不動産取得税はいくら? 土地1.5%+建物3%(軽減後1.5%)の計算式と、売買価格より安くなる「評価額ベース」の根拠を1円単位で
「家を買ったら、見積もりに『不動産取得税』って項目があった。これって固定資産税のこと? いくらかかるの?」——マイホームを買うと、誰もが一度は目にするこの税金。ネットで「不動産取得税 いくら」と検索すると「売買価格の3%」という概算ばかり出てきて、「自分の物件なら実際にいくらになるのか」「なぜ売買価格より安くなるのか」「新築と中古・マンションでどう違うのか」を、計算式を追って1円単位に示した記事は意外と少ないものです。
この記事では、土地・建物を取得して登記したときに都道府県へ納める「不動産取得税」を取り上げます。計算式の根拠 「土地の評価額×1.5%+建物の評価額×3%(居住用軽減特例適用で1.5%)」 から出発し、新築一戸建て・中古・マンションの具体例、「売買価格ではなく評価額で計算する」という最大の勘所、そして軽減特例の適用条件と注意点を具体数値で確認します。自分の数字を当てはめたい場合は 生活計算ツール で差額を出せます。
ステップ1:不動産取得税とは何か
不動産取得税は、土地や建物を取得して「登記」したときに、その都道府県へ納める税金です。ポイントは次の3点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| いつかかるか | 土地・建物を取得して名義登記したとき(買った年に一度だけ) |
| だれに納めるか | その不動産の所在地の都道府県(登記手続きと連動して納付) |
| 固定資産税との違い | 別物。固定資産税・都市計画税は毎年かかるが、不動産取得税は取得時の一度きり |
「家を買ったら毎年かかる税金(固定資産税)」と混同しやすいですが、不動産取得税は取得という出来事に対して一度だけかかる税金です。住宅ローンの諸費用の全体像は 住宅ローンの諸費用をまとめた記事 で確認できます。
ステップ2:計算式の根拠
不動産取得税の税額は、次の式で求まります。
不動産取得税 = 土地の課税標準額 × 1.5% + 建物の課税標準額 × 3%
(※居住用家屋の軽減特例適用で建物は 3% → 1.5%、要件を満たせば 0%)
- 課税標準額:固定資産税評価額。売買価格(契約書の金額)ではありません。
- 土地の税率:標準 1.5%。
- 建物の税率:標準 3%。ただし「居住用家屋の軽減特例」により、床面積などの要件を満たす自己居住の家屋は 3% → 1.5%(さらに要件を満たせば 0%)に軽減されます。
つまり、普通にマイホームを買えば、建物はほぼ確実に軽減後の 1.5%(あるいは 0%)が適用され、土地の 1.5% と合わせて計算されます。この「建物 3% が軽減される」仕組みゆえに、業界では「3%軽減」と呼ばれることもあります。
ステップ3:具体例①——新築一戸建て(土地評価1400万・建物評価1800万)
売買価格が土地2000万円・建物2200万円の新築一戸建てを例にします。ここで重要なのは、税額の元になるのは売買価格ではなく評価額だという点です。この例では、評価額が土地1400万円・建物1800万円(売買価格の7〜8割程度)になったと仮定します。
| 対象 | 評価額 | 税率(軽減後) | 税額 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 1400万円 | 1.5% | 21万円 |
| 建物(居住用軽減) | 1800万円 | 1.5% | 27万円 |
| 合計 | 48万円 | ||
もし「売買価格ベースの概算(4200万円×3%=126万円)」で見積もると、実際の 48万円 の約2.6倍になってしまいます。評価額ベースで計算することで、現実の税額に近づくのがこの税金の最大の勘所です。
ステップ4:具体例②——中古一戸建て
中古でも、登記して名義を取得すれば不動産取得税がかかります。中古でも居住用家屋の軽減特例の対象になることが多く、次のようになります(土地評価1000万・建物評価900万の場合)。
| 対象 | 評価額 | 税率(軽減後) | 税額 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 1000万円 | 1.5% | 15万円 |
| 建物(居住用軽減) | 900万円 | 1.5% | 13.5万円 |
| 合計 | 28.5万円 | ||
中古は建物の評価額が低くなるため、新築より税額は小さくなるのが一般的です。
ステップ5:具体例③——新築マンション
マンションは土地と建物が一体(敷地権)になっているため、実務上は「建物の評価額(専有部+敷地権割合)」に基づいて算出されることが一般的です。土地分を別途計上する形にはなりません。
| 対象 | 評価額 | 税率(軽減後) | 税額 |
|---|---|---|---|
| 建物(専有部+敷地権、居住用軽減) | 2500万円 | 1.5% | 37.5万円 |
このように、マンションでは「建物評価額×1.5%」がそのまま不動産取得税の目安になります。
ステップ6:なぜ「売買価格」ではなく「評価額」なのか
不動産取得税の課税標準は、法律で「固定資産税評価額」と定められています。この評価額は、公示価格(国が示す基準地価)の約7割程度を目安に3年ごとに決まるため、実際の取引価格(売買価格)より低く設定されることが多いのが仕組みです。
言い換えると、売買価格で税額を想像すると「実際より高く」見積もってしまうため、評価額ベースで計算することが、現実の支払額に近づく正しい方法になります。評価額は、役所の固定資産税課税台帳や、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書(評価証明書)で確認できます。
注意点① 評価額は自分で確認できるが、売買契約書の金額ではない
不動産取得税の額を知るには、「固定資産税評価額」が必要です。これは売買契約書の金額ではありません。取得時に税金の通知が来るまで待てば記載されていますが、事前に知りたい場合は、不動産業者に評価額の見込みを聞くか、役所で「評価証明書」を取ると確認できます。
注意点② 中古でもかかる(新築限定ではない)
「中古を買うから税金はかからない」ということはありません。新築・中古を問わず、登記して名義を取得した瞬間に不動産取得税が発生します。中古でも居住用家屋の軽減特例の対象になることが多く、軽減された税額になります。
注意点③ 課税タイミングは「登記したとき」一度だけ
不動産取得税は、固定資産税や都市計画税のように毎年かかるものではありません。土地・建物を取得して登記した年に、一度だけかかります。したがって「毎月いくら」ではなく「買った年の現金用意」の話になります(頭金・仲介手数料等と同じ「諸費用」の一部です)。
注意点④ 軽減特例は「期限付きの時限措置」
建物の税率を 3% → 1.5%(0%)に軽減する「居住用家屋の不動産取得税の軽減特例」は、過去に何度も期限が延長されてきた時限措置です。購入する年度にこの特例が適用されるかは、その時点の制度によって変わります。住宅購入を検討する際は、購入前に自治体の課税窓口か不動産業者へ、特例の適用の有無と期限を必ずご確認ください。
関連する計算・ツール
住宅購入時の「物件代以外にいくら必要か」の全体像は 住宅ローンの諸費用をまとめた記事、買ったあとに戻ってくる税金(住宅ローン控除)は 住宅ローン控除の計算記事 で確認できます。所得税のしくみは 所得税の計算方法を1円単位で解説した記事、住民税の仕組みは 住民税の計算記事、給与から引かれる控除の基本は 給与所得控除の計算記事 で追えます。手取りの内訳を確認したい場合は 手取り計算ツール、まとまった資金を運用したいなら 複利積立シミュレーションツール、毎年の税負担の目安は ふるさと納税上限ツール もどうぞ。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は、不動産取得税の基本算式(土地の標準税率1.5%、建物の標準税率3%、居住用家屋の軽減特例による建物1.5%・0%軽減)を前提とした単純化モデルです。①実際の税率や軽減の適用可否は、床面積・新築・中古・取得年の制度(時限措置の期限)によって変わります。②課税標準となる固定資産税評価額は物件ごとに異なり、本記事の数値はあくまでモデル例です。③不動産取得税の軽減特例は期限付きの措置であり、購入年度の適用の有無は自治体の課税窓口または不動産業者へご確認ください。④税制は毎年の改正で細部が変わることがあるため、確定した金額は国税庁・都道府県の公式情報でご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務アドバイスに代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
不動産取得税はいつかかるのですか?
土地や建物を取得して「登記」したときに、都道府県へ一度だけ納める税金です。毎年かかる固定資産税・都市計画税とは全く別物で、買った年に1回だけ発生します。新築でも中古でも、名義を自分に移す登記をすればかかります。
なぜ売買価格ではなく「評価額」で計算するのですか?
不動産取得税の課税標準(税額の元になる額)は「固定資産税評価額」だからです。この評価額は、取引価格(売買価格)の7〜8割程度に設定されることが多く、結果として税額は「売買価格×税率」の概算より安くなります。評価額は役所の固定資産税課税台帳や納税通知書で確認できます。
マンションの場合はどう計算するのですか?
マンションは土地と建物が一体(敷地権)になっているため、実務上は「建物の評価額(専有部+敷地権割合)」に基づいて算出されることが一般的です。土地分を別途計上する形にはならず、例えば建物評価額2500万円×1.5%(軽減特例)=37.5万円といった額になります。
中古物件を買ってもかかるのですか?
はい。新築・中古を問わず、登記して名義を取得すれば不動産取得税がかかります。中古でも居住用家屋の軽減特例(建物の税率を3%→1.5%、要件を満たせば0%)の対象になることが多いため、新築同様に軽減された税額になります。
「3%軽減」の特例はいつまで使えますか?
居住用家屋に対する不動産取得税の軽減特例は、過去に何度も期限が延長されている「時限措置」です。購入する年度に特例が適用されるかは、その時点の制度によって変わるため、購入前に自治体の課税窓口か不動産業者へ必ずご確認ください。