育休手当はいくらもらえる? 支給額の計算式(標準報酬月額×3分の2)と手取りとの違いを1円単位で解説
「産休・育休をとると、家計の収入はいくら減るの? 育休手当はいくらもらえるの?」——新しい命を迎える喜びの一方で、誰もが気にするのが「休職中のお金」です。この記事では、雇用保険から支給される育休手当(育児休業給付金)について、支給額の計算式の根拠・支給率の変わり目(180日)・期間の上限・手取りへの影響・よくある誤解を、具体数値(年収500万円の会社員)でわかりやすく解説します。
育児休業給付金(育休手当)とは何か
育児休業給付金は、会社の健康保険(協会けんぽ・組合健保)に加入している被保険者が、子の養育のための育児休業をとったときに、雇用保険から支給される給付金です。育児休業をとるのは本人(母)でも配偶者(父)でも同じ制度が使えます。なお、この記事で扱うのは雇用保険法に基づく公的な育休手当です(会社独自の育児休業手当がある場合は別途上乗せされることがあります)。
支給額の計算式(根拠)
育休手当の1日あたりの支給額は、次の式で求めます。
ここで「標準報酬日額」は、育休開始前の継続した6ヶ月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30 で求められます。支給率は、休業期間の長さによって2段階に分かれます。
| 休業期間 | 支給率(標準報酬日額に対する割合) |
|---|---|
| 休業開始後、最初の180日間 | 3分の2(約66.7%) |
| 181日目以降 | 2分の1(50%) |
支給率の2段階:最初の180日 = 2/3、181日目以降 = 1/2
支給額には上限もあり、育休開始前の標準報酬月額が一定額(年度ごとに改定される上限額)を超えると、その上限額をもとに計算されます。最新の上限額は日本年金機構・ハローワークの公表値でご確認ください。
具体数値例:年収500万円の会社員の場合
年収500万円の会社員(標準報酬月額を37万円と仮定)が育休をとる場合を計算します。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 標準報酬月額 | 370,000円 | 年収500万円の等級(目安) |
| 標準報酬日額 | 12,333円 | 370,000 ÷ 30 |
| 最初の180日:日額 | 8,222円 | 12,333 × 2/3 |
| 最初の180日:月額(30日換算) | 約246,700円 | 370,000 × 2/3 |
| 181日目以降:日額 | 6,167円 | 12,333 × 1/2 |
| 181日目以降:月額(30日換算) | 約185,000円 | 370,000 × 1/2 |
つまり、年収500万円の方が育休をとると、最初の半年(180日)は月額約24.7万円、その後は月額約18.5万円の育休手当が支給される目安になります。
ステップ:手取りとどう違うか
年収500万円の会社員の、通常時の手取りは月額約20.5万円です(年収500万円の手取りを1円単位まで分解した記事を参照)。育休手当と比べると……
| 時期 | 通常の手取り | 育休手当(月額目安) |
|---|---|---|
| 通常時 | 約205,000円 | — |
| 育休 最初の半年 | — | 約246,700円 |
| 育休 半年以降 | — | 約185,000円 |
注目すべきは「最初の半年は、手取りより育休手当のほうが多い」ことです。これは、育休手当が「手取り(各種控除後の額)」ではなく「標準報酬月額(控除前の保険料算定ベース)の3分の2」で計算されるためです。また、育休中は厚生年金保険料・健康保険料が免除(または納付猶予)になることが多いため、手元に残る額はさらに有利になります。
支給期間の上限
育休手当の支給期間は、原則として「子が1歳になる日」までです。ただし、保育所等の都合で育休を延長する場合は1歳6カ月まで、さらに自治体の認定等で2歳まで延長できる場合があります。180日の「支給率2/3」区間は一人の子について1回ですので、第1子と第2子で別々に計算されます。
注意点:見落としやすい落とし穴
- 「給与の3分の2」ではなく「標準報酬月額の3分の2」:手取りではないため、手取りより高くなる場合があります(上記のとおり)。逆に言えば、ボーナスや残業代込みの額ではなく、毎月の標準報酬月額ベースで決まります。
- 上限がある:高所得の方は、育休開始前の標準報酬月額が上限額を超えると、支給額は上限で頭打ちになります。最新の上限額は年度ごとに改定されるため、必ずハローワーク等で確認を。
- パート・短時間労働者も受給可:週20時間以上働き、雇用保険に加入していれば、条件を満たしていれば育休手当を受け取れます。ただし「雇用保険の被保険者期間」などの要件があるため、事前にご確認を。
- 国民健康保険にはない:育休手当(育児休業給付金)を支給するのは雇用保険です。自営業等で国民健康保険にしか入っていない方は、この給付の対象外です(自治体の単独給付等は別途確認)。
- 非課税:育休手当は所得税・住民税の課税対象になりません。確定申告や年末調整の必要はありません。
関連ツールでさらに計算を深める
育休中の家計を「手取り」の観点で見直すなら 手取り計算ツール、育休明けの収入と子どもの成長に合わせた備えをシミュレーションするなら 複利積立シミュレーション もどうぞ。児童手当の額を確かめるなら 児童手当の支給額を計算した記事、病気・ケガで休むときの給付なら 傷病手当金の記事、社会保険料の仕組みは 社会保険料の計算記事 をご覧ください。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
よくある質問
育休手当の支給額はどうやって決まりますか?
育休開始前の「標準報酬日額(直近6ヶ月の標準報酬月額平均÷30)」に支給率を掛けて求めます。支給率は休業開始後最初の180日間が3分の2(約66.7%)、181日目以降が2分の1(50%)です。つまり標準報酬月額の「3分の2」が最初の半年の月額目安になります。高所得の方は標準報酬月額に上限があり、その分で頭打ちになります。
育休手当は手取りより多いことがあるのはなぜですか?
育休手当は「手取り(所得税・社会保険料を引いた後の額)」ではなく「標準報酬月額(保険料算定のベースとなる控除前の額)」の3分の2で計算されるためです。さらに育休中は厚生年金・健康保険料が免除になることが多いので、手元に残る額は通常の手取りを上回る場合があります。
支給期間はどのくらいですか?
原則として「子が1歳になる日」までです。保育所等の理由で延長する場合は1歳6カ月まで、さらに自治体の認定等で2歳まで延長できる場合があります。180日の「3分の2」区間は子ごとに1回計算されます。
パートや夫(父)でももらえますか?
雇用保険の被保険者として要件(週20時間以上の労働など)を満たせば、パートでも夫(父)でも同じ育児休業給付金を受け取れます。なお、自営業等で国民健康保険しかない方は雇用保険の対象外となるため、この給付はありません(自治体の単独給付等は別途確認を)。