クエリ最適化、すなわちデータベースがデータを取得および結合するための最も効率的な方法を決定するプロセスは、計算的に困難なタスクです。特に、一連のテーブルに対する最適な結合順序を決定することは、NP困難な問題として知られています。わずか3つのテーブルを含むクエリであっても、結合ツリー、方向、アルゴリズム、およびスキャンタイプの組み合わせは4,600通り以上存在します。Postgresのようなプロフェッショナルなデータベースは、動的計画法や遺伝的アルゴリズムを使用してこの探索空間を削減していますが、特に結合の数が増えるにつれて、依然として最適ではない計画を生成する可能性があります。
この課題に対処するための実験において、Rohan BansalはPostgresのクエリ計画を生成する4Bパラメータのモデルをトレーニングしました。モデルは当初、テストクエリの99%に対して有効な計画を生成できず苦戦しました。しかし、教師あり微調整(SFT)とエージェント型強化学習(RL)を含む多段階のトレーニングプロセスを経て、モデルは最終的に、113の結合の多いクエリにおいて、Postgresのデフォルト計画と比較して44.7%のレイテンシ削減を達成しました。このトレーニングでは、GPT-6 Astraエージェントの軌跡からのオフポリシー蒸留と、カスタムのGRPO(Group Relative Policy Optimization)バリアントが活用されました。この強化学習アプローチは、計画の実際の実行時間に基づいてスカラー報酬を割り当て、より高速なクエリ完了をもたらす戦略へとモデルの重みを誘導しました。

モデルは多段階のトレーニングプロセスを通じて、113の結合の多いクエリにおいて44.7%のレイテンシ削減を達成しました。
これらの結果にもかかわらず、制御された実験から本番環境への移行には大きなトレードオフが伴います。この実験は、すべてメモリに収まる8GBのデータセット上で行われたものであり、ページキャッシュの競合やディスクI/Oが支配的な要因となる、大規模で高並行なOLTP(オンライン事務処理)ワークロードにおいてこれらの計画がどのように動作するかを正確に反映していない可能性があります。さらに、特定のデータ形状に対する「過学習」のリスクもあります。基礎となるデータの相関が変化したり、モデルがハルシネーションによって特定のインデックスを見逃したりした場合、計画は失敗する可能性があります。最終的に、AIが生成した計画であっても、データベースの基礎となる統計の正確性によって制限されます。データの論理的な順序が完全に捉えられていない場合、最も洗練された最適化エンジンであっても、真に最適なパスを見つけることは困難です。