固定資産税はいくらかかる? 土地・建物の計算式と「住宅ローンとの合算維持費」を1円単位で解説
「住宅ローンを組んでマイホームを買ったけど、毎年『固定資産税』っていくらかかるの? ローンの上にいくら維持費が乗るの?」——住宅ローン控除や元利均等の記事(住宅ローン控除の計算・元利均等と元金均等の違い)を読んでも、ローン返済とは別に毎年かかる「持ち家の税金」をまとめた記事がないのが現状です。
目次
- 固定資産税とは何か(土地・建物に毎年かかる)
- 基本の計算式と根拠
- 土地の計算:実勢価格→評価額→住宅用地の特例
- 建物の計算:新築減額と経年低下
- 具体例:土地3,000万・建物2,000万の新築
- 経年で税額が下がるシミュレーション
- 3つのよくある誤解
- 関連ツールで自分の数字を確かめる
固定資産税とは何か
固定資産税は、毎年1月1日に土地・家屋(および償却資産)を所有している人に対して、その所在の市区町村が課す税金です。ローンを組んでいようが自己資金だろうが、「名義=所有者」であれば毎年かかる点が住宅ローンとは別の負担です。都市計画税は、市街化区域内の土地・家屋にさらに上乗せされる税金で、この2つを合わせて「持ち家の税金」と呼びます。
基本の計算式と根拠
固定資産税の税額は、次の式で決まります。
年税額 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%(上限税率)
この「課税標準額」こそが肝で、単純に「家の値段×1.4%」ではありません。次の3段階の変換をへて決まります。
- 実勢価格(市場価格) → 固定資産税評価額:評価額は実勢価格のおおむね7割程度(相続税評価額の約8割)に抑えられています。
- 評価額 → 課税標準額:住宅用地の特例(土地)や新築住宅の減額(建物)などで、さらに何分の1かに圧縮されます。
- 課税標準額 × 1.4%(+都市計画税0.3%) = 年税額。
つまり、「実勢価格の1割以下」が課税のベースになるのが、持ち家の税金の最大の特徴です。
土地の計算:実勢価格→評価額→住宅用地の特例
土地について順に計算します。
① 評価額 = 実勢価格 × 約0.7(目安)
② 小規模住宅用地の特例で 課税標準額 = 評価額 × 1/6
③ 年税額 = 課税標準額 × 1.4% + 課税標準額 × 0.3%
「小規模住宅用地の特例」は、自己の居住の用に供する住宅の敷地(200㎡以下の部分)について、課税標準額を評価額の6分の1にする巨大な減額措置です。200㎡を超える部分でも「一般住宅用地」として3分の1になります。これがないと土地の税額は6倍になってしまうため、持ち家の税金を安く押さえる最大の要因です。
例:実勢価格 3,000万円の土地(住宅用地200㎡以下)
評価額 = 3,000万 × 0.7 = 2,100万円
課税標準額 = 2,100万 × 1/6 = 350万円
固定資産税 = 350万 × 1.4% = 49,000円
都市計画税 = 350万 × 0.3% = 10,500円
建物の計算:新築減額と経年低下
建物も「評価額」から始まりますが、土地とは変換が異なります。
- 新築時の評価額:建築費(工事費)をベースに、木造なら実勢価格に近い額で評価されます(土地より圧縮率は小さい)。
- 新築住宅の減額:新築から3年間(マンション等は5年間)、床面積120㎡までの部分について、課税標準額を2分の1にする特例があります(居住用・要件あり)。
- 経年低下:建物は「経年減点補正率」により、築年数が経つほど評価額が下がります(木造の耐用年数は22年)。
例:新築建物 2,000万円(木造・延床120㎡以下)
新築減額後 課税標準額 = 2,000万 × 1/2 = 1,000万円
固定資産税 = 1,000万 × 1.4% = 140,000円
都市計画税 = 1,000万 × 0.3% = 30,000円
具体例:土地3,000万・建物2,000万の新築一戸建て
| 項目 | 評価額 | 課税標準額(特例後) | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|---|
| 土地(小規模住宅用地) | 2,100万円 | 350万円(×1/6) | 49,000円 | 10,500円 |
| 建物(新築減額) | 2,000万円 | 1,000万円(×1/2) | 140,000円 | 30,000円 |
| 合計(初年度) | — | — | 189,000円 | 40,500円 |
初年度の持ち家の税金は 約23万円(189,000+40,500円)です。これは住宅ローン返済とは別に、毎年1月1日時点の所有者が払う義務があります。
経年で税額が下がるシミュレーション
建物は経年で評価額が下がるため、新築減額(3年)が切れたあとも税額は緩やかに下がります(土地は住宅用地の特例でほぼ横ばい)。木造の「経年減点補正率」の目安で建物税額を追うと:
| 築年数 | 建物の経年減点補正率(目安) | 建物 課税標準額 | 建物 固定資産税+都市計画税 | 土地と合わせた年税額(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 新築(1〜3年・減額中) | 1.00 | 1,000万円 | 170,000円 | 約23万円 |
| 築10年 | 約0.55 | 約550万円 | 約94,000円 | 約15万円 |
| 築20年 | 約0.25 | 約250万円 | 約43,000円 | 約10万円 |
つまり「買った直後が最も高く、年月とともに下がる」のが持ち家の税金のリズムです。住宅ローンの返済額(元利均等なら一定)とは逆の傾向なので、「毎年の住居費」を考えるなら両方を合わせて見る必要があります。
3つのよくある誤解
- 「家の値段×1.4%が税額」と思う:実勢価格ではなく「評価額→さらに特例で圧縮した課税標準額」がベースなので、実勢価格の1割以下が課税基準になります。
- 「ローンを完済すれば税金も終わり」と思う:固定資産税はローンとは無関係に、所有している限り毎年かかります。完済後も持ち家の税金は残ります。
- 「同じ金額がずっと続く」と思う:建物は経年で下がりますが、土地の「負担調整措置」によって評価額上昇時に税額の上昇が数年にわたって緩やかにしか上がらない仕組みもあり、単純には予想できません。
関連ツールで自分の数字を確かめる
住宅ローンの返済額(固定資産税とは別の毎月の支出)は 住宅ローン計算ツール で、購入時の控除(毎年かかる税金を減らす)は 住宅ローン控除の計算根拠、返済方式の違いは 元利均等と元金均等の総額比較 で確認できます。毎年の住居費の余力を考えるなら 手取り計算ツール も併用を。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は概算のシミュレーションです。実際の固定資産税(評価額・課税標準額)は、市区町村の「固定資産評価基準」に基づく評価額が記載された固定資産税通知書(課税明細書)で確認してください。評価額は3年に1度の「評価替え」で見直され、住宅用地の特例・新築住宅の減額には面積や用途の要件があります。税率は標準1.4%/都市計画税0.3%ですが、条例で異なる場合があります。正確な金額・要件はお住まいの市区町村の公式情報が最終的な根拠になります。
ご自身の持ち家の税額を確かめたい場合は、通知書の「課税標準額」に1.4%(+0.3%)を掛けるだけで出ます。ブラウザ内で計算するなら 税込計算ツール の「税抜→税込」を応用できます。
よくある質問
固定資産税の計算式は?
年税額は「課税標準額 × 1.4%(固定資産税)+ 課税標準額 × 0.3%(都市計画税)」で求めます。この課税標準額は、実勢価格の約7割の「評価額」を、住宅用地の特例(土地は1/6)や新築住宅の減額(建物は1/2)でさらに圧縮した額です。つまり実勢価格の1割以下が課税ベースになります。
土地と建物で計算が違うのはなぜ?
土地は「小規模住宅用地の特例」で課税標準額が評価額の1/6になり、建物は「新築住宅の減額」で床面積120㎡までが1/2になります。さらに建物は経年で評価額が下がりますが、土地は住宅用地の特例でほぼ横ばいです。持ち家の税金はこの2つの合算です。
毎年同じ金額? 経年で下がる?
建物は経年減点補正率により評価額が下がるため、新築時が最も高く、年月とともに税額は下がります(例:土地3,000万・建物2,000万の新築は初年度約23万円、築20年で約10万円台の目安)。土地は住宅用地の特例でほぼ一定です。
住宅ローン控除とは別物?
はい。住宅ローン控除は「所得税・住民税から引ける控除」で、固定資産税は「毎年所有者が払う税金」です。ローンを組んでも固定資産税は別にかかり、控除で税金を減らせるのはあくまで所得税・住民税の側です。