住宅ローンの繰り上げ返済でいくら浮く?100万円繰り上げの利息削減額を計算する

2026-08-16 | 住宅ローン 金利 家計 貯金

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「ボーナスで100万円貯まった。住宅ローンの繰り上げ返済に回したら、結局いくら得なんだろう?」——多くのローン完済者が一度は考える問題です。ところがネットで検索すると「お得です」「利息が減ります」という結論ばかりで、具体的にいくらの利息が浮き、期間が何ヶ月短くなるのかを数式で追っている記事は意外と少ないのが実情です。

この記事では、代表的な条件借入3000万円・金利1%・35年(元利均等返済)を例に、実際の計算式と数値をすべて追います。自分の借入条件で試したい場合は 住宅ローン計算ツール に金額を入れれば、同じロジックで即座に出ます(入力はどこにも送信されません)。

結論:100万円の繰り上げで利息は約34万円浮く

ケース月返済額完済まで総支払額総利息
繰り上げなし84,686円35年(420ヶ月)約3,568万円約558万円
100万円繰り上げ(5年目・期間短縮)84,686円約33年9ヶ月(405ヶ月)約3,423万円約523万円
差—▲15ヶ月▲約135万円▲約34万円

ポイントは「100万円返して100万円浮く」ではなく、浮くのは利息の34万円分だけという点です。残りの約100万円は、もともと返す予定だった元本を前倒しで返しただけです。つまり繰り上げの「得」は「浮いた利息」に等しく、これが期間短縮に直結します。

ステップ1:そもそも月返済額はどう決まるか

元利均等返済の月返済額 M は次の式で求まります(r=月利、n=返済月数)。

M = P × r × (1+r)n ÷ {(1+r)n − 1}

借入 P=3,000万円、年利1%(月利 r=0.01÷12=0.000833)、n=420ヶ月とすると

M ≒ 30,000,000 × 0.000833 × 1.432 ÷ (1.432 − 1) ≒ 84,686円

これが35年間変わらず続くのが「元利均等」の特徴です。総支払額は 84,686×420=約3,568万円、うち元本3,000万円を引いた約568万円が総利息となります。

ステップ2:繰り上げの2つのやり方

繰り上げには大きく2通りあり、結果が変わります。

いずれも「残元本が減る」ので利息は減りますが、総支払削減額は期間短縮型の方が大きくなります。5年目に100万円繰り上げた場合の比較が以下です。

やり方新しい月返済額総支払削減額利息削減額
期間短縮型84,686円(据置)約135万円約34万円
返済額軽減型81,477円(▲3,209円)約116万円約15万円

返済額軽減型の方が利息削減額が小さいのは、月々の支払を減らす分だけ、その後も長く(35年いっぱい)利息を払い続けるからです。キャッシュフローの余裕を取りたい人は後者、支払総額を最小にしたい人は前者を選びます。

ステップ3:「いつ」繰り上げるかで効果が変わる

同じ100万円でも、早い時期ほど効果が大きいのが繰り上げの鉄則です。残期間が長いほど、その元本にかかるはずだった利息を長く減らせるからです。

繰り上げのタイミング利息削減額
5年目(残期間30年)約34.2万円
10年目(残期間25年)約27.7万円
15年目(残期間20年)約21.6万円

ということは、「今すぐまとまった額を繰り上げる」ことの価値は、後回しにするより高いと言えます。金利が高い(例えば2%・3%)ならこの差はさらに開きます。

ステップ4:額を増やすとどうなるか(300万円繰り上げ)

5年目に300万円を繰り上げた場合、利息は約98万円浮き、期間は約3年10ヶ月(46ヶ月)短縮されます。額が3倍でも効果は3倍(約102万円)にはならず、残期間の関係で少し効率が落ちますが、それでも総支払は約400万円減るため、まとまった資金があれば大きなインパクトがあります。

借入額が大きい世帯(例:7000万円・金利1%・35年)では、100万円繰り上げ@5年目で利息が約35万円、200万円で約69万円浮き、いずれも期間短縮は数ヶ月〜1年強です。借入総額が大きいほど、同じ100万円の相対的効果は小さくなる点に注意が必要です。

繰り上げ vs 投資:どちらが得か

よく言われるのが「繰り上げより、そのお金で投資した方が増えるのでは?」という問いです。数字で比べます。

見かけ上は投資の方が圧倒的に増えます。でもこれには落とし穴があります。

住宅ローン控除(所得税・住民税から年末残高の0.7%相当が控除される)を受けている年は、繰り上げて残高を減らすと控除額も減ります。控除を受けられる残り期間(通常10年・最大13年)が長いほど、繰り上げの機会損失が大きくなります。また投資は値動きリスクがあり、ローン金利1%の削減は「確実な」利回りです。結論としては、高金利のローン(2%以上)や控除切れ後なら繰り上げ優先、低金利で控除を受けている最中は投資との兼ね合いを慎重に、というのが実務的な落とし所です。

よくある誤算3つ

  1. 「100万円返せば100万円得」と考える:得になるのは浮いた利息(上例では約34万円)だけ。残りは元本の前倒し返済です。
  2. 繰り上げ手数料を忘れる:金融機関によっては繰り上げ時に手数料(無料〜数万円)がかかります。年1回無料などの条件を確認してください。
  3. 「いつでも同じ効果」と思う:後半になるほど残期間が短く、浮く利息は小さくなります。資金があるなら早い時期の方が効果大です。

注意事項

本記事の数値は、元利均等返済・金利固定1%・35年を前提とした概算モデルです。実際の住宅ローンは金利タイプ(固定・変動・ミックス)、ボーナス返済の有無、繰り上げ手数料、諸費用などによって数万〜数十万円単位で変わります。また繰り上げの効果は、住宅ローン控除の適用状況によって大きく左右されます。正確な試算は 住宅ローン計算ツール(月返済額・総支払額の確認用)と、お借入れの金融機関の返済シミュレーションでご確認ください。制度の詳細は国税庁・金融機関の公式情報が最終的な根拠になります。

自分の借入条件で「繰り上げすると総支払がいくら減るか」を確かめたい場合は 住宅ローン計算ツール へ。すべてブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。手元の余裕資金を考えるなら 手取り計算ツール や 複利積立シミュレーション と合わせると、家計全体の最適な配分が見えてきます。

よくある質問

繰り上げ返済で利息はどれくらい浮く?

借入3000万円・金利1%・35年(元利均等)の場合、5年目に100万円を繰り上げると、支払総利息は約557万円から約520万円に減り、利息が約34万円浮きます。総支払額は約135万円減り、返済期間も約1年3ヶ月短くなります。

繰り上げは「期間短縮」と「返済額軽減」どちらがお得?

利息を減らす効果(総支払削減額)は「期間短縮型」の方が大きくなります。同じ100万円の繰り上げでも、期間短縮型は総支払が約135万円減るのに対し、返済額軽減型(月々の支払をその後減らす)は約116万円減にとどまります。月々の負担を減らしたいなら後者、総利払いを減らしたいなら前者を選びます。

繰り上げは早い時期の方が効果が大きい?

はい。同じ100万円でも、5年目なら利息が約34万円浮くのに対し、10年目なら約28万円、15年目なら約22万円に下がります。残期間が長いほど元本が多く、そこにかかる利息を早く減らせるからです。

繰り上げと、そのお金を投資するのはどちらが得?

数字だけなら、金利1%のローンを繰り上げる(実質利回り1%)より、年利4%で投資する方が増えます(100万円を30年・年利4%複利なら約324万円に)。ただし住宅ローン控除(年末残高の0.7%相当)を受けている年は、控除額が減る分を差し引いて比較する必要があります。

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