契約書の印紙税はいくら? 金額別の税額表(第2号の表)を根拠に1円単位で計算
「契約書を作るけど、いくらの印紙を貼ればいいんだっけ?」——売買契約、請負契約、金銭消費貸借契約。仕事でも家の購入でも、契約書を交わすたびに必ず顔を出すのが印紙税です。ネットで「印紙 いくら」「契約書 印紙税 計算」と検索する人は多いですが、「金額ごとに税額が決まる表」の根拠を、具体数値とともに1円単位で追っているページは意外と少ないものです。
この記事では、印紙税法 別表第一の「第2号の表(契約書の税額表)」を根拠に、記載金額ごとの印紙税額を整理します。100万円の契約書なら4,000円、住宅の売買契約書(3,000万〜4,000万円)なら2万円という具体例と、知らないと損する「500万円の境界」、そして貼り方や貼り忘れのペナルティまでを確認します。
結論:記載金額で税額が決まる(100万円→4,000円、3,000万円→2万円)
印紙税の基本はシンプルです。「契約書に書かれた金額(記載金額)」を見て、税額表から税額を引くだけです。累進税率のような計算式はなく、あらかじめ決まった表から「該当する段階の金額」をそのまま使います。
| 契約の記載金額 | 印紙税額(第2号の表) | 身近な例 |
|---|---|---|
| 100万円以下 | 200円 | 少額の請負 |
| 100万円超 〜 500万円以下 | 4,000円 | 中古車・小規模工事 |
| 500万円超 〜 1,000万円以下 | 1万円 | 中古物件の一部 |
| 1,000万円超 〜 5,000万円以下 | 2万円 | 住宅の売買契約書 |
| 5,000万円超 〜 1億円以下 | 6万円 | 高額物件・事業契約 |
| 1億円超 〜 5億円以下 | 10万円 | 大規模な売買 |
| 5億円超 〜 10億円以下 | 15万円 | 企業のM&A級 |
| 10億円超 〜 50億円以下 | 40万円 | — |
| 50億円超 | 60万円 | — |
ポイントは、「1段階上がるごとに税額が数倍になる」ことです。住宅の売買契約書(記載金額3,000万円)なら「1,000万円超5,000万円以下」に該当し、印紙税額は2万円になります(これは住宅ローンの諸費用の記事で「印紙税約2万円」と挙げた額の根拠です)。
ステップ1:根拠となる「第2号の表」の全段階
印紙税は、文書の種類(「課税文書」)ごとに別表第一で税額が定められています。そのなかで、「売買・請負・貸借などの契約書」は「第2号の表」に分類され、記載金額によって次の税額になります。
| 記載金額(第2号の表) | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円以下 | 200円 |
| 1万円超 10万円以下 | 400円 |
| 10万円超 50万円以下 | 1,000円 |
| 50万円超 100万円以下 | 2,000円 |
| 100万円超 500万円以下 | 4,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超 10億円以下 | 15万円 |
| 10億円超 50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
この表は国税庁が公表する「印紙税法 別表第一」と同一です(令和の現行ルール)。計算する式はなく、該当する段階の金額をそのまま使うのが印紙税の特徴です。
ステップ2:具体数値例で確認(と「500万円の境界」の罠)
| 記載金額 | 該当段階 | 印紙税額 |
|---|---|---|
| 80万円 | 50万円超100万円以下 | 2,000円 |
| 300万円 | 100万円超500万円以下 | 4,000円 |
| 500万円(ちょうど) | 100万円超500万円以下 | 4,000円 |
| 500万円1円(5,000,001円) | 500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
| 3,000万円 | 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 1億円(ちょうど) | 5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
ここが最大の罠です。記載金額が「500万円以下」なら4,000円ですが、500万円を1円でも超えると、一気に1万円になります。1円の違いで6,000円の差が出るため、契約書に消費税を込みにするか本体のみにするかで、印紙税額が変わることがあります(次のステップで詳しく)。
ステップ3:「記載金額」の決め方(消費税込みかどうか)
印紙税の「記載金額」は、契約によって支払う金銭の総額です。ここで迷うのが消費税の扱いです。
- 税込総額を明記する場合:例えば本体4,600,000円+消費税400,000円を「総額5,000,000円(税込)」と書けば、記載金額は500万円となり税額は4,000円。
- 本体のみを記載し消費税を別記載しない場合:記載金額は本体の4,600,000円となり、やはり100万円超500万円以下で4,000円。
- 「別途消費税」とだけ書いて金額を特定しない場合:記載金額をいくらと読むかで税額が変わるおそれがあるため、税込総額を明記するのが無難です。
つまり、契約書に「税込でいくら」をはっきり書くかで、そのまま印紙税額が決まります。金額を端数で調整したい場合は、この記載の仕方が税額に直結する点に注意してください。
ステップ4:貼り方・消印、そして「電子契約」の注意
① 誰が・何通に貼るか
契約当事者が、自分が持つ契約書(課税文書)に印紙を貼ります。売買契約書を売主用・買主用の2通作成する場合は、各通に印紙を貼ります。1通しか作成しない場合はその通に貼ります。
② 消印(使い切り)が必要
貼った印紙は、領収書と同様に「割印」や「消印」をして、剥がして再利用できない状態にしなければなりません。消印がないと、税を納付したことになりません。
③ 電子契約(PDF等)は印紙不要だが要注意
完全に電子的に作成・保存し、紙に出力しない契約書(いわゆる電子取引)なら、印紙税はかかりません(課税文書は「文書」=紙の文書と解されます)。しかし、電子データをあとで紙に印刷して保存・提出すると、そこで課税文書となり印紙が必要になります。「電子なら印紙不要」と安心しきらず、出力する運用になっていないか確認が必要です。
ステップ5:貼り忘れのペナルティ(加算税)
印紙を貼らずに契約書を提出・行使した場合、単に「後から2万円払えばOK」では済みません。本来の税額のほか、その3倍(営利事業でない場合は2倍)に相当する金額が加算税として徴収されます。
| 貼るべきだった印紙税額 | 貼り忘れ時の納付額(税額+加算税3倍) |
|---|---|
| 4,000円 | 4,000円 + 12,000円 = 16,000円 |
| 2万円 | 2万円 + 6万円 = 8万円 |
| 6万円 | 6万円 + 18万円 = 24万円 |
「うっかり貼り忘れただけ」でも、住宅ローン契約書クラスなら一気に8万円の出費になります。契約書を作ったら、必ず記載金額を確認して印紙を貼り(電子なら出力しない運用にする)、消印をするのが鉄則です。
住宅ローンとの繋がり(売買契約書+ローン契約書の2種)
住宅購入では、印紙税がかかる契約書が2つあります。よく混同されますが、税額が異なるため別々に確認します。
| 契約書の種類 | 根拠となる表 | 例(4,000万円の物件・3,000万円の借入) |
|---|---|---|
| 売買契約書 | 第2号の表 | 記載金額4,000万円 → 2万円 |
| 金銭消費貸借契約書(ローン契約書) | 第17号の表 | 記載金額3,000万円 → 1万円 |
つまり4,000万円の物件を3,000万円借りる場合、印納代は合計3万円(売買2万+ローン1万)になります。住宅購入の「諸費用」としては小さい方ですが、住宅ローンの諸費用の記事でも挙げたように、見落とすと引渡し時に慌てます。家計全体の資金計画は 手取り計算ツール で、住宅ローン本体の返済額は 住宅ローン計算ツール で確認できます。
よくある誤算3つ
- 「印紙税は金額に応じて数%」と思い込む:印紙税に「〇%」という計算式はありません。表から該当段階の金額をそのまま使うため、境界(500万円など)をまたぐと税額が跳ね上がります。
- 「電子契約だから印紙不要」と出力してしまう:完全に電子保存なら不要ですが、あとで紙に印刷すると課税文書になります。運用ルールを統一してください。
- 「1通しか作らないから印紙は1枚でいい」と売買の2通目を忘れる:売主用・買主用の2通あるなら各通に必要です。自分が持ち帰る分も課税文書です。
関連ツール・記事で自分の数字を確かめる
- 住宅ローンの諸費用:印紙税を含めた、物件価格以外に必要な現金の合算。
- 手取り計算ツール:諸費用を払うための手元資金を確認。
- 住宅ローン計算ツール:借入額・月返済額の試算。
- ふるさと納税の上限計算:給与・事業の所得から控除を引く仕組みの違い。
注意事項
本記事の税額表は、印紙税法 別表第一「第2号の表(請負・売買等の契約書)」および「第17号の表(金銭消費貸借契約書)」の現行ルール(令和の税制)に基づきます。印紙税の税額や、電子契約の非課税要件、加算税の割合は、税制改正や個別の取引形態(複数の課税文書が一つの文書にまとまる場合の取扱いなど)によって変わることがあります。金額の境界(500万円等)の判定や、消費税の記載方法による税額の違いは、契約書の作成段階で確認が必要です。正確な税額と手続きは、国税庁の「印紙税の手引」、所轄の税務署、および必要に応じて税理士等の専門家にご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の税務相談に代わるものではありません。
よくある質問
契約書の印紙税額はどうやって決まりますか?
原則として「契約書に書かれた金額(記載金額)」によって決まります。印紙税法 別表第一の「第2号の表(請負・売買などの契約書)」に、記載金額の範囲ごとの税額が定められています。例えば記載金額が100万円を超え500万円以下なら4,000円、1,000万円を超え5,000万円以下なら2万円です。
知らないと損する境界はありますか?
はい。「500万円」の境界です。記載金額が500万円以下なら4,000円ですが、500万円を1円でも超えると一気に1万円になります。1円の違いで6,000円の差が出るため、消費税を込みにするかどうかで税額が変わる場合があります。
印紙は誰が・何通に貼ればいいですか?
契約当事者が、自分が持つ契約書(課税文書)に貼ります。売買契約書を売主用・買主用の2通作成する場合は、各通に印紙を貼ります。また貼った印紙は、領収書の印紙と同様に、割印や消印をして「使い切った」状態にする必要があります。
印紙を貼り忘れるとどうなりますか?
納付を怠った場合、本来の税額のほか、その3倍(営利事業でない場合は2倍)に相当する金額が加算税として徴収されます。例えば2万円の印紙を貼るべき契約書で貼り忘れると、2万円+6万円=8万円の納付になるため、見落としは高くつきます。