6月の給料、なぜ手取りが急に減る? 住民税が「前年の所得」で決まり翌年6月から跳ねる仕組みと減る額の計算(特別徴収・ボーナス月の偏重も)

2026-08-31 | 住民税 手取り 税金 特別徴収 給与明細 扶養 家計 昇給

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「6月の給料明細を見たら、手取りが前月より1万円も減っていた——住民税って書いてあるけど、なんで今なの?」——毎年この時期、多くの会社員が同じ違和感を抱きます。給料は上がっていないのに、6月だけ急に手取りが減る。この現象の正体は、「住民税は“前年の所得”で決まり、毎年6月から新しい年度の徴収が始まる」というルールにあります。

この記事では、なぜ6月に手取りが動くのか、いくら減るのかを数式と具体例で説明し、「昇給した翌年6月に跳ねる」「退職した翌年も請求が来る」「新卒は2年目の6月から」という3つのタイムラグを整理します。結論から言うと、6月の減少額は「年間住民税÷12」の1回分ですが、ボーナス月と重なると一段と大きく見えます。

📌 結論ファースト:住民税は「前年中(1月〜12月)の所得」で決まり、毎年6月から翌年5月までの1年間徴収されます。会社員なら原則「毎月の給与から年税額÷12」を天引き(特別徴収)するので、6月から新しい額が引かれ始めます。年収500万円・独身なら年間約24万円(月約2万円)、年収1000万円なら年間約56万円(月約4.7万円)が目安。今年昇給した分は翌年6月から手取りに響きます。

誰が検索しているか(検索意図)

この記事は、次のような状況にある方を想定して書いています。

よくある誤解は3つ。①「住民税は今の給料から引かれる」——実際は“前年”の給料から決まる。②「6月だけ多く引かれる」——月額は基本的に一定だが、ボーナス月と重なると見かけ上大きくなる。③「退職したら住民税は関係ない」——退職した翌年も、前年の所得分が請求される。順に確認します。

計算根拠:住民税の額はどう決まるか

住民税(住民税の“所得割”+“均等割”)は、毎年1月1日現在の住所地で、前年中(1月〜12月)の所得をもとに計算されます。計算式は次のとおりです。

住民税額 = 所得割 + 均等割
所得割 = (前年の課税所得 × 10%)− 調整控除
均等割 = 5,000円(標準)

ここで「課税所得」は、前年の給与収入 − 給与所得控除 − 社会保険料 − 各種控除で出します。所得税と異なり、住民税の所得割の税率は全国一律10%(都道府県分3%+市町村分7%、調整控除を引く)で、累進しません。そのため低年収ほど「所得税より住民税のほうが高い」という特徴があります。給与所得控除そのものは給与所得控除の計算記事、所得税との違いは所得税の計算記事で確認できます。

タイムラグの正体:なぜ「6月」なのか

住民税の「年度」は毎年6月1日から翌年5月31日です。税額は前年の所得で決まるため、年末に所得が確定してから、翌年の6月に初めて徴収が始まります。この「所得が確定してから徴収まで約半年のズレ」がタイムラグの正体です。

できごと所得の対象住民税が引かれ始める時期
2025年中の給与収入2025年分の所得2026年6月〜2027年5月
2026年中に年収アップ2026年分の所得2027年6月から跳ねる
2026年中に退職2026年分の所得2027年も請求が来る(前年分)

つまり「今年の手取り」に乗る住民税は、実は“おととしの所得”ではなく“去年の所得”です。だからこそ、今年昇給しても手取りがすぐには減らず、翌年6月の給料から一気に反映されるのです。

具体数値例:年収別の住民税と、手取りの減少額

独身・会社員(社会保険料を年収の約14.5%と想定)で、前年の所得から住民税を試算しました。

前年の年収課税所得(目安)住民税額(年間)毎月の手取り減少額
300万円約115万円約12.5万円約1.0万円
500万円約236万円約24.1万円約2.0万円
800万円約520万円約52.5万円約4.4万円
1000万円約612万円約56.5万円約4.7万円

たとえば前年が年収400万円(住民税約18万円・月1.5万円)の人が、去年年収500万円になった場合、今年の6月から月2.0万円引かれ始め、月5,000円ずつ手取りが減ります。昇給の喜びが「手取り」に出るのは、実質1年遅れになるわけです。自分の年収で同じ内訳を見たい場合は手取り計算ツールが使えます。

特別徴収のスケジュール:なぜ「6月だけ多く引かれる」ように見えるか

会社員の多くは、住民税を給与からの天引き(特別徴収)で払っています。原則は「年税額を12で割った額を、毎月の給与から天引き」です。しかし実際には、ボーナス(賞与)の月に偏って徴収される割合が多く設定されることが一般的です。

徴収方法仕組みいつ引かれるか
特別徴収(毎月)年税額÷12 を毎月の給与から原則12回/年
特別徴収(ボーナス偏重)月給分(10/12程度)+ボーナス月にまとめて(2/12程度)月給分は毎月、ボーナス月に大きく
普通徴収自分で納付書を払う年4回(6月・8月・10月・1月)

「6月の給料明細で急に減った」と感じるのは、6月がボーナス月の会社であれば、そこに「ボーナスからの特別徴収分」が乗るからです。月給分の天引き(約2万円)に加え、年税額の一部(例:数万円)がボーナスから一括で引かれるため、手取りの凹みが際立ちます。ボーナスの手取り全体はボーナスの手取り計算記事で確認できます。

3つのパターン:昇給・退職・新卒

① 昇給した → 翌年6月に跳ねる

年収が上がった年の手取りは、まだ「旧所得ベースの住民税」のままです。しかし翌年6月から新しい(高い)住民税が引かれ始めるため、手取りの伸びは1年遅れて鈍ります。昇給後の手取り落ち込みを事前に見積もるなら、年収別の年収500万円の手取り内訳や年収1000万円の手取り内訳と合わせて考えると事故が起きません。

② 退職した → 翌年も請求が来る

「もう働いていないのに、なぜ住民税の通知が?」——これは前年分の所得に対する税だからです。退職して収入がゼロでも、前の年にお給料をもらっていれば、その分の住民税は翌年に請求されます。会社を離れると給与天引きができないので、普通徴収(納付書)に切り替わり、自分で納める形になります。

③ 新卒・初給与 → 2年目の6月から

新卒で働き始めた1年目は、前年に給与所得がない(またはアルバイト等の少額)ため、住民税はゼロかごくわずかです。ところが2年目の6月から、1年目の給与に対する住民税が突然引かれ始め、「なぜ今?」と驚くのがこの仕組みのせいです。

注意点・落とし穴

内部リンクでさらに深掘り

注意事項

本記事の数値は、現行の住民税(所得割税率10%・均等割5000円)および給与所得控除・社会保険料料率(協会けんぽ東京都の目安約14.5%)に基づく概算です。実際の税額は、市区町村ごとの均等割額・税率、前年の給与明細、各種控除の有無によって変わります。特に特別徴収の按分(毎月分とボーナス月分の割合)は勤務先の規定で異なります。正確な金額は、毎年5月頃に届く「住民税の決定通知書」、またはお住まいの市区町村でご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務助言に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

6月の給料からなぜ急に住民税が引かれるのですか?

住民税の年度は毎年6月から翌年5月で、税額は「前年中の所得」から決まるためです。前年の所得で計算された新しい税額が、6月から給与天引き(特別徴収)で徴収され始めるため、6月の手取りが前月より減って見えます。ボーナス月と重なると、そこにボーナスからのまとめ徴収分が乗るため、一段と減少幅が大きく感じられます。

住民税は今の給料から引かれるのではないのですか?

いいえ、原則として「前年(1月〜12月)の所得」から決まります。だからこそ、今年昇給しても手取りがすぐには減らず、翌年6月から反映されます。逆に今年収入が減っても、当年の手取りは「おととし・去年ベース」のままです。

年収500万円だと住民税はいくらですか?

独身・会社員(社会保険料を年収の約14.5%と想定)の場合、前年の課税所得は約236万円となり、住民税額は所得割(約23.6万−調整控除)+均等割5000円で年間約24.1万円、毎月の手取りからは約2.0万円引かれます。年収1000万円なら年間約56.5万円(月約4.7万円)が目安です。

退職したのに翌年住民税の請求が来ました。なぜですか?

前年中に給与収入があれば、その分の住民税は「翌年」に請求されるルールだからです。退職して収入がゼロでも、前の年働いた分の税は残ります。会社を離れると給与天引きができないため、普通徴収(納付書)に切り替わり、自分で納める形になります。

新卒1年目は住民税がかからないのはなぜですか?

新卒で働き始めた1年目は、前年に給与所得がない(またはアルバイト等の少額)ため、住民税がゼロかごくわずかになるからです。2年目の6月から、1年目の給与に対する住民税が突然引かれ始めます。「なぜ今?」と驚くのはこの仕組みのせいです。

ボーナス月の手取りがいつもより減るのは住民税のせいですか?

その通りの場合が多いです。特別徴収の多くは「月給分(年税額の10/12程度)+ボーナス月へのまとめ徴収(2/12程度)」に按分されるため、ボーナスが出る月は通常より多く住民税が引かれます。勤務先の規定によって按分比率は異なります。

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