源泉徴収票の見方——支払金額・給与所得・控除・課税所得・源泉徴収税額がどこに書いてあるか(年収500万の具体例つき)
「年末に会社から渡される『源泉徴収票』。見たことはあるけど、各項目が何を意味するのか良く分からない」——毎年多くの給与所得者がこう感じています。ネットで調べると「給与所得控除」「課税所得」「源泉徴収税額」といった用語は出てきますが、「実際の源泉徴収票のどの行がそれなのか」を結びつけて解説している記事は意外と少ないものです。
この記事では、実際の源泉徴収票(給与所得者用)の各項目を、上から下まで順番に読み解く方法を、年収500万円の具体例と一緒に解説します。計算式の詳細は既存の専門記事(給与所得控除・所得税・住民税)へリンクし、ここでは「この書類のこの行が何を意味するか」に焦点を当てます。
源泉徴収票の基本構造(5つのブロック)
給与所得者の源泉徴収票は、国税庁の様式に従っておおむね次のような項目で構成されています(2024年以降の様式を前提)。
| 区分 | 源泉徴収票の項目名 | 何を表しているか |
|---|---|---|
| ①年収 | 支払金額 | その年に支払われた給与の合計(年収)。交通費・経費として非課税扱いのものは除かれることが多い |
| ②給与所得 | 給与所得控除後の金額 | 支払金額から給与所得控除を引いた額。「年収」ではなく「所得」。ここから先の控除・税額の土台 |
| ③所得控除 | 所得控除の額の合計額 | 基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・生命保険料控除などの合計額 |
| ④課税所得 | 所得税の課税所得金額 | ② − ③ で求めた、税額計算の土台になる金額 |
| ⑤税額 | 源泉徴収税額 | 所得税+復興特別所得税の年合計。給与から天引きされた額の合計 |
この5つのブロックは、源泉徴収票の「上半分(支払金額〜課税所得)」と「下半分(税額・控除の詳細)」に対応しています。
具体例:年収500万円・独身・会社員の源泉徴収票を読む
ここでは、年収500万円・独身・社会保険料約72.5万円・生命保険料控除ありのモデルで、源泉徴収票の各項目がどうなるかを見ていきます。
| 源泉徴収票の項目 | この例での金額 | 計算の根拠(簡易) |
|---|---|---|
| 支払金額 | 5,000,000円 | 年収(給与総額) |
| 給与所得控除後の金額 | 3,560,000円 | 500万×20%+44万=144万円控除、500万−144万 |
| 所得控除の合計額 | 例:1,200,000円 | 基礎控除48万+社会保険料72.5万+生命保険料控除(上限到達分) |
| 課税所得金額 | 2,360,000円 | 356万 − 120万 |
| 源泉徴収税額(所得税+復興) | 例:約14.1万円 | 課税所得の所得税速算 + 復興特別所得税2.1% |
この例では、年収500万円でも課税所得は236万円になり、所得税の速算表では「195万円超330万円以下」の区分(10% − 97,500円)が適用されるため、所得税は 236万×10% − 97,500 = 138,500円、復興特別所得税2.1%を加えると約 141,400円になります(計算の詳細は所得税の計算記事を参照)。実際の源泉徴収票にはこのあたりの端数処理・源泉徴収のタイミングが反映されます。
源泉徴収票の各欄 詳しく
支払金額の欄
ここにはその年に支払われた給与の合計が記載されます。年間の総支給額(基本給+各種手当+ボーナスなど)から、非課税の通勤手当などを除いた額です。「年収」と呼ばれることの多い数字ですが、厳密には源泉徴収票上の支払金額は「給与」として支払われた額の合計です。
給与所得控除後の金額の欄
支払金額から給与所得控除を差し引いた額が自動的に記載されます。自分で計算する必要はありません(支払者が計算して記載)。この欄の数字が「所得」として、以降の控除・税額の計算の基礎になります。
所得控除の額の合計額
基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・特定の職業控除などの合計額が記載されます。年末調整で提出した「保険料控除申告書」などの内容がここに反映されます。
所得税の課税所得金額
「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額です。この金額に所得税の速算表を適用して、理論上の所得税額が決まります。
源泉徴収税額
実際にその年に給与から天引きされた所得税+復興特別所得税の合計です。この額と「本来の所得税額」との差が、翌年の年末調整や確定申告で還付・追加徴収される額の元になります。
年末調整前後の源泉徴収票の違い
年末調整の前(12月分の給与として発行される源泉徴収票)と後(年末調整済みの翌年1月〜2月の源泉徴収票)では、いくつかの項目に違いが出ます。
- 所得控除の額の合計額:年末調整で生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除・扶養控除などの申告が反映され、増えることがあります。
- 源泉徴収税額の修正:年末調整で払いすぎた税金が還付され、源泉徴収税額が減少します(または不足分の追加徴収)。
- 扶養親族の人数などの記載:年末調整で提出した情報が反映されます。
つまり、「年末調整済みの源泉徴収票」がその年の最終的な税務+保険料の要約であり、翌年の住民税決定や、必要に応じた確定申告の基礎資料になります。
よくある疑問と答え
- Q: 支払金額と給与所得の違いは?
A: 支払金額は「年収(総支給額)」、給与所得はそこから給与所得控除(経費相当額)を引いた「所得」です。税額計算の土台は支払金額ではなく給与所得です。 - Q: 源泉徴収税額が多すぎる/少なすぎると思うときは?
A: 年末調整で精算されるのが原則です。年末調整で反映されない控除(医療費控除・ふるさと納税のワンストップ外・副業など)がある場合は、確定申告で還付を受けられることがあります(医療費控除の記事、ふるさと納税の記事参照)。 - Q: 源泉徴収票はいつまで保存すべき?
A: 住民税の課税証明やローン審査・家賃保証などで求められることがあるため、最低1年は保存しておくと安心です。特に年末調整済みのものは、税務上の「公式な年間要約」として機能します。 - Q: 源泉徴収票と「課税証明書」は同じですか?
A: 異なります。源泉徴収票は給与支払者が作成する「給与の税務要約」で、課税証明書は市区町村が発行する「課税済みの証明」です。ローン・賃貸・奨学金などの手続きでは、どちらか、あるいは両方が求められることがあります。
関連ツール・関連記事
- 手取り計算ツール — 年収から手取りに変換。源泉徴収票の「支払金額」と実際の手取りの違いを理解するのに役立ちます。
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- 所得税の計算方法 — 源泉徴収票の「源泉徴収税額」の算出根拠。
- 住民税の計算方法 — 源泉徴収票には住民税の詳細は出ませんが、年間の税負担を理解するのに必要。
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- ふるさと納税 ワンストップ特例 — 源泉徴収票に反映されない寄付控除の代表。
本記事の数値は、会社員・独身・扶養なし・社会保険料を年収の約14.5%とする簡易モデルに基づく目安です。実際の源泉徴収票の項目・金額は、就業規則・給与体系・年末調整の内容・税の申告適用などによって異なります。正確な内容は、勤め先の総務・人事担当者または国税庁の「源泉徴収票」に関する公式情報でご確認ください。源泉徴収票の様式自体は国税庁の「源泉徴収票等の作成・保管」に関する情報が最終的な根拠になります。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した金額が外部に送信されることはありません。
よくある質問
源泉徴収票の『支払金額』と『給与所得』はどう違うのですか?
支払金額は、その年に支給された給与の総額(年収)です。給与所得は、支払金額から給与所得控除(経費相当額)を引いた金額で、税金計算の元になる『所得』です。例えば年収500万円なら、給与所得控除144万円を引いた356万円が給与所得になります。
源泉徴収票の『源泉徴収税額』は何ですか?
その年に給与から天引きされた所得税+復興特別所得税の合計金額です。この額が『払いすぎ』だった場合は、年末調整や確定申告で還付されることがあります。
源泉徴収票は誰が作りますか?自分で作る必要はありますか?
給与を支払う会社(使用者)が作成し、給与所得者本人と税務署に提出します。給与所得者本人が作成する必要はありませんが、内容を確認し、誤りがあれば会社に訂正を求める必要があります。
源泉徴収票はいつもらえますか?
通常、年末調整が終わった翌年1月〜2月に、翌年分の給与とともに交付されることが多いです(会社の期限・カレンダーによります)。退職時は、時点に応じて通常の給与分の源泉徴収票が発行されることがあります。
源泉徴収票と『課税証明書』は同じですか?
異なります。源泉徴収票は給与支払者が作成する『給与の税務要約』で、課税証明書は市区町村が発行する『課税済みの証明』です。ローン・賃貸・奨学金などの手続きでは、どちらか、あるいは両方が求められることがあります。