失業手当(基本手当)は日額いくら? 賃金日額×給付率の計算式・年齢別の上限額・自己都合と会社都合の給付日数を計算ツール付きで解説
「会社を辞めたら失業手当は月いくらもらえるの?」「自己都合退職だと3か月待たされて、しかも90日分しか出ないと聞いたけど本当?」——退職を考えた瞬間に一番知りたくなるのが、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の金額です。「失業手当 いくら」「基本手当日額 計算」で検索すると、ハローワークの制度説明か、金額だけを答える簡易ツールにたどり着きます。しかし「なぜその日額になるのか(賃金日額 × 給付率)」の計算式と、年齢別の上限額(頭打ち)にぶつかっているかどうかまで示しているページはほとんどありません。
この記事では、①基本手当日額の計算式(賃金日額の出し方と給付率の逆スライド)、②年齢別の上限額・下限額、③自己都合と会社都合で変わる給付日数、④月給20万〜50万円の具体数値例、を順に整理します。ページ内の計算ツールはすべてブラウザ内で完結し、入力した金額が外部に送信されることはありません。
ステップ1:基本手当日額の計算式(2段階)
基本手当は「月額いくら」で決まるのではなく、1日あたりの額(基本手当日額)を出してから、給付日数を掛けて総額を出します。手順は次の2段階です。
② 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50%〜80%)
ここで重要なのが①の「賃金」に何が入るかです。
- 含まれるもの:基本給、住宅手当、通勤手当、役職手当、残業手当など、毎月決まって支払われる賃金
- 含まれないもの:賞与(ボーナス)、退職金、臨時に支払われる祝い金など
※ 賞与が入らないのが最大のポイントです。年収600万円でも「月給35万円+賞与180万円」の人は、賃金日額の計算に賞与180万円が反映されないため、月給ベース(35万円)だけで判定されます。年収が同じでも賞与比率が高い人ほど失業手当は少なくなるのが制度の構造です。
「÷180」は「6か月 × 30日」という意味で、実際の暦日数ではなく一律180で割るのが法令上の扱いです(賃金締切日で区切った6か月分を使います)。
ステップ2:給付率は「低賃金ほど高い」逆スライド方式
給付率は一律ではなく、賃金日額の水準に応じて80%から50%へ連続的に下がる仕組み(逆スライド)です。60歳未満(離職時年齢)の場合は次のように決まります。
賃金日額 5,110円超〜12,580円以下 → 給付率 80%から50%へ連続的に低下
(式:0.8w − 0.3 ×((w − 5,110) ÷ 7,470)× w、w=賃金日額)
賃金日額 12,580円超 → 給付率 50%(一律)
中間帯の式は複雑に見えますが、意味はシンプルで「賃金日額が 5,110円から 12,580円へ上がるにつれて、給付率を 80% から 50% へ直線的に落とす」というものです。
| 賃金日額 | 給付率(目安) | 基本手当日額(目安) |
|---|---|---|
| 5,110円 | 80% | 4,088円 |
| 6,667円(月給20万円) | 約73.7% | 4,916円 |
| 8,333円(月給25万円) | 約67.0% | 5,587円 |
| 10,000円(月給30万円) | 約60.4% | 6,036円 |
| 12,580円以上 | 50% | 6,290円 |
この表から分かるのは「低所得の人ほど手厚く、高所得の人は半分」という制度思想です。生活の最低ラインを守るため、賃金が低い人には8割を保障し、余裕がある層には5割にとどめています。
ステップ3:年齢別の上限額(ここで頭打ちになる)
給付率50%を掛けたあと、さらに離職時の年齢に応じた「基本手当日額の上限」が適用されます。ここが高収入者にとって決定的です。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限(目安) | 基本手当日額の上限(目安) |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 13,890円 | 6,945円 |
| 30歳以上45歳未満 | 15,430円 | 7,715円 |
| 45歳以上60歳未満 | 16,980円 | 8,490円 |
| 60歳以上65歳未満 | 16,210円 | 7,294円(給付率45%) |
※ 上限額・下限額は毎年8月1日に、毎月勤労統計の平均給与額の変動に応じて改定されます。上表は現行の目安であり、最新額は必ずハローワーク(厚生労働省)の公表資料でご確認ください。賃金日額の下限は 2,869円(基本手当日額 2,295円)です。
60歳以上65歳未満だけは給付率の上限が45%で、他の年齢層(50%)より低く設定されています。これは年金や高年齢雇用継続給付など他の給付との調整があるためです。
ステップ4:給付日数——自己都合と会社都合の決定的な差
総額は「基本手当日額 × 所定給付日数」です。この日数が、退職理由と被保険者期間で大きく変わります。
① 自己都合退職(一般の離職者):年齢は関係なく、被保険者だった期間だけで決まります。
| 被保険者期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
② 会社都合退職(倒産・解雇などの特定受給資格者):年齢と被保険者期間の組み合わせで決まり、最大330日まで伸びます。
| 年齢/被保険者期間 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
さらに受給開始のタイミングも違います。自己都合は7日の待期期間+原則2か月(5年以内に2回以上の自己都合離職があれば3か月)の給付制限があり、会社都合は7日の待期だけで支給が始まります。
計算ツール:失業手当(基本手当)のシミュレーション
退職前6か月の月額賃金の平均(賞与を含めない)、離職時の年齢、退職理由、被保険者期間を入れると、賃金日額・給付率・基本手当日額・所定給付日数・総額を計算します。
ステップ5:具体数値例(月給別・自己都合/会社都合)
被保険者期間12年・35歳のケースで、月給ごとの総額を比較します(自己都合=120日、会社都合=240日)。
| 平均月額賃金 | 賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 | 自己都合(120日) | 会社都合(240日) |
|---|---|---|---|---|---|
| 200,000円 | 6,667円 | 約73.7% | 4,916円 | 589,920円 | 1,179,840円 |
| 250,000円 | 8,333円 | 約67.0% | 5,587円 | 670,440円 | 1,340,880円 |
| 300,000円 | 10,000円 | 約60.4% | 6,036円 | 724,320円 | 1,448,640円 |
| 400,000円 | 13,333円 | 50.0% | 6,666円 | 799,920円 | 1,599,840円 |
| 600,000円 | 20,000円(上限適用) | — | 7,715円(上限) | 925,800円 | 1,851,600円 |
月給20万円と月給60万円を比べると、賃金は3倍なのに基本手当日額は約1.57倍(4,916円 → 7,715円)にしかなりません。給付率の逆スライドと年齢別上限が二重に効くためです。高収入の人ほど「失業手当だけでは生活水準を維持できない」という前提で、退職前に生活費の何か月分を現金で確保するかを決めるべきです。
知らないと損する4つの注意点
① 失業手当は非課税(税金がかからない)
基本手当は所得税・住民税の対象外です(雇用保険法により公課禁止)。そのため「年収」に含まれず、確定申告も不要です。ただし健康保険の扶養に入る際の収入認定では対象になることが多く、日額3,612円以上だと被扶養者になれないのが一般的な基準です。ここは税法と社会保険で扱いが違う代表例です。
② 国民年金・国民健康保険の支払いは発生する
退職後は会社の社会保険から外れるため、国民健康保険料・国民年金保険料(月額約1.7万円)を自分で払います。失業手当が月16.9万円(日額6,036円 × 28日)でも、そこから保険料が出ていくため手取り感覚では2〜3万円減ると考えるのが現実的です。会社都合退職なら国民健康保険料の軽減(前年給与所得を30/100として算定)が使えます。
③ 受給期間は「離職から1年」が原則の締切
所定給付日数が330日あっても、受給できる期間は原則「離職日の翌日から1年間」です。手続きが遅れると、日数が残っていても打ち切られます。病気・出産・育児などの理由があれば最大3年の延長申請が可能です。
④ 早期に再就職すると「再就職手当」がもらえる
所定給付日数の3分の1以上を残して再就職すると、残日数の60%(3分の2以上残していれば70%)が一時金として支給されます。例えば日額6,036円・240日のうち180日残して就職した場合、6,036円 × 180日 × 70% = 約76.1万円。「手当を使い切るまで待つ」より早く働いたほうが得になる設計です。
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注意事項
本記事の数値は、雇用保険法に基づく基本手当の算定式(賃金日額 = 離職前6か月の賃金合計 ÷ 180、給付率50〜80%の逆スライド、60歳以上65歳未満は45〜80%)、および年齢別の賃金日額・基本手当日額の上限額(30歳未満 6,945円/30歳以上45歳未満 7,715円/45歳以上60歳未満 8,490円/60歳以上65歳未満 7,294円 の目安)、所定給付日数(自己都合90〜150日、特定受給資格者90〜330日)を前提とした単純計算です。上限額・下限額は毎年8月1日に改定されるため、実際の額は改定時期によって異なります。また、離職理由の判定(自己都合/特定受給資格者/特定理由離職者)はハローワークが離職票の内容に基づいて行うもので、本記事の入力で決まるものではありません。受給資格(離職前2年間に被保険者期間12か月以上等)、給付制限期間、受給期間の延長、再就職手当の支給要件、健康保険の被扶養者認定基準などは、個別の事情や制度改正によって変わります。正確な受給額・日数は、必ずお住まいの地域のハローワークおよび厚生労働省の公表資料でご確認ください。本記事は情報提供を目的としたもので、個別の給付相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
失業手当は月いくらもらえますか?
基本手当日額 × 認定日数(通常28日)で決まります。平均月額賃金30万円・35歳なら賃金日額10,000円、給付率約60.4%で基本手当日額6,036円、28日分で約169,008円です。月給20万円なら日額4,916円で28日分約137,648円、月給40万円なら日額6,666円で約186,648円です。
賞与(ボーナス)は失業手当の計算に入りますか?
入りません。賃金日額の算定対象は「毎月決まって支払われる賃金」(基本給・住宅手当・通勤手当・残業手当など)で、賞与・退職金・臨時の祝い金は除かれます。そのため年収が同じでも賞与比率が高い人ほど失業手当は少なくなります。
自己都合と会社都合で、いくら違いますか?
給付日数と受給開始時期の両方が違います。45歳・被保険者期間20年・月給30万円(日額6,036円)の場合、自己都合は150日で約90.5万円、会社都合は330日で約199.2万円(差額約108.7万円)。さらに自己都合には7日の待期に加えて原則2か月の給付制限があり、会社都合は待期7日のみで支給が始まります。
高収入だと失業手当は多くもらえますか?
一定額で頭打ちになります。賃金日額12,580円超は給付率が50%に固定され、さらに年齢別の上限(30〜44歳なら基本手当日額7,715円)が適用されます。月給20万円の日額4,916円に対し月給60万円は7,715円で、賃金3倍でも手当は約1.57倍にとどまります。
失業手当に税金はかかりますか?
かかりません。基本手当は雇用保険法により公課が禁止されており、所得税・住民税の対象外で確定申告も不要です。ただし健康保険の被扶養者認定では収入として扱われることが多く、日額3,612円以上だと扶養に入れないのが一般的な基準です。
早く再就職すると損しますか?
損しません。所定給付日数の3分の1以上を残して再就職すると「再就職手当」として残日数の60%(3分の2以上残していれば70%)が一時金で支給されます。日額6,036円・240日のうち180日残して就職した場合は約76.1万円で、手当を使い切るより有利になる設計です。
基本手当日額の上限はいつ変わりますか?
毎年8月1日に、毎月勤労統計の平均給与額の変動に応じて改定されます。記事の上限額は現行の目安であり、改定後は数十円〜数百円単位で変動します。受給予定の方は必ずハローワークで最新額をご確認ください。