「毎日の昼ごはん、コンビニの弁当にするか、家で作るか。『外食のほうが楽だけど、自炊したほうが安いんでしょ?』」——そう思いながらも、実際に「1食あたりいくら違うのか」を計算したことがある人は少ないはずです。ネットで「外食 自炊 いくら違う」と検索すると「自炊のほうが安い」という結論はすぐ出てきますが、その差が「月にいくら・年にいくら」になるか、さらに「浮いたお金を運用するとどう育つか」を、実際の計算式で追っている記事は意外と少ないものです。
この記事では、一人暮らし・都市部を想定した目安単価から出発し、①1食あたりの差の根拠 ②昼食だけ/1日3食の2つのシナリオで月額・年額を計算 ③浮いたお金を積立投資した場合の将来額 ④初期費用の回収(損益分岐)⑤外食の価格帯・時間コスト・家族構成による変動を、具体数値で確認します。自分の数字を当てはめたい場合は 生活計算ツール(単価・割引率)、複利積立シミュレーション(運用効果)もどうぞ。
計算の仕組み:自炊1食の「本当の単価」は食材だけではない
外食と自炊を比べるうえで一番の落とし穴は、「自炊=食材のレシート代だけ」と勘違いすることです。自炊には、見えないコストが3つ乗ります。
自炊1食単価 = 食材費 + 光熱費・調味料の按分 + 廃棄ロスの按分
外食1食単価 = メニュー価格 + 店までの交通費等
1食の差 = 外食単価 − 自炊単価
| 項目 | 外食(ランチ目安) | 自炊(1食目安) |
|---|---|---|
| 本体(食材/メニュー) | コンビニ弁当・牛丼・チェーン 約800円 | 食材費 約350円 |
| 光熱費・調味料(按分) | 込み | ガス・水道・電気・塩・油など 約30円 |
| 廃棄ロス(按分) | なし | 賞味期限内に使い切れず捨てた分 約20円 |
| 合計1食単価 | 約800円 | 約400円 |
つまり自炊の「見えないコスト」は1食あたり約50円。これを差し引いても、外食の半額(=自炊にすると50%安くなる)というのが、一人暮らし・都市部の標準的な目安です。外食の800円を基準にすると、自炊はその約2倍の割高(100%増)という見方もできます(生活計算ツールで割増率も確認を)。
観察者メモ:この「食材350+見えない50=400円」という内訳は、あくまで都市部・一人暮らしの目安です。地方や実家暮らしなら光熱費の按分は変わり、家族で作れば1食あたりの按分はもっと薄まります(後述)。
シナリオ①:昼食20食/月を自炊に変える
まずは「手を付けやすい」昼食だけのケース。月20営業日、毎日外食→自炊に替えた場合です。
| 項目 | 外食(800円) | 自炊(400円) | 差 |
|---|---|---|---|
| 1食あたり | 800円 | 400円 | −400円 |
| 月額(20食) | 16,000円 | 8,000円 | −8,000円 |
| 年額(12ヶ月) | 192,000円 | 96,000円 | −96,000円 |
昼食だけで年間約9.6万円の差。これは手取り(手取り計算ツールで確認できる実取り)からそのまま浮くため、手取り率が低い人ほど「実感」が大きくなります。
シナリオ②:1日3食・月90食をすべて自炊に
朝・昼・晩をすべて外食から自炊に替えた極端なケース(月30日×3食=90食)です。
| 項目 | 外食(800円) | 自炊(400円) | 差 |
|---|---|---|---|
| 月額(90食) | 72,000円 | 36,000円 | −36,000円 |
| 年額(12ヶ月) | 864,000円 | 432,000円 | −432,000円 |
年間約43.2万円の差。ただし現実的には「外食完全排除」は難しい(会食・旅先・疲れた日)ので、実際はこの半分〜7割程度が実現値の目安になります。それでも年20万〜30万円の差は、家計にとって無視できない額です。
浮いたお金を「運用」するとどう育つか
自炊で浮いたお金を、そのまま口座に眠らせるのではなく、毎月の積立投資に回した場合を計算します。シナリオ②の月3.6万円を、年利2%(元本確実な預金ではなく、長期のインデックス積立の目安値)で10年積み立てた場合:
将来額 = 毎月額 × {(1+月利)^月数 − 1} ÷ 月利 (月利=年利÷12、月数=年数×12)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月の積立額 | 36,000円 |
| 期間 | 10年(120ヶ月) |
| 年利 | 2%(月利約0.1667%) |
| 積立元本(合計) | 4,320,000円 |
| 10年後の将来額(目安) | 約4,782,000円 |
| 運用差益 | 約462,000円 |
「毎日の昼もんを自炊にする」という地味な習慣が、10年で約478万円の差になります(複利積立シミュレーションで利回りや期間を変えて試せます)。逆に言えば、外食を続けることは「毎月3.6万円を、自分の資産ではなく飲食店に渡している」とも言えます。
初期費用の回収:鍋や弁当箱はいつ元が取れるか
自炊を始めるには、まず道具を買います(炊飯器・フライパン・まな板・包丁・保存容器など、目安で1万円程度)。これを「1食400円の差」で割ると:
初期費用の回収 = 10,000円 ÷ 400円/食 = 約25食(昼食20食/月なら約1ヶ月強)
つまり1ヶ月弱自炊を続ければ、初期投資は回収されます。道具代を理由に「始めるのをためらう」必要はほとんどありません。ただし、毎日使う包丁の研ぎ直しや、電子レンジの故障といったランニングコスト(消耗品)は別にかかる点には留意してください。
外食の「価格帯」で差はどう変わるか
「外食=800円」は平均値です。外食の選び方で、自炊との差は大きく縮んだり広がったりします。
| 外食の選び方 | 外食1食 | 自炊1食(400円)との差 | 昼食20食/月の年差 |
|---|---|---|---|
| 牛丼・立ち食いそば等(安) | 500円 | 100円 | 年約2.4万円 |
| コンビニ弁当・チェーン(中) | 800円 | 400円 | 年約9.6万円 |
| ファミレス・定食屋(高) | 1,200円 | 800円 | 年約19.2万円 |
安い外食(牛丼500円)なら差は「1食100円」に縮み、自炊のメリットは控えめになります。逆に高めの外食が多い人ほど、自炊の効果は跳ね上がります。「外食をやめる」のではなく「安い外食に置き換えるだけ」でも、牛丼なら年2.4万円、ファミレスをやめるなら年19万円の差が生まれます。
最大の罠:「時間コスト」を入れると逆転する
自炊の本当のコストは、お金だけではありません。買い物・調理・後片付けにかかる時間です。これを「自分の時給」で換算すると、高所得層ほど自炊が「割に合わなく」なります。
| 自分の時給目安 | 1食45分の時間コスト | 自炊の実効単価(400円+時間) | 外食800円と比べて |
|---|---|---|---|
| 時給2,000円(高所得層) | 1,500円 | 1,900円 | 外食のほうが安い |
| 時給1,000円 | 750円 | 1,150円 | 外食のほうが安い |
| 時給500円 | 375円 | 775円 | ほぼトントン |
| 0円(趣味・リラックス) | 0円 | 400円 | 自炊圧勝 |
つまり「自炊は絶対にお得」ではなく、「調理を楽しめる人」や「時間の単価が低い(学生・主婦・副業前の時間がある)人」にこそ、自炊の経済メリットが最大になるのです。逆に、残業続きで時給換算が高い人は「週末まとめ炊き」や「デリバリー弁当の活用」で時間を買うほうが合理的な場合もあります。
家族構成で変わる:家族で作るほど自炊は有利に
一人暮らしの「1食400円」は、家族で作るとさらに下がります。ガス・水道・調味料は人数で按分されるため、4人家族で一度に4食分作れば、1食あたりの光熱・調味料按分は約50円から約15円に減り、自炊単価は約365円に下がります。その分、外食(子ども料金やセット)との差は広がります。
一方で一人暮らしは、「1人分を作る非効率」と「廃棄ロス」が直撃します。1人で大きな食材を買うと使い切れず捨てることが多く、按分ロスが膨らみやすい点に注意が必要です(使い切りサイズの活用や、作り置きでロスを減らす工夫が効きます)。
注意点:あくまで「目安」であること
- ①単価は地域・物価で変動:都心と地方、物価高の影響で食材費は変わります。本記事の「食材350円」はあくまで目安です。
- ②栄養と健康の価値はお金に換算しにくい:自炊は塩分・油・糖質を自分でコントロールでき、長期的には医療費(医療費控除の記事)を抑える効果があります。これは「安さ」以上の価値です。
- ③光熱費の按分は使い方次第:調理頻度が上がればガス・水道・電気の従量分(電気代・ガス代・水道代の記事)も上がります。按分50円は平均値として読んでください。
- ④外食には「選べる・楽・時間が浮く」という価値がある:すべてを自炊にする必要はなく、バランスが大切です。
手元で確かめるなら:関連ツール・記事
- 生活計算ツール:単価計算・割引率で「外食は自炊の何%増」を即計算。
- 複利積立シミュレーション:浮いた食費を運用した場合の将来額を試算。
- 手取り計算ツール:浮いた分が手取りにどう響くかを確認。
- 生活防衛資金の記事:浮いたお金の「使い道の優先順位」。
- 手取り率を年収別に比べた記事:節約効果が手取りに与える影響の全体像。
いずれもブラウザ内で計算し、入力した金額はどこにも送信されません。
注意事項
本記事の数値は、一人暮らし・都市部を想定した目安単価(外食800円・自炊400円、うち食材350円+見えないコスト50円)に基づく概算モデルです。実際の単価は地域の物価、外食の価格帯、自炊の献立・ロス率、家族構成、光熱費の従量料金(電気代・ガス代・水道代)によって大きく変動します。運用の利回り(年2%)は目安であり、元本が減るリスクがあります。正確な家計設計は、ご自身の収支と必要に応じて専門家へご相談ください。本記事は情報提供を目的とし、個別の家計相談に代わるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。