介護休業給付金はいくら? 賃金月額×67%・通算93日・3回分割の計算式と上限341,298円を計算ツール付きで解説
「親の介護で会社を休むことになった。介護休業給付金は月いくら入るの?」「93日って一度に使い切らないといけないの?」「介護休業中も社会保険料は取られるの?」——親の入院・要介護認定をきっかけに、突然この検索をする人が毎年増えています。ところが「介護休業給付金 計算」で調べても、出てくるのは制度の要件を並べただけの解説か、金額だけを返す簡易ツールばかりです。「なぜ67%なのか」「上限額に当たるのは月給いくらからか」「93日を3回に分けたとき各回いくらになるのか」まで数字で示したページはほとんどありません。
この記事では、①介護休業給付金の計算式(賃金日額 × 67% × 支給日数)、②支給上限額と、上限に当たる年収ライン、③93日を3回に分割した場合の実額、④育児休業給付金・傷病手当金との違い、⑤社会保険料が免除されないという最大の落とし穴、を順に整理します。ページ内の計算ツールはすべてブラウザ内で完結し、入力した金額が外部へ送信されることはありません。
介護休業給付金の計算式(3ステップ)
介護休業給付金は雇用保険(育児介護休業法に基づく介護休業)の給付で、ハローワークが支給します。金額は次の3段階で決まります。
② 1支給単位期間の支給額 = 賃金日額 × 67% × 支給日数(最大30日)
③ 支給額が上限(341,298円/30日)を超える場合は上限額
①の「賃金」には毎月決まって支払われる給与(基本給・住宅手当・通勤手当・残業手当など)が入り、賞与(ボーナス)は含みません。失業手当(基本手当)の賃金日額とまったく同じ算定方法です。したがって年収が同じでも賞与比率が高い人ほど介護休業給付金は少なくなります。
②の67%という数字は、育児休業給付金の当初6か月と同じ率です。介護休業には育休のような「6か月経過後は50%」という段階引き下げがなく、93日間ずっと67%のままです。期間が短いため引き下げの余地がない、という設計です。
※ 「支給単位期間」とは休業開始日から起算した30日ごとの区切りです。最後の期間が30日に満たない場合は、その日数分で計算します(例:93日 = 30日+30日+30日+3日)。
月給別の具体数値例(67%・上限341,298円を反映)
賃金日額 = 月給 ÷ 30 として、30日分(1支給単位期間)と93日フルに取得した場合の総額を並べます。
| 休業前の平均月給 | 賃金日額 | 支給日額(67%) | 30日分 | 93日分の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 200,000円 | 6,667円 | 4,467円 | 134,000円 | 約415,400円 |
| 250,000円 | 8,333円 | 5,583円 | 167,500円 | 約519,250円 |
| 300,000円 | 10,000円 | 6,700円 | 201,000円 | 約623,100円 |
| 350,000円 | 11,667円 | 7,817円 | 234,500円 | 約726,950円 |
| 400,000円 | 13,333円 | 8,933円 | 268,000円 | 約830,800円 |
| 500,000円 | 16,667円 | 11,167円 | 335,000円 | 約1,038,500円 |
| 600,000円 | 20,000円 | 13,400円 | 341,298円(上限) | 約1,058,024円 |
ここで見逃せないのが上限341,298円の効き方です。30日分の支給額が上限に到達するのは支給日額が11,376円(=341,298円 ÷ 30日)のときで、逆算すると賃金日額16,974円、平均月給およそ50万9千円です。
つまり月給51万円と月給80万円の人が受け取る介護休業給付金は、まったく同額です。高収入層は「収入の67%が保障される」という前提で家計を組むと危険で、実質の所得代替率は月給60万円なら約57%、月給80万円なら約43%まで落ちます。
計算ツール:休業前の月給と休業日数から支給額を出す
休業前6か月の平均月給、取得する介護休業の日数(通算93日まで)、分割回数を入れると、支給日額・支給単位期間ごとの支給額・総額と、社会保険料を差し引いた実質の手残りまで計算します。すべてブラウザ内で処理し、入力した金額はどこにも送信されません。
93日は「1人につき3回まで」分割できる
介護休業でもっとも誤解が多いのが日数の使い方です。正しい理解は次のとおりです。
- 対象家族1人につき通算93日(労働者1人あたりではありません)
- 3回まで分割取得できる(2017年の法改正で「原則1回」から変更)
- 対象家族が複数いればそれぞれに93日(父と母で合計186日も可能)
「対象家族1人につき」という単位が重要です。父の介護で93日を使い切っても、母の介護では新たに93日が使えます。逆に、同じ父について症状が悪化して再度休業しても、すでに使った日数は復活しません。
月給30万円(支給日額6,700円)の人が3回に分割した場合、金額は次のようになります。
| 取得パターン | 日数の配分 | 各回の支給額 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1回でまとめて | 93日 | 623,100円 | 623,100円 |
| 2回に分割 | 47日+46日 | 314,900円 + 308,200円 | 623,100円 |
| 3回に分割 | 31日+31日+31日 | 207,700円 × 3回 | 623,100円 |
総額は分け方によって変わりません(日額 × 日数なので)。ただし分割には実務上のメリットとデメリットがあります。
育児休業給付金・傷病手当金との決定的な違い
「休業中の給付」は3種類あり、率・期間・社会保険料の扱いがすべて違います。混同すると家計の見込みが大きく外れます。
| 項目 | 介護休業給付金 | 育児休業給付金 | 傷病手当金 |
|---|---|---|---|
| 制度 | 雇用保険 | 雇用保険 | 健康保険 |
| 給付率 | 67%(ずっと) | 67%→6か月後50% | 約67%(2/3) |
| 期間 | 通算93日(3回まで) | 原則1歳まで(最長2歳) | 通算1年6か月 |
| 社会保険料 | 免除されない | 免除される | 免除されない |
| 税金 | 非課税 | 非課税 | 非課税 |
| 待期 | なし | なし | 連続3日の待期あり |
最大の違いは社会保険料の免除です。育児休業では健康保険料・厚生年金保険料が本人負担・会社負担ともに免除されるため、「給付率67%でも手取りベースでは約8割」とよく言われます。ところが介護休業には免除制度がありません。月給30万円の人なら、健康保険+厚生年金の本人負担が月約4.4万円(14.75%相当)発生し続けます。
受給額 623,100円 − 社会保険料 約4.4万円 × 3.1か月(約137,000円)
= 実質の手残り 約485,900円(休業前3か月の給与93万円に対して約52%)
「67%もらえる」と考えていた人が、実際には手取り換算で5割強しか残らない——これが介護休業の資金計画で最も多い誤算です。3か月休むなら手取り1か月分以上を貯金から補填する前提で臨むべきです。
受給の要件と、対象になる家族の範囲
介護休業給付金を受け取るには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あること
- 対象家族が「常時介護を必要とする状態」(要介護2以上が目安、または厚労省の判断基準12項目のうち一定の該当)にあること
- 介護休業期間中の各支給単位期間に、就業日数が10日以下であること
- 会社から支払われる賃金が、休業前賃金の80%未満であること
対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。2017年改正で祖父母・兄弟姉妹・孫の「同居かつ扶養」要件が撤廃されたため、別居している祖父母の介護でも取得できます。
パート・契約社員でも取得できる
雇用形態は問いません。有期契約でも、「介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約が満了し、更新されないことが明らかでない」限り取得できます。週2〜3日勤務でも、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月あれば給付の対象です。
申請の流れと、入金までの時間
介護休業給付金は休業が終わってから、まとめて申請するのが原則です。ここが育児休業給付金(2か月ごとに申請)と違い、資金繰り上の注意点になります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 休業開始の2週間前まで | 会社へ介護休業申出書を提出(対象家族・続柄・期間を記載) |
| 休業中 | 会社が賃金台帳・出勤簿を整備。給付金の支給はまだない |
| 休業終了の翌日から2か月後の月末まで | 会社経由で介護休業給付金支給申請書をハローワークへ提出 |
| 申請から約2週間〜1か月 | 指定口座へ一括入金 |
なお介護休暇(年5日、時間単位取得可)は介護休業とは別制度で、給付金はありません(無給または会社独自の有給扱い)。通院の付き添いなど1日単位の用事は介護休暇、施設探し・入居調整のような長期戦は介護休業と使い分けます。
知らないと損する3つのポイント
① 介護休業給付金は非課税、住民税は翌年に効く
給付金は所得税・住民税ともに非課税で、確定申告も不要です。年収に含まれないため、休業した年の所得が下がることで翌年の住民税・国民健康保険料が下がるという副次効果があります。年の途中で3か月休むと、その年の課税所得はおおむね給与3か月分(月給30万円なら約90万円)減り、翌年の住民税が約9万円(税率10%)軽くなる計算です。
② 会社から給与が出ると調整される
休業中に会社が賃金を支払った場合、次のように調整されます。
13%超〜80%未満 → 給付額 = 休業前賃金 × 80% − 支払われた賃金
80%以上 → 不支給
つまり会社が「見舞金」的に月給の3割を払ってくれると、給付金は67%ではなく「80% − 30% = 50%」に減ります。合計では80%が上限なので損はしませんが、「給与3割+給付67% = 97%」にはなりません。
③ 介護費用そのものは医療費控除・高額介護サービス費で戻る可能性がある
介護休業給付金は「収入の補填」ですが、支出側にも軽減策があります。介護保険サービスの自己負担が高額になった場合の高額介護サービス費(世帯上限44,400円/月など)、施設サービスの一部や訪問看護は医療費控除の対象になり得ます。休業で収入が下がった年ほど所得税率も下がるため、控除の効果は小さくなる点も含めて計算しておくとよいでしょう。
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注意事項
本記事の数値は、雇用保険法に基づく介護休業給付金の算定式(休業開始時賃金日額 = 休業開始前6か月の賃金合計 ÷ 180、給付率67%、支給日数は対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可)、および1支給単位期間(30日)あたりの支給上限額341,298円を前提とした単純計算です。支給上限額・下限額は毎年8月1日に改定されるため、実際の額は改定時期によって異なります。社会保険料は月給の14.75%(健康保険+厚生年金の本人負担分の概算)として計算していますが、実際の料率は都道府県・保険者・年度・標準報酬等級によって異なります。「常時介護を必要とする状態」の判定、有期契約労働者の取得要件、休業中に支払われた賃金による調整、高額介護サービス費や医療費控除の適用可否は、個別の事情および制度改正によって変わります。正確な支給額・要件は必ずお住まいの地域のハローワーク、勤務先の人事・総務担当、および厚生労働省の公表資料でご確認ください。本記事は情報提供を目的としたもので、個別の給付相談・税務相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
介護休業給付金は月いくらもらえますか?
「休業開始時賃金日額(休業前6か月の賃金合計÷180)× 67% × 支給日数」で決まります。平均月給30万円なら賃金日額10,000円、支給日額6,700円で30日分201,000円、93日フルに取得すると約623,100円です。月給20万円なら30日分134,000円、月給40万円なら268,000円が目安です。
介護休業給付金に上限はありますか?
あります。1支給単位期間(30日)あたり341,298円が上限です。支給日額に換算すると11,376円で、逆算すると平均月給およそ50万9千円で上限に達します。そのため月給51万円の人と月給80万円の人の受給額は同額になります。上限額は毎年8月1日に改定されます。
介護休業中も社会保険料はかかりますか?
かかります。ここが育児休業との最大の違いです。育児休業では健康保険料・厚生年金保険料が免除されますが、介護休業には免除制度がありません。月給30万円なら本人負担が月約4.4万円発生し、93日分の受給額623,100円から約137,000円が出ていくため、実質の手残りは約485,900円(休業前給与の約52%)になります。
93日は一度に使い切らないといけませんか?
いいえ。対象家族1人につき通算93日を、3回まで分割して取得できます(2017年改正)。総額は分け方によって変わりません(日額×日数)。入院・退院・施設入居の調整など山場ごとに分けて使うほうが、必要な時期に日数を残せます。ただし申請手続きは回数分発生します。
介護休業給付金はいつ振り込まれますか?
休業終了後にまとめて申請し、申請から約2週間〜1か月で一括入金されます。93日休む場合、休業中は給与も給付金も入らないため、入金まで4か月以上無収入になる可能性があります。月給30万円なら手取り換算で約100万円分の生活資金を事前に確保しておくのが安全です。
要介護認定がないと介護休業は取れませんか?
要介護認定は必須ではありません。要介護2以上が目安とされますが、正式には厚生労働省の判断基準12項目(座位保持・歩行・食事・排泄・意思伝達など)で「状態2」が2つ以上、または「状態3」が1つ以上あれば「常時介護を必要とする状態」に該当します。認定申請中でも診断書等で状態を示せる場合があります。
パートや契約社員でも介護休業給付金をもらえますか?
もらえます。雇用形態は問わず、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あれば対象です。有期契約でも、休業開始予定日から93日経過後さらに6か月の間に契約満了・不更新が明らかでなければ取得できます。
介護休業給付金に税金はかかりますか?
かかりません。所得税・住民税ともに非課税で、確定申告も不要です。年収に含まれないため、休業により所得が下がった分だけ翌年の住民税・国民健康保険料が軽くなります。月給30万円で3か月休めば課税所得が約90万円減り、翌年の住民税が約9万円軽くなる計算です。
会社から給与が出た場合はどうなりますか?
調整されます。休業前賃金の13%以下なら給付金は満額67%、13%超80%未満なら「休業前賃金×80% − 支払われた賃金」、80%以上なら不支給です。合計で休業前賃金の80%が上限になるため、「給与30%+給付67%=97%」にはなりません。
介護休暇と介護休業は何が違いますか?
介護休暇は年5日(対象家族2人以上なら10日)で時間単位取得も可能ですが、給付金はなく無給(または会社独自の扱い)です。介護休業は通算93日の長期休業で、雇用保険から給付金が出ます。通院の付き添いは介護休暇、施設探しや入居調整のような長期対応は介護休業と使い分けます。