学資保険と自分で積立、どっちが得? 返戻率108%は実質利回り0.85%——月2万×18年の複利で比べた根拠
「学資保険に入るべきか、自分で積み立てるべきか」——子どもが生まれると、ほぼ確実にぶつかる迷いです。結論から言うと、「教育資金をいつ・いくら必要とするか」と「運用の利回り」で、どちらが得かは決まります。ただ多くの比較記事は「学資保険は損」「自分で積み立てろ」で終わらせがちで、なぜ学資保険の返戻率が100%〜110%に留まるのか、その根拠を説明していません。
この記事では、学資保険の返戻率の計算式と、自分で毎月積み立てたときの複利の未来価値(返戻率相当)を、同じ条件(月2万円×18年=払込432万円)で突き合わせます。そして「学資保険の実質利回りは約0.1%〜1.0%」という数字の出し方と、自分で積み立てると年利2%で返戻率120%、3%で132%になる根拠を1円単位で示します。最後に、どんな家庭が学資保険を選ぶべきかを整理します。
誰が読むべき記事か(検索意図)
この記事は次のような人に向けて書いています。
- 子どもが0〜小学校低学年の親——そろそろ教育資金の準備を始めたいが、学資保険の営業と自分での積立で迷っている。
- 「学資保険は損?」と感じている人——返戻率が100%前後なのに、なぜ勧められるのか理由を知りたい。
- つみたてNISAや預金での教育資金作りを検討している人——学資保険と自分で積立のどちらが有利かを具体的な数字で比べたい。
- 保険料の払い忘れや解約リスクが心配な人——全期間きちんと積み立てられる自信がない。
学資保険の「返戻率」とは何か(計算式の根拠)
学資保険の良し悪しを比べるとき、業界では「返戻率(返戻価比率)」という指標を使います。これは払い込んだ保険料の総額に対して、受け取る給付金の総額が何割かを示す単純な比率です。
例えば月2万円を18年(216回)払い込むと、払込総額は 2万円 × 216回 = 432万円 です。ここに入学祝金・満期金などで 475万円 を受け取れば、返戻率は 475万 ÷ 432万 × 100 = 約110% になります。逆に 432万円 ぴったりなら返戻率 100%(元本割れなし・利ザヤなし)、400万円 なら 約93%(元本割れ) です。
| 返戻率 | 給付総額(月2万×18年・払込432万円) | 差額 | 実質利回り(18年債・年利近似) |
|---|---|---|---|
| 100% | 4,320,000円 | ±0円 | 約0.00% |
| 101% | 4,363,200円 | +43,200円 | 約0.11% |
| 103% | 4,449,600円 | +129,600円 | 約0.33% |
| 105% | 4,536,000円 | +216,000円 | 約0.54% |
| 108% | 4,665,600円 | +345,600円 | 約0.85% |
| 110% | 4,752,000円 | +432,000円 | 約1.05% |
※ 実質利回りは、毎月2万円の払込に対して18年後に一括給付を受けるものとして、内部収益率(年利)に近似しています。実際の学資保険は給付が中学・高校・大学入学時に分割されるため、正確な利回りは給付スケジュールで変わります。あくまで「返戻率の大きさ」を感覚づける目安です。
重要なのは、学資保険の返戻率が100%を大きく超えることは稀という点です。これは保険料の一部が「死亡・高度障害の保障」や「加入者の事務・販売コスト」に回るためで、預金や投資のように全額が運用原資になるわけではないからです。「教育資金のための貯蓄」という顔と「保障」という顔の両方を持つ商品と捉えると、返戻率が低めなのは構造上の必然です。
自分で積み立てたときの「返戻率相当」を複利で計算
一方、自分で毎月同じ2万円を積み立てる場合、受け取る額は複利の未来価値(年金終価)で決まります。毎月の積立に対する未来価値の公式は次のとおりです(積立投資の基本式)。
年利0%(普通預金に近い)なら「積立額 × 月数」そのものですが、わずかでも利回りが乗ると18年で枝葉が開きます。月2万円×18年(払込432万円)で、年利ごとの将来額を計算しました。
| 運用利回り | 将来額(18年後) | 元本との差額(運用益) | 返戻率相当 |
|---|---|---|---|
| 年利0%(普通預金) | 4,320,000円 | +0円 | 100.0% |
| 年利1.0% | 4,731,063円 | +411,063円 | 109.5% |
| 年利2.0%(つみたてNISA等の想定下限付近) | 5,194,799円 | +874,799円 | 120.2% |
| 年利3.0%(長期の株式想定) | 5,718,807円 | +1,398,807円 | 132.4% |
※ 毎月2万円、18年(216回)、年末調整や分配金再投資は考慮せず単純積立で計算。つみたてNISAは年利20万円(月約1.67万円)まで非課税なので、月2万円は枠内に収まります(2018年〜20年は年40万円枠の経過措置あり)。
ここが決定的な差です。学資保険の「良い商品」とされる返戻率108%は、自分で年利1%で積み立てたとき(返戻率相当109.5%)とほぼ同じです。つまり学資保険のトップクラスの返戻率でも、預金より少し良い利回りに過ぎないことが、式から見えてきます。
同じ条件で並べて比べる(学資保険108% vs 自分で積立)
月2万円×18年を軸に、「学資保険(返戻率108%=給付465.6万円)」と「自分で積立(年利2%・3%)」を直接対決させます。
| 選択肢 | 18年後の受取総額 | 学資保険108%からの差 | 元本432万円への上乗せ |
|---|---|---|---|
| 学資保険 返戻率108% | 4,665,600円 | — | +345,600円 |
| 自分で積立 年利2% | 5,194,799円 | +529,199円 | +874,799円 |
| 自分で積立 年利3% | 5,718,807円 | +1,053,207円 | +1,398,807円 |
年利2%の自分積立は、返戻率108%の学資保険より約53万円多く、年利3%なら約105万円多く得られます。学資保険の「確実な上乗せ」が年0.85%相当に過ぎないことが、この差として表れます。
積立額・期間を変えたときの返戻率(自分で積立)
月2万円・18年だけが正解ではありません。子どもの年齢(積立期間)と毎月の額を変えたときの、自分で積立・年利2%の将来額を計算します。
| 月の積立 | 期間 | 払込総額 | 年利2%の将来額 | 返戻率相当 |
|---|---|---|---|---|
| 月1万円 | 18年 | 2,160,000円 | 2,597,400円 | 120.2% |
| 月2万円 | 18年 | 4,320,000円 | 5,194,799円 | 120.2% |
| 月3万円 | 18年 | 6,480,000円 | 7,792,199円 | 120.2% |
| 月2万円 | 15年(3歳〜) | 3,600,000円 | 4,194,261円 | 116.5% |
| 月2万円 | 12年(6歳〜) | 2,880,000円 | 3,251,942円 | 112.9% |
返戻率相当(120.2%)は年利と期間で決まるため、積立額を増やしても率は変わらず、期間が短くなると下がるのが分かります。教育資金を「早く・長く」積み立てるほど、自身の利回りが効きます。
結局どちらを選ぶべきか(判断の軸)
数字の勝者は「自分で積立(年利2%以上)」ですが、すべての人が自分で積立すべきではありません。次の軸で決めてください。
学資保険を選ぶべき人
- 「毎月2万円を18年、絶対に途切れずに払い続けられるか」に自信がない。学資保険は「払込免除特約(加入者が万が一のとき以降の保険料が免除)」など、強制力と保障がつく。自分積立は全額自己責任。
- 相場下落のストレスを避けたい。確定拠出や投資に慣れておらず、目減りが怖いなら、元本確保型の学資保険が精神的に楽。
- 親の死亡・障害リスクをカバーしたい。教育資金と「親の保障」を一括で手配したい場合、学資保険の役割は大きい。
自分で積立を選ぶべき人
- 18年という長期で見られ、利回りを取りに行ける。つみたてNISA(年20万円まで非課税)や低コストのインデックス投信で、年利2%前後を狙える。
- 返戻率110%超の学資保険が見つからない。良い商品でも実質利回りは1%程度。自分で積立の方が上回るケースが多い。
- 使い道を自由にしたい。学資保険は「入学時」など給付タイミングが決まるが、自分積立はいつでも引き出せる。
自分の数字でシミュレーションする
すべてブラウザ内で計算され、入力した金額が外部に送信されることはありません。
- 複利積立シミュレーション——毎月の積立額・年利・期間から将来額を算出(返戻率相当も計算可能)。
- 割引率計算ツール——返戻率の感覚を、別の「率」の計算で慣らすのに。
- 複利の計算方法を1円単位で解説した記事——未来価値の公式の出し方。
- 学資保険の返戻率の読み方——返戻率110%がどれだけ「良い」かの目安。
注意点・免責
本記事の数値は、毎月定額の積立に対する複利の未来価値(年金終価)公式、および学資保険の返戻率定義に基づく概算です。実際のつみたてNISAのリターンは市場変動によりマイナスになる年度もあり、過去の利回りは将来を保証しません。学資保険の返戻率は商品・加入年齢・性別・給付スケジュールで異なり、解約した場合の返戻金は払込総額を下回るのが一般的です。正確な比較は各社のパンフレットの「返戻率」欄と、つみたてNISAの想定利回りを照らし合わせてご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、特定の商品の購入・解約を勧めるものではありません。計算はすべてブラウザ内で行われ、入力した情報が外部に送信されることはありません。
よくある質問
学資保険と自分で積み立てるの、どっちが得ですか?
数字で比べると、自分で積み立てた方が有利なケースが多いです。月2万円を18年(払込432万円)の場合、学資保険の返戻率が108%なら受取額は約465万円(実質利回り約0.85%)ですが、自分で年利2%で積み立てると約519万円(返戻率相当120%)、年利3%で約572万円(132%)になります。ただし学資保険には「払込免除特約」などの保障があり、自分で積立は全額自己責任なので、確実性を取りたいか利回りを取りたいかで決めます。
返戻率110%の学資保険はお得な方ですか?
返戻率110%は学資保険としては上位の部類ですが、実質利回りは年約1.05%程度に過ぎません。自分で年利1%で積み立てる(返戻率相当約110%)のとほぼ同じです。つまり「良い学資保険」でも、預金より少し良い利回りにとどまるのが構造的な特徴です。
自分で積み立てる場合、何を使うのが良いですか?
教育資金の場合は「つみたてNISA」が有力です。年20万円(月約1.67万円)までの積立が非課税になり、月2万円の積立なら枠内に収まります。分配金や売却益が非課税な分、長期の複利効果がそのまま残ります。
学資保険を途中で解約するとどうなりますか?
一般に解約返戻金は払込総額を大きく下回ります(元本割れ)。学資保険の「確実性」は、あくまで全期間払い込みを続けた場合の給付です。払えなくなる不安があるなら、自分で積み立てるより学資保険の方が、保障付きで途切れにくい面があります。
18年も先のことで、相場が心配です。
教育資金の積立は期間が長い(18年)ため、統計的に相場の上下が時間で平均化されやすい側面があります。とはいえマイナスになる年度もあるため、リスクを避けたいなら「学資保険でベースを確保+つみたてNISAで上乗せ」のハイブリッドも選択肢です。
計算の「返戻率相当」はどう出していますか?
自分で積立の将来額を「毎月積立額×{(1+年利÷12)^(12×年数)−1}÷(年利÷12)」で出し、それを払込総額で割って百分率にしました。学資保険の返戻率(給付総額÷払込総額)と同じ尺度で比べるための目安値です。