固定資産税の計算——新築マイホームの毎年の税負担を1円単位で(評価額×1.4%・新築軽減で半額・住宅用地の特例でさらに安く)
「家を買った翌年、市役所から『固定資産税』の納税通知書が届いた。税額の根拠がまったく分からない」「新築なので安くなると聞いたけど、本当にいくら安くなるの?」——住宅ローンを組んでマイホームを手に入れた直後に、毎年かかるこの税負担に戸惑う方は非常に多いはずです。ネットで検索しても「固定資産税=評価額×1.4%」とだけ書かれたページばかりで、「自分の家で実際にいくらになるか」「新築の軽減でどれだけ安くなるか」を数式と具体例で示したページは意外に少ないものです。
この記事では、家を持ったあと毎年かかる固定資産税(と都市計画税)を、1円単位で計算する根拠を順に追います。さらに、新築住宅の軽減措置(3〜5年間・評価額の半額)と住宅用地の特例(土地の負担を最大1/6に)を適用した場合の具体例(新築120㎡+土地200㎡で年間税負担が約28万円安くなる)を数値で示し、多くの解説が見落としている「軽減は一時的」「評価額は相続税評価の7割」という実用ポイントも整理します。
誰が検索しているか(検索意図)
この記事は、次のような状況にある方を想定して書いています。
- 新築・中古で家を買った直後に、固定資産税の通知書が来て「根拠が分からない」と感じた方
- 住宅ローンの毎月返済に加えて、毎年の税負担を予算に入れたい方(ハウスフランジングの「ランニングコスト」)
- 「新築だと固定資産税が安くなる」と聞いたが、自分の家でいくら安くなるか数値が知りたい方
- 不動産取得税(購入時の一時税)との違いを整理したい方(不動産取得税の計算記事参照)
- 既存の住宅ローン控除の記事を読んで、「毎年の税負担の全体像」を把握したい方
よくある誤解は3つです。①「固定資産税=時価×1.4%」——実際は「評価額(時価の約7割)」がベースで、さらに軽減が重なります。②「新築はずっと安い」——新築の建物軽減は3〜5年で終わり、その後は通常の税額に戻ります。③「土地も建物も同じ計算」——住宅の敷地(住宅用地)は別の特例で、さらに大きく安くなります。順に計算の根拠から確認します。
計算式の根拠——「固定資産税」はどう決まるか
固定資産税は、毎年1月1日時点の「固定資産(土地・家屋)」の所有者に対して、その固定資産税評価額をもとにかかります。税額は次の順で求まります。
固定資産税額 ≒ 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
ここで「課税標準額」が、家によって大きく変わる肝です。3段階の仕組みがあります。
| ステップ | 内容 | 数式(概算) |
|---|---|---|
| ① 評価額の決定 | 実勢価格(適正価格)の約7割 | 評価額 ≒ 時価 × 0.7(相続税評価額と同じルール) |
| ② 税負担調整措置 | 評価額が下がっても税額が急減しないよう、前年度課税標準の1/2を下限に | 課税標準 ≧ 前年度課税標準 × 1/2 |
| ③ 新築・住宅用地の特例 | 新築(建物)は1/2、住宅用地(土地)は1/6〜1/3に軽減 | 課税標準 = 評価額 × 1/2(新築)/ × 1/6〜1/3(住宅用地) |
つまり、税額 = (評価額 × 各種軽減率) × 1.4% という計算になります。土地と家屋で軽減率が別なので、「土地の税額」と「建物の税額」を別々に出して合算します。
具体例:新築マイホーム(建物120㎡+土地200㎡)の税負担
次の条件で計算します。いずれも2024年の制度改正(新築軽減の要件緩和など)を反映した現行ルールです。
- 建物:新築・木造・延床面積120㎡・固定資産税評価額 2,000万円
- 土地:住宅の敷地200㎡・固定資産税評価額 1,200万円
- 標準税率 1.4%、都市計画税 0.3%(住宅用地の特例適用)
① 建物の固定資産税(新築軽減あり vs なし)
新築住宅の軽減措置(床面積50㎡以上280㎡以下、新築後3年度分、120㎡相当まで)を使うと、課税標準が 評価額の1/2 になります。
| 項目 | 軽減あり(新築3年) | 軽減なし(通常) |
|---|---|---|
| 課税標準額 | 2,000万円 × 1/2 = 1,000万円 | 2,000万円 |
| 固定資産税(×1.4%) | 1,000万×1.4% = 14.0万円 | 2,000万×1.4% = 28.0万円 |
| 都市計画税(×0.3%) | 1,000万×0.3% = 3.0万円 | 2,000万×0.3% = 6.0万円 |
| 建物の年税負担 | 17.0万円 | 34.0万円 |
新築軽減を使うと、建物だけで年間 17万円 安くなります(3年間で計51万円の差)。なお「長期優良住宅」や「低炭素住宅」等に認定されると、軽減期間が 5年度分 に延びます。
② 土地の固定資産税(住宅用地の特例あり vs なし)
住宅の敷地は「住宅用地の特例」が使えます。敷地のうち 200㎡以下の部分(小規模住宅用地) は課税標準が評価額の 1/6、200㎡を超える部分は 1/3 になります。今回は200㎡ぴったりなので1/6を適用します。
| 項目 | 特例あり(住宅用地) | 特例なし(通常) |
|---|---|---|
| 課税標準額 | 1,200万円 × 1/6 = 200万円 | 1,200万円 |
| 固定資産税(×1.4%) | 200万×1.4% = 2.8万円 | 1,200万×1.4% = 16.8万円 |
| 都市計画税(×0.3%) | 200万×0.3% = 0.6万円 | 1,200万×0.3% = 3.6万円 |
| 土地の年税負担 | 3.4万円 | 20.4万円 |
住宅用地の特例を使うと、土地だけで年間 17万円 安くなります。この特例は新築に限らず、中古でも住んでいれば基本的にずっと適用されるのが大きな違いです。
③ 合算——軽減の有無で年28万円の差
| 区分 | 軽減フル適用(新築3年) | 通常(軽減なし) | 差 |
|---|---|---|---|
| 建物 | 17.0万円 | 34.0万円 | 17.0万円 |
| 土地 | 3.4万円 | 20.4万円 | 17.0万円 |
| 合計(年間) | 20.4万円 | 54.4万円 | 34.0万円 |
※建物の新築軽減(3年)と土地の住宅用地特例(継続)を合わせると、新築後3年間は年間約 34万円 も税負担が抑えられます。先の建物例(1/2)と土地例(1/6)を合わせた「現実的な目安」は 年間約20万円台 です。軽減が切れたあと(新築4年目以降)は、建物が通常の28万円に戻るので、年間約37万円台へ上がります。住宅ローンの返済計画には、「新築数年は安く、その後上がる」 ことを織り込むのが正確です。
ここが誤解の多いポイント——5つまとめる
- 「評価額」は時価の約7割。固定資産税のもとになるのは「固定資産税評価額」で、これは相続税の評価額(適正価格の7割ルール)と同じです。つまり「うちの家は時価3,000万円だから税額は42万円」ではなく、評価額約2,100万円 × 1.4% ≒ 29万円(軽減前)が目安になります。
- 新築の軽減は「一時的」。建物の軽減(1/2)は一般住宅で 新築後3年度分、長期優良等で5年度分だけ。4年目以降は通常の税額に戻るため、ランニングコストの試算では「軽減後の額」と「軽減切れ後の額」の両方を見てください。
- 土地の住宅用地特例は「継続」。新築に限らず、その土地に住み続ける限り基本的に1/6〜1/3の特例が続きます。敷地が広いほど(200㎡を超えると1/3)軽減率は緩くなるので、広い敷地は税負担への影響が大きくなります。
- 都市計画税もセットでかかる。市街化区域の土地・家屋には、固定資産税に加えて 都市計画税(標準税率0.3%) もかかります。上の計算では両方を合算していますが、「固定資産税だけ」を見ると実額の半分以下に見えてしまうので注意してください。
- バリアフリー・耐震改修でさらに減額。一定の改修工事(バリアフリー改修で税額1/3減額、耐震改修で同様)を行うと、数年内はさらに税額が下がります。リフォームを検討中の方は、工事のタイミングで申告すると恩恵が受けられます。
自分の数字で試すなら
上の計算は、すべて「評価額 × 軽減率 × 税率」という単純な式です。ご自身の通知書に書かれた 「固定資産税評価額」 と 「課税標準額」 を確認し、軽減の有無を当てはめれば、すぐに自分の税額の根拠が分かります。通知書の「課税明細」欄には、評価額・課税標準額・税額が並んで書かれているので、そこから逆算して「なぜこの金額になったか」を確認できます。
住宅の全体コストを把握するなら、次の記事・ツールが役立ちます。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
- 住宅ローン控除でいくら戻るかの計算記事——毎年の税負担を相殺する「還付」の仕組み。
- 住宅ローンの総支払額・総利息の計算記事——元利均等の計算式と返済額。
- 不動産取得税の計算記事——家を買うときの「一時的な」取得税(軽減後は多くの場合ゼロ)。
- 変動金利と固定金利のどちらが得か——毎月返済と金利上昇リスク。
- 住宅ローンの借入可能額の計算記事——年収から返済負担率で割り出す。
- 手取り計算ツール——毎月の返済+固定資産税を手取りの中でどう回すか。
注意事項
本記事の数値は、2024年の制度改正を反映した現行の固定資産税・都市計画税のルール(標準税率1.4%・都市計画税0.3%・新築軽減・住宅用地特例)に基づく概算です。実際の税額は、お住まいの自治体が決める「税率」(標準税率と異なる場合あり)、評価額の決定時期(3年に1回の固定資産評価基準)、税負担調整措置(評価額が下がっても前年度の1/2を下限とする措置)、および各市町村の独自軽減(保育所整備等への措置)によって変わります。また新築軽減の対象となる床面積(50㎡以上280㎡以下)や「120㎡相当まで」などの要件を満たさない場合は適用されません。正確な税額は、お手元の「固定資産税・都市計画税納税通知書」の課税明細、およびお住まいの市区町村の課税窓口・公式情報が最終的な根拠になります。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
固定資産税の計算式はどうなっていますか?
原則は「固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)」で求まります。ただし実態は、評価額が時価の約7割であるうえ、新築なら建物の課税標準が3〜5年間1/2になり、住宅の敷地なら土地の課税標準が1/6(200㎡以下)〜1/3(200㎡超)になる軽減が重なるため、同じ家でも人によって税額が数倍違います。さらに市街化区域では都市計画税(0.3%)もセットでかかります。
新築だと固定資産税はいくら安くなりますか?
建物の新築軽減(床面積50㎡以上280㎡以下・120㎡相当まで・3年度分、長期優良等は5年度分)で、課税標準が評価額の1/2になります。例えば建物評価額2,000万円なら、軽減あり14万円(税額)/なし28万円と、年17万円程度安くなります。土地の住宅用地特例(年間17万円安くなる例)と合わせると、新築後数年は年間30万円超の差が出ることもあります。
固定資産税と不動産取得税の違いは何ですか?
不動産取得税は「家や土地を買ったとき」に一度だけかかる取得税(軽減後は多くの場合ゼロ)です。一方固定資産税は、所有している限り「毎年」かかり続ける税です。どちらも「評価額」をもとにしますが、取得税は購入時の一時負担、固定資産税はランニングコストとして毎年の住宅予算に入れる必要があります。
新築の軽減措置はずっと続くのですか?
いいえ、建物の新築軽減は一時的です。一般住宅で新築後3年度分、長期優良住宅等で5年度分だけ適用され、それ以降は通常の税額に戻ります。一方、土地の「住宅用地の特例」は新築に限らず住み続ける限り基本的に継続するため、軽減切れ後も土地の税額は高止まりせず安いままです。試算には「軽減後」と「軽減切れ後」の両方の額を見込んでください。
評価額と時価(売値)の関係は?
固定資産税のもとになる「固定資産税評価額」は、実勢価格(時価)の約7割に設定されます(相続税評価額と同じルール)。そのため「うちは時価3,000万円だから税額は42万円」ではなく、評価額約2,100万円をベースに計算します。通知書の「課税明細」欄に評価額と課税標準額が書かれているので、そこから自分の税額の根拠を確認できます。
土地が広いと税負担はどう変わりますか?
住宅用地の特例は「200㎡以下の部分は1/6、200㎡を超える部分は1/3」と、面積で軽減率が変わります。敷地が200㎡を超えると、超過分の軽減率が緩くなる(1/3)ため、広い敷地ほど税負担への影響が大きくなります。また非住宅用地(アパート併用や貸家など)は特例が使えず、評価額全額が課税標準になる点にも注意が必要です。