円 → 振替加算21,771円(昭和35年度生まれ)という落差に注目してください。妻の65歳到達で世帯の年金は年386,329円(月約32,194円)減ることになります。これは「妻の基礎年金が始まるから相殺される」と説明されますが、妻の基礎年金は加給年金の有無に関係なく出るものなので、加給年金の消滅は純粋な減収です。家計計画では妻65歳を「年約39万円のダウン」として織り込む必要があります。
なお振替加算は一生続き、25年受け取れば 21,771 × 25 = 544,275円になります。ただし妻自身の厚生年金が20年以上ある場合は振替加算も付きません(加給年金と同じ考え方です)。
在職老齢年金との関係——止まるのは報酬比例、加給は道連れになる
65歳以降も働いて厚生年金に加入していると、在職老齢年金により報酬比例部分が減額されます。令和7年度の停止基準額は51万円です。
たとえば給与(総報酬月額相当額)65万円、基本月額10万円なら、(650,000 + 100,000 − 510,000)÷ 2 = 月120,000円の停止。基本月額10万円をすべて上回るため、老齢厚生年金は全額停止です。そしてここが罠で、老齢厚生年金が全額停止になると加給年金も支給されません。年408,100円が働いたせいで消えるのです。
落とし穴8つ——ここで損をする
- 厚生年金239か月では1円も出ない。240か月との差が年408,100円。転職の多い人は加入月数を必ず確認。
- 届出が必要。自動では付きません。「加給年金額加算開始事由該当届」を年金事務所に提出しないと支給されません。
- 妻の厚生年金20年で消える。共働き世帯では加給年金ゼロが普通になっています。
- 繰下げ待機中はゼロ。後から補填されません。厚生年金だけ65歳受給にする選択肢を検討。
- 在職老齢年金で全額停止だと加給も止まる。働き方によって年408,100円が消えます。
- 妻65歳で打ち切り。振替加算は昭和35年度生まれで年21,771円まで縮小し、昭和41年4月2日以後生まれはゼロ。
- 離婚・死別で失権。生計維持関係がなくなった時点で終了。届出義務があります。
- 子の3人目は78,300円だけ。1・2人目の234,800円の3分の1です。
手続きの4ステップ
- 加入月数を確認する。ねんきんネットまたはねんきん定期便で厚生年金の加入月数が240か月以上あるかを見る。
- 配偶者の年齢・年収・年金加入歴を確認する。65歳未満/年収850万円未満/厚生年金20年未満なら対象。
- 年金請求書に配偶者・子を記載する。65歳到達時の請求で記載漏れがあると加算されません。すでに受給中で要件を満たした場合は「加給年金額加算開始事由該当届」を提出。
- 配偶者が65歳になったら振替加算を確認する。妻の年金額に振替加算が反映されているかを通知書で確認。付いていない場合は年金事務所に照会。
加給年金・振替加算シミュレーター
本人の厚生年金加入月数、年齢差、繰下げ月数、配偶者の生年月日区分を入れると、受け取れる加給年金の総額、繰下げで捨てる額とその回収年数、そして振替加算の年額を計算します。入力はすべてブラウザ内で処理され、外部に送信されません。
令和7年度の加給年金額234,800円+特別加算173,300円=408,100円、振替加算の基準額234,100円で計算した概算です。実際の支給額・加算の可否は加入記録と生年月日で決まります。
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注意事項
本記事の数値は令和7年度(2025年度)の年金額(配偶者の加給年金額234,800円、特別加算173,300円、子の加算1・2人目234,800円/3人目以降78,300円、振替加算の基準額234,100円、在職老齢年金の支給停止基準額51万円)に基づく単純計算です。年金額は毎年度の物価・賃金変動により改定されるため、実際の金額は異なります。特別加算の額は受給者本人の生年月日で変わり、本記事は昭和18年4月2日以後生まれの最高額で計算しています。振替加算の乗率は配偶者の生年月日により細かく区分され、本記事の表は代表的な区分の抜粋です。加給年金の支給には「厚生年金の被保険者期間20年以上(中高齢者の特例を含む)」「配偶者が65歳未満」「生計維持関係(配偶者の年収850万円未満)」の要件があり、配偶者自身が厚生年金20年以上の老齢厚生年金や障害年金を受け取れる場合は支給停止となります。繰下げ待機中および在職老齢年金による全額支給停止中は加給年金は支給されず、後から補填されません。振替加算にも同様の要件・経過措置があり、昭和41年4月2日以後生まれは対象外です。加算は自動では付かず届出が必要で、離婚・死別・生計維持関係の消滅により失権します。個別の受給額・要件の判定は必ず日本年金機構(ねんきんネット・年金事務所)でご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の判断に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
加給年金はいくらもらえますか?
令和7年度の配偶者の加給年金は「加給年金額234,800円+特別加算173,300円=年408,100円」で、月額に直すと34,008円です。特別加算は受給者本人の生年月日で決まり、昭和18年4月2日以後生まれは最高額の173,300円なので、これから65歳を迎える人は全員408,100円で計算して差し支えありません。配偶者が65歳になるまで支給されるため、配偶者が5歳下なら5年分で2,040,500円、3歳下なら1,224,300円、10歳下なら4,081,000円になります。金額は「年の差×408,100円」で概算できます。
加給年金をもらえる条件は何ですか?
3つすべてを満たす必要があります。①本人の厚生年金の被保険者期間が20年(240か月)以上(中高齢者の特例に該当する場合を含む)、②老齢厚生年金または障害厚生年金1・2級を受け取り始めている、③生計を維持している配偶者が65歳未満で年収850万円未満。最大の関門は①で、239か月では1円も出ません。240か月に1か月足りないだけで年408,100円が消えるという断崖的な制度なので、転職の多い人はねんきんネットで加入月数を必ず確認してください。
妻が長く働いていると加給年金はもらえませんか?
配偶者自身が厚生年金20年(240か月)以上の老齢厚生年金を受け取れる場合、加給年金は支給停止になります。共働き世帯では該当する人が増えており、5歳差なら本来受け取れた2,040,500円がゼロになります。逆に配偶者の加入期間が19年11か月なら満額支給されます。ただし配偶者自身の厚生年金も加入期間に比例して増えるため、単純に働かないほうが得とは言えません。年収300万円で1年働くと報酬比例部分は年16,400円ほど増え、20年受給で328,000円。消える加給年金2,040,500円のほうが6倍大きい計算になります。
繰下げ受給をすると加給年金はどうなりますか?
老齢厚生年金を繰下げている待機期間中は、加給年金が1円も支給されません。しかも待機分が後から補填されることもなく、単純に消えます。厚生年金が年2,160,000円で5年繰下げ(70歳開始)なら42%増で年3,067,200円(+907,200円)になり、捨てる加給年金2,040,500円は約2.25年で回収できます。つまり72歳3か月ごろまで生きれば損は戻ります。なお「基礎年金だけ繰下げ、厚生年金は65歳から受給」とすれば加給年金を満額もらいながら増額も取れるので、年の差が大きい人にはこの片方繰下げが有力です。
振替加算とは何ですか?いくらもらえますか?
配偶者が65歳になって加給年金が打ち切られるとき、入れ替わりに配偶者自身の老齢基礎年金に付く加算です。金額は「基準額234,100円×生年月日別の乗率」で、生年月日が新しいほど小さくなります。昭和30年度生まれで年53,141円(月4,428円)、昭和35年度生まれで年21,771円(月1,814円)、昭和36年4月2日〜41年4月1日生まれで年15,685円、そして昭和41年4月2日以後生まれは0円です。加給年金408,100円との落差が大きく、昭和35年度生まれの配偶者なら世帯の年金は年386,329円(月約32,194円)減ります。
加給年金は自動でついてきますか?
つきません。届出が必要です。65歳の年金請求書に配偶者・子を記載するか、受給開始後に要件を満たした場合は「加給年金額加算開始事由該当届」を年金事務所に提出します。この手続きを忘れると年408,100円が支給されません。また、ねんきん定期便の見込額には加給年金が含まれていないため、「見込額に載っていないから対象外」と誤解しないでください。配偶者が65歳になったときは、配偶者の年金額に振替加算が反映されているかも通知書で確認してください。
働き続けると加給年金が止まると聞きましたが本当ですか?
本当です。65歳以降も厚生年金に加入して働くと在職老齢年金の対象になり、「(総報酬月額相当額+基本月額−510,000円)×1/2」が支給停止額になります。給与65万円・基本月額10万円なら月120,000円の停止で、基本月額10万円を上回るため老齢厚生年金は全額停止。そして老齢厚生年金が全額停止のときは加給年金も支給されません。一部停止なら加給年金は出るので、給与をわずかに調整して全額停止を回避すれば年408,100円を守れるケースがあります。
子どもがいる場合の加算はいくらですか?
18歳到達年度末まで(障害等級1・2級の子は20歳未満)の子がいる場合、1人目・2人目は各234,800円、3人目以降は各78,300円が加算されます。子1人で年234,800円(月19,566円)、2人で469,600円(月39,133円)、3人で547,900円(月45,658円)です。3人目から金額が3分の1に落ちる点が盲点です。なお子の加算も本人の厚生年金20年以上という要件が前提であり、子が18歳到達年度末を過ぎると打ち切られます。
離婚したら加給年金はどうなりますか?
生計維持関係がなくなった時点で失権し、支給は止まります。届出義務があるため、届け出ずに受け取り続けると返還を求められます。なお離婚時の年金分割(合意分割・3号分割)は報酬比例部分を分ける制度で、加給年金そのものが分割されるわけではありません。分割によって本人の厚生年金の記録が変わっても、加給年金の20年要件の判定は原則として本人の被保険者期間で行われます。詳細は年金事務所で個別に確認してください。