再就職手当はいくら? 月給30万・所定90日・残60日で256,283円——残59日だと40,273円減る「3分の2の壁」を計算式で解説

2026-09-07 | 再就職手当 失業保険 雇用保険 就業促進定着手当 転職 ハローワーク 手取り 家計 税金 退職

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「失業保険をあと2か月もらえるのに、いま内定が出てしまった。受けたら損じゃないか?」——ハローワークに通いながらそう迷っている方に、この記事は書かれています。結論から言うと、早く決めた人が損をしないように作られた給付が存在します。それが再就職手当です。

ところがこの制度は「残っている日数が所定給付日数の3分の2以上か、3分の1以上か」という段差(がけ)を持っていて、1日ずれるだけで数万円変わります。この記事では支給額の計算式を1円単位で示し、月給別の金額、「いつ就職を決めると最も得か」の分岐、もらい忘れが多い就業促進定着手当まで通しで解説します。ページ下部には、月給・所定給付日数・残日数を入れると支給額を出すツールを置いています(計算はブラウザ内だけで完結し、入力はどこにも送信されません)。

📌 結論ファースト:再就職手当は「基本手当日額 × 残っている所定給付日数 × 給付率(70% または 60%)」。残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%、3分の1未満なら0円です。月給30万円・所定90日・残60日なら256,283円が一括で入ります。ここが要点で、残60日(3分の2)と残59日では40,273円の差がつきます。「あと1日遅らせる」判断が最も高くつく制度です。

まず「基本手当日額」を出さないと何も計算できない

再就職手当の額は基本手当日額(失業保険の1日分)を土台にします。基本手当日額は次の2段階で決まります。

ステップ1:賃金日額を出す

賃金日額 = 離職前6か月の賃金総額 ÷ 180

ここでの「賃金」は税金や社会保険料を引く前の総支給額で、通勤手当・残業手当・住宅手当などの各種手当も含みます。ただし賞与(3か月を超える期間ごとに支払われるもの)は含みません。ここを「手取りで計算」してしまうと2割ほど低く見積もることになります。

ステップ2:給付率を掛ける

賃金日額に、賃金水準に応じた給付率(50〜80%)を掛けたものが基本手当日額です。低所得の人ほど高い率になる設計で、30〜44歳の一般の受給資格者はおおむね次のようになります。

賃金日額 5,200円未満 → 賃金日額 × 80%
賃金日額 5,200円〜12,790円 → 賃金日額 × 80% − 30% ×((賃金日額 − 5,200)÷ 7,590)× 賃金日額
賃金日額 12,790円超 → 賃金日額 × 50%(年齢区分ごとの上限額あり)

中間帯の式が不気味に見えますが、賃金日額が上がるほど給付率が80%からなめらかに50%へ下がっていくという意味しかありません。実際の数字で見ます。

離職前の月給賃金日額基本手当日額実質の給付率
20万円6,667円4,946円約74%
25万円8,333円5,634円約68%
30万円10,000円6,102円約61%
35万円11,667円6,351円約54%
40万円13,333円6,666円50%
50万円16,667円8,333円50%

月給は「6か月の賃金総額 ÷ 6」として計算。基本手当日額には年齢区分ごとの上限額(例:30〜44歳で7,000円台後半)があり、高給の人は上限で頭打ちになります。料率・上限額は毎年8月1日に改定されるため、最新の額は厚生労働省・ハローワークの公表値をご確認ください。

再就職手当の計算式と「3分の2・3分の1」の段差

基本手当日額が出たら、再就職手当は次の式です。

再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率
給付率:支給残日数が所定給付日数の 3分の2以上 → 70%/3分の1以上 → 60%/3分の1未満 → 支給なし

ここで使う基本手当日額には再就職手当用の上限額(一般に6,000円台)が別に設けられており、高給だった人は上の表の日額そのままではなく上限で計算されます。以下の試算では上限を6,395円として計算しています。

月給30万円(基本手当日額6,102円)・所定給付日数90日の人が、残日数別にいくらもらえるかを見ます。ここが制度のいちばん重要な部分です。

支給残日数所定90日に対する割合給付率再就職手当
90日(受給前に決定)100%70%384,426円
75日約83%70%320,355円
60日(ちょうど3分の2)66.7%70%256,283円
59日65.6%60%216,010円
45日50%60%164,754円
30日(ちょうど3分の1)33.3%60%109,836円
29日32.2%—0円
⚠ 1日の差で40,273円、そして29日目で全額ゼロ。残60日と残59日の差は40,273円(=6,102円 × 60日 × 10ポイント分に近い断層)、残30日と残29日の差は109,836円です。所定給付日数が90日なら「3分の2=60日」「3分の1=30日」が境界。就職日が1日ずれるだけで数万円〜十数万円動くため、内定日と入社日を調整できる場合は、この境界を必ず確認してください。

所定給付日数が長い人ほど金額は大きくなります。月給35万円(基本手当日額6,351円)・所定150日のケースです。

支給残日数給付率再就職手当参考:残りを基本手当で全部もらった場合
150日70%666,855円952,650円
100日(3分の2)70%444,570円635,100円
99日60%377,249円628,749円
50日(3分の1)60%190,530円317,550円
49日—0円311,199円

右端の列と比べると「粘って基本手当を満額もらう方が金額だけは多い」のは事実です。しかしそれはその期間ずっと無職でいた場合の話で、再就職手当をもらう人は同じ期間に給料も受け取っています。月給30万円なら残60日(約2か月)で給与約60万円+再就職手当25.6万円となり、同じ2か月分の基本手当36.6万円(6,102円×60日)だけの場合を大きく上回ります。「早く決めると損」は、給与を計算に入れていないことによる錯覚です。

もらえる人の条件:8つの要件を全部満たす必要がある

再就職手当は申請すれば誰でももらえるものではなく、次の要件をすべて満たす必要があります。落ちやすいポイントに印を付けました。

  1. 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている(前章の段差)
  2. ハローワークで求職の申込みをした後に就職が決まった(★申込み前に決まっていた再就職はNG)
  3. 1年を超えて勤務することが確実である(★契約期間が半年など短期の場合は対象外。更新見込みが明記されていれば認められる場合あり)
  4. 離職前の事業主に再び雇われたのではない(★グループ会社・関連会社への再就職も原則NG)
  5. 離職理由による給付制限(自己都合の1〜2か月など)を受けた場合、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること(★自己都合退職者が最も落ちやすい要件。転職サイトへの自己応募で決めると対象外になり得る)
  6. 過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当を受けていない(★3年ルール。短期間で転職を繰り返すと使えません)
  7. 受給資格決定前から採用が内定していた事業主への就職ではない
  8. 事業を開始した場合は、その事業で自立できると認められること(独立・起業でも対象になります)
⚠ もっとも多いつまずきは5番と6番です。自己都合退職の場合、待期満了(7日)後1か月以内に決まった就職は「ハローワーク等の紹介であること」が条件になります。転職サイトの自己応募で早期に決めるなら、1か月を過ぎてからの就職日にするか、ハローワークの紹介を経由する必要があります。また6番の3年ルールは意外に見落とされ、前回の転職で受け取っていると今回はもらえません。

もらい忘れが多い「就業促進定着手当」——給料が下がった人の追加給付

再就職手当をもらった人が、再就職先の賃金が離職前より低かった場合、6か月勤め続けたあとにもう一度給付を受けられます。これが就業促進定着手当で、知らずに申請しない人が多い給付です。

就業促進定着手当 =(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月の賃金日額)× 6か月間の賃金支払基礎日数
上限 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 20%(再就職手当が70%なら30%が上限)

具体例で見ます。離職前の賃金日額10,000円(月給30万円)の人が、再就職後は賃金日額8,500円(月給約25.5万円)に下がり、6か月の賃金支払基礎日数が125日、基本手当日額6,102円・支給残日数60日で再就職手当(70%)を受けていたケース。

項目計算金額
差額の合計(10,000 − 8,500) × 125日187,500円
上限額6,102円 × 60日 × 20%73,224円
支給額いずれか低い方73,224円

差額が大きくても上限で切られるのがこの手当の特徴です。それでも7万円強が追加で入るうえ、再就職手当256,283円と合わせると合計329,507円。申請期限は再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内で、これを過ぎると受け取れません。再就職手当を受けて、かつ給料が下がった人は必ずカレンダーに印を付けてください。

📌 再就職手当は課税されません。雇用保険の失業等給付は所得税・住民税の対象外(雇用保険法第12条により公課禁止)なので、受け取った額がそのまま手元に残ります。確定申告に書く必要もなく、ふるさと納税の上限額にも影響しません(所得が増えないため)。年収が下がった年は、むしろ住民税・国民健康保険料が翌年下がる方向に働きます。

計算ツール:月給・所定給付日数・残日数から支給額を出す

離職前6か月の月給(総支給の平均)、所定給付日数、就職日時点の支給残日数を入れると、基本手当日額・給付率・再就職手当の額を計算します。すべてブラウザ内で処理し、入力した金額はどこにも送信されません。

申請の手順と期限

  1. 就職が決まったら、就職日の前日までにハローワークへ行き、採用証明書を提出して失業認定を受ける(前日までの基本手当が精算されます)。
  2. ハローワークで再就職手当支給申請書を受け取り、再就職先の事業主に記入・押印してもらう。
  3. 就職日の翌日から1か月以内に、申請書を管轄のハローワークへ提出(郵送も可)。
  4. 審査(1か月〜1か月半程度)を経て、指定口座に一括で振り込まれます。
  5. 賃金が下がった場合は、6か月経過した日の翌日から2か月以内に就業促進定着手当を別途申請します。
⚠ 期限は「就職日の翌日から1か月以内」です。時効は2年とされていますが、原則の申請期限を過ぎると手続きが煩雑になり、事業主の記入をもらい直す手間も増えます。入社直後の忙しい時期に重なるため、就職が決まった時点で申請書をもらっておくのが確実です。

まとめ:早く決めた人が損をしない仕組みになっている

退職前後のお金は、この手当だけでは終わりません。退職後の健康保険をどうするかは 退職後の健康保険(任意継続と国保の比較)、退職金の税金は 退職金の税金の計算、無職の年に届く住民税の話は 住民税の計算 で解説しています。転職後の手取りが変わるなら 手取り計算ツール、受け取った一時金を貯める設計は 複利積立シミュレーション をどうぞ。いずれも計算はブラウザ内で完結し、入力した金額はどこにも送信されません。

本記事は2026年8月時点の雇用保険法および厚生労働省の公表資料に基づく一般的な解説です。基本手当日額の上限額・給付率の区分は毎年8月1日に改定され、所定給付日数は年齢・被保険者期間・離職理由により異なります。支給の可否は個別事情(契約期間、紹介経路、過去の受給歴など)で判断されるため、必ず管轄のハローワークでご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の判断に代わるものではありません。

よくある質問

再就職手当はいくらもらえますか?

「基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率」で計算します。給付率は支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%、3分の1未満は支給なしです。月給30万円(基本手当日額6,102円)・所定給付日数90日・残60日なら256,283円、残90日で受給前に決まれば384,426円です。所定150日・月給35万円で残100日なら444,570円になります。

早く就職すると失業保険を損しますか?

損しません。残りを基本手当で受け取ると月給30万円・残60日で366,120円(6,102円×60日)ですが、その間は給与ゼロです。再就職すれば同じ2か月で給与約60万円に加えて再就職手当256,283円が入るため、合計では明確に有利です。「早く決めると損」は給与を計算に入れていないことによる錯覚です。

1日の違いで金額はどれくらい変わりますか?

所定給付日数90日・基本手当日額6,102円の場合、残60日(3分の2)は給付率70%で256,283円、残59日は60%で216,010円となり、1日の差で40,273円変わります。さらに残30日(3分の1)の109,836円に対し残29日は0円で、ここでは1日で109,836円の差です。就職日を調整できるなら境界日数を必ず確認してください。

自己都合退職でも再就職手当はもらえますか?

もらえます。ただし給付制限を受けた場合、待期満了(7日)後の1か月間に決まった就職は「ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職」であることが条件です。転職サイトへの自己応募でこの期間に決めると対象外になり得るため、1か月経過後の就職日にするか、ハローワークの紹介を経由してください。

過去に再就職手当をもらったことがある場合は?

受給日から3年以内に再び就職して再就職手当・常用就職支度手当の対象になっても支給されません。いわゆる3年ルールで、短期間に転職を繰り返すと使えない要件です。前回の受給日を必ず確認してください。

派遣や契約社員でも対象になりますか?

「1年を超えて勤務することが確実」と認められる必要があります。契約期間が半年など短期の場合は原則対象外ですが、契約書に更新の見込みが明記されていれば認められる場合があります。判断はハローワークが行うため、契約書を持参して事前に相談してください。独立・起業の場合も、その事業で自立できると認められれば対象になります。

再就職手当に税金はかかりますか?

かかりません。雇用保険の失業等給付は雇用保険法により公課が禁止されており、所得税・住民税の対象外です。確定申告に記載する必要もなく、所得が増えないためふるさと納税の上限額にも影響しません。受け取った額がそのまま手元に残ります。

再就職先の給料が下がった場合に追加の給付はありますか?

あります。就業促進定着手当で、「(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月の賃金日額)× 6か月間の賃金支払基礎日数」が支給されます。上限は基本手当日額 × 支給残日数 × 20%(再就職手当70%の場合)です。賃金日額10,000円→8,500円・支払基礎日数125日・基本手当日額6,102円・残60日なら、差額187,500円に対し上限73,224円が支給されます。

申請の期限はいつまでですか?

再就職手当は就職日の翌日から1か月以内に、事業主の証明を受けた支給申請書をハローワークへ提出します。就業促進定着手当は再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内です。入社直後は多忙になるため、就職が決まった時点で申請書を受け取っておくと確実です。

いつ振り込まれますか?

申請後の審査に1か月〜1か月半程度かかり、その後に指定口座へ一括で振り込まれます。就職日の前日までにハローワークで失業認定を受けておくと、その日までの基本手当もあわせて精算されます。

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