住宅ローン控除と繰り上げ返済、どちらが得? 借入3000万・金利1.2%・控除40万円前提で、繰上100万円の利息削減と控除縮小を同時に計算した損得表

2026-09-07 | 住宅ローン 繰り上げ返済 住宅ローン控除 住宅ローン控除額 税金 金利 家計 返済計画

便利箱編集部 | 編集方針・情報の確認

「住宅ローン控除を受けている間に繰り上げ返済をしたら、控除が減って損じゃない? それとも利息が減るから得?」——この疑問は、住宅ローン控除と繰り上げ返済を別々の記事で見ていると渋滞しがちです。実際には 繰上で減る利息 と 控除の元になる年末残高の縮小 を同じテーブルで比較しないと、損得は見えてきません。

この記事では、借入3000万円・金利1.2%・控除見込み40万円/年(上限付近まで効くケースの例)を前提に、①そのまま払い続ける場合 ②繰上返済100万円(期間短縮型)をした場合 の2つを並べます。さらに「控除が10年残っている場合」と「控除が2年しか残っていない場合」で、損得の見え方がどう変わるかも最後に整理します。自分の残高・金利・控除の残り年数は 住宅ローン計算ツール と 住宅ローン控除額の計算記事 で当てはめてください。

📌 結論ファースト:借入3000万円・金利1.2%・残期間30年・月額目安 約 99,171円 のケースで、繰上返済100万円(期間短縮型)をすると完済は約 360回から 約 335.8回 に短くなり、総利息は 約 575万円 から 約 486.5万円 へ 約 88.5万円 減ります。一方で年末残高が減るため住宅ローン控除(年5%・上限40万円の例)の合計額も少し縮み、たとえば控除残年数が長い場合でも「控除の合計額で見た減少」はおおむね 数万円〜10数万円 程度に収まるのが典型です。差し引きすれば、多くの場合は繰上の利息削減が控除縮小を上回ります。ただし 控除が残り1〜2年しかない 場合は、繰上で失う控除の相対的な比重が上がるため、繰上100万円の得失を「控除終了後の残利息の削減」とセットで判断してください。

ステップ1:「そのまま払い続けた場合」の基準を出す(借入3000万・1.2%・30年)

比較の第一歩は「何もしない場合」の基準です。住宅ローン控除の対象金額にもなる年末残高の動きも、ここから出てきます。

月返済額 = 借入元本 × 月利 × (1+月利)回数 ÷ {(1+月利)回数 − 1}

借入3000万円・年1.2%・30年(360回)の例。

項目金額
借入元本30,000,000円
月利(1.2% ÷ 12)0.001
返済回数360回
月額(目安)約 99,171円
総支払(目安)約 35,701,515円
総利息(目安)約 5,701,515円

この例では、30年間の総利息が 約 570万円 かかります。この上に「住宅ローン控除でどれくらい戻るか」を重ねて考えるのが次のステップです。

ステップ2:住宅ローン控除が「どれくらい戻るか」を押さえる

住宅ローン控除は 年末のローン残高 を基準に計算されることが多い(控除率・上限・期間は取得時期・要件・改正で異なります)ため、繰上返済をするとその年の控除額が小さくなる可能性があります。ここでは説明用に「年末残高の 5%・最大 40万円/年」を例にします(非課税措置の細目ではなく、考え方の模式です)。

年末残高(例)控除額(5%・上限40万円の例)
3,000万円近辺40万円(上限ありの例)
2,500万円40万円(上限に達する例)
2,000万円40万円(上限に達する例)
800万円40万円(上限に達する例)
700万円35万円(5%計算の例)

要注意:繰上返済をしても「残高がある限り控除がゼロになる」わけではありません。控除額が変わるのは 年末残高が小さくなる分 です。上の例でも、残高が一定範囲までは上限(40万円)で頭打ちなので、繰上直後から控除がガクッと落ちるとは限りません。自分の控除率・上限・残年は 住宅ローン控除額の計算記事 で確認してください。

ステップ3:繰り上げ返済100万円(期間短縮型)をした場合

「月額はそのまま(約 99,171円)で、100万円を期間の短縮に回す」パターンです。元本が先に減る分だけ、将来の利息が丸ごと浮きます。

項目そのまま(基準)繰上100万円(期間短縮型)差
月の支払額約 99,171円約 99,171円(据え置き)—
残高(繰上直後・例)30,000,000円29,000,000円▲100万円
完済までの回数360回約 335.8回▲約 24.2回
総利息(目安)約 5,701,515円約 4,865,000円▲約 836,500円

この例では、繰上100万円で 約 24.2回(約 2年弱)完済が短縮 され、利息は 約 83.7万円 減ります。繰上した100万円自体は既に払ったお金なので、ここでの「得」は将来の利息が減る分です。

ステップ4:繰上で減る「住宅ローン控除」を一緒に出す

繰上返済の損得で忘れやすいのがこちらです。繰上で年末残高が下がると、控除額の上限に達しなくなる年度が出てくる場合があります。ここでは「控除が毎年上限40万円で取れていたが、繰上後に上限未満に落ちる年度がある」ケースを模式的に並べます。

区分そのまま(基準)繰上100万円(例)差(控除合計の例)
繰上直後の年末残高30,000,000円29,000,000円—
以後の年末残高の推移ゆっくり減少より早く減少—
控除額の減少が現れるタイミング—残高が上限ラインを下回る年度から—
控除の合計額(例:残り10年・上限40万円が続く年は据え置き)例 400万円例 389万円▲約 11万円

この例は「繰上で控除合計額が約 11万円減る」パターンですが、実際には 控除率・上限・残年・繰上のタイミング で数字が変わります。控除が残り2年しかない場合は「繰上で失う控除金額の相対比重」が大きくなるため、繰上の判断は「残っている控除年分の価値」と「その後減る利息」の両方を見ます。

ステップ5:差し引きで「繰上100万円の得失」を出す

効果金額(例)向き
利息削減(期間短縮型)約 ▲83.7万円得
住宅ローン控除の合計額減少(例)約 +11万円損
差し引き(例)約 72.7万円 の得(例)得

この例では、繰上で控除が少し減っても 利息削減のほうが大きくて差し引きプラス になります。ただし、控除が残り2年しかないケースでは控除縮小の割合が相対的に大きくなるため、繰上100万円の得失は「控除が終わってから先に発生する利息の削減」まで含めて判断する必要があります。

よくある注意点

もっと具体的に試すなら

数値は「元利均等・固定金利・ボーナス併用なし・繰上返済手数料や控除の個別精査を省略」した概算モデルです。住宅ローン控除の額・上限・期間・年末残高の取扱いは取得時期・改正・契約の詳細で変わります。繰上返済の手数料・満期前の取扱いも金融機関ごとに異なります。正確な損得は、借入先の試算・契約内容・控除の確定情報でご確認ください。

よくある質問

住宅ローン控除を受けているときの繰り上げ返済は得ですか?

繰上返済の「利息削減」と「住宅ローン控除の縮小」を同時に見ないと損得は出ません。借入3000万円・金利1.2%・控除40万円(年度)/年の想定なら、繰上100万円(期間短縮型)で利息は約88.5万円減る一方で、年末残高が減るため控除額は毎年少しずつ小さくなり、合計すると控除減少分が約11万円程度出るケースがあります。差し引きしても繰上で得たほうが大きいことが多いですが、控除が残り1〜2年の場合は「繰上で控除を縮める損失」の相対比重が大きくなるため、控除残年数も一緒に確認してください。

住宅ローン控除と繰り上げ返済の比較はどう考えますか?

軸は「同じ100万円を、借り換えや繰上に使うか/そのままにして控除を最大化するか」ではありません。繰上は元本を減らして将来の利息を減らす行為で、住宅ローン控除は「年末のローン残高×一定割合」が戻る税金の仕組みです。繰上で残高を下げると控除の元も同時に小さくなるため、両方を一度に計算します。この記事では借入3000万円・金利1.2%・控除40万円(目安)を例に、そのまま held のケースと繰上100万円のケースを並べています。

住宅ローン控除額は年末残高で決まりますか?

多くのケースで、住宅ローン控除は年末のローン残高を基準に計算されます(控除率・上限・期間は契約時期・改正・要件で異なります)。つまり繰上返済して年末残高を下げると、その年の控除額が減ることがあります。詳しくは <a href="/blog/jutaku-loan-koujo-gaku-keisan.html">住宅ローン控除額の計算記事</a> と <a href="/blog/jutaku-loan-koujo.html">住宅ローン控除の要件の記事</a> を合わせてご確認ください。

繰上返済の「期間短縮型」と「月額軽減型」で控除への影響は違いますか?

どちらも年末残高を下げる点では同じなので、控除の元になる残高への影響は起こり得ます。ただし「月額軽減型」は月々の支払いを下げる目的に向きますが、利息の減り方は期間短縮型のほうが一般的に大きくなります。控除残年数が長いほど「利息削減メリット」を取りやすく、控除残年数が短いほど「控除縮小の相対的な痛み」が目立ちやすくなります。

繰り上げ返済の損益はどう計算しますか?

この記事では「繰上なしの基準」と「繰上100万円(期間短縮型)」を同じ金利・同じ月額継続の前提で並べて、利息差・年末残高の変化・控除の変化を図表にしています。自分の数字は <a href="/tools/loan.html">住宅ローン計算ツール</a> に残高・金利・期間を入れて月額・総利息を出し、控除の見込みは <a href="/blog/jutaku-loan-koujo-gaku-keisan.html">住宅ローン控除額の計算記事</a> で確認してください。

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