介護保険料はいくら? 均等割+所得割の計算式の根拠と、年収500万の目安・所得段階・65歳の移行を1円単位で解説
「40歳の誕生日を迎えたら、給与明細にいつの間にか『介護保険料』という項目が増えていた——」。本人はもちろん、親の介護が気になり始める世代にとって、「介護保険料はいくらかかるのか、なぜこの金額なのか」は切実な疑問です。ネットで調べると「年によって変わる」「市町村によって違う」という情報は出てきますが、「自分の保険料がどうやって決まるのか、計算式の根拠は何か」を、会社員(第2号被保険者)の具体的な数字で追っている記事は意外と少ないものです。
この記事では、介護保険料の仕組みを「均等割(どの世帯も同じ基本額)+所得割(所得が高いほど増える)」の2本立てから出発し、年収500万円の会社員を例に、全国平均を使った目安額の計算と、所得段階ごとの違い、65歳での第1号移行、低所得世帯の特例軽減、注意点をわかりやすく解説します。正確な額はお住まいの市町村の公表値が最終根拠ですが、計算の「しかけ」を理解すれば、通知書に書かれた数字の意味が読めるようになります。
介護保険料の2本立て(均等割+所得割)
介護保険の財源は、原則として「公費50% + 保険料50%」です。このうち保険料50%を、第1号(65歳以上)が25%、第2号(40〜64歳)が25%ずつ負担します。つまり40歳から64歳までの会社員が払うのが「第2号の介護保険料」です。
第2号の保険料は、お住まいの市区町村が決める「基準月額」をベースに、所得に応じた段階(原則13段階)で割合を変えて算定されます。中身は次の2つです。
| 区分 | 意味 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 均等割 | どの被保険者も同じように払う基本分 | 市町村の基準月額 × 段階係数 |
| 所得割 | 所得が高いほど多く払う応能分 | (総所得金額等 − 33万円)× 所得割率 |
「所得割率」や「基準月額」「段階係数」は、すべて市町村(または都道府県)が条例で決めます。そのため、隣の市と比較してもあまり意味がないのが介護保険料の特徴です。ここでは以降、厚生労働省の公表する全国平均の基準月額を使って「目安」を計算します。
具体数値例:年収500万円・会社員の目安
令和6年度(2024年度)の介護保険料の全国平均基準月額は約6,481円(年額約77,772円)とされます。これを「標準(第7段階・所得割なしベース)」とします。年収500万円の中所得層は、これに所得割が少し加算される形になります。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 全国平均 基準月額 | 6,481円 | 厚労省公表(令和6年度) |
| 標準(第7段階)の年額 | 約77,800円 | 6,481 × 12 |
| 年収500万(中所得・第9段階目安)の年額 | 約8万円 | 基準 + 所得割(少) |
| 月額換算(中所得) | 約6,700円 | 年額 ÷ 12 |
つまり、年収500万円の会社員が払う介護保険料の全国平均を使った目安は、年額で約8万円(月額約6,700円)程度です。あくまで「目安」であり、お住まいの市町村の基準月額や所得割率によって、年額で数万円の上下は当然あり得ます。
所得段階のイメージ(原則13段階)
介護保険料は、所得の低い順に原則13段階に分けられ、段階によって「均等割の係数」と「所得割の有無・割合」が変わります。市町村ごとに段階の区分や係数は異なりますが、イメージは次のとおりです。
| 段階(例) | 目安の世帯 | 保険料の目安 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護受給相当・年金収入80万以下 | 基準の0.5倍程度(特例軽減) |
| 第4段階 | 低所得(非課税・年金収入80万超) | 基準の0.75倍程度 |
| 第7段階 | 標準(所得割なしベース) | 基準月額そのまま |
| 第9段階 | 中所得(年収500万程度) | 基準 + 所得割(少) |
| 第13段階 | 高所得(所得割上限) | 基準 × 1.5倍程度 |
ポイントは2つ。①低所得ほど特例軽減で下がる(第1段階なら基準の半額近くに)。②所得が上がるほど所得割が加算されて右肩上がりになるが、上限(第13段階)でも基準の1.5倍程度が目安です。自分の段階は、市町村が送る「介護保険料決定通知書」に記載されています。
65歳での移行(第2号→第1号)
介護保険料で最も混乱しやすいのが、65歳の誕生日を境にした「第2号」から「第1号」への移行です。
- 40〜64歳(第2号):給与(または年金)からの特別徴収(天引き)。会社員なら給与明細の控除項目に載ります。
- 65歳以上(第1号):老齢年金を受給している人は年金から天引き、それ以外は納付書(普通徴収)で支払います。計算の段階も、第2号用から第1号用(65歳以上向けの段階)に移行します。
移行時に「金額がガクンと変わった」と感じることがありますが、それは計算方式(段階の区分)が変わるためです。同じ所得でも、64歳と65歳で段階の数え方が変わる点に注意してください。
注意点:見落としやすい5つの落とし穴
- 市町村ごとに違う:所得割率・基準月額・段階数が異なるため、隣の市と比べても意味がありません。正解はお住まいの市町村の「介護保険料算定表」だけです。
- 毎年見直される:第2号の保険料は、毎年6月頃に「前年の所得」をもとに決まります(住民税と連動)。昇給や減給で翌年度の額が変わります。
- 特例軽減の存在:低所得世帯には軽減係数が適用され、基準の0.5〜0.75倍になります。申請ではなく自動適用の場合が多いですが、不明なら市町村へ。
- 社会保険料控除の対象:支払った介護保険料は、所得税・住民税の「社会保険料控除」の対象です。年末調整・確定申告で申告すれば、課税所得を押し下げる効果があります。
- 非課税の給付ではない:介護保険料そのものに税金はかかりませんが、介護サービスを受けた際の「自己負担(1〜3割)」とは別物です。混同しないよう注意してください。
関連ツールでさらに計算を深める
介護保険料も含めた「手取り」の内訳を確認するなら 手取り計算ツール、老後資金の備えをシミュレーションするなら 複利積立シミュレーション が参考になります。介護保険料の「親の分」を含めた家計全体の動きは 国民年金保険料の記事、社会保険料の仕組みは 社会保険料の計算記事、住民税との連動は 住民税の計算記事 を併せてどうぞ。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
よくある質問
介護保険料の計算方法は?
介護保険料(年額)は『所得割額+均等割額』の合算です。所得割額は(総所得金額等-33万円)×所得割率、均等割額は市町村が決める基準月額×12×段階係数で求まります。所得割率や基準月額は市町村ごとに異なるため、正確な額はお住まいの市町村の公表値で確認してください。
年収500万円の介護保険料の目安はいくら?
全国平均の基準月額(令和6年度約6,500円/月)を使った目安では、中所得(年収500万円程度)で年額約8万円(月額約6,700円)程度になります。市町村によって基準月額や所得割率が変わるため、隣の市と比べても意味がない点に注意してください。
65歳になると介護保険料はどう変わる?
40〜64歳は『第2号被保険者』で給与や年金から天引き(特別徴収)されます。65歳からは『第1号被保険者』となり、老齢年金受給者は年金から天引き、それ以外は納付書で支払います。計算のしくみも市町村の段階から移行します。
低所得だと介護保険料は安くなる?
はい。所得が低い世帯(第1段階〜第5段階程度)には『特例軽減』が適用され、基準月額の0.5倍〜0.75倍程度に軽減されます。生活保護受給相当の第1段階が最も安くなります。
介護保険料は所得税・住民税の控除対象?
はい。支払った介護保険料は、所得税・住民税の『社会保険料控除』の対象になります。年末調整や確定申告で申告すれば、課税所得を押し下げる効果があります。