確定申告で還付される税金を計算する:医療費控除・ふるさと納税・iDeCoを使った時の戻り額
「確定申告って、お金が戻ってくるって聞いたけど、自分の場合いくら戻るの?」——医療費がかさんだ年、ふるさと納税をした年、iDeCo(イデコ)を始めた年。会社員でも還付申告をすれば、給与から天引きされた税金のうち払いすぎ分が戻ってきます。しかしネットで探すと「還付されることもあるよ」という説明ばかりで、自分の数字でいくら戻るかを計算式から出している記事は意外と少ないものです。
この記事では、年収500万円(会社員・独身・40歳未満・介護保険料なし)を例に、医療費控除・ふるさと納税・iDeCo掛金控除を組み合わせた時の還付額(還付の目安)を、課税所得の計算から1円単位で出します。自分の年収で試したい場合は 手取り計算ツール で課税所得のイメージをつかめます。
結論:年収500万円の例で、還付の目安は約11.9万円
| 控除 | 金額 | 所得控除額 |
|---|---|---|
| 医療費控除 | 医療費40万円(保険給付なし) | 30.0万円 |
| ふるさと納税 | 寄付8万円(上限内) | 7.8万円(8万−2,000) |
| iDeCo掛金 | 月2.3万円×12 | 27.6万円 |
| 控除合計 | − | 65.4万円 |
この控除で課税所得が約65.4万円下がり、その結果 所得税が約5.4万円・住民税が約6.5万円、合計約11.9万円 の還付目安になります(詳しい計算は後段)。つまり使った・寄付した・積み立てた分のうち、税金部分が実質戻ってくるイメージです。
ステップ1:還付の正体は課税所得を下げること
確定申告の還付金は、魔法のように増えるお金ではありません。「前年に給与から天引きされた税金」と「控除を使って出した正しい税額」の差額が戻ってくるだけです。だから鍵は、課税所得をどれだけ下げられるかです。控除が大きいほど税額が減り、天引き額との差が還付になります。
観察者メモ:控除は戻るお金ではなく、引かれる税額を減らす仕組み。還付額は(控除額×税率)に近くなります。
ステップ2:医療費控除の計算(上限なし)
医療費控除の額は次の式です。
医療費控除額 = 総医療費 − 保険金等で補填された額 − 基礎控除額
基礎控除額は 「10万円」と「所得の5%」のいずれか低い方です(令和5年分以降)。年収500万円の例では所得の5%≒11.8万円なので、基礎控除は10万円。医療費40万円なら 40万 − 0 − 10万 = 30万円 が控除になります。
注意点:通院の交通費、薬局の自己負担分、入院費の差額ベッド代などが対象。ただし疾患が見つかっていない通常の健康診断や美容目的の費用は原則対象外です。また同じ年ならセルフメディケーション税制(市販薬等)との選択適用になり、両方は使えません。
ステップ3:ふるさと納税の計算(2,000円を引く)
ふるさと納税は寄付金控除の一種です。
所得控除額 = 寄付額 − 2,000円(上限以内の分)
寄付8万円なら 8万 − 2,000 = 7.8万円 が控除に。残りの2,000円は自己負担(実質2,000円で返礼品の根拠)です。上限は所得や家族構成で決まるため、ふるさと納税 上限目安ツール で確認を。
注意点:ふるさと納税だけならワンストップ特例で確定申告が不要ですが、医療費控除やiDeCoと併用する時は確定申告が必要になります(特例の利用を取りやめる形になります)。
ステップ4:iDeCo掛金の計算(全額控除)
iDeCoの掛金は 全額が所得控除 になります(小規模企業共済等掛金控除)。月2.3万円×12ヶ月= 27.6万円 がそのまま控除額です。上限は年齢・職業で異なります(会社員は月2.3万円が上限の一例)。
注意点:iDeCoは掛金控除(税金が安くなる)+運用益が非課税(受取時にも課税されない)の二重メリットがあります。ただし60歳まで原則引き出せない点はデメリットです。iDeCoとつみたてNISAの違いも参考にどうぞ。
ステップ5:還付額を計算する(所得税+住民税)
控除前の課税所得(年収500万の例)は:給与所得 356万(給与所得控除144万引き)− 社会保険料 72.5万 − 基礎控除 48万 = 235.5万円(税率10%区分)。これから控除65.4万円を引くと 170.1万円(5%区分)になります。
| 税 | 控除前 | 控除後 | 還付目安 |
|---|---|---|---|
| 所得税(復興税2.1%込) | 約140,900円 | 約86,800円 | 約54,100円 |
| 住民税(所得割10%+均等割5,000) | 197,500円 | 132,100円 | 65,400円 |
| 合計 | − | − | 約119,500円 |
所得税の計算:控除前 235.5万×10%−97,500=138,000円、復興税込 140,898円。控除後 170.1万×5%=85,050円、復興税込 86,841円。差は 約54,057円。住民税は基礎控除が43万円(所得税より5万少ない)なので、控除前(235.5万−43万=192.5万)×10%+5,000=197,500円、控除後(170.1万−43万=127.1万)×10%+5,000=132,100円、差 65,400円。
よくある誤解3つ
- 還付金=控除額がそのまま戻る、と勘違い:戻るのは(控除額×税率)分です。控除65.4万円に対して還付約11.9万円なのは、実効税率が約18%(所得税+住民税)だからです。控除額≠還付額。
- 会社員は確定申告しなくていい、と決めつける:年末調整で済むのは給与だけの人。医療費控除やふるさと納税(ワンストップ外)などを使う時は、還付申告が必要です。
- 還付はすぐ来る、と期待:期限までに出しても入金は通常1〜2ヶ月後。急ぎの資金繰りには組み込まない方が安全です。
注意事項
本記事の数値は概算のモデル計算です。実際の還付額は、前年に源泉徴収された税額との差で決まり、健康保険の加入先、居住自治体、扶養親族の有無、その他の控除(生命保険料控除・住宅ローン控除等)の適用で大きく変わります。また医療費控除にはセルフメディケーション税制との選択、ふるさと納税にはワンストップ特例との選択があります。正確な金額と手続きは国税庁の確定申告書作成コーナーやお住まいの税務署・自治体の公式情報で必ず確認してください。
自分の年収で手取りや課税所得のイメージをつかみたい場合は 手取り計算ツール、iDeCoの節税効果を詳しくは iDeCoで戻る税金の計算、医療費控除の詳細は 医療費控除の計算 も併せてどうぞ。まとまったお金を増やすなら 複利積立シミュレーション も。
よくある質問
確定申告の還付金って何?
会社員でも前年に給与から天引きされた税金が払いすぎだった場合、確定申告(還付申告)をするとその差額が戻ってきます。医療費控除やふるさと納税、iDeCo掛金控除などで課税所得を下げると、前に引かれた税金より税額が減るため、その差分が還付になります。
医療費控除でいくら戻る?
(総医療費−保険給付−基礎控除)の金額が所得控除になり、それに税率(所得税5〜45%+住民税10%)を掛した分が税金減少額(還付の目安)です。年収500万円・医療費40万円の例では所得税・住民税合わせて約11万円の還付目安になります。
ふるさと納税とiDeCoは同時に使える?
はい、両方とも所得控除なので併用できます。ふるさと納税は寄付額から2,000円を引いた分、iDeCoは掛金全額が控除対象です。ただしふるさと納税をワンストップ特例で済ませている場合でも、他の控除と併用すると確定申告が必要になります。
いつ還付される?
還付申告を期限(3月15日)までに出すと、通常は申告から約1〜2ヶ月後に指定口座へ入金されます。入力不備があると遅れるため、早めの提出をおすすめします。