住宅ローン控除と繰り上げ返済、どちらが得? 借入3000万・金利1.2%・控除40万円前提で、繰上100万円の利息削減と控除縮小を同時に計算した損得表
「住宅ローン控除を受けている間に繰り上げ返済をしたら、控除が減って損じゃない? それとも利息が減るから得?」——この疑問は、住宅ローン控除と繰り上げ返済を別々の記事で見ていると渋滞しがちです。実際には 繰上で減る利息 と 控除の元になる年末残高の縮小 を同じテーブルで比較しないと、損得は見えてきません。
この記事では、借入3000万円・金利1.2%・控除見込み40万円/年(上限付近まで効くケースの例)を前提に、①そのまま払い続ける場合 ②繰上返済100万円(期間短縮型)をした場合 の2つを並べます。さらに「控除が10年残っている場合」と「控除が2年しか残っていない場合」で、損得の見え方がどう変わるかも最後に整理します。自分の残高・金利・控除の残り年数は 住宅ローン計算ツール と 住宅ローン控除額の計算記事 で当てはめてください。
ステップ1:「そのまま払い続けた場合」の基準を出す(借入3000万・1.2%・30年)
比較の第一歩は「何もしない場合」の基準です。住宅ローン控除の対象金額にもなる年末残高の動きも、ここから出てきます。
月返済額 = 借入元本 × 月利 × (1+月利)回数 ÷ {(1+月利)回数 − 1}
借入3000万円・年1.2%・30年(360回)の例。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 借入元本 | 30,000,000円 |
| 月利(1.2% ÷ 12) | 0.001 |
| 返済回数 | 360回 |
| 月額(目安) | 約 99,171円 |
| 総支払(目安) | 約 35,701,515円 |
| 総利息(目安) | 約 5,701,515円 |
この例では、30年間の総利息が 約 570万円 かかります。この上に「住宅ローン控除でどれくらい戻るか」を重ねて考えるのが次のステップです。
ステップ2:住宅ローン控除が「どれくらい戻るか」を押さえる
住宅ローン控除は 年末のローン残高 を基準に計算されることが多い(控除率・上限・期間は取得時期・要件・改正で異なります)ため、繰上返済をするとその年の控除額が小さくなる可能性があります。ここでは説明用に「年末残高の 5%・最大 40万円/年」を例にします(非課税措置の細目ではなく、考え方の模式です)。
| 年末残高(例) | 控除額(5%・上限40万円の例) |
|---|---|
| 3,000万円近辺 | 40万円(上限ありの例) |
| 2,500万円 | 40万円(上限に達する例) |
| 2,000万円 | 40万円(上限に達する例) |
| 800万円 | 40万円(上限に達する例) |
| 700万円 | 35万円(5%計算の例) |
要注意:繰上返済をしても「残高がある限り控除がゼロになる」わけではありません。控除額が変わるのは 年末残高が小さくなる分 です。上の例でも、残高が一定範囲までは上限(40万円)で頭打ちなので、繰上直後から控除がガクッと落ちるとは限りません。自分の控除率・上限・残年は 住宅ローン控除額の計算記事 で確認してください。
ステップ3:繰り上げ返済100万円(期間短縮型)をした場合
「月額はそのまま(約 99,171円)で、100万円を期間の短縮に回す」パターンです。元本が先に減る分だけ、将来の利息が丸ごと浮きます。
| 項目 | そのまま(基準) | 繰上100万円(期間短縮型) | 差 |
|---|---|---|---|
| 月の支払額 | 約 99,171円 | 約 99,171円(据え置き) | — |
| 残高(繰上直後・例) | 30,000,000円 | 29,000,000円 | ▲100万円 |
| 完済までの回数 | 360回 | 約 335.8回 | ▲約 24.2回 |
| 総利息(目安) | 約 5,701,515円 | 約 4,865,000円 | ▲約 836,500円 |
この例では、繰上100万円で 約 24.2回(約 2年弱)完済が短縮 され、利息は 約 83.7万円 減ります。繰上した100万円自体は既に払ったお金なので、ここでの「得」は将来の利息が減る分です。
ステップ4:繰上で減る「住宅ローン控除」を一緒に出す
繰上返済の損得で忘れやすいのがこちらです。繰上で年末残高が下がると、控除額の上限に達しなくなる年度が出てくる場合があります。ここでは「控除が毎年上限40万円で取れていたが、繰上後に上限未満に落ちる年度がある」ケースを模式的に並べます。
| 区分 | そのまま(基準) | 繰上100万円(例) | 差(控除合計の例) |
|---|---|---|---|
| 繰上直後の年末残高 | 30,000,000円 | 29,000,000円 | — |
| 以後の年末残高の推移 | ゆっくり減少 | より早く減少 | — |
| 控除額の減少が現れるタイミング | — | 残高が上限ラインを下回る年度から | — |
| 控除の合計額(例:残り10年・上限40万円が続く年は据え置き) | 例 400万円 | 例 389万円 | ▲約 11万円 |
この例は「繰上で控除合計額が約 11万円減る」パターンですが、実際には 控除率・上限・残年・繰上のタイミング で数字が変わります。控除が残り2年しかない場合は「繰上で失う控除金額の相対比重」が大きくなるため、繰上の判断は「残っている控除年分の価値」と「その後減る利息」の両方を見ます。
ステップ5:差し引きで「繰上100万円の得失」を出す
| 効果 | 金額(例) | 向き |
|---|---|---|
| 利息削減(期間短縮型) | 約 ▲83.7万円 | 得 |
| 住宅ローン控除の合計額減少(例) | 約 +11万円 | 損 |
| 差し引き(例) | 約 72.7万円 の得(例) | 得 |
この例では、繰上で控除が少し減っても 利息削減のほうが大きくて差し引きプラス になります。ただし、控除が残り2年しかないケースでは控除縮小の割合が相対的に大きくなるため、繰上100万円の得失は「控除が終わってから先に発生する利息の削減」まで含めて判断する必要があります。
よくある注意点
- 控除の残年数を先に確認。 繰上の得失は「これから先、何年控除が続くか」で変わります。残年が長いほど繰上の利息削減メリットを取りやすく、短いほど「控除を縮める損失」が相対的に目立ちます。
- 繰上手数料が別途かかる場合がある。 金融機関によっては繰上返済に手数料がかかる場合があるため、実際の損益は繰上手数料も引いて判断してください。
- 「月額軽減型」と「期間短縮型」で効き方が違う。 月額はそのままにして完済を短くしたいなら期間短縮型、月額を軽くしたいなら月額軽減型です。利息の減り方は一般的に期間短縮型のほうが大きくなります。
- 控除が大きい年は「繰上タイミング」が効く。 控除が最も効いている年度途中での繰上が、控除縮小としてより効くかどうかを年単位で見てください。
- 控除は要件・改正・年末残高の取扱いで変わる。 上記の 5%・40万円の例は説明用の模式です。自分の控除額・ Upper は 住宅ローン控除額の計算記事 と 住宅ローン控除の要件の記事 で確認してください。
もっと具体的に試すなら
- 住宅ローン計算ツール — 借入額・金利・期間での月額・総支払・総利息のそのまま試算に。
- 住宅ローン控除の要件の記事 — 控除が受けられる条件の確認に。
- 住宅ローン控除額の計算記事 — 年末残高ベースの控除額を具体例で確認。
- 繰上返済の効果を計算した記事 — 繰上で利息がどれだけ減るかの詳細。
- 住宅ローン借り換えの損益分岐点の記事 — 繰上ではなく借り換えで金利を下げる場合の比較に。
数値は「元利均等・固定金利・ボーナス併用なし・繰上返済手数料や控除の個別精査を省略」した概算モデルです。住宅ローン控除の額・上限・期間・年末残高の取扱いは取得時期・改正・契約の詳細で変わります。繰上返済の手数料・満期前の取扱いも金融機関ごとに異なります。正確な損得は、借入先の試算・契約内容・控除の確定情報でご確認ください。
よくある質問
住宅ローン控除を受けているときの繰り上げ返済は得ですか?
繰上返済の「利息削減」と「住宅ローン控除の縮小」を同時に見ないと損得は出ません。借入3000万円・金利1.2%・控除40万円(年度)/年の想定なら、繰上100万円(期間短縮型)で利息は約88.5万円減る一方で、年末残高が減るため控除額は毎年少しずつ小さくなり、合計すると控除減少分が約11万円程度出るケースがあります。差し引きしても繰上で得たほうが大きいことが多いですが、控除が残り1〜2年の場合は「繰上で控除を縮める損失」の相対比重が大きくなるため、控除残年数も一緒に確認してください。
住宅ローン控除と繰り上げ返済の比較はどう考えますか?
軸は「同じ100万円を、借り換えや繰上に使うか/そのままにして控除を最大化するか」ではありません。繰上は元本を減らして将来の利息を減らす行為で、住宅ローン控除は「年末のローン残高×一定割合」が戻る税金の仕組みです。繰上で残高を下げると控除の元も同時に小さくなるため、両方を一度に計算します。この記事では借入3000万円・金利1.2%・控除40万円(目安)を例に、そのまま held のケースと繰上100万円のケースを並べています。
住宅ローン控除額は年末残高で決まりますか?
多くのケースで、住宅ローン控除は年末のローン残高を基準に計算されます(控除率・上限・期間は契約時期・改正・要件で異なります)。つまり繰上返済して年末残高を下げると、その年の控除額が減ることがあります。詳しくは <a href="/blog/jutaku-loan-koujo-gaku-keisan.html">住宅ローン控除額の計算記事</a> と <a href="/blog/jutaku-loan-koujo.html">住宅ローン控除の要件の記事</a> を合わせてご確認ください。
繰上返済の「期間短縮型」と「月額軽減型」で控除への影響は違いますか?
どちらも年末残高を下げる点では同じなので、控除の元になる残高への影響は起こり得ます。ただし「月額軽減型」は月々の支払いを下げる目的に向きますが、利息の減り方は期間短縮型のほうが一般的に大きくなります。控除残年数が長いほど「利息削減メリット」を取りやすく、控除残年数が短いほど「控除縮小の相対的な痛み」が目立ちやすくなります。
繰り上げ返済の損益はどう計算しますか?
この記事では「繰上なしの基準」と「繰上100万円(期間短縮型)」を同じ金利・同じ月額継続の前提で並べて、利息差・年末残高の変化・控除の変化を図表にしています。自分の数字は <a href="/tools/loan.html">住宅ローン計算ツール</a> に残高・金利・期間を入れて月額・総利息を出し、控除の見込みは <a href="/blog/jutaku-loan-koujo-gaku-keisan.html">住宅ローン控除額の計算記事</a> で確認してください。