育児休業給付金はいくらもらえる? 月給30万円で手取りベースの実額を1円単位で計算する
「育休を取りたいけれど、収入が減るのが不安」「育児休業給付金って結局いくらもらえるの?」——出産・育児を控えて家計の見通しを立てるとき、この数字が分からないと踏み切れない人は多いはずです。ネットの解説は「賃金の67%」という一言で終わっていることが多く、手取りベースで実際にいくら残るのか、社会保険料の免除や非課税を含めた「本当の割合」が書かれていないことがほとんどです。
この記事では、会社員・月給30万円(休業前6か月の賃金が均等)を例に、賃金日額 → 給付率 → 社会保険料免除 → 手取りベースの割合の順に、実際の数値をすべて追います。あわせて上限額と、2025年に新設された出生後休業支援給付金(+13%)まで確認します。自分の年収での手取りの目安は手取り計算ツールで、育休後の家計の見通しは複利積立シミュレーションで立てられます。
結論:月給30万円なら67%期は月約20.1万円、手取りベースでは約8割が残る
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金日額 | 10,000円 | 休業前6か月の賃金180万円÷180日 |
| 給付金(67%期・月30日) | 約201,000円 | 1万円×30日×67% |
| 給付金(50%期・月30日) | 約150,000円 | 181日目以降・1万円×30日×50% |
| 社会保険料(免除) | 0円 | 健康保険・厚生年金・雇用保険すべて免除 |
| 給付金にかかる税金 | 0円 | 育児休業給付金は非課税 |
| 手取りベースの割合(67%期) | 約8割 | 休業前の手取り約24万円との比較 |
額面では67%でも、社会保険料の免除と非課税のおかげで、手取りで見ると休業前の約8割が確保されます。ここから、なぜこの金額になるのかを順に計算します。
ステップ1:まず「休業開始時賃金日額」を求める
育児休業給付金の計算の起点は、給与そのものではなく賃金日額です。育休開始前6か月間の賃金の合計を、その期間の日数(180日)で割って求めます。
休業開始時賃金日額 = 育休前6か月の賃金合計 ÷ 180
月給30万円(賞与は含めない)で6か月なら、180万円 ÷ 180 = 10,000円。この賃金日額に支給日数と給付率をかけたものが給付額になります。
ここが誤解の多いポイント:賃金日額の計算に賞与(ボーナス)は含まれません。年収に占めるボーナスの割合が大きい人ほど、「月給の67%」の感覚より給付額は小さく感じられます。基準になるのはあくまで毎月の給与です。
ステップ2:給付率は「180日目まで67%、181日目から50%」
給付額の式は次のとおりです。支給日数は原則1か月あたり30日で計算されます。
給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率
| 期間 | 給付率 | 月額(賃金日額1万円の場合) |
|---|---|---|
| 育休開始〜180日目 | 67% | 10,000 × 30 × 0.67 = 201,000円 |
| 181日目〜(最長) | 50% | 10,000 × 30 × 0.50 = 150,000円 |
1歳になるまで(保育園に入れないなどの事情で最長2歳まで延長可)を通じて受け取ると、最初の半年が月約20.1万円、その後が月約15万円というペースです。1年間フルで取得した場合の給付総額は、67%期(180日)が約120.6万円、50%期(185日)が約92.5万円で、合計約213万円になります。
ステップ3:本当の割合は「社会保険料の免除」で跳ね上がる
「67%だと生活が3分の1減る」と考えるのは早計です。育休中は次の負担がすべて免除・ゼロになるためです。
- 健康保険料・厚生年金保険料が免除:申請により、本人負担分だけでなく会社負担分も免除されます。しかも年金は納めたものとして扱われるため、将来の年金額が減る心配はありません。
- 雇用保険料はそもそも発生しない:給与の支払いがないため、雇用保険料も引かれません。
- 育児休業給付金は非課税:所得税・住民税がかかりません(翌年の住民税は前年所得で決まるため、その点は別途注意)。
月給30万円の会社員の場合、休業前は社会保険料(約4.5万円)と所得税(約0.6万円)が引かれて手取りは約24万円前後です。一方、育休中の給付金約20.1万円はそこから何も引かれない満額。つまり、
67%期の実質割合 = 201,000 ÷ 約240,000 ≒ 約84%
額面の67%という数字より、体感としては休業前の約8割が残る計算になります。50%期でも手取りベースでは約6割強を確保できます。自分の年収での休業前の手取りは手取り計算ツールで確認できます。
ステップ4:上限額があるので高収入でも青天井ではない
賃金日額には上限額・下限額が設けられており、毎年8月1日に改定されます。高収入の人は、実際の給与ほどには給付額が伸びません。
| 項目 | 目安(2024年8月時点) |
|---|---|
| 賃金日額の上限 | 約15,690円 |
| 67%期の1か月あたり上限 | 約315,000円 |
| 50%期の1か月あたり上限 | 約235,000円 |
つまり月給が45万円でも60万円でも、67%期の給付は月約31.5万円で頭打ちになります。年収が高い世帯ほど「収入の減り幅」は大きくなるため、貯蓄の備えが重要です。上限額は改定されるので、実際の適用額は必ずハローワークからの支給決定通知で確認してください。
ステップ5:2025年新設の「出生後休業支援給付金」で最大80%へ
2025年4月に新設された出生後休業支援給付金は、子の出生直後に両親がそろって育休を取ることを後押しする制度です。次の要件を満たすと、育児休業給付金(67%)に加えて賃金日額の13%が最大28日間上乗せされます。
- 父:子の出生後8週間以内に育休を取得
- 母:産後休業後に続けて育休を取得
- 原則として両親がともに14日以上育休を取得すること(配偶者が専業主婦(夫)等の場合は本人の取得のみで可となる例外あり)
67%(育児休業給付金)+ 13%(出生後休業支援給付金)= 実質80%
賃金日額1万円なら、28日分の上乗せは 10,000 × 28 × 0.13 = 36,400円。この期間は給付率が実質80%となり、社会保険料免除・非課税を踏まえると休業前の手取りとほぼ同水準になります。「収入が減るから男性が育休を取りにくい」という壁を下げる狙いの制度です。
やりがちな誤算4つ
- 「月給の67%」だと思って賞与込みで計算する:賃金日額に賞与は含まれません。ボーナス比率が高い人ほど、実際の給付は思ったより少なく感じます。
- 最初の入金までの無収入期間を見落とす:給付は原則2か月ごとにまとめて支給され、最初の振り込みまで2〜3か月かかります。この間の生活費は貯蓄で埋める必要があります。毎月自動で入る給与とは違います。
- 翌年の住民税を忘れる:給付金は非課税ですが、住民税は前年の所得で決まります。育休に入った年の翌年は、働いていた前年の所得に対する住民税の請求が来るため、その分の現金を確保しておきます。
- 上限額を超える前提で家計を組む:高収入でも67%期は月約31.5万円で頭打ち。年収が高い世帯ほど収入減の幅が大きいので、育休前に生活費の見直しと貯蓄を進めておきます。
家計全体で「育休の資金計画」を立てる
育児休業給付金は「休業前の約8割(67%期・手取りベース)」を確保できる手厚い制度ですが、最初の無収入期間と翌年の住民税という2つの現金の谷があります。まずは手取り計算ツールで夫婦それぞれの手取りを把握し、育休中の給付見込みと突き合わせて、取り崩す貯蓄の額と期間を具体的な数字にしておくのが安心です。教育資金の準備を並行するなら複利積立シミュレーション、育休明けに住宅購入を考えるなら住宅ローン計算で返済後の余力も確認できます。年収の壁が気になる共働き世帯は年収の壁の記事も参考にしてください。
注意事項
本記事の給付率・上限額・制度内容は執筆時点(2026年)の一般的な雇用保険・育児休業制度に基づく概算の解説です。上限額・下限額は毎年8月1日に改定され、出生後休業支援給付金の要件や対象期間も今後の法改正で変わり得ます。実際の支給額・支給要件・申請手続きは、勤務先の担当部署およびお住まいを管轄するハローワーク、厚生労働省の公式情報で必ずご確認ください。本記事は制度の仕組みを理解するための計算例であり、個別の給付を保証するものではありません。計算はすべてこのサイト内で完結し、入力した数値がどこかに送信されることはありません。
よくある質問
育児休業給付金はいくらもらえますか?
「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率」で決まります。給付率は育休開始から180日目までが67%、181日目以降は50%です。月給30万円(休業前6か月の賃金が均等)なら賃金日額は1万円で、67%期は月約20.1万円、50%期は月約15万円が目安です。
手取りで考えると休業前の何割もらえますか?
額面では67%ですが、育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)と雇用保険料が免除され、給付金は非課税で所得税もかかりません。休業前の手取りと比べると67%期で実質約8割が確保される計算になります。50%期でも実質約6割です。
育児休業給付金に上限や下限はありますか?
あります。休業開始時賃金日額には上限額・下限額が設けられており(毎年8月1日に改定)、高収入でも支給額は青天井にはなりません。2024年8月時点の上限日額はおおむね1万5,690円前後で、67%期の1か月上限は約31.5万円が目安です。実際の適用額はハローワークの通知で確認します。
2025年から始まった出生後休業支援給付金とは?
2025年4月に新設された制度で、子の出生直後の一定期間(男性は出生後8週間以内、女性は産後休業後)に、両親がともに14日以上育休を取得するなどの要件を満たすと、最大28日間、育児休業給付金に加えて賃金日額の13%が上乗せされます。育児休業給付金67%と合わせて実質80%となり、社会保険料免除・非課税を踏まえると、この期間は休業前の手取りとほぼ同水準になります。
育児休業給付金はいつ振り込まれますか?
原則2か月ごとにまとめて申請・支給されるため、休業開始からしばらくは無収入の期間が生じます。最初の入金まで2〜3か月かかることが多く、この間の生活費は貯蓄で埋める必要があります。給付は毎月自動で振り込まれる給与とは異なる点に注意が必要です。