給与所得控除の速算表——年収から「給与所得」を引く計算と、手取りへの影響(令和6年以降の現行表・年収150万〜2000万の早見表)
「年末調整の用紙に『給与所得控除』と書いてあるけれど、そもそも何を意味するのか」——年収500万円なのに、手取り計算では「給与所得356万円」と出る。この年収と給与所得のギャップに戸惑う方は多いはずです。給与所得控除は、会社員が給与を得るためにかかる経費(通勤費・交際費・資格取得費など)を概算して、収入からあらかじめ引く仕組みです。
この記事では、国税庁の速算表(令和6年以降の現行)を使って、年収から給与所得を出す計算を、早見表付きで1円単位に示します。さらに、その先の所得税・住民税・手取りへの連鎖までを整理します。
給与所得控除とは何か(なぜ年収より低い「給与所得」になるのか)
所得税の大原則は「所得 = 収入 − 経費」です。給与も例外ではなく、通勤費や仕事上の交際費、資格取得費などが経費にあたります。しかし実際の経費を毎年証明するのは煩雑なので、年収に応じた「速算表」で経費相当額を一括して控除します。この控除後の金額が給与所得となり、ここから所得税・住民税の計算が始まります。
つまり給与所得控除は、税額を出すまでの通過点です。控除額が大きいほど、あとの税額が安くなり、結果として手取りが増えます。
令和6年以降の速算表(5段階)
給与所得控除額は、年収(給与の収入金額)の区分によって次の5段階で決まります(所得税法別表第五)。
| 収入(年収)の区分 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 180万円以下 | 55万円 |
| 180万円超 〜 360万円以下 | 収入 × 40% − 10万円 |
| 360万円超 〜 660万円以下 | 収入 × 20% + 44万円 |
| 660万円超 〜 850万円以下 | 収入 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
速算表の読み方(どの段を使うか)
- 年収がどの区分に入るかで計算式が変わります。
- 例えば年収500万円は「360万円超 〜 660万円以下」に入るので、500万円 × 20% + 44万円 = 144万円が控除額です。
- 区分の境界(360万・660万・850万円)は「超」と「以下」の扱いが異なるので、ちょうど境界の年収の方は注意してください。
具体例——年収別の「給与所得」早見表
主要な年収について、控除額と給与所得を計算しました。
| 年収 | 控除額 | 給与所得 | 控除額の計算式 |
|---|---|---|---|
| 150万円 | 55万円 | 95万円 | 180万以下の定額 |
| 200万円 | 70万円 | 130万円 | 200万×40%−10万 |
| 300万円 | 110万円 | 190万円 | 300万×40%−10万 |
| 400万円 | 124万円 | 276万円 | 400万×20%+44万 |
| 500万円 | 144万円 | 356万円 | 500万×20%+44万 |
| 600万円 | 164万円 | 436万円 | 600万×20%+44万 |
| 700万円 | 184万円 | 516万円 | 700万×10%+110万 |
| 800万円 | 190万円 | 610万円 | 800万×10%+110万 |
| 1000万円 | 195万円 | 805万円 | 上限(850万超) |
| 1500万円 | 195万円 | 1305万円 | 上限(850万超) |
| 2000万円 | 195万円 | 1805万円 | 上限(850万超) |
目安として、年収600万円までは「年収の約25%〜30%」が控除され、700万円を超えると控除の割合が約20%へ下がり、850万円を超えると一律195万円で頭打ちになります。
給与所得が決まると、何が変わるか(手取りへの連鎖)
給与所得が出たら、そこからさらに社会保険料・基礎控除(48万円)・配偶者控除などを引いて「課税所得」を求め、その課税所得に累進税率を掛けて所得税が決まります。住民税も同様です。
言い換えると、給与所得控除が大きいほど、あとの税額が安くなり、手取りが増えるという連鎖が生まれます。例えば年収500万円・独身・会社員(社会保険料を年収の約14.5%と想定)の場合、給与所得356万円を出発点として、所得税は約5.8万円、住民税所得割のベースは約30万円になります。あなたの正確な手取りは手取り計算ツールで確認できます。
よくある誤解(注意点)
- 「給与所得控除=手取りが直接増える理由」ではない。あくまで税額計算の途中項目です。手取りは、さらに社会保険料や各種控除を引いたうえで決まります。
- 年収850万円超は控除が195万円で頭打ち。高所得になるほど「控除の恩恵」は相対的に小さくなります。
- 給与所得控除と「給与所得」は別物。控除「額」と、控除後の「所得」を混同しないよう注意してください。
- 令和6年以降は基礎控除の引上げ(48万円)とセット。単体で見ると全体の税負担の変化が分かりにくいため、詳細は国税庁の最新情報をご確認ください。
自分の数字で試す
すべてブラウザ内で計算され、入力内容が外部に送信されることはありません。
- 手取り計算ツール——年収から手取りを算出(給与所得控除も内部で計算)
- 税込・税額計算ツール——消費税などの税額計算
- 給与所得控除額の計算記事——控除額単体の算出
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注意点・免責
本記事の数値は、令和6年以降の所得税法別表第五(給与所得控除)に基づく概算です。給与所得控除額の速算表(5段階・上限195万円)は現行制度を反映していますが、高所得層の控除圧縮などの見直しを含む改正が行われています。正確な税額は源泉徴収票・確定申告、および国税庁の最新情報でご確認ください。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の税務助言や確定申告の代行ではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
給与所得控除と給与所得はどう違いますか?
「給与所得控除」は年収から引く「経費相当額」のことです。引いたあとの残りが「給与所得」になります。例えば年収500万円なら、控除額は144万円で給与所得は356万円です。控除「額」と、控除後の「所得」を混同しないよう注意してください。
なぜ年収850万円超は控除が195万円で止まるのですか?
高所得者ほど実際の経費率が低いとみなされるため、給与所得控除には上限(195万円)が設けられています。これは令和6年以降も維持されています。年収1000万円でも控除額は195万円(給与所得805万円)で、それ以上の年収でも控除額は増えません。
バイト・パートの収入にも給与所得控除は使えますか?
使えます。給与収入なら同じ速算表が適用されます。年収が低い場合は、基礎控除や勤労学生控除などと合わせて非課税になることもあります。
確定申告や年末調整で自分で計算する必要がありますか?
通常は勤務先が計算します。自分で確定申告する場合(副業がある、扶養内で働くなど)は、この速算表から給与所得を出し、さらに社会保険料や各種控除を引いて課税所得を求めます。
令和6年の改正で給与所得控除はどう変わりましたか?
令和6年分以降、基礎控除の引上げ(48万円)とあわせて運用されています。給与所得控除の速算表(5段階・上限195万円)自体は維持されていますが、高所得層の控除圧縮などの見直しが含まれています。最新の数値は国税庁の「給与所得の源泉徴収票等の作成・保管」に関する情報で確認してください。