住宅ローンの元利均等と元金均等、総支払額・総利息はいくら違う? 借入額・金利・期間別に計算した早見表と、どっちを選ぶかの判断軸
「住宅ローン、同じ金額・同じ金利なのに『元利均等』と『元金均等』で総利息が全然違うらしい。でも月々の返済額はどっちが楽なんだろう?」
住宅ローン契約時に必ず出てくるこの選択は、ネットを見ると「元利均等が一般的」という言葉ばかりが目につく一方で、「なぜ違うのか」「いくら違うのか」「自分のケースではどうか」を具体的な数字で示したページは意外と少ないです。しかも総利息の差は数十万円〜百万円以上になることもあるので、向き不向きを理解しないで決めると、単に「みんなが元利均等だから」という理由で何十万円も損をする側にも、逆に月額負担を過大にしてしまう側にもなり得ます。
この記事では、同じ借入額・同じ金利・同じ期間という条件を固定したうえで、元利均等と元金均等の総支払額・総利息の差を、借入額・金利・期間ごとに数値で出します。さらに「毎月の返済額」「初月の負担」「総利息」のそれぞれをどう比較するか、どっちを選ぶかの判断軸まで計算式つきで整理します。自分の数字は住宅ローン計算ツールで月額・総支払・総利息を、手取り計算ツールでその月額が家計にどのくらい効くかを確認できます。
そもそも「元利均等」と「元金均等」は何が違うのか
住宅ローンの返済方式は、大きく分けて2種類あります。
- 元利均等返済:毎月の返済額がずっと一定。はじめは利息の割合が大きく、返済が進むにつれて元本の割合が増えていく方式。住宅ローンで最も一般的。
- 元金均等返済:毎月返す「元本」の額が一定。利息はその時点の残債×月利なので、返済が進むにつれて毎月の支払総額が徐々に減っていく方式。
どちらも「元本+利息」を毎月返していく点は同じですが、「毎月の返済額が一定か、元本が一定か」という並び方が逆になっているのが違いです。その結果、同じ借入額・金利・期間でも、総利息も総支払額も、月々の返済額の推移も全部違ってきます。
共通して使う計算の骨格
どちらの方式でも、ベースになるのは「月利率」と「返済月数」です。
月利率 = 年利 ÷ 12
返済月数 = 年数 × 12
元利均等の月返済額(毎月一定の支払額)は、次の式で求めます。これはローン計算で最もよく使われる標準公式です。
月返済額 = 借入元本 × 月利率 × (1+月利率)月数 ÷ {(1+月利率)月数 − 1}
総支払額は「月返済額 × 月数」、総利息は「総支払額 − 借入元本」で出ます。
一方、元金均等は「毎月の元本返済額が一定」なので、式が別の形になります。
毎月の元本返済額 = 借入元本 ÷ 月数
1ヶ月目の利息 = 借入元本 × 月利率
1ヶ月目の支払総額 = 毎月の元本返済額 + 1ヶ月目の利息
その後、毎月「残債 × 月利率」が利息として減っていくので、総利息も総支払額も、元利均等とは違う値になります。
早見表:借入額・金利・期間別にみる総支払額・総利息の違い
下の表は、元利均等と元金均等を同じ条件で並べたものです。金額はいずれも概算です。
| 借入額 | 年利 | 期間 | 方式 | 毎月の返済額(初期) | 総支払額 | 総利息 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 1.0% | 25年 | 元利均等 | 約113,062円 | 約3,391万8,521円 | 約391万8,521円 |
| 元金均等 | 約125,000円 | 約3,376万2,500円 | 約376万2,500円 | |||
| 3,000万円 | 1.0% | 35年 | 元利均等 | 約84,686円 | 約3,556万7,998円 | 約556万7,998円 |
| 元金均等 | 約96,429円 | 約3,526万2,500円 | 約526万2,500円 | |||
| 3,000万円 | 2.0% | 25年 | 元利均等 | 約127,156円 | 約3,814万6,890円 | 約814万6,890円 |
| 元金均等 | 約150,000円 | 約3,752万5,000円 | 約752万5,000円 | |||
| 3,000万円 | 2.0% | 35年 | 元利均等 | 約99,379円 | 約4,173万9,109円 | 約1,173万9,109円 |
| 元金均等 | 約121,429円 | 約4,052万5,000円 | 約1,052万5,000円 | |||
| 4,000万円 | 1.0% | 25年 | 元利均等 | 約150,749円 | 約4,522万4,695円 | 約522万4,695円 |
| 元金均等 | 約166,667円 | 約4,501万6,667円 | 約501万6,667円 | |||
| 4,000万円 | 1.0% | 35年 | 元利均等 | 約112,914円 | 約4,742万3,997円 | 約742万3,997円 |
| 元金均等 | 約128,571円 | 約4,701万6,667円 | 約701万6,667円 | |||
| 4,000万円 | 2.0% | 25年 | 元利均等 | 約169,542円 | 約5,086万2,521円 | 約1,086万2,521円 |
| 元金均等 | 約200,000円 | 約5,003万3,333円 | 約1,003万3,333円 | |||
| 4,000万円 | 2.0% | 35年 | 元利均等 | 約132,505円 | 約5,565万2,145円 | 約1,565万2,145円 |
| 元金均等 | 約161,905円 | 約5,403万3,333円 | 約1,403万3,333円 |
この表からすぐ分かるポイントは3つです。
- 同じ条件でも、元金均等のほうが総利息も総支払額も少ない。
- その代わり、元金均等のほうが初期(とくに初月)の返済額が大きい。
- 金利が高く、期間が長いほど、総利息の差は大きくなる。例えば3,000万円・2.0%なら25年で約62万円、35年で約121万円の差が出ています。
金額の読み方:どこに注目するか
この比較では、ただ「総利息が安いほうが良い」と決めるわけではありません。住宅ローンは何十年も続く支払いなので、見るべき軸がいくつかあります。
1)毎月の返済額(とくに初月)
世帯の手取りに対して月々の返済が重すぎると、住宅ローンそのものが家計を圧迫します。元金均等は初月〜初期の返済額が元利均等より大きくなるため、この時点で「払えない」なら方式の話以前に借入額や期間を見直す必要があります。
参考に、月額が手取りにどう効くかは手取り計算ツールで確認できます。返済額そのものの試算は住宅ローン計算ツールです。
2)総利息(合計でいくら利息を払うか)
総利息は「借りている間に支払う利息の総額」です。同じ借入額・金利・期間なら、元金均等のほうが総利息は少なくなります。長い期間・高金利ほど、この差は大きくなります。
ただし「総利息が少ない」ことと「毎月が楽」は必ずしも両立しません。元金均等は総利息を減らす代わりに、初期の支払総額が高くなるからです。
3)返済額の推移(途中でどう変わるか)
元利均等は返済額がずっと一定です。反対に元金均等は、返済が進むにつれて毎月の支払総額が減っていきます。つまり、初期に余裕があり、後になるほど他の支出(教育費・老後資金など)が増える見込みがあるなら、元金均等は時間帯として相性がいい場合があります。
具体例で比べる:借入3,000万円・年利2.0%・35年
この条件は「典型的な住宅ローン」のひとつとしてよく使われるので、そのまま並べてみます。
| 比較軸 | 元利均等 | 元金均等 | 差 |
|---|---|---|---|
| 毎月の返済額(初期) | 約99,379円 | 約121,429円 | 元金均等が約22,050円少ないかった(初期は元金均等のほうが高い) |
| 総支払額 | 約4,173万9,109円 | 約4,052万5,000円 | 元金均等が約121万4,109円少ない |
| 総利息 | 約1,173万9,109円 | 約1,052万5,000円 | 元金均等が約121万4,109円少ない |
ここでは「元利均等と元金均等の総利息の差」が、3,000万円・2.0%・35年で約121万円になっています。決して小さくない差ですが、同時に初月の返済額も約2.2万円(月ベース)大きくなります。
この「差」をどう評価するかは、その世帯が初月以降の返済額をどれだけ負担できるかによります。
どう選ぶか:判断軸
向き不向きを考えるときは、だいたい次の4つを同時に見ます。
- 月々の負担を一定・低めに抑えたいか:そうなら元利均等が無難です。はじめから高い元金均等は、家計の他の支出(生活費・教育費・保険料など)が増える局面で負担になることがあります。
- 総利息を軽減したいか:同じ借入・金利・期間なら元金均等が有利です。とくに金利が高め・期間が長めのときは差が大きくなります。
- はじめにキャッシュフローに余裕があるか:初月〜初期の返済増に耐えられるなら、元金均等で総利息を減らす選択も意味があります。
- 将来の支出が増える見込みがあるか:出産・教育・介護などで将来の手取り余力が減る見込みがある場合は、返済額が一定の元利均等が安定しやすいこともあります。
どちらが「正解」という話ではなく、「今月の返済がきつくなるか」と「total でいくら利息を払うか」のトレードオフとして捉えるのが実務的です。
途中で変えられるか、繰上返済や借換との関係
返済方式は契約時点で決まることが多いですが、金融機関によっては途中変更や、繰上返済によって実質的な負担構造を変える方法もあります。借換先で方式や条件を変えるケースもあります。
- 繰上返済の効果を計算した記事:繰上返済で総利息がどう減るか。
- 住宅ローンの借換判断を計算した記事:金利・残債・残期間を入れ替えた比較。
また「元金均等っぽく総利息を減らしたい」けれど初月負担は増やしたくない場合には、繰上返済で残債を早めに減らす方法もあります。
注意点:数字を見るときに外しやすい前提
- ここでの比較は「借入額・金利・期間が同じ」ことが前提です。現実には借換・繰上返済・金融商品の違いなどで、条件そのものが動きます。
- 変動金利の場合は金利が変わると月額も総利息も変わります。この記事の表は固定金利を前提にした概算です。
- 頭金・諸費用・団体信用生命保険(団信)などの有無は別途影響します。借入額そのものが変われば総利息も変わります。
- 「総支払額」と「持ち家総コスト」は別です。固定資産税・住居費・修繕・保険などはローン返済以外の負担です。
- 金融機関・商品ごとに計算の細部(手数料・保証料など)は異なります。ここでの数値は返済方式の違いを見るための概算です。
もっと具体的に確かめる
- 住宅ローン計算ツール——借入額・金利・期間から月額・総支払額・総利息を即算出(この記事の早見表の数字も、このツールで再現できます)。
- 頭金あり住宅ローン計算——頭金の額で借入額・総利息がどう変わるか。
- 繰上返済の効果を計算した記事——返済方式以外の方法で総利息を減らす視点。
- 住宅ローンの借換判断を計算した記事——条件を変えて総支払・総利息を比べる。
- 手取り計算ツール——月々の返済が家計にどのくらい効くか。
ここでの数値は、元利均等・元金均等のそれぞれの標準的な計算方法に基づく概算です。実際の返済方式・金利タイプ・手数料・団体信用生命保険・繰上返済規程などは契約先・商品で異なります。最終的な借入条件・返済計画は、契約金融機関の試算と、必要に応じて住宅ローン審査・税務面の取扱いをあわせてご確認ください。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
元利均等と元金均等は何が違うの?
元利均等は「毎月の返済額がずっと同じ」方式で、はじめは利息割合が大きく後半に元本割合が増えます。元金均等は「毎月返す元本が一定」で、利息は残債に応じて減るため、最初の返済額は大きいけれど total 利息が少なくなります。同じ借入額・金利・期間でも、総支払額・総利息が違うのが核心です。
総利息はどちらが少ない?
総利息は元金均等のほうが少なくなります。借入3,000万円・年利2.0%・35年の例では、元利均等の総利息が約1,174万円に対して、元金均等は約1,053万円で、差は約121万円です。金利が高く期間が長いほど、この差は大きくなります(同じ条件で年利が上がると差が拡大します)。
初月の返済額はどれくらい違う?
元金均等のほうが初月返済額が大きくなります。同じ借入3,000万円・年利2.0%・35年なら、元利均等は月約9.9万円・元金均等は初月約12.1万円で、スタート時点で約2.2万円の差が出ます。その後元金均等は残債が減るにつれて毎月少しずつ返済額が下がっていきます。
どっちを選べばいい?
月々の家計負担を一定・低めに抑えたいなら元利均等、総利息をできるだけ減らしたい・はじめに余裕があるなら元金均等が候補です。多くの人は「月額の安定性」から元利均等を選びますが、 household のキャッシュフローに余力がある場合は元金均等で総利息を節約できます。判断は「はじめに払えるか」と「total 利息をどこまで重視するか」の二軸で考えます。
途中から方式を変えられる?
金融機関や契約によりますが、返済方式の変更(元利均等⇄元金均等)や繰上返済による実質的な方式調整ができる場合があります。総利息を減らしたい場合は「借換・返済方式変更・繰上返済」の組み合わせも選択肢になります。詳細は契約先の規程と、繰上返済の効果を計算した記事で確認してください。