育休中の社会保険料はいくら免除される? 標準報酬月額30万円で月42,420円・1年で509,040円(賞与84,840円も免除)を1円単位で計算

2026-08-26 | 育児休業 社会保険 社会保険料免除 健康保険 厚生年金 育児休業給付金 手取り 家計 住民税

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「育休に入ると給料は減るけれど、社会保険料は払わなくていいと聞いた。実際いくら得なの?」 ——これから育児休業を取る人が、家計シミュレーションのときに必ずつまずくポイントです。 育児休業給付金の「67%」という数字だけを見ると生活が心配になりますが、 育休中は健康保険料・厚生年金保険料が労使ともに全額免除され、 さらに給付金は非課税なので、手取りベースでは通常時の8割超が残ることも珍しくありません。 この記事では標準報酬月額30万円のモデルで、免除額・手取り・落とし穴を1円単位で計算します。

結論:標準報酬月額30万円なら月42,420円・1年で509,040円が免除

本人負担分の内訳は次のとおりです(協会けんぽ東京支部の料率、健康保険9.98%・厚生年金18.30%・介護保険1.60%、いずれも労使折半)。

項目計算式免除額(月・本人負担分)
健康保険料300,000円 × 9.98% ÷ 214,970円
厚生年金保険料300,000円 × 18.30% ÷ 227,450円
合計(40歳未満)—42,420円
介護保険料(40歳以上)300,000円 × 1.60% ÷ 22,400円
合計(40歳以上)—44,820円

1年間の育休なら 42,420円 × 12 = 509,040円(40歳以上は537,840円)。 会社負担分も同額が免除されるため、労使合計では約102万円が免除される計算です。 加えて標準賞与額60万円の賞与が育休中(かつ育休が1か月超)にあれば、 健康保険料29,940円+厚生年金保険料54,900円=84,840円も免除されます。

免除額の計算ツール(標準報酬月額から即算出)

※協会けんぽ東京支部の料率(健康保険9.98%・介護保険1.60%・厚生年金18.30%)で計算。健康保険料率は加入する健保組合・都道府県で異なります。計算はすべてブラウザ内で完結し、入力内容は送信されません。

免除額の早見表(本人負担分・月額と年額)

標準報酬月額健康保険料厚生年金保険料月合計1年合計介護込み月額
200,000円9,980円18,300円28,280円339,360円29,880円
240,000円11,976円21,960円33,936円407,232円35,856円
300,000円14,970円27,450円42,420円509,040円44,820円
360,000円17,964円32,940円50,904円610,848円53,784円
410,000円20,459円37,515円57,974円695,688円61,254円
500,000円24,950円45,750円70,700円848,400円74,700円
590,000円29,441円53,985円83,426円1,001,112円88,146円

厚生年金保険料は標準報酬月額650,000円(等級32)で上限に達するため、 高収入でも免除額は月あたり約59,475円(厚生年金分)でストップします。 健康保険料の上限は標準報酬月額1,390,000円です。

手取りベースの比較:通常237,082円 → 育休中201,000円(84.8%)

「給付金67%」は額面の67%ですが、比べるべきは手取り同士です。 年収360万円(月額30万円・賞与なし)・独身・40歳未満のモデルで通常時の手取りを計算します。

項目金額(月)根拠
額面300,000円—
健康保険料▲14,970円30万円×9.98%÷2
厚生年金保険料▲27,450円30万円×18.30%÷2
雇用保険料▲1,650円30万円×0.55%
所得税▲6,088円年73,061円÷12(後述)
住民税▲12,760円年153,116円÷12
手取り237,082円—

所得税の根拠は、給与所得控除 3,600,000円×30%+80,000円=1,160,000円、 社会保険料控除 528,840円(=44,070円×12)、基礎控除480,000円を引いた課税所得1,431,160円に 税率5%と復興特別所得税1.021を掛けた73,061円です。 住民税は基礎控除430,000円で計算した所得割1,481,160円×10%+均等割5,000円=153,116円としています。

期間受取額(月)通常手取りとの比差額
通常勤務237,082円100%—
育休 1〜180日(67%)201,000円84.8%▲36,082円
育休 181日〜(50%)150,000円63.3%▲87,082円
出生後休業支援給付あり(80%)240,000円101.2%+2,918円

額面では67%でも手取りでは84.8%が残るのは、 ①育児休業給付金は非課税(所得税・住民税がかからない)、 ②社会保険料が免除される、 ③賃金が支払われないので雇用保険料もかからない——この3つが同時に効くからです。 さらに2025年4月に新設された出生後休業支援給付金(両親がともに一定期間の育休を取得した場合に13%上乗せ)に該当すると、 給付率は最大80%になり、手取りベースでは通常時をわずかに上回ります。

計算の根拠:なぜ免除されるのか

注意点:ここでつまずく人が多い5つ

  1. 住民税は免除されない。 前年所得への課税なので、給与が止まっても納付義務は残ります。上記モデルでは月12,760円。給与天引きができなくなるため、①会社が立て替えて復職後に精算、②育休前に一括徴収、③普通徴収に切替のいずれかになります。育休中の実質手取りは201,000円−12,760円=188,240円と考えておくと安全です。
  2. 申出制なので自動では止まらない。 会社が「育児休業等取得者申出書」を提出しないと免除は始まりません。育休開始後の給与明細(賞与明細)で、健康保険料・厚生年金保険料の控除が0円になっているかを必ず確認してください。
  3. 復職日を月末にすると1か月分損する。 7月20日復職なら7月分は免除されず42,420円が発生。8月1日復職なら7月分は免除されます。日付の選び方だけで4万円級の差が出ます。
  4. 育児休業給付金には支給上限がある。 賃金日額の上限が設定されているため、高収入の人は「額面の67%」より低い金額に抑えられます。標準報酬月額が高い人ほど、額面比の給付率は下がる点に注意してください。
  5. ボーナス月をまたぐ設計が効く。 賞与が育休中に支給され、かつ育休が1か月を超えていれば、標準賞与額60万円で84,840円が追加で免除されます。育休の開始・終了時期は、賞与月との関係でも比較する価値があります。

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まとめ

育休の家計インパクトは「給付金67%」だけで判断すると過大に見えます。 標準報酬月額30万円なら社会保険料が月42,420円・1年で509,040円免除され、給付金は非課税。 結果として手取りは通常の84.8%が維持され、出生後休業支援給付に該当すれば100%を超えることもあります。 残る負担は住民税(月12,760円)だけ。 復職日を月末にしない、賞与月との重なりを確認する、給与明細で免除の適用を確かめる——この3点を押さえれば、 育休の資金計画は十分に組み立てられます。

本記事は協会けんぽ東京支部の料率および現行の健康保険法・厚生年金保険法の規定に基づく計算例です。健康保険料率は加入先や年度で変わり、育児休業給付金の上限額も毎年8月に改定されます。実際の金額は勤務先の人事担当・年金事務所・ハローワークでご確認ください。

よくある質問

育休中の社会保険料は本当に全額免除ですか?

はい。健康保険料と厚生年金保険料は、育児休業(産後パパ育休を含む)の期間について本人負担分・会社負担分ともに全額免除されます。根拠は健康保険法第159条および厚生年金保険法第81条の2で、会社が年金事務所・健康保険組合へ「育児休業等取得者申出書」を提出することで適用されます。自動ではなく申出制なので、給与明細で控除が止まっているかを必ず確認してください。なお免除は「猶予(あとで払う)」ではなく完全な免除で、あとから請求されることはありません。

標準報酬月額30万円だと、いくら免除になりますか?

本人負担分は健康保険料14,970円(30万円×9.98%÷2)+厚生年金保険料27,450円(30万円×18.30%÷2)=月42,420円です。1年間の育休なら509,040円が免除されます。40歳以上で介護保険第2号被保険者なら介護保険料2,400円(30万円×1.60%÷2)も免除され、月44,820円・年537,840円になります。会社負担分も同額免除されるため、労使合計では年間100万円超が免除される計算です。

賞与(ボーナス)の社会保険料も免除されますか?

免除されますが条件があります。賞与に係る保険料が免除されるのは「その月末時点で育休中」かつ「育休期間が1か月を超える」場合です(2022年10月の改正で追加された要件)。標準賞与額60万円なら本人負担分は健康保険料29,940円+厚生年金保険料54,900円=84,840円が免除されます。育休が1か月以内の短期の場合、月々の給与分は月末在籍で免除されても、賞与分は免除されません。

免除されると将来の年金は減りますか?

減りません。育休期間中の免除は「保険料を納付したもの」として年金記録に反映されるため、老齢厚生年金の計算に使われる標準報酬月額もそのまま記録されます。さらに3歳未満の子を養育する期間について、時短勤務などで標準報酬月額が下がった場合は「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を申し出れば、下がる前の高い標準報酬月額で年金額を計算してもらえます。育休は年金上、不利になりません。

育休中の手取りは通常の何%くらいになりますか?

標準報酬月額30万円・年収360万円のモデルでは、通常時の手取りは月237,082円(額面30万円−社会保険料44,070円−所得税6,088円−住民税12,760円)です。育児休業給付金は休業開始から180日間が賃金の67%=201,000円(非課税・社会保険料もかからない)なので、手取りベースでは約84.8%が維持されます。181日目以降は50%=150,000円で約63.3%に下がります。2025年4月に新設された出生後休業支援給付金(13%上乗せ)の対象になれば最大80%=240,000円となり、手取りベースでは通常時を上回るケースもあります。

住民税も免除されますか?

いいえ。住民税は前年の所得に対して課税される後払いの税金なので、育休中も納付義務が残ります。給与の支払いが止まると給与天引き(特別徴収)ができないため、会社が立て替えて後から精算する、育休前の給与から一括徴収する、普通徴収に切り替えて自分で納付する、のいずれかになります。上記モデルでは年153,116円(月12,760円)で、育休中の実質的な手取りは201,000円−12,760円=188,240円まで下がります。育休前に住民税の扱いを会社へ確認しておくのが重要です。

月末に復職すると、その月は免除されませんか?

原則としてその月は免除されません。月々の給与に係る社会保険料の免除判定は「月末時点で育休中かどうか」で行うためです(月末在籍ルール)。例えば7月20日に復職すると7月分は免除対象外で、7月分の保険料42,420円が発生します。8月1日復職なら7月分は免除されます。ただし2022年10月以降は「同一月内に14日以上の育休を取得した場合」も月末在籍でなくても免除対象になる救済ルールがあるため、月末付近の復職日は会社の担当者と相談して決めるのが得です。

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