在職老齢年金でいくら減る? 支給停止額の計算式(総報酬+年金−基準額)×0.5の根拠と、給与を上げたときの手取りを具体例で解説

2026-08-20 | 在職老齢年金 年金 高齢就労 手取り シニア 家計 厚生年金

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「65歳を過ぎても働いて、年金ももらっている。でも給与が高いと『在職老齢年金』で年金が減るって聞いた。いくら減るの? 給与を上げたら手取りは増えるの?」——高齢になっても働く人が急増しているいま、この計算は誰もが一度は直面する切実な疑問です。ネットで「在職老齢年金 とは」は出てきますが、「自分の給与と年金額から、実際にいくら支給停止になるか」「その計算式の根拠は何か」を、具体的な数字で追っている記事は意外と少ないものです。

この記事では、在職老齢年金による支給停止額を出す「(総報酬月額 + 年金月額 − 基準額)× 0.5」という計算式の根拠から出発し、65歳以上と60〜64歳(特例老齢年金)で基準額がどう違うか、給与を変えたときにもらえる年金がどう動くかを具体例で計算します。さらに「給与を上げたとき、手取りは増えるのか減るのか」という一番気になる点も、数値で示します。自分の数字で確かめたい場合は 手取り計算ツール で、年金の繰下げ・繰上げの損得は 年金の繰下げ・繰上げを計算した記事 で確認できます。

📌 結論ファースト:65歳以上なら、「毎月の給与(総報酬月額)+ 年金月額(報酬比例部分)」が 46万円を超えると発動します。超えた分の半分(× 0.5)が支給停止になり、もらえる年金から引かれます。例えば給与30万円・年金20万円なら合算50万円→超過4万円→支給停止2万円で、実際にもらえるのは18万円です。60〜64歳の「特例老齢年金」なら基準額は28万円と低く、より発動しやすい点に注意。

そもそも在職老齢年金とは「何の制度」か

老齢厚生年金は、原則65歳から終身でもらえます。しかし65歳以降も厚生年金に加入して働き、報酬(給与)を得ている場合、年金のうち「報酬比例部分」の支給が、給与の多さに応じて一時的に減額(支給停止)されることがあります。これを在職老齢年金と呼びます。

観察者メモ:年金は「高齢になって働けなくなったときの所得保障」が目的の一つ。だから「働いてしっかり稼いでいる人」には、年金をフルに重ねて支給する仕組みになっていない——この調整こそが在職老齢年金です。

ポイントは2つ。

計算式の根拠:支給停止調整額の出し方

日本年金機構が公表している算式は次のとおりです。

支給停止調整額(月)=(総報酬月額 + 年金月額 − 基準額)× 0.5
項目意味備考
総報酬月額毎月の給与(賞与は別計算)厚生年金の標準報酬月額などをもとに算定
年金月額老齢厚生年金の「報酬比例部分」の月額繰下げ・繰上げの加算・減額も含む
基準額合算額の目安(65歳以上:46万円/60〜64歳:28万円)賃金動向で毎年4月に改定

ここが誤解の多いポイント:支給停止されるのは「超過分の半分」であって、合算額全体や給与全体が減るわけではありません。また調整額が年金月額(報酬比例部分)を超えた場合は、その部分の支給は0円になります(いわゆる「全額支給停止」)。

具体例:65歳以上で計算してみる

もっとも多い「年金月額(報酬比例部分)20万円」の人を例に、給与を変えてみます(基準額46万円)。

給与(総報酬月額)合算額超過額(−46万)支給停止額(×0.5)実際にもらえる年金
20万円40万円0(基準内)0円20万円(満額)
30万円50万円4万円2万円18万円
45万円65万円19万円9.5万円10.5万円
60万円80万円34万円17万円3万円
80万円100万円54万円27万円0円(調整額>年金月額で全額停止)

注目すべきは、給与が上がるほど年金は減るが、減るのは「超過分の半分」だけという点です。給与を30万→45万に増やしても、年金は18万→10.5万と7.5万円減るだけ。つまり手取り(給与+年金)は増える計算になります(後述)。

例A:給与30万・年金20万(65歳以上)

(30万 + 20万 − 46万)× 0.5 = 4万 × 0.5 = 支給停止 2万円

実際にもらえる年金 = 20万 − 2万 = 18万円。合算手取り(給与+年金)は 30万 + 18万 = 48万円です。

例B:給与80万・年金20万(65歳以上)

(80万 + 20万 − 46万)× 0.5 = 54万 × 0.5 = 27万円 → 年金月額20万を超えるため全額支給停止

この場合、年金は0円。ただし給与80万円はそのまま手元に残るため、合算手取りは80万円になります。

具体例:60〜64歳(特例老齢年金)の場合

60〜64歳で老齢厚生年金を受給しながら働く「特例老齢年金」では、基準額が28万円と低いため、より発動しやすくなります。

給与(総報酬月額)年金月額合算額超過額(−28万)支給停止額実際にもらえる年金
20万円15万円35万円7万円3.5万円11.5万円
25万円15万円40万円12万円6万円9万円
15万円15万円30万円2万円1万円14万円

60〜64歳は年金額そのものが「特例」として低く算出される一方、基準額も低いため、「働き始めると年金がすぐ減る」傾向にあります。退職金をもらった直後など、働くかどうかの判断材料になります。

給与を上げたとき、手取りは増える? 減る?

一番気になるのはここです。結論から言うと、給与を上げても、手取り(給与+実際にもらえる年金)は増えます。理由は、年金の減り方が「超過分の半分」だからです。

先の65歳以上・年金20万の例で確認します。

給与もらえる年金合算手取り(給与+年金)
30万円18万円48万円
45万円10.5万円55.5万円
60万円3万円63万円

給与が上がるほど年金は減りますが、減る額(超過分の半分)より給与の増分のほうが大きいため、合算ではプラスになります。「在職老齢年金のせいで働く意味がない」という誤解は、ここから生じますが、単純計算では働いたぶんだけ手元は増えます。

ただし、年金も「所得」に数えられるため、給与+年金の合計が高くなると所得税・住民税が増え、手取り率は少し下がります。年金の課税の仕組みは 公的年金等控除の計算記事 で確認を。また、給与自体の手取り内訳は 手取り計算ツール で試せます。

よくある誤解3つ

  1. 「年金が0円なら働く意味がない」と決めつける:上のとおり、支給停止になるのは年金の一部(報酬比例部分)だけで、給与自体は満額手元に残ります。合算手取りは増えるため、働かないよりは手元に残ります。
  2. 「基準額はずっと同じ」と思い込む:基準額(65歳以上46万/60〜64歳28万)は、賃金の動向に合わせて毎年4月に改定されます。過去の数字をそのまま当てはめるとズレるため、最新の数値は日本年金機構で確認を。
  3. 「賞与も同じ計算」と混同する:賞与(一時金たる給与)は「月額」ではなく、年額150万円(65歳以上)を基準に(賞与 − 150万)× 0.5 で別途調整されます。月給と賞与で計算式が分かれている点に注意。

注意事項

本記事の数値は在職老齢年金の基本算式に基づく概算です。実際の支給停止額は、標準報酬月額の算定、厚生年金の加入実績、遺族厚生年金との併給調整、マクロ経済スライドによる年金額改定などで変動します。また60歳台前半(60〜64歳)の「特例老齢年金」と、65歳以降の「在職老齢年金」では基準額が異なります。正確な自分の支給見込みは、日本年金機構の「ねんきん定期便」「年金ネット」、または最寄りの年金事務所でご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の年金相談に代わるものではありません。

自分の給与+年金の合算手取りを確かめたい場合は 手取り計算ツール へ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

よくある質問

在職老齢年金で年金が減る計算式は?

基本は「(総報酬月額 + 年金月額 − 基準額)× 0.5」です。総報酬月額は毎月の給与、年金月額は老齢厚生年金の報酬比例部分、基準額は65歳以上なら46万円・60〜64歳なら28万円(毎年4月改定)です。この計算で出た額が、もらえる年金(報酬比例部分)から引かれます。例えば給与30万円・年金20万円なら合算50万円→超過4万円→支給停止2万円で、実際にもらえるのは18万円です。

給与を上げたら手取りは増える?

増えます。支給停止されるのは「超過分の半分」だけなので、給与を上げた分のほうが、減る年金より大きくなります。例えば65歳以上・年金20万円の人が給与30万→45万に上げると、もらえる年金は18万→10.5万と7.5万円減るだけで、合算手取り(給与+年金)は48万→55.5万に増えます。ただし給与+年金の合計が高くなると所得税・住民税が増え、手取り率は少し下がります。

60歳から64歳の特例老齢年金との違いは?

60〜64歳で働きながら老齢厚生年金を受給する「特例老齢年金」は、基準額が28万円と低いため、より発動しやすくなります。また年金額そのものも特例として低く算出されます。65歳以降の「在職老齢年金」(基準額46万円)とは基準額が異なるため、年齢で計算が変わります。

賞与(ボーナス)も減額される?

減額対象になりますが、計算方法が月給と別です。賞与は「年額150万円(65歳以上)を基準に(賞与 − 150万)× 0.5」で調整されます。月給の支給停止とは別枠で計算されるため、賞与の多い人は給与月額とあわせて両方の調整を受ける可能性があります。

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