所得税の税率(累進課税)と速算表——課税所得から税額を出す計算(別表第一7区分・復興特別所得税2.1%・限界税率と平均税率の違い・年収500万・1000万の具体例)

2026-08-28 | 所得税 累進課税 税率 速算表 課税所得 復興特別所得税 限界税率 平均税率 手取り 税金 家計 年末調整

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「年収500万円の会社員だけど、いったい所得税はいくら取られてるの? 給与明細の『源泉徴収税』の額、合ってるのかな」——税金の計算で一番最初の壁は、「所得税の税率は何%?」という問いに、たった1つの数字で答えられないことです。日本の所得税は累進課税といって、稼ぎが多くなるほど税率が上がる仕組み。そのため「課税所得100万円の人」と「課税所得1000万円の人」では、当てはまる税率が5%から23%(さらに最高45%)までバラバラになります。

ネットで「所得税 税率」と検索すると、たいてい「5%・10%・20%…」という税率の一覧が出てきますが、「その税率をどう使って、実際の税額を1円単位で出すか」を、計算式の根拠から追ったページは意外に少ないものです。この記事では、国税庁の「所得税の速算表(別表第一)」を使って、課税所得から所得税額を出す計算を、具体例(課税所得195万〜1000万円、年収500万・1000万円)ごとに1円単位で示します。あわせて、「限界税率」と「平均税率」がなぜ違うのかという、節税や手取りを考えるうえで外せない注意点にも触れます。

📌 結論ファースト:所得税額は「課税所得 × 税率 − 控除額(速算表)」で出ます(さらに復興特別所得税2.1%が乗ります)。例えば課税所得500万円なら 572,500円(税率20%・控除額427,500円)、1000万円なら 1,764,000円(税率23%・控除額636,000円)です。年収から逆算すると、独身会社員(社会保険料を年収の約14.5%と想定)で年収500万円→所得税 約14.1万円、年収1000万円→所得税 約81.3万円になります。ポイントは「税率は1つじゃない」こと。課税所得が高いほど当てはまる税率が上がり、だからこそ「限界税率(次の1円にかかる税率)」と「平均税率(税額÷課税所得)」は大きくずれるのです。

誰が読むべき記事か(検索意図)

この記事は、次のような疑問・状況にある人に向けて書いています。

なお、ここでは国税(所得税)の計算に絞り、住民税(均等割・所得割)や、法人税・消費税は扱いません。住民税の計算は別記事で扱っています。

所得税の計算式——「課税所得」に税率をかけ、控除額を引く

所得税の税額は、次の1行で決まります(所得税法第89条・別表第一)。

所得税額 = 課税所得 × 税率 − 控除額

※さらにそこに 復興特別所得税(2.1%)が乗る(後述)。

ここでいう「課税所得」とは、収入(給与なら年収)から「給与所得控除」「社会保険料控除」「基礎控除(48万円)」「配偶者控除」などの所得控除を引いたあとの額

で、この「課税所得」に、その金額の大きさに応じて決まる税率をかけ、決まった「控除額」を引く、というのが基本の形です。「控除額」は引き算の調整項で、これがあるおかげで、どの税率区分にいても、隣の区分と税額がキレイに続く(連続する)ようになっています。

🔎 なぜ「税率 − 控除額」の形なのか:単純に「課税所得×税率」だけだと、税率が上がる境目で「ちょっと所得が増えただけなのに、税額がガクンと跳ね上がる」という不自然が起きます。「控除額」を引くことで、低い税率の区分で計算したときと、高い税率の区分で計算したときに、境目の税額がちょうど一致するように調整されているのです(だから「速算表」と呼ばれます)。

累進課税ってなに?——「稼ぎが多いほど税率が上がる」超過累進

日本の所得税は超過累進税率という方式です。これは、

つまり「すべての所得に一律〇〇%」ではなく、「その部分ごとに、その高さにふさわしい税率」がかかるのが累進課税です。「超過」とは「その区分を超えた分だけに高い税率が超過してかかる」という意味です。これを1円ずつ計算すると面倒なので、あらかじめ「どの区分ならどの式」をまとめたのが、次の速算表(別表第一)です。

所得税の速算表(別表第一)——全7区分

課税所得(税率をかけるもとの額)の大きさによって、次の7つの区分のいずれかに入ります。該当する行の「税率」と「控除額」を使って、税額 = 課税所得 × 税率 − 控除額 を計算します。

課税所得の金額(区分)税率控除額
1,950,000円以下5%0円
1,950,000円 〜 3,300,000円以下10%97,500円
3,300,000円 〜 6,950,000円以下20%427,500円
6,950,000円 〜 9,000,000円以下23%636,000円
9,000,000円 〜 18,000,000円以下33%1,536,000円
18,000,000円 〜 40,000,000円以下40%2,796,000円
40,000,000円超45%4,796,000円

使い方のポイント:

具体例①:課税所得195万円(5%の上限ぎりぎり)——税額 97,500円

最も低い税率(5%)の区分の、ちょうど上限です。

税額 = 1,950,000 × 5% − 0 = 97,500円

項目金額
課税所得1,950,000円
税率 × 課税所得97,500円
− 控除額0円
所得税額(本則)97,500円

低所得の方は、この5%の区分に入ります。扶養に入っている配偶者や、パートで稼ぎを抑えている方の「自分で申告した場合」などの目安になります。

具体例②:課税所得330万円(10%の境界)——税額 232,500円

10%の区分の、ちょうど上限(330万円以下)です。

税額 = 3,300,000 × 10% − 97,500 = 330,000 − 97,500 = 232,500円

ここで「控除額97,500円」が効いています。もし控除額がなければ 330,000円になるところが、97,500円引かれて 232,500円になります。これは、例えば課税所得を195万円から330万円に増やしたとき、境目で税額が不連続にならないよう調整するための数字です(実際、195万円で97,500円、そこから先は10%ずつ増えるので、330万−195万=135万円×10%=13.5万円を足すと 97,500+135,000=232,500円 と一致します)。

具体例③:課税所得500万円(20%の真ん中)——税額 572,500円

会社員の「標準的」なあたりです(年収500万円なら、給与所得控除などを引いた課税所得はこれより少し下がります。詳細は後述)。

税額 = 5,000,000 × 20% − 427,500 = 1,000,000 − 427,500 = 572,500円

項目金額
課税所得5,000,000円
税率 × 課税所得(20%)1,000,000円
− 控除額427,500円
所得税額(本則)572,500円

この段階では「平均税率」は 572,500 ÷ 5,000,000 = 約11.45% です。つまり、かかっている「代表の税率20%」よりずっと低く、税金は課税所得の1割強にとどまります。これが累進課税の恩恵です。

具体例④:課税所得1000万円(23%の区分)——税額 1,764,000円

高所得の区分です。

税額 = 10,000,000 × 23% − 636,000 = 2,300,000 − 636,000 = 1,764,000円

平均税率は 1,764,000 ÷ 10,000,000 = 17.64%。代表税率23%よりは低いものの、課税所得500万円(平均11.45%)よりはるかに高い負担率です。所得が2倍になっても、税額は約3倍(57.25万→176.4万)になっているのが、累進課税の「所得が上がるほど税金の伸びが大きい」性質です。

忘れちゃいけない「復興特別所得税(2.1%)」

上の例はあくまで「本則の所得税額」です。実際に引かれるのは、これに 復興特別所得税(2.1%)を乗せた額です(東日本大震災からの復興財源として、原則2037年まで課される特例税)。

所得税額(確定) = 本則税額 × 1.021

先ほどの具体例に適用すると:

課税所得本則税額復興特別所得税(×1.021)込み
195万円97,500円99,547円
330万円232,500円237,382円
500万円572,500円584,522円
1000万円1,764,000円1,801,044円

差額は本則税額の2.1%分(例:500万円なら約1.2万円)です。手取り計算などで「ぴったり合わない」と感じたら、この2.1%のせいであることが多いです。

最重要の注意点——「限界税率」と「平均税率」は別物

累進課税を理解するうえで、いちばん大事なのはこの区別です。

用語意味課税所得500万円の場合課税所得1000万円の場合
代表税率(表の税率)ご自身の区分に書いてある税率20%23%
限界税率「もう1円稼いだときに引かれる税率」=次の1円にかかる税率20%23%
平均税率税額 ÷ 課税所得(実質の負担率)約11.45%約17.64%

この2つがずれるのが累進課税の本質です。よく「控除の効果は『控除額×税率』」と言われますが、この「税率」は実は限界税率のことです。だから、

つまり「稼ぎが多いほど、控除(節税)の効き目が大きい」のは、限界税率が高いからです。この「限界税率」こそが、扶養の壁や年収の壁を考えるときの鍵になります(詳しくは限界税率と手取りの記事を参照)。

年収からの流れ——「年収500万・1000万」で実際の所得税はいくら?

ここまで「課税所得」を出発点にしましたが、実際には「年収」から次の順で減っていきます。

年収 − 給与所得控除 = 給与所得

給与所得 − 社会保険料 − 基礎控除(48万) − 各種所得控除 = 課税所得

課税所得 × 税率 − 控除額 × 1.021 = 所得税額

独身会社員(社会保険料を年収の約14.5%と想定、その他の所得控除なし)で試算すると:

年収給与所得控除給与所得社会保険料(目安)課税所得所得税額(復興込)
500万円144万円356万円約72.5万円約235.5万円約14.1万円
1000万円195万円(上限)805万円約145万円約612万円約81.3万円

年収が2倍(500万→1000万)になっても、給与所得控除は上限で頭打ちになる一方、課税所得は約2.6倍に増えるため、所得税額は約5.8倍(14.1万→81.3万)に跳ね上がります。これが「累進課税で、高所得ほど税負担の伸びが大きい」実感です。

💡 自分の数字で確かめる:正確な手取り(所得税・住民税・社会保険料込み)は 手取り計算ツール で、年収と控除だけで一発算出できます。給与所得控除の詳しい出し方は 給与所得控除の速算表の記事 をどうぞ。

よくある罠(注意点)

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いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

結論

所得税額は「課税所得 × 税率 − 控除額(速算表)」で出ます(さらに復興特別所得税2.1%が乗ります)。日本の所得税は累進課税なので、課税所得の大きさで当てはまる税率が5%〜45%まで7段階に分かれ、該当する行の「税率」と「控除額」を使います。具体例では、課税所得500万円で572,500円(復興込584,522円)、1000万円で1,764,000円(復興込1,801,044円)となり、年収から逆算すると独身会社員で年収500万円→所得税約14.1万円、年収1000万円→約81.3万円になります。最も大事な注意点は、「限界税率(次の1円にかかる税率)」と「平均税率(税額÷課税所得)」は別物であること——これがあるからこそ、稼ぎが多いほど控除(節税)の効き目が大きく、扶養の壁などの計算の鍵になります。正確なご自身の手取りは、手取り計算ツールや給与所得控除の速算表と合わせて確認してください。

注意事項

本記事の数値は、所得税法別表第一(速算表)の7区分の税率・控除額および復興特別所得税(2.1%)という現行制度に基づく単純計算です。課税所得は、収入(給与所得控除後の給与所得)から社会保険料控除・基礎控除(48万円)・配偶者控除・医療費控除などの所得控除を引いた額であり、ご本人の状況(扶養親族の有無・各種控除の要件・青色申告特別控除等)によって大きく変動します。税率区分の境界(195万・330万・695万・900万・1800万・4000万円)の取扱い、および復興特別所得税の適用期限(原則2037年まで)などの制度改正は、今後変わる可能性があります。またここでの「所得税額」には住民税(所得割10%+均等割)は含まれていません(住民税は別計算)。特に扶養の壁や確定申告の精算は、ご自身の源泉徴収票・確定申告書と照らし合わせてください。最新の数値・要件は国税庁または最寄りの税務署・市区町村窓口でご確認ください(外部リンクは情報提供のみ。当サイトは一切の送信を行いません)。税務の取扱いは税理士等にご相談ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。

よくある質問

所得税の税率は何%ですか?

日本の所得税は累進課税で、課税所得の大きさによって5%〜45%の7段階に分かれます(所得税法別表第一)。課税所得195万円以下は5%、330万円以下は10%、695万円以下は20%、900万円以下は23%、1800万円以下は33%、4000万円以下は40%、それを超えると45%です。ただし「税率」はご自身の課税所得がどの区分に入るかで決まり、1つには決まりません。

課税所得から所得税額を出す式を教えてください。

所得税額 = 課税所得 × 税率 − 控除額 です(さらに復興特別所得税2.1%を乗せたものが実際の引かれ額)。例えば課税所得500万円なら、20%の区分なので 5,000,000×20%−427,500=572,500円(本則)です。この「控除額」は、税率区分ごとに決まった調整項で、どの区分でも税額がキレイに続くように働きます。

復興特別所得税(2.1%)って何ですか?

東日本大震災からの復興財源として課される特例税です。所得税額(本則)に2.1%を乗せた額が、実際に引かれます(原則2037年まで)。例えば課税所得500万円の本則税額572,500円なら、×1.021して584,522円が確定額です。手取り計算で「ぴったり合わない」と感じたら、この2.1%のせいであることが多いです。

限界税率と平均税率の違いを教えてください。

限界税率は「もう1円稼いだときに引かれる税率」(=ご自身の区分の税率)で、平均税率は「税額÷課税所得」の実質負担率です。累進課税なので両者はずれ、課税所得500万円なら限界20%・平均約11.45%、1000万円なら限界23%・平均約17.64%になります。控除の効果(控除額×税率)で効くのはこの限界税率なので、稼ぎが多いほど節税の効き目が大きくなります。

年収500万円の所得税はいくらですか?

独身会社員(社会保険料を年収の約14.5%と想定、その他控除なし)の概算で、所得税額は約14.1万円です。計算の流れは、年収500万−給与所得控除144万=給与所得356万、そこから社保約72.5万・基礎控除48万を引いて課税所得約235.5万円、これに10%の区分(控除額97,500円)を当てはめて出します。正確な手取りは手取り計算ツールで確認できます。

所得税と住民税の違いは何ですか?

ここで扱ったのは国税(所得税)のみです。住民税は別に計算され、所得割(一律10%)+均等割で、手取りからは両方引かれます。例えば年収500万円の方は、所得税の約14万円とは別に、住民税の所得割(課税所得×10%)と均等割(約5,000円)もかかります。住民税の詳しい計算は住民税の記事で確認できます。

扶養の壁はどうやって決まるのですか?

扶養の壁(103万・106万・130万・150万)は、配偶者側の「所得控除(扶養控除)」の有無によって、ご本人の限界税率が変わるために生じます。例えば配偶者の年収が106万円を超えると扶養控除がなくなり、ご本人の課税所得が上がって限界税率が跳ね上がる(=手取りが逆転する)ことがあります。詳しくは年収の壁シミュレーションの記事へ。

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