児童手当はいくらもらえる?支給額と「所得制限の壁」を年収別に1円単位で計算する
「児童手当、うちの子はいくらもらえるの? 年収が高いと減るって本当?」——小さいお子さんを持つご家庭の、いちばん身近な疑問の一つです。ネットでは「中学生までもらえる」「第3子以降は手厚い」という概要は出てきますが、実際の支給額が「どの式で」「所得制限の壁をまたぐとどう減るか」を、年収別の実数で追っている記事は意外と少ないものです。
この記事では、支給額のルールと、「所得制限」の2つの壁(満額→特例→停止)を、夫婦+子2人(扶養親族2人)を例に、給与所得控除を使って1円単位で計算します。自分の世帯で試したい場合は 手取り計算ツール で手取りと照らし合わせられます(入力はどこにも送信されません)。
結論:夫婦+子2人なら満額は年36万円、壁は年収約893万円
| 世帯年収(目安) | 区分 | 月額(子2人) | 年額 |
|---|---|---|---|
| 〜約893万円 | 満額 | 30,000円 | 360,000円 |
| 約893万〜約1,129万円 | 特例給付 | 10,000円 | 120,000円 |
| 約1,129万円超 | 支給停止 | 0円 | 0円 |
ポイントは、制限が「年収(給与収入)」ではなく、給与所得控除を引いた「所得額」で決まることです。そのため「年収900万円」でも満額のままの人と、特例になる人がいます。順に計算します。
ステップ1:支給額の基本ルール
児童手当の月額は、子の年齢と「何人目か」で決まります(令和6年度の仕組み。支給は満15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)。
| 子の順番 | 満3歳未満 | 3歳〜小学校修了前 | 中学生(〜15歳) |
|---|---|---|---|
| 第1子・第2子 | 15,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
| 第3子以降 | 15,000円 | 30,000円 | 10,000円 |
「第3子以降」は、年長のお子さんから数えて3人目以降を指します。年少のお子さんが増えても「下から3人目」ではなく「上から数えて3人目」なので、第3子以降の手厚い額(3万円)になるのは、実質的に3人目のお子さんが3歳を超えてからです。
注意点:高校生(15歳超)は原則対象外ですが、15歳到達後の最初の3月31日までの在学中(中学生)はもらえます。また児童手当は非課税のため、もらっても所得税・住民税の課税所得にはなりません(家計にとっては手取りそのもののプラス)。
ステップ2:所得制限の2つの壁(所得額ベース)
制限は、受給者(本来は生計を同じくする父母のうち所得の高い方)の所得額で決まります。区分は次の2段階です。
- 所得額 限度額以下 → 通常給付(満額)
- 限度額超 〜 特例限度額以下 → 特例給付(月5,000円×人数)
- 特例限度額超 → 支給停止(もらえない)
限度額は、扶養親族等の数によって変わります(夫婦ふたり+子どもN人なら、扶養親族は子N人分)。
| 扶養親族等の数 | 満額の限度額(所得額) | 特例の限度額(所得額) |
|---|---|---|
| 0人(単身等) | 6,220,000円 | 8,580,000円 |
| 1人 | 6,600,000円 | 8,960,000円 |
| 2人 | 6,980,000円 | 9,340,000円 |
| 3人 | 7,360,000円 | 9,720,000円 |
| 以降、扶養親族1人増えるごとに+380,000円 | ||
夫婦+子2人なら扶養親族2人なので、所得額698万円までが満額、934万円までが特例です。
ステップ3:年収(給与収入)から所得額を出す
「所得額」は、年収から給与所得控除を引いた額です。会社員の給与所得控除(令和6年分以降の速算表)は、収入に応じた式で出ます。
| 給与収入 | 給与所得控除 |
|---|---|
| 180万円以下 | 一律55万円 |
| 180万〜360万円以下 | 収入×40%−10万円 |
| 360万〜660万円以下 | 収入×20%+44万円 |
| 660万〜850万円以下 | 収入×10%+110万円 |
| 850万円超 | 上限195万円 |
夫婦+子2人で「年収893万円」の場合、給与収入は850万円超の区分なので控除は上限195万円。よって
所得額 = 8,930,000 − 1,950,000 = 6,980,000円
これがまさに「満額の壁」です。年収893万円までは満額、そこを1円でも超えると特例給付(月1万円)に落ちます。
ステップ4:年収別で実際に計算する
夫婦+子2人(満額なら月3万円、特例なら月1万円)を例に、年収を動かしてみます。
| 年収 | 所得額 | 区分 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 約276万円 | 満額 | 30,000円 | 360,000円 |
| 600万円 | 約436万円 | 満額 | 30,000円 | 360,000円 |
| 800万円 | 約610万円 | 満額 | 30,000円 | 360,000円 |
| 893万円 | 698万円 | 満額(境界) | 30,000円 | 360,000円 |
| 900万円 | 約705万円 | 特例給付 | 10,000円 | 120,000円 |
| 1,000万円 | 約805万円 | 特例給付 | 10,000円 | 120,000円 |
| 1,129万円 | 934万円 | 特例(境界) | 10,000円 | 120,000円 |
| 1,130万円超 | 934万円超 | 支給停止 | 0円 | 0円 |
年収が893万円から900万円へ7万円増えただけで、手当は年36万円から12万円に−24万円。つまり手取増(税引き後)より手当減のほうが大きく、世帯手取りが実質マイナスになる「逆転現象」が起きます。これが児童手当の最大の罠です。
ステップ5:子3人の場合(第3子以降の手厚さ)
子3人(例:2歳・5歳・9歳、扶養親族3人)の場合、年長から数えて3人目(9歳)が第3子以降になるため、3歳〜15歳の3万円が効きます。
| お子さん | 年齢 | 区分 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 上(9歳) | 第3子以降 | 3歳〜15歳 | 30,000円 |
| 中(5歳) | 第2子 | 3歳〜12歳 | 10,000円 |
| 下(2歳) | 第1子 | 3歳未満 | 15,000円 |
| 合計(満額) | 55,000円 | ||
満額なら年額 66万円。この世帯の所得制限は扶養親族3人なので満額の壁が所得額736万円(年収約931万円)まで緩くなります。子どもが増えるほど壁も緩く、手当も増えるため、子3人世帯ほど「満額を守る」価値が高くなります。
ここが誤解の多いポイント:所得制限の逆転現象
最も多い誤算が、「年収が上がったのに手取りが減った」と驚くことです。理由は2つ。
- 壁の直上で手当がガクンと減る:満額(月3万)から特例(月1万)への落差が、年収893万円の1円上で一気に−24万円/年。パート収入を少し増やした結果、この壁を越えると大ダメージです。
- 制限は「所得額」だから、年収と1対1ではない:給与所得控除(高年収ほど率が下がる)を引いたあとの所得額で決まるため、「年収900万円」の人が満額だったり特例だったりします。自身の源泉徴収票の「給与所得」欄と照らすのが確実です。
対策:パート等でご夫婦が稼ぐ場合、扶養の103万・106万・130万・150万の壁(年収の壁を手取りの逆転額で比べた記事)とも絡むため、手当減額分とパート収入を合わせて、世帯手取りが本当に増えるかを確認してから働く時間を決めるのが鉄則です。
関連ツール・記事で家計全体を確かめる
児童手当を含めた世帯の手取りは 手取り計算ツール で確認できます。給与所得控除そのものの計算式と早見表は 給与所得控除の早見表と計算式、社会保険料の出所は 社会保険料の計算方法、扶養の壁の全体像は 扶養と年収の壁の全体像、また つみたてNISAの受取額シミュレーション も併せてどうぞ。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は令和6年度(2024年度)の制度を前提とした概算です。児童手当の支給額・所得制限限度額は、制度改正(物価スライド等)やお住まいの自治体の条例で変動します。また所得制限は「生計を同じくする父母のうち所得の高い方」の所得額で判定され、事業所得や年金収入等を含む場合の計算は給与所得控除とは異なります。特例給付は原則「自動」ではなく、満額の対象外となった場合に別途「特例給付の請求」が必要な手続きです(手続きをしないとその年度は満額のまま、のちに調整)。正確な金額と適用は、お住まいの自治体の窓口・公式情報、および源泉徴収票でご確認ください。制度の詳細は厚生労働省の公式情報が最終的な根拠になります。
+ '手取り計算ツール へ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。よくある質問
児童手当の支給額はいくら?
原則、第1子・第2子は満3歳未満が月1万5,000円、3歳から小学校修了前(満12歳)までは月1万円、中学生(15歳到達後の最初の3月31日まで)は月1万円です。第3子以降は3歳未満が月1万5,000円、3歳から15歳までは月3万円と手厚くなります。年額はそれぞれ×12ヶ月分です。
所得制限の壁(満額→特例)は年収いくら?
制限は「給与所得控除を引いた所得額」で決まります。夫婦と子2人(扶養親族2人)の場合、所得額698万円までが満額、その上は特例給付(月5千円×人数)になります。給与収入(年収)に直すと、満額の上限はおおむね年収約893万円です。
特例給付と満額の差はいくら?
夫婦+子2人なら、満額は年36万円(月3万円)、特例給付は年6万円(月1万円)です。所得が壁を少し超えただけで年間30万円もらいそこない、これを「逆転現象」と呼びます。
所得制限を超えるとどうなる?
特例給付の限度額(夫婦+子2人なら所得額934万円、年収約1,129万円)を超えると、児童手当は支給停止になります(もらえなくなります)。ただし、所得制限を超えても「特例給付」の申請をしない限り、自動で満額から減額されることはなく、手続きをしないとその年は満額のままです(後で調整)。
パート収入が壁を越えると手取りは減る?
ご夫婦のどちらかがパート等で稼ぐと、世帯の合算所得が上がり、満額→特例→停止の壁にぶつかることがあります。手当が減る分とパート収入を比べ、世帯手取りが本当に増えるかを確認するのが鉄則です。扶養の130万・150万の壁とも絡むため、併せて確認を。