外貨預金の為替差損益はいくら? 円→外貨→円転の往復コストと金利を1円単位で計算——円安で得か・両替手数料の罠・実質利回り
「円安が進んでるけど、外貨預金(ドル預金)にしてお金を増やせる?」「10万円を米ドルで預けて、1年後に円に戻したらいくらになる?」「為替手数料って実際いくら取られてるの?」——円安が続くと、誰もが「外貨で預金して為替差益を狙えないか」と考えます。問題は、「外貨預金は金利だけ見て喜んでいると、往復する両替(為替)手数料で実質利回りが半減、甚至元本割れする」ことです。
結論から言うと、外貨預金の受取額は 「(円÷買レート)×(1+外貨金利×年数)×売レート」 で決まり、この「買レート」と「売レート」の差(スプレッド=為替手数料)が、往復で約2%前後のコストになります。この記事では、円→外貨→円転の各段階でいくら動くかを1円単位に追い、円安・円高で利益がどう変わるか、為替差益は税金がかからないという他商品との違い、注意点をまとめます。入力した数字はどこにも送信されず、すべてこのページ内で処理されます。
誰が読むべき記事か(検索意図)
この記事は次のような人に向けて書いています。
- 「円安だから外貨預金でお金を増やしたい」と思っている人——米ドル預金・豪ドル預金などを検討中。
- 「10万円(や100万円)を外貨で預けて、円に戻したらいくらになるか」を具体的に知りたい人。
- 「為替手数料って実際いくら取られてるの?」と、表示されないコストに気づいた人。
- 「外貨預金の利益に税金はかかるの?」と、株式や投資信託の20.315%と比べて疑問に思う人。
- すでに 預金の実質金利とインフレを比べた記事 を読み、「円預金の低金利に不満」がある人。
逆に、「為替変動を予想して為替差益を狙う投機」を本格的にやりたいなら、外貨預金よりFXや外貨建て投資信託のほうが適している場合があります(外貨預金は預金の枠組みで、レバレッジは効きません)。ここではあくまで「外貨預金(預金商品)の受取額を正しく見積もる」に絞ります。
基本の式と、その根拠(往復為替コストが効く構造)
外貨預金は「円を外貨に替えて預け、期間後に外貨を円に戻す」3段階の取引です。各段階で次のように額が動きます。
① 外貨取得額 = 円貨残高 ÷(買レート = 為替レート + 為替手数料)
② 期間満了の外貨残高 = 外貨取得額 ×(1 + 外貨年利 × 年数)※単利
③ 円転額(受取円) = 満了外貨残高 ×(売レート = 為替レート − 為替手数料)
④ 差額(損益) = 円転額 − 当初の円貨残高
ポイントは「買レート」と「売レート」が違うことです。銀行は為替レート(仲値)の両脇にスプレッド(為替手数料)を乗せて、買うときは少し高く(円安め)、売るときは少し安く(円高め)処理します。この差が、往復で確実にコストになります。例えばドル円150円でスプレッド1円なら、買151円・売149円となり、単に「レート150で往復」と比べて 2円/ドル(約1.3%) のコストが発生します。
具体例A——10万円の米ドル預金(年利4%・1年)を円安・円高で比べる
当初円貨10万円、為替レート150円(スプレッド1円)、米ドル預金の年利4%、預入1年とします。期間中の金利は単利(年利×年数)で計算します。
- ① ドル取得額 = 100,000 ÷ 151 ≒ 662.25 ドル
- ② 1年後の外貨残高 = 662.25 × 1.04 ≒ 688.74 ドル
- ③ 円転額(終了レートで)= 688.74 ×(終了レート − 1)
| 1年後の為替レート | 売レート(−1円) | 円転額 | 差額(10万円との差) |
|---|---|---|---|
| 145円(円高) | 144円 | 約99,179円 | −821円(元本割れ) |
| 150円(現状維持) | 149円 | 約102,622円 | +2,622円 |
| 155円(円安) | 154円 | 約106,066円 | +6,066円 |
注目すべきは、金利4%でも円高なら元本割れすること。1年で得たドル利息は約26ドル(外貨取得662ドルの4%≒26ドル)ですが、円転時に「売レート144円」で評価されるため、為替差損(150→145で1ドル5円のマイナス)が利息を上回ってしまいます。逆に円安155円なら、為替差益(1ドル5円×689ドル≒3,445円)が利息(約3,900円分のドル評価)に乗って、差額が+6,000円超になります。
実質利回り——為替コストで年利4%がいくら残るか
「現状維持(150円)」のケースで実質利回りを出すと、差額2,622円 ÷ 当初10万円 = 約2.6%。表示されている外貨年利4%から、往復為替コスト(約1.3%)を引いた分が実質となります。スプレッドが2円(買152・売148)なら実質はさらに下がり、約1.3%程度にまで落ちます。為替レートが変わらなくても、「両替の往復コスト」だけで年利の3割〜6割が消えるのが外貨預金の構造です。
具体例B——100万円・年利5%・3年(複利)で、円安進行を想定
よりインパクトのある金額で確認します。当初円貨100万円、レート150円(スプレッド1円)、米ドル預金年利5%、預入3年(複利)、終了時レートを変化させます。
- ① ドル取得額 = 1,000,000 ÷ 151 ≒ 6,622.5 ドル
- ② 3年後の外貨残高(複利)= 6,622.5 × 1.05³ ≒ 6,622.5 × 1.1576 ≒ 7,669.0 ドル
- ③ 円転額 = 7,669.0 ×(終了レート − 1)
| 3年後のレート | 円転額 | 差額 | 実質利回り(年) |
|---|---|---|---|
| 140円(円高進行) | 約1,065,600円 | +65,600円 | 約2.1% |
| 150円(維持) | 約1,142,300円 | +142,300円 | 約4.5% |
| 160円(円安進行) | 約1,219,000円 | +219,000円 | 約6.8% |
金利5%・3年複利だと外貨残高は約16%増えますが、円転時にスプレッド1円(往復2円)が乗かるため、レート維持でも実質利回りは約4.5%(表示5%からコスト分低下)になります。円安が160円まで進めば実質約6.8%と、円預金(0.001%台)との差は歴然ですが、「円安がさらに進むこと」が前提です。円高に振れれば、金利分を為替差損が食い潰す方向に働き、利益は大きく目減りします。
よくある注意点(罠)
- 往復為替コストは「見えない」が確実にかかる。スプレッドはレートに溶かし込まれているため、明細に「為替手数料○○円」とは出ません。上の式(買=レート+手数料、売=レート−手数料)で、必ず往復分を差し引いて受取額を測ってください。割引率計算ツール のように「表示価格と実際の差」を意識するのがコツです。
- 為替変動で元本割れする。外貨預金の元本(ドル額)は保護されますが、「円に戻したときの価値」は為替レート次第です。円高になれば、金利を上回る為替差損で元本を割ります(具体例Aの145円ケース)。預金保険の対象になるのは「円転後の円貨」ではなく「預入外貨の元本」であり、為替リスクは自己負担です。
- 為替差益には税金がかからない(外貨預金の場合)。これが株式(譲渡税20.315%)や投資信託と決定的に違う点です。外貨預金で生じた為替差益は、現行制度で課税対象になりません(利子には届出分離課税20.315%がかかります)。理由は株の譲渡税20.315%を計算した記事と比べると明白ですが、だからこそ「為替で儲けた分は非課税」という誤解を生みやすく、同時に「為替で損した分も損失通算できない(他の所得と相殺不可)」というデメリットもあります。
- 金利は通貨ごとに大きく違う。米ドルは年利4〜5%台ですが、円に近い通貨(シンガポールドル等)は低く、新興国通貨は高金利でも為替リスクが極大です。「高金利=お得」は為替安定が前提です。
- 預入期間中は途中解約でも為替コストは往復かかる。満期前に円転しても買いと売りのスプレッドは発生するため、「ちょっと試し」でも往復コストは確定します。小額から始めるなら、円転する前提の資金だけを回すのが鉄則です。
計算機:円→外貨→円転の受取額と差額を出す
当初の円貨、為替レート、為替手数料(スプレッド)、外貨の年利、預入年数、期間満了時の為替レート(円転時)を入れると、各段階の額と差額(損益)を計算します。複利・単利を選べます。入力値はどこにも送信されません。
もっと具体的に確かめる
- 複利積立シミュレーションツール——外貨金利と同じ「複利の効き方」を円預金で体感(為替コストなしの比較用)。
- 預金の実質金利とインフレの記事——円預金の低金利と物価上昇を合わせた「目減り」の計算。
- 72の法則を計算した記事——金利何%なら元本が2倍になるかの目安。
- 株の譲渡税20.315%を計算した記事——外貨預金の「為替差益は非課税」と対比するなら。
- 投資信託の税金を計算した記事——外貨建て投資との違い(為替差損益の扱い)を知るなら。
- 割引率計算ツール——「表示価格と実際の差」を意識する練習に。
自分の金額で同じ内訳を見たい場合は、上の計算機で「円貨・レート・スプレッド・年利・満了レート」を入力し、差額と実質利回りを確認してください。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は、外貨預金の受取額を「円÷買レート→外貨残高(金利)→円転×売レート」の順で概算したものです。実際の為替レート・スプレッド(為替手数料)・外貨金利は金融機関・通貨・タイミングごとに異なり、税金(利子分は分離課税20.315%。為替差益は非課税)や為替変動のリスクを反映したものではありません。外貨預金は預金保険の対象外となる場合や、為替差損で元本を割るリスクを伴います。本記事は情報提供を目的とし、個別の投資助言や金融商品の勧誘に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
外貨預金の為替差益には税金がかかりますか?
外貨預金(預金商品)で生じた為替差益は、現行制度で課税対象になりません(非課税)。ただし外貨預金の「利子」には、他の預貯金と同じく分離課税(原則20.315%)がかかります。これは株式の譲渡税(20.315%)や投資信託とは扱いが異なります。なお、為替で損した場合も他の所得と損失通算はできません。
為替手数料(スプレッド)はいくらかかりますか?
銀行は為替レート(仲値)の両脇にスプレッドを乗せ、買うときは少し高く(円安め)、売るときは少し安く(円高め)処理します。例えばドル円150円でスプレッド1円なら買151円・売149円となり、往復で2円/ドル(約1.3%)のコストになります。明細に「手数料」として別枠表示されないため見えにくいのが特徴です。
円安なら外貨預金は必ず得になりますか?
円安が「进一步進む」ことが前提です。レートが維持・円高に振れれば、金利を上回る為替差損で元本を割ることがあります(例:10万円の米ドル預金・年利4%で、1年後に145円なら約−800円の元本割れ)。外貨預金は為替リスクを自己負担する商品です。
外貨預金と外貨建て投資信託の違いは?
外貨預金は「預金」の枠組みで元本(外貨額)が保護され、レバレッジは効きません。為替差益は非課税です。一方、外貨建て投資信託は運用商品で値動き(為替+資産価格)があり、為替差損益も含めた利益に20.315%の税金がかかります。目的(安全な預金か、運用か)で使い分けます。
実質利回りは表示金利よりどれくらい下がりますか?
為替レートが変わらない場合、実質利回りは「表示年利 − 往復為替コスト率」になります。スプレッド1円(ドル円150円)なら往復約1.3%分がコストになるため、年利4%の外貨預金でも実質は約2.6%程度に下がります。スプレッドが大きい通貨ほど実質利回りは低下します。