学資保険の返戻率はいくら? 払込保険料と満期・祝い金から利回りを1円単位で計算し、預貯金・つみたてNISAとの損得を比べる
「学資保険、結局いくら戻るの?」「返戻率って何?」「預金やNISAと比べて損なの?」——子どもの教育資金を考えると、真っ先に浮かぶのがこの疑問です。ネットで「学資保険 返戻率」と調べると商品の比較表は出てきますが、「その返戻率の数字が、どんな計算で出ているのか」「預貯金やつみたてNISAとどう比べるのが正しいか」を、計算式と具体例で1円単位に追っている記事は意外と少ないものです。
この記事では、学資保険の返戻率=(満期金+入学祝い金などの受取総額)÷(払込保険料の合計)という基本式から出発し、もっとも検索されやすい「月1万円×18年(払込216万円)」のモデルで、受取250万円の場合の返戻率(約116%)と利息相当額(34万円)を実際に計算します。さらに預貯金・つみたてNISAとの損得と、預金にはない「払込免除特約」の価値、そして途中解約の落とし穴まで、具体数値で比べます。
返戻率の計算:たった1つの式
学資保険の「もうけ」を測る指標が返戻率です。意味はシンプルで、「払い込んだお金が、満期・祝い金などでいくら返ってくるか(倍率)」です。
返戻率(%)= 受取総額 ÷ 払込保険料の合計 × 100
ここで「受取総額」には、満期保険金だけでなく、中学校・高校・大学の入学祝い金、更生日などの祝い金がすべて含まれます。「払込保険料の合計」は、毎月の掛金×払込回数(または年払いなら年額×年数)です。保険会社のパンフレットにこの2つが書いてあるので、上の式に当てはめるだけで返戻率が出ます。
具体例A:月1万円×18年で受取250万円の場合
もっとも典型的なプラン「子ども0歳から18年、月1万円(年12万円)払込、満期で終わる」で計算します。
| 項目 | 金額 | 計算の根拠 |
|---|---|---|
| 月額掛金 | 10,000円 | 年12万円 |
| 払込期間 | 18年 | 0歳〜18歳 |
| 払込保険料 合計 | 2,160,000円 | 10,000×12×18 |
| 満期保険金 | 2,000,000円 | 18歳満期 |
| 大学入学祝い金 | 500,000円 | 18歳入学時 |
| 受取総額 | 2,500,000円 | 2,000,000+500,000 |
| 返戻率 | 約115.7% | 2,500,000÷2,160,000×100 |
| 利息相当額 | 約340,000円 | 2,500,000−2,160,000 |
このプランなら、払い込んだ216万円が満期時に250万円に育ち、返戻率約116%、利息相当は約34万円になります。「学資保険は貯金より有利」と言われる根拠は、この差にあります。
具体例B:返戻率90%の場合は「損」?
一方、払込総額を少なくして受取を抑えたプラン(たとえば月7,000円×18年=払込151.2万円、受取136万円)だと、返戻率は約90%になります。見た目は「10%損」。でもこれを「損」と言い切れない理由が2つあります。
- 払込免除特約の価値:親が払込中に死亡・重度障害になった場合、それ以降の保険料が免除され、満期金はそのまま支払われます。例Bなら「残りの保険料を払わずに136万円を受け取る」可能性がついてきます。この保障は、銀行預金にはありません。
- 使う時期が決まっている:教育資金は「大学入学の年」に必要で、株価が下がっている年に使うわけにはいきません。元本保証がある学資保険は、タイミングリスクを避けられる点で価値があります。
つまり返戻率が100%を下回っても、「保障+確実性」を対価に払っていると読めば、必ずしも損ではありません。
預貯金と比べるとどうか
同じ月1万円(年12万円)を18年、普通預金・定期(税引後年利0.02%程度)で積み立てた場合を比べます。
| 方法 | 18年後の額(目安) | 払込額との差 |
|---|---|---|
| 学資保険(例A) | 約250万円 | +約34万円 |
| 銀行預貯金(年利0.02%) | 約217万円 | +約1万円(利息わずか) |
低金利の現在、預貯金の利息は事実上ゼロに近いです。教育資金を「確実に増やしたい」なら、学資保険のほうが預貯金より有利に働くのが実態です。
つみたてNISAと比べるとどうか
同じ月1万円を18年、つみたてNISA(年利4%・非課税で運用した場合の目安)で積み立てた場合を比べます。
| 方法 | 18年後の額(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 学資保険(例A) | 約250万円(返戻率116%) | 元本保証・払込免除特約あり |
| つみたてNISA(年利4%) | 約378万円 | 運用次第で増えるが元本保証なし |
つみたてNISAは年利4%が続けば学資保険を大きく上回りますが、相場が下落すれば元本割れするリスクがあります。教育資金は「下がっている年に使うわけにはいかない」ため、リスクを取れる(他に予備の資金がある)世帯ならNISAを、確実性を取りたい世帯なら学資保険を、という使い分けになります。複利積立シミュレーションツールで、年利を変えて自分のケースを試せます。
学資保険の真価:払込免除特約
返戻率の話では見えにくい、学資保険最大の価値が「払込免除特約」です。これは、契約者(親)が死亡したり所定の高度障害状態になったりした場合、それ以降の保険料の払込が免除され、子どもには予定通り満期金・祝い金が支払われる仕組みです。
たとえば例Aで、子どもが10歳のときに親に万一のことがあっても、残り8年分(約96万円)の保険料は免除され、18歳時に250万円が支払われます。銀行預金なら、そこで残高は止まり、以降は自分で積み立て続ける必要があります。「保障」こそが学資保険を預金と差別化する根幹です。返戻率だけで比較すると、この価値を見落とします。
注意点① 途中で解約すると元本割れのことが多い
学資保険は「満期まで持つ」ことが前提の設計です。契約直後や払込期間の途中で解約返戻金を受け取ると、多くの商品で払込保険料を下回ります(解約返戻金は満期近くなるほど払込額に近づきます)。「返戻率116%の商品」でも、5年目で解約すれば数十万円の元本割れになることも珍しくありません。「いつか使う教育資金」だからこそ、満期まで継続する前提で加入するのが基本です。
注意点② 返戻率は商品・加入年齢で大きく変わる
ここに書いた数値はあくまで「月1万円×18年、満期200万+祝い金50万」という一例(モデル)です。実際の返戻率は、加入する子どもの年齢(0歳か5歳かで払込期間が変わる)、満期の設計(18歳満期か22歳満期か)、祝い金の有無、保険会社・プランによって数十%単位で変わります。正確な返戻率は、必ずご自身のパンフレットの「返戻率」欄か、保険会社の試算で確認してください。
注意点③ 学資保険は「貯蓄」より「保障」が主目的
返戻率ばかりを見て「預金より低いからやめよう」と判断しがちですが、学資保険はもともと「親に万一があっても教育資金を確保する」ための保険です。純粋な運用効率だけ比べるならつみたてNISAに敵いませんが、それは役割が違います。家計の状況(共働きか、預貯金の予備がいくらあるか、働けなくなるリスクをどうカバーするか)を踏まえて、預貯金・NISA・学資保険を組み合わせるのが現実的です。
よくある誤解3つ
- 「返戻率100%未満なら絶対損」:払込免除特約という預金にない価値があり、元本保証・確実性との引き換えと考えると、必ずしも損ではありません。
- 「学資保険=貯金の代わり」:性格は「保険(保障)」です。純粋な利回りを求めるならつみたてNISA等と比べ、役割を分けるのが正解です。
- 「満期まで持てば必ず払込額以上が戻る」:通常の満期ではその通りですが、契約により返戻率が100%を下回る商品もあります。加入前に返戻率を必ず確認してください。
関連する計算・ツール
教育資金の全体像は、複数の手段を組み合わせると見えます。毎月いくら貯めるかは 教育資金の積立シミュレーションの記事、複利の仕組みは 複利の計算方法の記事、非課税で運用するなら つみたてNISAの受取額の記事 が参考になります。自分で数字を動かしたい場合は 複利積立シミュレーションツール で年利を変えて試せます。学資保険の掛金は 生命保険料控除の記事 のとおり所得税・住民税の控除対象にもなる点も、手取りへの影響を考える際に忘れないでください。いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は「月額1万円×18年払込、満期金200万円+大学入学祝い金50万円」という一例(モデル)に基づき、返戻率=受取総額÷払込総額の基本式で算出した目安です。実際の返戻率・満期金・祝い金・解約返戻金は、加入する商品・子どもの加入年齢・満期設計・保険会社によって大きく異なります。また預貯金の利回り(約0.02%)やつみたてNISAの想定利回り(約4%)は執筆時点の目安であり、将来の運用成果を保証するものではありません。正確な返戻率は各社のパンフレット・契約概要、または保険会社の試算ツールでご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、特定の商品の購入・解約を勧めるものではありません。保険の検討はご自身の家計状況に合わせ、必要に応じて保険の専門家にご相談ください。
よくある質問
学資保険の返戻率はどこで確認できる?
加入時に渡されるパンフレットや契約概要の「返戻率」「満期保険金・祝い金の合計額」「払込保険料の合計額」の欄、または保険会社の試算ツールで確認できます。返戻率=受取総額÷払込総額です。契約後でも「契約内容のご案内」や各社の会員サイトで確かめられます。
返戻率が100%を下回るなら損?
一概にそうとは言えません。学資保険には「払込免除特約」があり、親が死亡や所定の障害になったとき、それ以降の保険料が免れて満期金が支払われます。この保障価値を含めると、返戻率だけで「預金より低いから損」と決めつけるのは早計です。ただし保障を重視せず純粋な利回りだけ比べるなら、預貯金やNISAと比較検討する価値はあります。
学資保険とつみたてNISA、どちらが得?
元本保証と「いつ必要かが決まっている教育資金」を重視するなら学資保険、長期で資産を増やす成長を期待するならつみたてNISA(年利次第で増えるが元本保証はない)という違いです。本記事の例では、月1万円を18年・年利4%で積み立てたつみたてNISAは約378万円になる一方、学資保険は約250万円(返戻率116%)でした。リスクを取れるかどうかで選びます。
途中で解約したらいくら戻る?
解約時に戻る「解約返戻金」は、払込期間の前半や直後は払込保険料を大きく下回るのが一般的です。返戻率100%超の商品でも、満期前の解約では元本割れになることが珍しくありません。教育資金は使う時期が決まっているため、満期まで持つ前提で設計するのが基本です。