遺族年金はいくらもらえる? 会社員(平均標準報酬額30万円)で月140,022円・65歳まで約3,664万円を1円単位で計算(自営業だと2,295万円少ない)

2026-08-27 | 遺族年金 遺族基礎年金 遺族厚生年金 年金 生命保険 社会保険 家計 手取り 中高齢寡婦加算

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「もし自分が亡くなったら、家族はいくら受け取れるのか」——生命保険の見積りを取る前に、まず確認すべきなのが遺族年金です。公的年金からの給付を知らないまま保険に入ると、必要保障額を数千万円も過大に見積もって保険料を払い過ぎます。

この記事では会社員・平均標準報酬額30万円・妻35歳・子10歳と7歳というモデルで、遺族年金の月額・年額・65歳までの生涯総額を1円単位で計算します。結論を先に言うと、月140,022円(年1,680,268円)、65歳までの累計で約3,664万円です。

📌 結論ファースト:会社員(平均標準報酬額30万円)が亡くなり、妻35歳+子2人(10歳・7歳)が残された場合、遺族基礎年金1,310,300円+遺族厚生年金369,968円=年1,680,268円(月140,022円)。子が18歳到達年度末を過ぎると段階的に減り、妻65歳までの累計は約3,664万円。一方自営業(国民年金だけ)なら遺族厚生年金がゼロで月109,192円、子が全員18歳を超えると0円になります。この差が生命保険の必要額を決めます。

遺族年金は「2階建て」——どちらがもらえるかで金額が倍違う

遺族年金には2種類あり、亡くなった人がどの年金に加入していたかで決まります。

種類加入していた年金受け取れる遺族金額の決まり方
遺族基礎年金国民年金(全員)子のある配偶者、または子定額(子の人数で加算)
遺族厚生年金厚生年金(会社員・公務員)配偶者・子・父母・孫・祖父母の順報酬比例(在職中の給与で変わる)

ここが最大のポイントです。会社員は両方を受け取れますが、自営業・フリーランス・専業主婦(第1号・第3号被保険者)は遺族基礎年金だけ。しかも遺族基礎年金は「子のある配偶者」しか受け取れないため、子がいない、あるいは子が18歳到達年度末を過ぎている場合は1円も出ません。

ステップ1:遺族基礎年金は「831,700円+子の加算」

遺族基礎年金は定額です(2025年度・令和7年度価額)。

遺族基礎年金 = 831,700円 + 子の加算
子の加算:1人目・2人目は各239,300円/3人目以降は各79,800円

子の人数基本額子の加算年額月額
1人831,700円239,300円1,071,000円89,250円
2人831,700円478,600円1,310,300円109,192円
3人831,700円558,400円1,390,100円115,842円
4人831,700円638,200円1,469,900円122,492円
0人——0円0円

ここでいう「子」の定義が重要です。18歳到達年度の末日(=高校卒業に相当する3月31日)までの子、または20歳未満で障害等級1・2級の子に限られます。大学生の子は対象外——19歳の子が1人だけなら、遺族基礎年金は0円です。3人目以降の加算が急に79,800円へ下がる点にも注意してください(1人目・2人目の3分の1)。

ステップ2:遺族厚生年金は「報酬比例部分の4分の3」

会社員が亡くなった場合に上乗せされるのが遺族厚生年金です。計算式は次のとおりです。

遺族厚生年金 = 老齢厚生年金の報酬比例部分 × 3/4
報酬比例部分 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数

在職中の死亡では「加入月数が300月(25年)未満なら300月とみなす」という短期要件があります。これは若くして亡くなった人が不利にならないための救済で、遺族年金を語るうえで最も見落とされやすいルールです。

平均標準報酬額30万円・加入240月(20年)の人の実績値と、300月みなしを比べます。

実績240月:300,000 × 5.481/1000 × 240 = 394,632円 → ×3/4 = 295,974円
300月みなし:300,000 × 5.481/1000 × 300 = 493,290円 → ×3/4 = 369,968円
差額 = +73,994円/年

加入期間が短い若い世代ほど、この救済で年7万円以上上乗せされます。平均標準報酬額別の一覧は次のとおりです(すべて300月みなし)。

平均標準報酬額年収の目安報酬比例部分遺族厚生年金(年)月額
200,000円約312万円328,860円246,645円20,554円
250,000円約390万円411,075円308,306円25,692円
300,000円約468万円493,290円369,968円30,831円
350,000円約546万円575,505円431,629円35,969円
400,000円約624万円657,720円493,290円41,108円
450,000円約702万円739,935円554,951円46,246円
500,000円約780万円822,150円616,612円51,384円
600,000円約936万円986,580円739,935円61,661円

「年収の目安」は、賞与を含めた年収を12で割った額が平均標準報酬額に近いという前提での概算です(平均標準報酬額×1.56倍)。年収が2倍でも遺族厚生年金が2倍になるだけで、遺族基礎年金は定額のため、高収入世帯ほど遺族年金が収入をカバーする割合は下がります。

ステップ3:モデルケースの月額は140,022円

会社員・平均標準報酬額30万円・妻35歳・子10歳と7歳のケースを合算します。

内訳年額月額
遺族基礎年金(子2人)1,310,300円109,192円
遺族厚生年金(30万円・300月みなし)369,968円30,831円
合計1,680,268円140,022円

ここで「遺族年金は非課税」という点が効きます。所得税法第9条により遺族年金・遺族基礎年金・遺族厚生年金はいずれも非課税所得で、所得税も住民税もかかりません。社会保険料の計算にも算入されないため、月140,022円はそのまま手取りです。給与で同じ手取りを得るには、額面で月18万円前後(年収約220万円)働く必要があります。手取りと額面の関係は手取り計算ツールで確認できます。

ステップ4:金額は3回減る——時系列で見る「崖」

遺族年金の落とし穴は金額が固定ではないことです。子の成長と妻の年齢で3回変わります。

期間妻の年齢状況年額月額
1〜8年目35〜42歳子2人が対象(長子が18歳年度末まで)1,680,268円140,022円
9〜11年目43〜45歳子1人が対象(次子が18歳年度末まで)1,440,968円120,081円
12〜30年目46〜64歳子の対象終了+中高齢寡婦加算993,768円82,814円
30年目以降65歳〜加算終了・自分の老齢基礎年金と併給(別計算)—

65歳までの累計 = 1,680,268×8 + 1,440,968×3 + 993,768×19 = 36,646,640円(約3,664万円)

最大の崖は12年目です。次子が18歳到達年度末を過ぎると遺族基礎年金1,071,000円が丸ごと消え、月120,081円→82,814円と月37,267円下がります。子の教育費が最もかかる大学期に給付が減る——ここが遺族年金の設計上の弱点で、生命保険で埋めるべき部分です。

救済措置:中高齢寡婦加算 623,800円(40歳の壁つき)

遺族基礎年金が終わったあとの落差を緩和するのが中高齢寡婦加算です。

中高齢寡婦加算 = 年623,800円(月51,983円)
対象:夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻、または遺族基礎年金が終了した40歳以上の妻

⚠ 40歳の壁:中高齢寡婦加算は40歳以上が条件です。上のモデルでは妻が46歳で遺族基礎年金を終えるので問題ありませんが、たとえば妻30歳・子2歳のときに夫が亡くなり、妻が48歳で子が18歳を超えるケースなら加算がつきます。逆に妻28歳・子16歳のように、遺族基礎年金の終了時点で妻が40歳未満だと、その時点では加算がつきません(その後40歳になっても、遺族基礎年金の受給が終わっている場合は原則つきません)。年齢の組み合わせで年62万円の差が出るため、自分の家族構成で必ず確認してください。

また子のない30歳未満の妻は、遺族厚生年金が5年間で打ち切られます。妻28歳・子なしなら、月30,831円×5年=約185万円で終了。これは遺族年金制度で最も厳しい規定です。

自営業は月109,192円、子が18歳を超えたら0円

同じ家族構成で、亡くなったのが自営業(国民年金の第1号被保険者)だった場合を比べます。

期間会社員(厚生年金あり)自営業(国民年金のみ)差(月)
子2人期(8年)140,022円109,192円▲30,831円
子1人期(3年)120,081円89,250円▲30,831円
子の対象終了後(19年)82,814円0円▲82,814円
65歳までの累計約3,664万円約1,369万円▲約2,295万円

自営業の累計 = 1,310,300×8 + 1,071,000×3 + 0×19 = 13,695,400円

差は約2,295万円。自営業・フリーランスには遺族厚生年金も中高齢寡婦加算もないため、子が高校を卒業した瞬間に給付がゼロになります。自営業世帯こそ生命保険(掛け捨ての定期保険・収入保障保険)が必須という結論は、この数字から導かれます。なお第1号被保険者には寡婦年金(婚姻10年以上・妻60〜65歳・年約62万円)と死亡一時金(保険料納付月数に応じ12〜32万円)がありますが、いずれか一方の選択で、遺族基礎年金の代わりにはなりません。

必要保障額の計算:遺族年金を引いてから保険を考える

生命保険の必要額は「必要生活費 − 遺族年金 − 妻の収入 − 貯蓄」で決まります。手順は次のとおりです。

  1. 遺族の生活費を見積もる:一般に現在の生活費の70%程度(住居費が持ち家+団信でゼロになる場合はさらに下がる)。月25万円と仮定します。
  2. 遺族年金を引く:子2人期は月140,022円なので、不足は 250,000 − 140,022 = 109,978円/月。
  3. 妻の収入を引く:妻がパートで月10万円稼げるなら不足は約1万円/月まで縮みます。
  4. 期間を掛ける:不足109,978円×12か月×22年(末子が独立するまで)= 約2,903万円。妻の収入を織り込めば数百万円規模まで下がります。
  5. 教育費を別に足す:大学費用は1人あたり国立約250万円・私立文系約400万円。子2人なら500〜800万円を別枠で。
📌 順序が重要:保険会社の提案書は「必要保障額5,000万円」といった大きな数字から始まりがちですが、公的保障を先に引くと必要額は大きく変わります。会社員なら遺族年金3,664万円+団体信用生命保険(住宅ローン残債が消える)+死亡退職金・弔慰金を先に積み上げてから、足りない分だけを保険で買うのが合理的です。住宅ローンと団信の関係は住宅ローンの諸費用記事でも触れています。

遺族年金シミュレーター(月額・年額・65歳までの累計)

※2025年度(令和7年度)価額・遺族基礎年金831,700円/子の加算239,300円(3人目以降79,800円)/中高齢寡婦加算623,800円/報酬比例の乗率5.481で計算した概算です。計算はすべてブラウザ内で完結し、入力内容は送信されません。

手続きと注意点(請求しないと1円も出ない)

関連ツール・記事

いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は、2025年度(令和7年度)の年金額(遺族基礎年金831,700円・子の加算1人目2人目各239,300円・3人目以降各79,800円・中高齢寡婦加算623,800円)、報酬比例部分の乗率5.481/1000(2003年4月以降の期間のみを前提)、会社員・平均標準報酬額30万円・加入240月(300月みなし適用)・妻35歳・子10歳と7歳という概算モデルに基づく単純計算です。実際の年金額は、2003年3月以前の被保険者期間(乗率7.125/1000・平均標準報酬月額ベース)の有無、再評価率、物価・賃金スライドによる年度改定、加給年金・経過的寡婦加算の適用、労災保険との併給調整、65歳以降の老齢年金との併給調整などによって変わります。遺族年金の支給には保険料納付要件と生計維持要件があり、これを満たさない場合は支給されません。子の要件は18歳到達年度の末日まで(障害等級1・2級の場合は20歳未満)です。年金額は毎年度改定され、制度も改正されることがあるため、最新の金額と自分の見込額は必ず日本年金機構・年金事務所または「ねんきんネット」でご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の年金相談・保険商品の選定に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

遺族年金は月いくらもらえますか?

会社員(平均標準報酬額30万円)が亡くなり、妻35歳・子10歳と7歳が残された場合、遺族基礎年金1,310,300円(831,700円+子の加算239,300円×2)と遺族厚生年金369,968円の合計で年1,680,268円、月140,022円です。遺族年金は所得税法第9条により非課税なので、この金額がそのまま手取りになります。金額は子の年齢と受給者の年齢で変わり、妻65歳までの累計は約3,664万円になります。

自営業・フリーランスの遺族年金はいくらですか?

国民年金のみの第1号被保険者には遺族厚生年金がないため、遺族基礎年金だけになります。子2人なら年1,310,300円(月109,192円)、子1人なら年1,071,000円(月89,250円)で、子が全員18歳到達年度末を過ぎると0円です。中高齢寡婦加算もありません。同じ家族構成での会社員との差は65歳までの累計で約2,295万円(3,664万円対1,369万円)にのぼるため、自営業世帯ほど生命保険での上乗せが必要です。

遺族厚生年金の計算式を教えてください。

「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4」です(2003年4月以降の期間)。重要なのは、在職中の死亡などでは加入月数が300月(25年)未満でも300月とみなす短期要件があることです。平均標準報酬額30万円・加入240月の人は実績なら年295,974円ですが、300月みなしで年369,968円となり、73,994円多く受け取れます。

子が18歳を超えると遺族年金はどうなりますか?

遺族基礎年金は「18歳到達年度の末日までの子」がいることが条件なので、末子が高校卒業相当の3月31日を過ぎると打ち切られます。モデルケースでは月120,081円から月82,814円へ、月37,267円下がります。会社員の場合は遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(年623,800円)が残りますが、自営業では0円になります。大学の学費がかかる時期に給付が減るのが遺族年金の弱点です。

中高齢寡婦加算はいくらで、誰がもらえますか?

年623,800円(月51,983円)です。夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻、または遺族基礎年金を受けていた妻が40歳以上でその受給を終えた場合に、65歳まで遺族厚生年金に加算されます。ポイントは「40歳以上」という条件で、遺族基礎年金が終わる時点で40歳未満だと原則つきません。厚生年金の加入者が亡くなった場合の制度なので、自営業の遺族には適用されません。

遺族年金に税金はかかりますか?

かかりません。遺族基礎年金・遺族厚生年金はいずれも所得税法第9条により非課税所得で、所得税も住民税もかかりません。社会保険料の算定にも含まれず、確定申告も不要です。したがって月140,022円は全額が手取りになります。同じ手取りを給与で得るには額面で月18万円前後(年収約220万円)が必要で、公的保障の価値はその分大きいと考えられます。

子のない妻はどうなりますか?

遺族基礎年金は「子のある配偶者」が対象なので受け取れません。会社員の夫が亡くなった場合は遺族厚生年金のみで、平均標準報酬額30万円なら年369,968円(月30,831円)です。40歳以上なら中高齢寡婦加算が加わって年993,768円(月82,814円)になります。ただし夫の死亡時に30歳未満で子がいない妻は、遺族厚生年金が5年間で打ち切られます。自営業で子がいない場合は遺族基礎年金も遺族厚生年金もゼロです。

遺族年金は自動で振り込まれますか?

いいえ、請求(裁定請求)が必要です。厚生年金分は年金事務所、国民年金分は市区町村の窓口へ年金請求書と戸籍・死亡診断書・生計維持を示す書類を提出します。時効は5年で、それを過ぎた分は受け取れません。また保険料の納付要件(死亡日の前々月までの被保険者期間で未納が3分の1を超えないこと。直近1年に未納がなければよい特例あり)を満たさないと支給されないため、保険料の未納は免除申請で解消しておくことが重要です。

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