贈与税の基礎控除110万円を超えたらいくら取られる? 超過分の税額と「暦年贈与」の壁を具体例で

2026-08-15 | 贈与税 税金 家計 相続

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「親が子どもの住宅ローンを立て替えてくれた(=贈与した)けど、贈与税ってかかるの?」「お年玉や仕送りが年110万円を超えたらいくら取られる?」——親子・夫婦間の金銭のやり取りで、この不安を抱く人は多いはずです。ネットには「年110万円までは非課税」という結論は出てきますが、「じゃあ110万円を超えたとき、実際にいくら税額が取られるのか」を、計算式と具体例つきで書いている記事は意外と少ないものです。

この記事では、もっとも典型的な「親から子への暦年贈与」を例に、基礎控除110万円を超えた分にかかる贈与税の額を実際の速算公式から出し、夫婦なら2倍になるしくみや、注意すべき特例との違いを確認します。

結論:贈与が150万円なら税額約4万円、500万円なら約53万円

もらった額(1年・1人分)基礎控除課税価格(超過分)贈与税額手元に残る額
100万円▲110万円0円(非課税)0円100万円
110万円▲110万円0円(非課税)0円110万円
150万円▲110万円40万円約4万円約146万円
300万円▲110万円190万円約19万円約281万円
500万円▲110万円390万円約53万円約447万円

注目すべきは、税額がかかるのは「超過分」だけという点です。贈与が150万円でも、110万円までは丸ごと非課税なので、課税の対象になるのはその上の40万円だけ。ここからが本題です。

ステップ1:贈与税の基本——暦年110万円の基礎控除

贈与税には「暦年課税」というルールがあり、1月1日から12月31日までの1年間に、同じ人からもらった贈与の合計が110万円までは非課税になります。これを基礎控除といいます。

注意点:この110万円は「もらった総額」の目安ではなく、「超えた分」にだけ税がかかるというのが最大の勘違い防止ポイントです。以下、この超過分(課税価格)から税額を出します。

ステップ2:超過分の税額を出す「速算公式」

基礎控除110万円を引いたあとの課税価格に対して、国税庁の贈与税の速算表の税率と控除額を当てはめます。

課税価格(超過分)税率控除額
200万円以下10%−
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%165万円
1,500万円以下45%215万円
3,000万円以下50%465万円
4,500万円以下55%1,015万円
4,500万円超60%2,085万円

贈与税額の公式は次のとおりです。

贈与税額 = 課税価格 × 税率 − 控除額
(課税価格 = もらった総額 − 110万円)

ステップ3:具体例で計算してみる

もっとも相談の多い額で、実際に税額を出します。

例1:贈与150万円

課税価格 = 1,500,000 − 1,100,000 = 400,000円
税額 = 400,000 × 10% − 0 = 40,000円

例2:贈与300万円

課税価格 = 3,000,000 − 1,100,000 = 1,900,000円
税額 = 1,900,000 × 15% − 100,000 = 285,000 − 100,000 = 185,000円

例3:贈与500万円

課税価格 = 5,000,000 − 1,100,000 = 3,900,000円
税額 = 3,900,000 × 30% − 650,000 = 1,170,000 − 650,000 = 520,000円

つまり贈与500万円でも、税額は約53万円(手元に約447万円残る)で済みます。超過分(390万円)にだけ累進税率がかかるため、贈与全体への実効税率は約10.6%と、まだ低い水準にとどまります。

ステップ4:夫婦(2人)からもらえば年220万円が非課税

基礎控除は「贈与をした人ごと」に認められるため、父と母の両方から同じ年に110万円ずつもらえば、合計220万円まで非課税になります。

贈与者1人あたりのもらい額その人の枠内か税額
父110万円はい(非課税)0円
母110万円はい(非課税)0円
合計220万円−0円

さらに祖父母等を含めた複数人からの贈与なら、その人数分の110万円が認められます。注意点:同一人からの贈与が110万円を超えないことが前提です。「父から220万円」のように1人にまとめると、超過分110万円に税がかかります。贈与者を分けることが、非課税枠を最大化する基本です。

ステップ5:住宅資金等の特例とは「別枠」——混同しない

親からの贈与には、110万円の基礎控除とは別に、非課税になる特例がいくつかあります。

これらは「通常の110万円控除」に上乗せで使えますが、適用には確定申告や書面の交付・専用口座の開設などの手続きが必要です。手続きを怠ると、特例分もまるごと贈与税の対象になります。本記事は基本の暦年110万円控除のみを扱っており、特例の詳細は国税庁の公式情報や専門家にご確認ください。

ステップ6:贈与税と相続税の関係(節税の基本)

「生きているうちに少しずつ贈与する」ことは、将来の相続税の課税価格を減らす手段になります。ただし次の点に注意します。

家計全体の税負担を考えるなら、手取り(手取り計算ツール)やふるさと納税の上限(ふるさと納税 上限目安)と並んで、贈与の設計も視野に入れるのが合理的です。

やりがちな失敗3つ

  1. 「110万円を超えたら全部課税される」と誤解する:課税されるのは超過分だけです。150万円でも110万円は非課税、残る40万円にだけ10%がかかります。
  2. 1人にまとめて贈与して非課税枠を無駄にする:基礎控除は贈与者ごと。父・母・祖父母と分けることで、年110万円×人数分の非課税枠を取りこぼしなく使えます。
  3. 特例の手続きを忘れて非課税を取り逃す:住宅資金や結婚・子育て資金の特例は「申請・書面・専用口座」が条件。期限や書類を確認せずに贈与すると、本来非課税だった分まで税がかかります。

関連ツールで家計全体を確認する

贈与で増えた分も含めた年間の手取りは 手取り計算ツール で確認できます。手取りの内訳(給与所得控除・社会保険料・所得税・住民税)の根拠は 年収500万円の手取りを1円単位で分解した記事、社会保険料の出所は 社会保険料の計算方法 が参考になります。住宅ローンと絡む贈与なら 住宅ローン計算、使い道の設計は 複利積立シミュレーション も併せてどうぞ。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

注意事項

本記事の数値は概算のシミュレーションです。贈与税の速算表・基礎控除額・各特例の上限は、制度改正やご自身の年代・要件によって変動します。住宅資金や結婚・子育て資金の非課税特例は確定申告等の手続きが必須で、条件を満たさないと適用されません。相続税の持ち戻しルールや相続時精算税額方式の選択も、財産規模によって有利不利が変わります。正確な税額と適用可否は、国税庁の公式情報および必要に応じて税理士等の専門家にご確認ください。

よくある質問

贈与税の基礎控除110万円とは?

1月1日〜12月31日の「1年(暦年)」のうちに、同じ人からもらった贈与の合計が110万円までは非課税になる特例です。この110万円を超えた分(課税価格)にだけ贈与税がかかります。配偶者や親からの少額の仕送り・お小遣いは、この範囲内なら原則として税額0です。

110万円を超えたらいくら取られる?

超過分(贈与額−110万円)に、超過額の段階に応じた税率(10%〜)と控除額を掛けた「速算公式」で税額が出ます。例えば贈与が150万円なら課税価格40万円×10%=4万円、300万円なら課税価格190万円×15%−10万円=19万円、500万円なら課税価格390万円×30%−65万円=53万円です。

夫婦(2人)からもらえば控除は2倍?

はい。基礎控除は「贈与をした人ごと」に認められます。例えば父と母の両方から同じ年にもらえば、それぞれ110万円ずつ=合計220万円まで非課税になります(ただし同一人からの贈与が110万円を超えないことが前提)。さらに祖父母等の複数人からなら、その人数分の110万円が認められます。

住宅資金の非課税措置や結婚・子育て資金の特例は?

親からの住宅取得資金や結婚・子育て資金の贈与には、要件を満たせば「110万円の基礎控除」とは別枠で非課税になる特例(贈与額に応じた上限あり)があります。ただし適用には確定申告や書面の交付などの手続きが必要で、使い方を誤るとまるごと課税される恐れがあります。本記事はあくまで基本の「暦年110万円控除」を扱い、特例は専門家等にご確認ください。

贈与税と相続税はどう違う?

贈与税は「生きているうちに財産をもらう」ときの税、相続税は「亡くなったあとに受け継ぐ」ときの税です。生前贈与を続けると相続税の課税価格を減らせますが、相続開始前3年以内の贈与には相続税の計算に戻される(持ち戻し)ルールなどがあるため、節税目的なら期間を含めた設計が必要です。

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