住宅ローン 変動金利と固定金利、どちらが得? 返済額と総支払いを具体例で比べる

2026-08-19 | 住宅ローン 金利 家計

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「住宅ローン、変動にするか固定にするか——どっちが得なの?」——住宅を買う人が必ずぶつかるこの迷い、ネットで調べると「変動のほうが安い」「いや固定のほうが安心」と意見が二分していて、結局いくら支払いが変わるのか、その根拠が書かれていないことがほとんどです。この記事では、もっとも典型的な借入3,000万円・返済期間35年を例に、変動・期間固定・全期間固定の返済額と総支払いを実際に計算し、金利が上がったときにどう逆転するかまで具体例で確認します。

自分の借入額で同じ試算をしたい場合は住宅ローン計算ツールに数字を入れれば、同じ元利均等返済のロジックで即座に出ます。

結論:金利が上がらなければ変動が安いが、上がると逆転する

変動金利は現在(2026年ごろ)金利が低いため、固定より毎月の返済額も総支払いも少なくなります。ただし変動は将来の金利変動リスクを借り手が負うため、「得か損か」はこれから金利が上がるか下がるかで決まります。

金利タイプ想定金利月々の返済額総返済額(35年)
変動金利0.5%約7.8万円約3,270万円
期間固定(10年)1.0%約8.5万円約3,557万円※
全期間固定1.5%約9.2万円約3,858万円
変動(金利上昇シナリオ)2.0%約9.9万円約4,174万円

※期間固定は「固定期間中の金利」で試算。10年後に金利が見直されるため、その後の金利次第で総額は増減します。

変動0.5%と全期間固定1.5%を比べると、月々の差は約1.4万円、総支払いの差は約587万円も開きます。しかし最下段の「変動が全期間2.0%に上昇」したケースでは、総支扈額が固定1.5%を上回ります。ここからが本題です。

ステップ1:住宅ローンの返済額の公式(元利均等返済)

多くの住宅ローンは元利均等返済(毎月の返済額が一定)です。月々の返済額は次の式で求められます。

月返済額 = 借入額 × 月利 × (1 + 月利)^返済月数 ÷ ((1 + 月利)^返済月数 − 1)

借入3,000万円・期間35年(420ヶ月)・変動0.5%(月利 0.5%÷12 ≒ 0.0004167)で計算すると、

30,000,000 × 0.0004167 × (1.0004167)^420 ÷ ((1.0004167)^420 − 1) ≒ 77,900円

よって月々約7.8万円、総返済額は 77,900 × 420 ≒ 3,270万円 です。総支払いのうち、元本3,000万円以外の約270万円が「金利(借入の対価)」です。

ステップ2:固定金利との差は「金利の高さ」そのもの

同じ借入額・期間で、金利だけを変えて月額を出します。

金利月利月々の返済額総返済額変動0.5%との差(総額)
0.5%(変動)0.0004167約7.8万円約3,270万円−
1.0%(期間固定10年)0.0008333約8.5万円約3,557万円約287万円
1.5%(全期間固定)0.00125約9.2万円約3,858万円約588万円

固定金利は「金利が上がっても絶対に変わらない安心」の代わりに、当初の金利自体が変動より高く設定されます。その差分が、上の「総額の差」になります。つまり固定を選ぶことは、「月約1〜1.4万円高く払う代わりに、金利上昇リスクを金融機関に押し付ける」ことを意味します。

ステップ3:変動金利の「5年ルール・125%ルール」とは

変動金利の最大の誤解は「金利が上がったら翌月から返済額が跳ね上がる」と思い込むことです。実際はそうなりません。仕組みは次の2つです。

この2つにより、変動金利でも金利が急騰してもすぐには払えなくならないようになっています。ただし「据え置き」はあくまで猶予であり、金利が高止まりすれば次の5年目の見直しで上限いっぱい(125%)まで上がり得ます。

ステップ4:金利が上がるとどう逆転するか(具体シナリオ)

変動金利で借りたあと、金利が全期間を通じて2.0%になったと仮定します(極端ですが、長期のリスクを測るための目安です)。

30,000,000 × (0.02÷12) × (1 + 0.02÷12)^420 ÷ ((1 + 0.02÷12)^420 − 1) ≒ 99,400円

これは月々約9.9万円、総返済額約4,174万円。先ほどの全期間固定1.5%(総額約3,858万円)を約316万円上回ります。つまり、

変動の実効金利が「全期間固定の金利 + 約1.5%ポイント」を超えると、固定のほうが総支払いで安くなる

という目安が得られます(借入額や期間によってこの境目は動きます)。今の変動0.5%から見れば「2.0%まで上がらなければ変動が得」ということですが、35年という長期の間に2%を超える金利になるかどうかが、この判断の核心です。

ステップ5:変動・期間固定・全期間固定の使い分け

やりがちな誤算4つ

  1. 「変動だからいつでも早く繰上返済できる」と油断:変動は金利が低い分、早期返済の効果(節減利息)が固定より小さいことも。返済シミュレーションで総額を比べてから判断を。
  2. 諸費用・頭金を忘れる:ここでの試算は「借入本体」のみ。火災保険・団信・事務手数料・登記費用などで別途数十〜数百万円かかり、固定金利(特にフラット35)は事務手数料の扱いが変動と異なる場合があります。
  3. 返済負担率だけで決める:変動の低い月額に釣られて借入上限まで借りると、金利上昇時に負担に耐えられなくなる。借入可能額の試算(住宅ローン計算)と並行して、手取りベースの余力(手取り計算)も確認を。
  4. 住宅ローン控除を過信:所得がある年は住宅ローン控除で税が戻る分、実質負担が軽くなりますが、控除は最大13年(認定住宅等はそれ以上)で打ち切られ、その後は元本返済だけが残ります。控除の仕組みは住宅ローン控除を1円単位で解説した記事を参照。

手取り・借入可能額との兼ね合い

「変動か固定か」の前に、そもそもいくら借りられるか・手元にいくら残るかを押さえるのが先決です。年収から税金・社会保険料を引いた手取りを把握し、返済負担率(手取りの20〜30%目安)の範囲で借入額を決めます。借入可能額の目安は年収と返済負担率から借入可能額を逆算する記事、元利均等と元金均等の違いは均等返済の2方式を比べた記事にもまとめています。

注意事項

本記事の数値は概算のシミュレーションです。実際の金利は金融機関・時期・審査によって変動し、ボーナス返済の有無、事務手数料、火災保険・団信料、そして住宅ローン控除の適用によって実質負担は数万〜数百万円単位で変わります。変動金利の5年ルール・125%ルールの適用細部は、お借り入れになる金融機関の約款が最終的な根拠になります。最終的な借入方針は、ご自身の家計の余力と、必要に応じて独立したファイナンシャル・プランナー等の専門家にご確認ください。

自分の借入額で同じ内訳を見たい場合は 住宅ローン計算ツールへ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。

よくある質問

住宅ローンの変動金利と固定金利、どちらが得?

金利が今のままなら変動のほうが総支払いが少なく「得」に見えます(借入3,000万円・35年なら変動0.5%が総返済約3,270万円、全期間固定1.5%が約3,858万円)。しかし変動は将来金利が上がると返済額も上がるため、金利上昇リスクを取るか固定費を確保するかの違いです。

変動金利でも金利が上がってもすぐに払えなくならないのはなぜ?

変動金利には「5年ルール(5年ごとの見直しで、前回返済額の1.25倍=125%を超えない)」と「残高2倍ルール(5年後の残高が当初借入額の2倍を超えなければ据え置き)」があり、金利急騰時も返済額の急激な跳ね上がりが抑制されます。

固定金利にはどんな種類がある?

完済まで金利が変わらない「全期間固定金利(機構団信付きフラット35等)」と、10年・20年・35年など一定期間だけ固定し、その後見直す「期間固定金利(固定特約)」があります。期間固定は固定終了時に当時の金利で再設定されます。

変動金利が上がると総支払いはどれくらい増える?

借入3,000万円・35年の例で、変動が全期間2.0%になったと仮定すると月約9.9万円・総返済約4,174万円になり、全期間固定1.5%(約3,858万円)を上回ります。つまり「金利が約1.5%ポイント以上上がると固定のほうが安くなる」目安になります。

どちらを選ぶべきかの目安は?

金利上昇で返済額が増えても家計が耐えられる(余力がある)、あるいは早期返済で元本を減らせるなら変動。逆に「返済額が絶対に変わらない安心」を取りたい、あるいは金利上昇に弱い家計なら固定、というのが基本です。借入可能額の試算(返済負担率)も合わせて確認を。

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