不動産取得税はいくらかかる? 土地3%・建物軽減3%の計算式と特例控除(1,500万/1,200万/1,000万)を1円単位で解説
「家を買うとき、物件代のほかに『不動産取得税』っていくらかかるの?」——不動産屋や銀行の試算書にはあまり載らず、引越し直前に自治体から届く納付書で初めて気づく税金です。ネットには「物件価格の3%」とだけ書かれたページが多いですが、実際には土地と建物で税率も控除額も違い、しかも「固定資産評価額」という売買価格とは別の数字で計算するため、そのまま当てはめると何万〜何十万円もズレます。この記事では、不動産取得税の法定の計算式を根拠に、新築・中古・マンションそれぞれの具体例を1円単位で追います。この税金が住宅ローンの諸費用のどこに含まれるかは、住宅購入の諸費用を分解した記事とあわせて確認してください。
誰が読むべき記事か(検索意図)
この記事は次のような人に向けて書いています。
- 「不動産取得税っていくらかかるの? 物件価格の3%?」と、初めてその名前を聞いた人
- 「土地と建物で税金の計算が違う」と聞き、それぞれ何%でどう控除されるかを正確に知りたい人
- 「中古マンションを買うと不動産取得税は安いのか」と、新築との差を比べたい人
- 「評価額が低いと非課税になると聞いたが本当か」と、控除の効果を数値で確かめたい人
- すでに 住宅購入の諸費用記事 を読み、その中の「不動産取得税」の項目をもっと深く知りたい人
そもそも不動産取得税とは(法定の根拠数字)
不動産取得税は、土地・家屋を取得したとき(売買・贈与・新築・交換など)に、取得者にかかる都道府県の税です。計算の出発点は、その土地・建物の「固定資産評価額」です。この評価額は、売買価格(実際に払う金額)とは別に、各市町村の固定資産税評価額などをもとに決まります。
税率と特例控除は、対象によって次のように決まります(いずれも居住用の住宅に関する長年固定の軽減措置に基づく数字です)。
| 対象 | 基本税率 | 住宅用の軽減税率 | 特例控除額(課税標準から差し引く) |
|---|---|---|---|
| 土地 | 3% | 3%(土地はもともと3%) | 1,500万円 |
| 新築の建物(自己居住用) | 4% | 3% | 1,200万円 |
| 中古の建物(要件を満たす自己居住用) | 4% | 3% | 1,000万円 |
| その他(非居住・事業用・要件を満たさない) | 土地3%/建物4% | なし | なし |
土地の税率は、不動産取得税の標準税率(4%)のうち、土地と住宅についてだけ3%に軽減されている長年の措置です。建物の標準税率は4%ですが、自己の居住用の家屋には3%の軽減税率が適用されます。そして土地には1,500万円、新築の建物には1,200万円、要件を満たす中古の建物には1,000万円の特例控除があり、課税標準(=評価額 − 控除額)からこれらを差し引いた額に税率を掛けます。
計算式の根拠
土地は(評価額 − 1,500万)× 3%
建物は(評価額 − 1,200万[新築] または 1,000万[中古要件])× 3%(軽減)
土地と建物を別々に計算して合算する
ポイントは2つ。①土地と建物を別々の課税標準で計算し、足し合わせる。②控除額を引いたあとの課税標準がマイナスになった分は0として扱われる(税額はマイナスにならず、その部分は非課税になる)。つまり「評価額が控除額以下なら税金0円」という効果が、この控除から生まれます。
具体数値例①:新築一戸建て(土地2,000万・建物2,000万の評価額)
土地の評価額2,000万円、建物の評価額2,000万円(新築・居住用)のケースを1円単位で追します。売買価格が4,000万円でも、計算のもとになるのは「評価額」です。
| ステップ | 金額 | 説明 |
|---|---|---|
| ① 土地の課税標準 | 2,000万 − 1,500万 = 500万円 | 土地の特例控除1,500万を引く |
| ② 土地の税額 | 500万 × 3% = 15万円 | 土地の税率3% |
| ③ 建物の課税標準 | 2,000万 − 1,200万 = 800万円 | 新築建物の特例控除1,200万を引く |
| ④ 建物の税額 | 800万 × 3% = 24万円 | 居住用軽減税率3% |
| ⑤ 合計 | 15万 + 24万 = 39万円 | 土地と建物を合算 |
売買価格4,000万円の新築一戸建てなら、不動産取得税は約39万円になります。物件代の約1%程度に収まるのは、この特例控除のおかげです。
具体数値例②:中古マンション(専有割合10%・築8年)
マンションは、土地が「共用部分の按分」になる点に注意が必要です。全体で土地評価額1億円・建物評価額3億円のマンションを、専有割合10%で取得し、築8年(中古の要件を満たす)とするケースです。
| ステップ | 金額 | 説明 |
|---|---|---|
| ① 自分の土地按分 | 1億 × 10% = 1,000万円 | 専有割合で按分 |
| ② 土地の課税標準 | 1,000万 − 1,500万 → 0円 | 控除額を超えるのでマイナス分は0 |
| ③ 土地の税額 | 0円 | 土地分は非課税 |
| ④ 自分の建物按分 | 3億 × 10% = 3,000万円 | 専有割合で按分 |
| ⑤ 建物の課税標準 | 3,000万 − 1,000万 = 2,000万円 | 中古建物の特例控除1,000万を引く |
| ⑥ 建物の税額 | 2,000万 × 3% = 60万円 | 居住用軽減税率3% |
| ⑦ 合計 | 60万円 | 土地0 + 建物60万 |
マンションは土地が共用部分の按分になるため、専有割合が小さいほど土地分は控除内に収まって0になりやすく、建物分だけが効いてきます。築年数が中古の要件(おおむね木造20年・耐火建築物25年・マンション15年など、または一定の耐震基準を満たすこと)を満たせば、建物にも1,000万円の控除と3%の軽減が使えます。
具体数値例③:評価額が低い中古で実質0円になるケース
土地評価額800万円、建物(中古・要件満たす)評価額900万円のように、評価額が控除額を下回るケースを追します。
| ステップ | 金額 | 説明 |
|---|---|---|
| ① 土地の課税標準 | 800万 − 1,500万 → 0円 | 控除を超えるマイナス分は0 |
| ② 建物の課税標準 | 900万 − 1,000万 → 0円 | 中古控除1,000万を超えるので0 |
| ③ 合計 | 0円 | 両方の課税標準が0なら税額0 |
古い・小さい・評価額の低い物件ほど、この「控除で相殺されて実質0円」が起きます。ただしこれは「免税になる」のではなく、特例控除によって課税標準が0になっているためです。例②のように建物の按分が大きいと、すぐに控除を超えて税額が出ます。
注意点・落とし穴
- 評価額は売買価格ではない。計算のもとは「固定資産評価額」です。売買価格の7〜8割程度が目安と言われますが、地域や物件で大きく異なります。売買価格の3%でそのまま計算すると、過大または過小評価になります。
- 軽減特例には「要件」がある。床面積50㎡以上(および一戸建て等の基準)、自己の居住用であること、中古は築後要件または一定の耐震基準を満たすことが必要です。適用にあたって届出や申告が必要な場合があり、実務では市区町村から送られる申告書等で手続きをすることが多い(適用漏れに注意)ため、「自動で安くなる」と油断しないでください。
- マンションの土地は按分。自分の「専有割合 × 全体の土地評価額」が土地の課税標準になります。専有割合が小さいほど土地分の税額は0になりやすいです。
- 消費税は別物。建物の売買価格に乗る消費税10%は「物件代」の話。不動産取得税は評価額ベースで計算する別の税です。新築では物件代自体に消費税が乗る点と、取得税は別建てである点を混同しないでください。
- かかるタイミングと納付。税額が確定するのは「取得した日」(引渡しまたは登記、早い方)ですが、納付は後日、市区町村から送られる納付書で行います(通常、取得から数か月後)。住宅ローンの資金計画では「引渡し時にすぐ払う」ものではない点を覚えておいてください。
- 住宅ローン控除とは別。不動産取得税は「買うときの都道府県税」、住宅ローン控除は「毎年の所得税・住民税の還付」で、全く別の仕組みです。取得税を払っても、それがそのまま控除の還付に直結するわけではありません。
関連する税金・ツールへの内部リンク
- 住宅購入の諸費用を分解した記事——仲介手数料・登記・不動産取得税・火災保険・ローン手数料の合算。
- 住宅を買うとき手元にいくら必要か——頭金+諸費用を合算し、年収・物件価格別に逆算。
- 固定資産税の計算——買ったあと毎年かかる税(不動産取得税とは別)。
- 契約書の印紙税——売買契約書に貼る印紙の計算。
- 住宅ローン控除でいくら戻る?——控除の全体像。
- 住宅ローン控除の要件・条件——受けられるかの判定。
- 住宅ローン控除の住民税への回し入れと限度額——控除額が全部戻るとは限らない理由。
- 住宅ローン計算ツール——借入額・金利・期間から月返済と総支払を即算出。
- 手取り計算ツール——所得税・住民税・社会保険料込みの手元キャッシュフロー。
注意事項
本記事の数値は、不動産取得税の長年固定の軽減措置に基づくものです。具体的には、土地の税率3%(標準税率4%のうち住宅・土地のみ3%に軽減)、建物の標準税率4%のうち自己の居住用家屋は3%に軽減、および特例控除額(土地1,500万円・新築建物1,200万円・要件を満たす中古建物1,000万円)を前提とした概算です。実際の税額は、各市区町村が決定する「固定資産評価額」(売買価格とは異なる)と、床面積・築年数・耐震基準などの軽減特例の要件によって大きく変わります。マンションの土地は専有割合で按分した額になります。例②の「中古の要件」はおおむね木造20年・耐火建築物25年・マンション15年など(または一定の耐震基準を満たすこと)の目安であり、正確な適用区分は自治体によって異なります。また軽減特例の適用には届出・申告が必要な場合があり、適用漏れがないよう確認が必要です。制度は改正されることがあるため、最新の税率・控除額・要件は、お住まいの自治体の課税窓口および国税庁・総務省の公的情報で必ずご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務判断に代わるものではありません。
よくある質問
不動産取得税は物件価格の何%かかりますか?
一言で「○%」とは言えません。計算のもとは「固定資産評価額」(売買価格とは別の数字)で、土地は3%、建物は居住用の軽減税率3%(基本は4%)です。さらに土地1,500万円・新築建物1,200万円・要件を満たす中古建物1,000万円の特例控除があり、これを引いたあとの額に税率を掛けます。売買価格の単純な○%では出ません。
中古でも軽減されますか?
はい、条件付きです。床面積50㎡以上、自己の居住用、そして中古は「築後要件(おおむね木造20年・耐火25年・マンション15年など)」または一定の耐震基準を満たせば、建物に3%の軽減税率と1,000万円の特例控除が使えます。マンションは土地が専有割合で按分されるため、専有割合が小さいほど土地分の税額は0になりやすくなります。
評価額が控除額より低いとどうなりますか?
その部分の課税標準は0として扱われ、税額は0円になります(マイナスの税額にはなりません)。例えば土地評価800万円・中古建物評価900万円なら、それぞれの控除額(1,500万・1,000万)を下回るため、不動産取得税は実質0円になります。古い・小さい・評価額の低い物件ほど起きる現象です。
いつ・どこで払うのですか?
税額が確定するのは「取得した日」(引渡しまたは登記、早い方)ですが、納付は取得から数か月後、市区町村から送られる納付書で行います。住宅ローンの資金計画では「引渡し時にすぐ払うお金」には含めず、後日の支払いとして捉えてください。
住宅ローン控除とどう違うのですか?
別の税です。不動産取得税は「家を買うとき」にかかる都道府県の税。住宅ローン控除は、毎年の所得税・住民税から一定額が還付される仕組みです。取得税を払ったからといって、それがそのまま住宅ローン控除の還付額に直結するわけではありません。